World SoulReaper   作:阿良々木日和

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大規模進行、一体何話になるんだ??
10話前後で畳みたさはあります。

UAが1万を超えてました。皆様ありがとうございます。
感想等もお待ちしているので気軽にどうぞ。
でも私はガラスのハートなので手厳しいのは許して…許して…


申し訳ない。忍田本部長のセリフの後にシーンを追加しました


戦いの幕開け

スナイパーの訓練室で壁が吹き飛んだらしい。

らしい、というのは今本部内で様々な噂話が持ち上がっている内の一つだから事実の程は分からないからだ。スナイパー用の訓練室なんて行ったこともねーし誰が居るのかも知らない。

その他にも白髪の少年が入隊試験で凄まじい記録を出したとか(恐らく空閑)、メガネのB級(恐らく三雲)が風間さんと引き分けたらしいだとか…様々な噂話が歩いていると聴こえてくる。 だいたいそういう話をするのは新しく入隊したばかりのC級隊員で少し話が気になり立ち止まると人の顔を見てワラワラと蜘蛛の子を散らす様に逃げていく。解せねぇ。

 

 

んでもって、いまランク戦ブースで緑川のバカが三雲に喧嘩ふっかけて、それに怒った空閑にボッコボコにされやがった。何してんだアイツ。

 

「おや、いちご先輩」

「おう空閑。ボーダーに無事入れたんだな」

「おかげさまで」

「お、やっぱり来たな黒崎。 おまえもいくぞ」

「げ、迅」

 

案外影薄いんじゃねーかコイツ。 最初から居たことに気が付かなかったんだが…

 

「これから会議があってな。黒崎、城戸司令からの直々のお呼び出しだよ」

「は、あのオッサンが?」

 

俺を入隊させてから一切干渉して来なかったオッサンが絡んで来るとなると…デカいことが起きるってのか。 断る理由もないし別にいいが…

 

「さて、ほんじゃ行こうか遊真、メガネくん、黒崎」

「すまんねよーすけセンパイ。勝負はまあ今度な」

「すまんな陽介」

 

なんでチビ助と雷神丸まで行くのかは分かんねーけど全員揃って会議室へと出向く。

道すがら空閑と三雲が緑川が動物やらどーたらって話をしていたがよく分からん。

 

「黒崎は動物ってよかバケモノの類だからなー」

「おい迅。てめー後でツラ貸せよ。久しぶりにぶった斬ってやる」

 

会議室へ入室すると城戸司令、忍田本部長、それに林藤さん、本吉のおっさん、風間さんに秀次、宇佐美と結構賑やかな会議室だ。雰囲気は通夜ぐらいに冷めきってるが。

要件としては先日の爆撃型近界民による複数の犠牲者が出た、ということと空閑が近界民という事で意見が聞きたいってことらしい。

俺が呼ばれた意味が分かんねーが。

 

「知りたいのは攻めてくるのがどこの国でどんな攻撃をしてくるかということだ!」

「なるほどそういうのことなら、おれの相棒に訊いたほうが早いな」

 

そう言うと空閑の衣服から黒く小さなトリオン兵が出てきた。通りでやつの体から別のトリオンを感じるわけだ。

 

【それでは近界民(ネイバー)について教えよう】

【近界民の世界…すなわち近界に点在する「国」はこちらの世界のように国境で分けられている訳ではなく、夜の暗黒の中に近界民の国々が星のように浮かんでいる】

【それらの国々は決まった軌道でそれぞれが暗黒の海を巡っており、その在り方を「惑星国家」と呼んだ】

 

へぇ、なんだか星に近い感じなんだな。現世と尸魂界、虚圏とは全くちげぇのか…

ん? じゃあなんで俺は「こっち」に来れたんだ?

頭を捻るっている間も空閑のお目付け役レプリカは説明を止めない。

 

【攻めてくるのはどこの国か】

【その問いに対する答えは「今現在こちらの世界に接近している国のうちのいずれか」だ】

 

「そこまではわかっとる! 知りたいのは『どの国か』『戦力』『戦術』だ!」

 

【どの国がそうなのかを説明するのに私の持つデータを追加しよう】

 

レプリカが林藤さんと宇佐美に頼むと目の前に浮かび上がっていた天体図のようなホログラムが切り替わる。

その図は会議室の天井いっぱいに広がるほど広大で少し綺麗だと思った。

 

【これがユーゴが自らの目と耳と足で調べあげた惑星国家の軌道配置図だ】

 

「おぉでかい!」

「これは……!」

 

本吉のおっさんも高圧的な態度がなりを潜めただ単に圧倒されている。

 

【この配置図によれば現在接近している惑星国家は4つ】

【海洋国家リーベリー】

【騎兵国家レオフォリオ】

【雪原の大国キオン】

【神の国アフトクラトル】

 

「その4つのうちのどれか…あるいはいくつかが大規模侵攻に絡んでくるというわけか?」

 

【断言は出来ない。決まった軌道を持たずに星ごと自由に飛び回る「乱星国家」も近界には存在する】

 

「乱星国家…」

 

【そして、以前ユーゴが辿り着いた常に夜の世界も一つ。 どうやって辿り着いたかも分からず彷徨い歩いた。 ユーゴは彼処を暗黒国家と呼んだ】

 

夜の世界…?

 

「話を戻しましょう。先日のトリオン兵を大規模侵攻の前触れとして対抗策を講じる話だったはず」

「それだったら確率が高いのはアフトクラトルかキオンかな。イルガーを使う国ってあんまりないし…というか、迅さんのサイドエフェクトで予知出来ないの?」

「おれは会ったこともない奴の未来は見えないよ。『近々何かが攻めてくる』ってのは分かってもそいつらが何者なのかは分からない」

「…待てよ。お前、俺に初めて会った時、『視た通りだ』って言わなかったか?」

「よく覚えてたな黒崎は。 うん、言った。おれは黒崎一護に会ってたから視えてたそれだけだ」

 

あ? そりゃ一体どう言う…

 

「重要なのは敵に黒トリガーがいるかどうかだ」

 

【我々がその2国に点在したのは7年以上前なので現在の状況とは異なるかもしれないが…】

【当時、キオンには6本】

【アフトクラトルには13本の黒トリガーが存在した】

 

黒トリガーって確か迅が持っていた目の届く範囲なら遠隔攻撃が出来る…とかいう奴だっけか。あとは空閑が持つコピーが出来るやつ?

詳しいことは聞かされてねーけど。

 

「13本…黒崎一護。 キミはどのような黒トリガーがあると思う」

「ここで俺かよ。知らねー…つーか迅や空閑の黒トリガーですら知らなかったんだ知るわけねーだろ」

「想像の範囲で構わない。()()()()()()()だとキミは対処しにくい」

「どのような攻撃…ってもな…あー、アレだ。 花弁や砂のように刀身が何百何千と分裂する刀とかは厳しいんじゃねーか」

「なるほどな。風刃みたいな斬撃じゃなくて舞う花弁一枚一枚が刃か…そりゃ厄介だ。黒崎ならどう対処する?」

「触れるよりも早く相手をぶちのめすか…届かない遠距離から仕留める。そういう手合いは必ず制御範囲があるはずだからな。 他は…気体とか水を操る系とか目に見えない攻撃も厳しいだろ」

「気体に…確かに黒トリガーならば何でもありだ。有り得るかもしれないな。覚えておこう」

 

風間さんが頷くと横で迅がこちらをいつものいやらしい笑みを浮かべながら眺めていた。

 

「また未来が少し動いた。それにしても黒崎はやけに具体的な例が出てくるな。戦ったことでもあるのか?」

「ば、ばっか。んな訳あるかよ…俺は何処にでもいる普通の駄菓子屋さんだぞ」

「駄菓子屋は何処にでも居る訳では無いが…」

 

【黒トリガーは希少だ。常に本国の守りに使われる。遠征に複数投入されることは考えづらく、多くても1人までだろう】

 

「つまりいずれにしろ敵の主力はトリオン兵で人型近界民は少数だということだな。では、人型近界民の参戦も考慮に入れつつトリオン兵団への対策を中心に防衛体制を詰めていこう」

 

忍田本部長が要点をまとめていき最後を締めた。 俺は俺でやることが無いので隊室で少し休んでいこうと考えていたら本吉のオッサン。

 

「黒崎、お前がこの前出したアイデアを寺島と試作品を開発してみたが使いこなせるやつが居らん! それに孤月やスコーピオンに比べて使用トリオン量多くてな。 一般隊員には無理だ」

「あー、1つのトリガーで近〜遠距離をする代償っすか。 確かに蛇腹剣なんてそうそう簡単に使いこなせねーよな…」

「アイデア自体は中々面白いぞ。加古隊の双葉ちゃんはお前が手伝った韋駄天を使っているからな」

「いや俺に使わせろよ」

「お前がA級に上がってからだ。それで試作したからには破棄するわけにもいかん。名前も決めていないが折角だお前が決めろ黒崎」

「あー、だったら蛇尾丸って名前だ」

 

端末に文字を写して本吉のオッサンに見せると中々気に入ったのか何度か口にして頷いた。

 

「蛇の尾か。なるほど使い手が現れるかもしれんしな。保管しておこう」

 

恋次。お前の斬魄刀、勝手にトリガーにしちまって悪いな。うん。

 

「お、鬼怒田さんとの話終わった? すこし城戸さんと話していこう黒崎」

「城戸司令と? いいけどよ…」

「という訳で城戸さん。 今度の大規模進行、黒崎はフリーにしてあげてくれませんか」

「…何故だ?」

「こいつをフリーにしておけば戦場を縦横無尽に駆け回れるし、不測の事態に一番慣れている」

「………許可しよう。 ただし黒崎隊として遊撃に出てもらう。オペレーターにも話を通しておけ」

「あー、了解…です」

 

城戸司令は振り向かずに会議室から出ていく。

迅の様子が何だか変だと感じ取ったのはあの人も同じだろう。だからこそ俺の遊撃を許した…ってところか。

 

「んで迅。 お前、何か視たな? 例えば井上…いや、ここ最近絡みだと三雲あたりが死ぬ未来とか」

「驚いたな。 やっぱり黒崎も未来が予知出来るんじゃない?」

「止せよ。あんな力、俺には不要だっての」

 

三雲が死ぬ未来。誰かが死ぬってのをはい、そうですかと見過ごすつもりはねーし、それ相応のかなりの被害が出る可能性もあるって事だ。 ボーダー本部が攻め込まれれば非戦闘員のエンジニアやこっちの要でもあるオペレーター達も危ねぇ。

俺をフリーにしたのはその辺もあるのか。

 

「メガネくんを助けられるのが今の所秀次しか居ないっぽいんだ。 黒崎はギリギリって感じでさ。これから秀次にも頼んでくるけど、少しでも可能性の芽を潰したいから黒崎にも頼んで起きたいんだ」

「了解だ。 敵がなんであろうと関係ねぇ。 一年近く関わった連中と街だ…そうそう簡単にやらせねーよ」

「そりゃよかった。 それじゃ、おれは秀次に話してくるよ」

 

魂魄消失事件も近界民が絡んでる…ってんなら解決も早そうなんだけどな。

何故だか胸騒ぎがする。

 

 

 

そしてこちらの世界においての最初の大きな戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

ある日の日中の事だ。

あの会議の日から俺は黒崎隊の隊室で待機をし続けている。 井上にもある程度の説明はしてある為、その時が来るのを待ちながら二人でゲームとか本を読んだりとかしていた。

向こうの井上とはこういう過ごし方してねーよな。なんて思いつつも雑誌のページを捲った時。

 

「…なっ!?」

「どうしたの黒崎くん」

「井上、オペの準備しろ。近界民が来るぞ!」

 

ぞわりと…トリオンが集まりとんでもない数の門が開く気配を感じとる。バチバチとした感覚を感じる中、幾つか普通の門とはまた違う違和感を感じたが今は迎撃が先だ。

隊室から出る瞬間、井上が俺を呼び止めた。

 

「黒崎くん、嫌な予感がするの。気を付けて」

「あぁ、大丈夫だ。 必ず守る」

 

廊下を走り本部から飛び出す。 その尋常ならざる様子を見てか風間さんや出水も腰を上げた。

 

【門発生 門発生 大規模な門の発生が確認されました】

【警戒区域付近の皆様は直ちに避難してください】

 

外に出るより数瞬遅れて警戒放送が全域に流される。 あまりの数に俺が察知してから少し時間が経って門が開いた様だ。 昼間だと言うのに空は暗くなり至る所からトリオン兵が現れ始めた。

 

【黒崎くん本部からの通達だよ。 トリオン兵達は基地を中心として西・北西・東・南・南西に流れていってるみたい。 現場の諏訪隊や鈴鳴第一、東隊が既に分散して迎撃に出てるよ】

「手薄な所を教えてくれ!」

【南西方面! 茶野隊と鈴鳴第一が居る方面。 基地周辺にもトリオン兵が出始めたけど基地から太刀川さん達、西と北西は迅さんと天羽くんが出たから大丈夫っ】

「了解…!」

 

門から溢れかえるように出てくるモールモッドやバムスターを次々にぶった切っていく。

グラスホッパーを踏みすれ違いざまに切り裂いていく姿は傍から見れば通り魔に近いが一体一体に時間は割いてられない。

各部隊が各地で戦闘を行っている音が聞こえてくる。市街地に行くのだけは避けねぇと……

ん?

 

「井上、なんか新しい情報来てねぇか?」

【えっと……っ!? 今、入ったよ諏訪隊が撃破したバムスターの中から現れた新型と交戦中! えっ!?】

「どうした!」

【諏訪さんが新型に捕らえられたって…! 中央から新型トリオン兵をラービット。ラービットの役目はトリガー使いを捕獲するって!】

「なーるほど…コイツは中々歯応えのある敵になりそうだ」

 

撃破したバムスターの内部から3m程のボディに長く巨腕。 こいつがラービットか。

 

「こちら黒崎。本部、これより新型と戦闘に入るぜ」

【黒崎隊員、無理はするな! 援護が着くまで捕えられないようにするんだ!】

「こっちはサクッと倒すから茶野隊辺りに援護を送ってくれ…嵐山隊辺りがいるだろ」

 

通信を切り孤月を握り直す。

 

「さぁて、始めようぜ!」

 

ゴワッ!!と空気を吹き飛ばすような音ともにラービットがすっ飛んでくる。 確かに速いが避けれない速度ではない、

身体を掠めるように突き出された拳を回避しすれ違いざまに孤月で切り付けるが傷つくことなく弾かれた。

かってぇなコイツ…!

ステップを踏み身体の向きを切り替えそうとした瞬間にラービットは身体を捻り、その巨腕を振り回していた。 間一髪でシールドを貼るも叩き割られ家を数件突き抜ける速度でぶっ飛ばされた。あの野郎一撃目はわざと遅くして二撃目を油断させやがった…頭も良いのかよ。

瓦礫に埋もれ元いた場所を睨むとラービットは悠然とこちらに向かって歩いてくる。

 

「こ、の、野郎ォ……」

 

旋空弧月…!!

 

ズバァッン!!! 廃家も家具も何もかも知らねーとばかりに放った旋空弧月がラービットのピット器官に届く寸前。察知したように口を閉じて旋空弧月を生意気にも防いだがあの性能だ、それぐらいやっても何ら不思議なことは無い。出水のように速攻で合成弾を作れんならあの装甲を突破できるかもしれねーけどそれも無理。

だったら腕か脚をもいで動けなくすりゃいいか。

 

横一線を防がれるもこちらの動きを感知する奴のピット器官は閉じられた口で使えなくなっている。パッと見、肩やら腕は装甲が厚そうなので脇から上に対しての切り上げ二撃目の旋空弧月で切り飛ばす。 宙に舞った腕はドスンっと重量感を伝えて落ちた。

まず一本。関節は弱そうだな。

腕を失いながらもそれでも突っ込んでくるラービット。突進を回避し威力全振りしたメテオラを膝に叩き込んでラービットの脚が爆裂する。

左腕と右脚が無くなり上手く動きが取れなくなった時点で最早敵じゃなくなった。今度は口を閉じるよりも速く孤月を走らせ機能を停止させる。

確かにこりゃ手こずる奴ら多いかもしんねーな。かくいう俺もぶっ飛ばされちまってるし。

ガラリ…、何かが崩れる音が聞こえ、感知にも引っかかる反応がもう1つ。

バムスターの中からもう一体がこんにちはしてやがった。

 

「井上、新型一体撃破した。 そしたらもう一体出てきた」

【嵐山隊も撃破したみたい! それで市街地区に向けてトリオン兵が進行中…三雲隊長と木虎ちゃんがC級隊員の援護に回ったよ!】

「ちっ、これ倒したら俺もそっちに向かう! 最短ルートを出しておいてくれっ」

 

 

 

 

 

「黒崎隊員が新型を撃破。 続いて二体目と交戦中!」

「流石だな一人で対処したか」

「嵐山隊も続いて新型を仕留めました!」

 

敵の新型が何体投入されているか分からないがA級部隊、それと複数名のB級合同隊もラービットに対応して各個撃破していっている。

先程のイルガーによる本部への爆撃も暫くはない…。これならば少しずつ削り勝てるが未だ黒トリガーや人型は出てこないか…。

 

【忍田本部長、玉狛支部の三雲です! ぼくたちをC級隊員の援護に向かわせてください。その地区にはぼくたちのチームメイトがいます!】

 

「そうか、よしわかった。玉駒の隊員は別行動で…」

「待て、C級の援護に向かうのは三雲隊員だけだ。空閑隊員には残ってもらう。空閑隊員が黒トリガーで戦えば敵性近界民と誤認され大きな混乱をもたらす危険性があるための判断だ」

「しかし、それでは…!」

 

遊真くんの援護無しで三雲くんが単身C級の元へ向かうのはかなりの負担。いや、辿り着くことさえ厳しいかもしれない。しかし黒トリガーをミスミス遊ばせておくことも戦況的に出来ないのは分かる。

 

【嵐山隊 木虎です。 私は三雲くんに同行しC級隊員の援護に向かいます。構いませんか?】

 

「…問題ない。判断をそちらに委ねる。 現場の茶野隊はB級合同隊に合流しろ」

 

【【了解!】】

 

【あー、こちら黒崎。新型…ラービットだっけか? 3体目落とした。 この区画のトリオン兵殲滅し次第、俺もC級隊員の援護に向かう】

 

「3体目をもう落としたのか?」

 

【敵の動きが変だ。奴らの狙いはこっちの侵略じゃねー気がする】

 

確かに変だ。基地が爆撃された時も追撃を仕掛けてくれば落とされただろう。 しかし追撃もなく新型も逐次投入…ともすれば狙いは新型を使ったトリガー使いの捕獲だけでは無い?

 

「わかった。黒崎隊員は元々遊撃兵だ。 そちらの判断で任せる」

 

【あぁ、それと城戸司令。 やべー時は連絡を入れる】

 

…? どういう事だ。

 

「わかった。 逐次報告をする事だ。」

 

【了解】

 

…ふぅ、まだ序盤だろう。

 

「各隊員、警戒区域内のトリオン兵を排除。 特に新型を優先!」

 

【【【了解!!!】】】

 

万が一は…私が出る。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

【黒崎くん、C級隊員がラービット、他トリオン兵複数に襲われてる! 木虎ちゃんと三雲くんが応戦してるけどこのままじゃ不味いかも!】

 

「もう少しで現場に着く! 最近俺は現場に向かって走りすぎじゃねーか?」

 

【黒崎くん、新しい反応……ラービットが三体!?】

 

報告と同時に視界に捉えた。

薄紫色のラービットが地面に手を付けている。あのトリオンの動きは…!

 

「木虎ァ、飛べェ!!!」

「…!?」

 

バッ、と飛び上がった瞬間地面から刃が突き出た。

身体の細部に掠りながらも木虎は戦闘不能にまで落ちなかった。ギリギリってところか。

 

「助かりました黒崎先輩。 恐らく、コイツらの狙いはC級隊員!」

「三雲、C級を連れて本部まで逃げろ!! コイツらは俺らでやる!」

 

赤と黄色のラービットに攻撃を仕掛けるも堅牢な装甲によって有効打が与えられねぇ。木虎も片脚を失っているせいで本来の機動力を失っている。メテオラをぶちかましてほんの少し装甲を削るも動きを止めるまでは行かなかった。

薄紫の個体が俺と木虎の脇をすり抜けてしまう。

 

「ちっ…三雲ォ!!」

 

ドシャン!!!とデカい破壊音を鳴らして三雲は吹き飛ばされる。向こうに援護に行こうとするも赤色のラービットが放つ砲撃で行く手を阻まれる。 コイツらそれぞれ能力が設定されてんのかよ!

エスクードで砲撃を防ぐもこのままではC級を助けらんねぇ。 赤いラービットがちっこいC級に向かって手を伸ばしていた。

 

「チカ子に手ぇ出してんじゃねーぞこんにゃろー!!」

 

同じC級の隊員が放ったアイビスはラービットの手甲に弾かれ狙いは威勢のいい金髪C級へと変わり、捕縛するために突進を仕掛けている。 動きが変わったその一瞬の稼ぎで…

 

「名前しんねーけどカッコイイなお前…っ! 旋空弧月…ッ!!」

 

他のラービットの猛攻の合間を縫った旋空弧月の軌跡は今まさにC級を捕縛しようとしている個体の片脚をぶった斬った。

ドサァ!!…とコンクリートを削る音を鳴らしながら倒れ込むがそれでもヤツはしっかりと金髪を掴んでいた。

 

「わっ、ちょっタンマ!!! キモいキモいキモい!!」

「出穂ちゃ……!」

「チカ子逃げろ! 走れ!!」

「逃げろ千佳!!」

 

捕獲されそうになっている。

黄色のラービットが放つ特殊弾丸(恐らく磁力を纏っている)を交わし防ぎながら何か手はないかと模索する。木虎は赤いヤツの相手をしている無理だ…、俺も間に合わねぇ…!

しかしその現状を打破したのは他でも無い。

あの逃げろと言われていた千佳というC級隊員だった。

 

ドォォォォォン!!!!

 

どこよりも激しい轟音と閃光が戦場を染め上げラービットの半身を意図も容易く吹き飛ばした。

 

「こらチカ子!アタシもぶっ飛ばす気か!」

「ご、ごめん……」

 

どうやら金髪…出穂は無事だったらしい。

ザンッと依然として稼働の可能性を残していたラービットのピット器官を三雲が両断し一体減る。

これで心配なく色違いを狩れる!

木虎はワイヤーを利用した高速移動で翻弄し赤いヤツの関節を傷付けていき落とす寸前までいっている。 おいおい、俺だけ出遅れてるじゃねーかよ。

動きにも速さにもかなり慣れた故に口の機構が動くよりも早く奴らの弱点を真っ二つに切り裂く。

三体のラービットが沈黙すると漸く少し落ち着く暇が出来た。

 

「木虎、三雲、お前たち良く耐えたな」

「あ、ありがとうございます黒崎さん」

「危ないところを…助かりました」

「気にすんな。今こっちに玉狛支部の連中が向かってるらしい。三雲は玉狛支部と合流してC級を連れながら戦線を離脱しろだと」

「は、はい!」

「木虎、まだ行けるか? 行けんなら俺と行くぞ」

「勿論です」

 

【黒崎隊員、現場の状況は!】

 

「こちら黒崎。ラービット三体がC級を襲っていたが全部潰した。奴らの狙いはC級隊員。 玉狛支部のメンツにC級を保護させる。俺と木虎は残存勢力の殲滅に移行。 それでいいか忍田本部長」

 

【御手柄だ。 他の部隊も順当に新型を落としていっている】

 

大規模進行…なんて聞いてた割には随分とあっさりした…新型で場を掻き乱している間に人型が出てくると思っていたが…

三雲達が合流地点に向かうのを見送り、改めて木虎と付近を探る。

 

「…黒崎先輩。 私たちが相手にしたラービットの数を覚えてますか」

「三体…いや、その前にお前が一体潰したから四体だろ。 それがどうした」

「残骸が()()()しかありません」

 

眼下にあるのは千佳という隊員が半分以上を消し飛ばしたラービットと木虎が一度目に撃破したラービットだけ。

まさかまだ動けたのか? ありえないシッカリと潰したはずだ。

だとすれば……

影が俺と木虎を塗り潰すように落ちる。

 

「これは…新型?」

「なん…だと…?」

 

木虎の疑問を他所に俺はソイツに驚愕した。

それは、ソイツは…………!!!

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