前話の最後の方に一護と木虎のシーンを追加してあります大変申し訳ありません。
それと知らぬ間にUAが爆発的に増えてお気に入りも増えて驚きました。皆様ありがとうございます。感想お待ちしております。
【攻めてくるのはキオンかアフトクラトルの可能性が高いが、その二国を見分ける目印を教えよう】
【一言で言えば頭に
「ツノ…? 鹿やらヤギやらのツノか?」
【厳密には角ではなくトリオン受容体だが外見は角に見える。 アフトクラトルではトリガーを加工した受容体を幼児の頭部に埋め込み、後天的にトリオン能力が高い人間を作り出す研究を行っていた】
涅マユリが喜びそうな話だ…人間や死神に何かを植え込んで…とか。 崩玉を取り込んだ藍染もか。
まさか、こっちの世界の藍染が手を貸してましたとかそんなオチはねーよな。
「角があると具体的に何が変わる? トリオンの量か?」
【量に加え、質も変化する。 「角つき」が使うトリガーは「武器」と言うよりは「身体の一部」と言った方がいい】
「なるほど。その考えだと先ほど黒崎が例にあげていた水や気体を扱うようなトリガーがあった場合は使用者も形状を変化させる可能性もあるわけだな」
【さらに「角」を使って黒トリガーとの適合性を高める研究もされていた。 適合した場合角は黒く変色する】
「角が黒ければ黒トリガーというわけか。分かりやすいな」
【何れにせよ「角つき」の戦闘力は通常トリガーを大きく上回る。相対した場合は心してかかる事だ】
……「角つき」もそうだけど何だこのザワつく感じ…少しでも、何か…。
「……」
「どうした黒崎?」
「…いや…迅、風間さん、秀次。 空閑も三雲も少し聞いてくれるか」
「…どうやら結構重要っぽい雰囲気だな」
一度、城戸司令の方へ視線を向けるが特に止める様子はない。
「あぁ、理由は話せないことだ。 それでも聞いてくれ…もし………
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【警戒区域各地にイレギュラー門発生! この反応は…っ】
「チッ、ガキばっかかよ。 ハズレだな」
ラービットをバラし回収した諏訪のキューブを堤と笹森に回収させた後、未だ数を減らさないトリオン兵を狩っていた時に突如として開いた門から出て来たのは人型の近界民。
「うわぁ、人型来ましたよ風間さん」
「あぁ、しかも黒い角。 俺たちは当たりのようだ」
「ラービットを殺す程度の腕はあるんだろ? 頑張って少しぐらい楽しませろよオイ」
高圧的な態度を取る黒トリガーは動きを見せない。
『どんなタイプかが問題だな』
『天羽みたいなパワータイプか迅さんみたいな搦手か』
『見るからに性格悪そうだし、迅さんタイプでしょ……下です』
単なる睨み合いが数秒続くも菊地原が何かを
地面から棘のような刃が突き上げるように飛び出てきた。 なるほど高圧的な態度だが策を弄するタイプか。
菊地原の耳が活きるな。
「三上、菊地原の耳をリンクさせろ」
「えぇ〜」
【了解です。 聴覚情報共有します】
「頼むぞ。おまえの
「はぁ…これ疲れるからイヤなんですけど」
そう言いながらも髪を結わえ耳を出す菊地原。
やはり、菊地原を部隊に入れると判断した俺は正しかったな。
聴覚共有の恩恵で部屋の四方八方から吹き出るように現れるブレードを悉く回避する。 攻撃密度が濃いために近付けないが隙は出来るはずだ。
「オイオイ当たんねーぞこいつら! 尻に目ん玉でも付いてんのか!?」
『「液化できるブレード」って感じですかね。敵のトリガーは手を壁とか地面を潜って死角から刺してくる』
『死角を取っても僕達には当たりませんけどね』
液化するトリガー……可能性はゼロではない…か。
『三上、このエリア一帯の風向きを見る事は出来るか。 可能な限り奴の風上に立ちたい』
【分かりました。直ぐにデータを】
『どうしたんですか風間さん』
『液化出来るならば気化する可能性も考慮する必要があると判断した』
黒崎が何気なく言っていた可能性が有り得なくはない。 不安の芽は出来る限り摘んでおくべきだ。
風が吹き込む大穴を背にしながら黒トリガーを相手取る。
(ちっ…こいつら…目で見てるんじゃねーな。 「音」か「振動」か…オレがイラついて隙が出来るのでも待ってんのか? 雑魚どもの小細工が…猿知恵レベルなんだよ)
ガリガリ… ザクッ… ミシミシ… バキッ…
ゴッ… ボンッ…ズズズ… ギギッ…
部屋の至る所から音が聞こえ始めた。 黒トリガーを利用して音を鳴らしてこちらを撹乱する算段か。
菊地原の強化聴力ならば様々な音を聞き分ける事が出来る。
『右うえ、左の上限。 それ以外は無視していいです』
指示通りの位置からブレードが飛び出るが当たること無く回避する。
「玄界の猿が………!! めんどくせぇ! 雑魚に付き合うのはもう終わりだぁ!!」
ゴバッ!! と、吹き出るようにブレードが展開し部屋の壁や天井を吹き飛ばした。
「フルパワーで八つ裂きにしてやるよぉ!!」
攻撃が大雑把になり注意力が散漫になっているチャンスだ。このまま狩る…いや…これは!
危険だと指示を出すよりも早く大技の隙にカメレオンで姿を消していた菊地原が黒トリガーの首を跳ね飛ばした。俺が指示を出さず動かなったばかりに先行で判断させてしまった。
「はい、おわり」
跳ね飛んだ首がゴポッと音を立てると液状になり更にそこからブレードが飛び出る。
間一髪、スコーピオンで受け流すように弾き菊地原は距離を置く。
「菊地原、その場から直ぐに飛べ」
「…え?」
「玄界の猿ガキにしては頭が回るようだなぁ? てめぇの想像通りだ」
「…がっ!?」
菊地原が退避するよりも早く口から黒いモヤを吐き出し倒れ込む。
やはりコイツ…わざと部屋を壊して風向きを変え、こちらを誘い込んだのか。
「あーあ…この殺り方つまんねーんだよな。イマイチ、スカッとしねー」
「菊地原!!」
「動くな歌川、ここなら大丈夫だ。三上、分析出来るな」
【菊地原くんのトリオン体内部に敵のブレードが発生してます!!】
やはりこの黒トリガーは…
「相手の大技を待って姿を隠し…囮が気を引いて斬り掛かる。 工夫してんだなぁ? 毎日練習したのか? 残念だったな。 テメーら玄界の猿と違って黒トリガーなんでな」
菊地原の内部からブレードが飛び出るとそのまま
「さっきのガキなんだろ? オレの「
そこまで分かって誘っていたのか…侮っていた訳では無いが見誤った。
『すまない菊地原。俺のミスだ』
【僕が指示を待たなかったせいですよ。 風間さんのせいでは…】
「来いよガキども遊んでやるぜ! 仲間のカタキを討ってみろよ!!」
煽るように黒いモヤを展開させながら嘲笑う近界民には頭に来るが…
『歌川、ここは退くぞ』
『……了解です』
カメレオンを起動してそのまま基地方面へと駆け出した。 黒崎の助言を聴いておいてこの低落でA級とはあとで笑われるな。
「あァ!? 逃げるか…ガキのくせに冷静じゃねーか。 まぁ別に他のやつでも構わねえ。ぶっ殺せるんなら誰でもな」
◇
風間隊が黒トリガー「泥の王」を使用するエネドラと交戦を始めた同時刻。 基地南部では別の人型が猛威を振るっていた。
凄まじい火力で次々と合同部隊の面々は落とされていく。
「また
「人型近界民です! 茶野隊と太一、荒船隊の二人もやられました!」
来馬を始めとする面々は距離を置きながら様子を伺っているが…
人型近界民、ランバネインは戦場の中央を悠然と歩いてみせる。
「堂々と姿を晒しやがって…撃ってこいってか…」
「凄まじい火力に連射性能。それでいてこちらの戦力を逐次把握しようとしている。 なるほど切れ者のようだ」
荒船が苛立つ中、東は先程太一と茶野隊が落とされた時の攻撃を思い出し呟く。互いに射程圏内だが一発でも撃てばその地点に向かって奴が絨毯爆撃の如く弾を降らせるだろう。
だが、奴の狙いはこの膠着状態で南部の新型をフリーにすることか…
あの場には黒崎と玉狛が新型潰しで動いているはずだが…本部のオペレーターを通して黒崎へ通信を繋げてもらう。
「黒崎、そっちの様子はどうなっている」
【…東さんか? 悪ぃ新型は潰したんだ…くっ! だぁぁ、もうめんどくせー! そっちには援護に行けそうにない! だけど新型はほぼやったから問題は無い!】
「わかった。 何が起きているか…はあとの報告で聴く」
新型は潰したんだ…か。 となれば新たなトリオン兵、はたまた別の人型近界民が南部でC級隊員を襲っている可能性が出てきた。
【東さん、出水です。 米屋と緑川も一緒です。 角付きと戦うんでサポートお願いします】
いいタイミングでの加勢だ。
これならば膠着状態を崩せる。
出水達を攻撃の軸に狙撃手でのサポート。旧大学内での攻勢になると想定し狙撃手達は各員ポジションへ移動、来馬や奥寺、柿崎隊のメンバーも出来る限りランバネインへと近付いていた。
建物越しの死角を突いた出水の
「グラスホッパー…!」
視線で追うように顔を動かすが陽動と把握すると続く米屋の幻踊弧月すら防ぎ躱し、一度陽動と判断を下した背後に迫る緑川へ弾幕を張った。
ここまで一瞬の攻防をひとつのミスもなく手傷もなくランバネインは対応してみせた。
建屋を吹き飛ばすような火力を放ち空へと飛び上がる。
「数の有利を活かした挟撃も手馴れている。 なかなか手強い相手だ。 こういう場合は…同時に相手をしない事だな」
辺り一面に雨のような弾丸が降り注ぎ、たった一度の攻撃でそれぞれを分断してしまう。
「なんだこりゃ…まるっきり雨じゃん」
堪らず校内や物陰に潜める三人に狙撃手達も即座に動きカバーしやすい場所を取るが…
ドンッ!! と爆音が響くと近界民は校内へと逃げた緑川を追うように壁をぶち破って入ってきた。
「1人ずつ潰していくことにしよう」
「「緑川!!」」
焦る二人の声に緑川は…
「え、いや追って来てないけど」
「「…は?」」
【ちょっとちょっと、民間人の反応があるんだけど…っ】
「なっ!?」
国近からの連絡が入る。こんな警戒区域に民間人なんて有り得ないだろう…と思うも今は有事だ。 トリオン兵に追い回され、警戒区域に踏み込んでこの場に隠れる可能性もゼロと確実に言いきれるものでも無い。
「とにかく救出に行くよ…!」
迅に助けてもらったように自分も誰かを助けるんだと緑川は爆音が聞こえた辺りへと一目散に向かう。
民間人の姿は見えないが代わりに近界民があらぬ方向に射撃をしていた。 好機とみて緑川は近界民の片足をスコーピオンで切り落とした。
【民間人の反応ロスト。これはバグ…?】
「死んじゃったってことは無いよね!?」
【わかんないよ〜…なんだか凄い情報量だし…っ】
情報が錯綜する中、体勢を崩したランバネインにグラスホッパーを利用したピンボールという技術で四方八方からの攻撃を行うも散弾のような攻撃で中断を余儀なくされ再び外への戦闘へと戻される。
「民間人の事はよくわかんないけど…とりあえず足一本」
「分断に成功したと思いきや逆に誘い込まれていたわけか。 それに玄界には奇怪な技…いや感覚麻痺…視覚情報…形容し難い攻撃を行う戦士も居るようだ」
「は? あんた何言ってんの」
「一人ずつなら問題なく倒せるという認識…改める必要があるな!!」
再び空へと飛び上がる敵に対して出水と狙撃手達が一気に攻撃へと転じた。
反撃は…ここからだ。
「お、未来が動いたな。 おれらが戦う相手が一人減った」
「ふむ?」
「宇佐美、戦況はどうなってる?」
【陽介、いずみん、駿くんの3人がB級合同と組んで人型近界民を撃退!】
「それだな、さすが頼りになるぜ。だいぶ楽になった」
【ただ風間さんに香取隊、イッチーさんと木虎ちゃんが例のヤツと戦闘】
「……そっか、黒崎と風間さんが動けないのはキツイかもな。 でも風間さんが落とされる未来は無くなってるから安心もあるか…………っ!」
迅の様子が変わったことに目敏く並走する空閑は気が付いた。
「どしたの? 迅さん」
「いや…ちょっと面倒なことになりそうだ」
修と千佳を助けるため二人は警戒区域ギリギリまで走り続ける。
【侵入警報】【侵入警報】
「基地内部に未識別のトリオン反応! 通気口から侵入!」
「通気口だと…また例の小形トリオン兵か!」
「いえ、これは…人型です! 人型近界民侵入!! 場所は…C区画通路!」
「黒トリガーか!! 彼処の区画には確かスポンサーの人間も居たぞ!?」
「さあ出て来い猿ども。遊んでやるぜ」
「キミの出番だね。時間稼ぎは頼むよ」
「ハイハイ。相変わらずボク扱いが荒い社長さんや」
未来の確定点まであと僅か