World SoulReaper   作:阿良々木日和

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牙を剥く時

「おーおーウヨウヨいるじゃねーか。能無しのネズミどもが!」

 

 

「通信室が壊滅的被害を受けています! 人型近界民は研究室方面へ移動中!」

「救護班! いつでも出られるように準備しろ!」

「人型をやり過ごしてから救助に向かえ!」

「研究室には諏訪隊員のキューブ解析班が残っています!」

 

黒トリガーが基地に侵入し、通信室では死傷者が発生してしまっている。 下手をすれば各隊のオペレーター達も危ない。

 

「よりによって避難していない区画に侵入されるとは…」

 

【技術者は全員護身用のトリガーを起動して退避せい! 研究室は廃棄しても構わん! いいか絶対に死ぬなよ!!】

 

通路に響く開発本部長の警告に技術者達は区画を走り抜け逃げ惑う。

通路にはトリオンを利用した(トラップ)が起動し黒トリガーに弾丸が降り注ぐが相性が悪く身体をすり抜けていく。

 

「さすが、猿の国。 罠も猿レベルだなオイ」

 

ブレードが次々と罠を扉を壁を破壊し行く手を阻むものを無くしていく。

 

「トリガー使いはいねーのか? さっさと出てこねーと…片っ端から刻んでっちまうぞ?」

 

バシュンッ…と空を切る音が聴こえた。 それよりも早く近界民の身体には風穴が空いていた。 元より液体のような身体に穴が空いた程度ではダメージが無いものの敵の視線はその攻撃を放った人物に固定される。

 

「あぁ…?」

「いやぁ…互いに大変やなぁ。こないな所まで攻め込んで」

 

薄ら笑いを浮かべる男が小刀のトリガーを持って通路には立っている。

 

「キミ、名前はなんて言う?」

「はっ、猿に名乗る必要があんのかよぉ!」

 

不意打ち気味にブレードを男の背後から出現させるも、その男はするりと避け笑う。

苛立ちながら足元から串刺しにしてやると無数のブレードを地面を破壊しながら噴き出させるもまるで散歩をするように隙間を縫って避けている。

 

「これから殺す相手の名前ぐらい知っときたいやろ?」

「てめーにオレが殺せるとでも? 猿が!!」

「ま、少なくともキミにボクは殺せへんで? エネドラくん」

 

次は音もなく、無数の穴がエネドラの身体に空いた。

 

「んー、キミのコアは中々早いんやね。 狙いが付けにくいわ」

 

ケラケラと笑いながら手に持った()を振るいブレードを弾く。

いつの間に小刀から持ち替えた…?と エネドラは訝しむ。それに弾丸ではない物が目にも止まらない速度で身体を貫いていくのに反応が追い付かない。黒トリガーであるオレが…?

 

「ふざけるんじゃねーぞぉ!!!」

「おー怖っ…少し逃げよかな?」

 

くるりと身を翻した男に怒り心頭なエネドラは怒号を上げながら追走する。

右に左に通路を曲がり部屋へと逃げ込むとようやく追い込んだとばかりにエネドラは口角を上げ残虐な笑みを見せた。

 

「鬼ごっこは終わりかァ?」

「せや、ここでエネドラくんは終わるんよ」

 

ブチィ!!と何かが切れると共にブレードの乱撃が軽薄な笑みを浮かべる男に襲いかかるもどこから攻撃が来るのか分かっているような回避をし、その隙間を縫って不可視の攻撃がエネドラの液体ボディに風穴を空け続ける。

 

「テメェ…まさかこの攻撃は突きか?」

「正解。 ま、これはボク用に社長さんが調整してくれた試作品でな? トリオン量の消費の加減が難しくてトリオン体に換装できないんや。 だからキミは一撃でもボクに当てれば殺せるんよ」

 

目にも留まらぬ高速の突きにエネドラは苛立ちを隠せない。 しかしその突きは決定打には欠けおり自分の勝利は揺るぎないという確信はあった。ランバネインやハイレインであったのならコイツの突きは瞬く間にトリオン体を削り取ってただろう。

 

「だが、オレには痛くも痒くもねェんだよォ!!!」

 

ガガガガ!! と音を鳴らし部屋の壁、床を抉ってブレードが飛び出ると四方八方からの同時攻撃がヘラヘラと笑う男へ襲いかかる。殺した。

 

「殺した、と思うた?」

「ッ!?」

 

背後から声をかけられた。

どうやって躱しやがった!?

振り向くよりも早く液体の首が落とされる。

 

「雑魚が…どんな手を使ったァ!?」

「のんびりした攻撃やったから歩いてエネドラくんの後ろに行っただけやけど?」

 

即座に首は再生し振り向こうとした瞬間、エネドラの全身に風穴が空く。

 

「諏訪隊、現着! っておいおい先客がいるぞ」

「あ、おつかれさん」

 

アステロイド:散弾銃を構えた諏訪がエネドラに向けて集中砲火をしながら、笹森は男をエネドラから庇うように前へ立ち部屋へと入ってくる。 追い詰めたと思っていたエネドラが袋の鼠になった状況に男は満足そうに笑う。

 

「な? 言うたやろ。エネドラくんはここで終わりって」

 

途切れることなくエネドラのボディを穿つ弾がガキん…!!と何かにあたる音が響く。

 

「お!? 今の手応え…弱点だな!!」

【カバーされたパーツを発見! マークします】

 

「無駄だァ!!」

 

堤のサポートによってマークされた部位目掛けて諏訪が連射するも手応えがおかしい。 当たらないのではなく増えた。

 

【硬質化の反応が増えた…偽装!?】

「くっくっ…猿が知恵絞ってるのを見るのは楽しいなぁ… おぃ、こいつらをぶち殺したら次はお前だ雑魚が…!」

「おー、怖っ…でも……もっと怖いのが来んで」

 

エネドラが黒トリガーの攻撃を広げ部屋の壁を破壊すると諏訪の腕が吹き飛び、男は身軽に飛び退き、笹森は破壊に乗じてカメレオンを作動して身を隠す。 同じくして、外壁を破壊して中へ男が侵入する。

 

「旋空弧月」

 

無数の軌道を描く斬撃がエネドラのダミーを幾つか断ち切った。

 

「ほぉら、ボクが相手に回したくないと珍しく思うた男の登場や」

「よく足止めしてくれた諏訪隊。 それに相変わらずだいぶ危ない橋を渡りますね市丸さん」

「イヤイヤまだ死んでないっスよ」

「そうそう、アレを倒さへんとボクと同じ(一護くん)が困るから」

 

ゴボゴボ…音を鳴らし断ち切られた身体を再生しながらエネドラは新たに現れた男を睨みつけながらせせら笑い攻撃態勢に入る。

 

「こいつを逃がす訳には行かない。ここで仕留める」

「あぁ…? 誰が逃げるって? この程度でオレに勝てる気でいんのか雑魚トリガー共!!」

「貴様のようなやつを倒すため我々は牙を研いできた」

 

 

 

 

 

時は少し戻りエネドラがボーダー基地に侵入した直後

 

「はぁ!? 基地に人型近界民が侵入した!?」

「なんですって…こっちはコイツらの相手で忙しいのに…っ。 いえ、黒崎先輩…私が時間を稼ぎます。 先輩は基地の方に!」

 

黒い巨体から繰り出される一撃に付近の建屋が吹き飛ばされる中で入った通信は信じ難いものだった。 まさか人型が本部に乗り込むとは…

このままでは井上や他の非戦闘員の連中の身が危ない。

しかし、木虎だけにコイツらの相手をさせるのも…!

いよいよギリギリが迫ってきた。

 

【あーあー、黒崎くん聴こえるかい?】

「…あんた、その声…!?」

 

突然の通信から聞こえてきたのは、柔らかく聞いているだけで染み込んできそうなその声は間違いなく奴の声だった。

 

【僕が誰だか知っているみたいだね。 浦原喜助の言う通りだ…本部内に侵入した近界民の事は任せてほしい】

「信用しろって…か?」

【ボーダーは今の僕達にとって良き協力者だからね。そう易々と落とさせるものか】

「…頼んだぞ」

 

通信が切れると共に孤月で敵の巨腕を防ぐ。

埒があかねぇ…!

 

「木虎、本部は大丈夫だ! コイツらは俺が片付ける」

「片付けるって…一体どうやって…!」

「忍田本部長! 黒崎だ。 城戸司令はそこに居るよな!? 繋いでくれ!」

【私だ。忍田本部長は侵入した人型近界民の撃破に出向いた】

 

本部に通信を入れるとまさかの直に城戸司令に繋がったのには驚いたが…まぁ丁度いい。

 

「丁度いい。城戸司令、使う時が来た許可をくれ」

【…敵を即座に殲滅。 人型近界民を最低でも一人仕留めるのが許可を出す条件だ】

「一人と言わずに片っ端からやってやるよ」

【…許可する】

 

通信が切れる。随分とすんなりだな。

 

「木虎、これから見ることは他言無用だ。 それと俺は通信が使えなくなるからお前が代わりに状況を伝えてくれ」

「は、いったい何を……って本当に何をしているんですか!?」

 

トリガーを解いて生身に戻った俺を見て木虎は信じられないものを見た様な面で声を張り上げる。

まぁ、言うことはわかるがな。

ポケットに入っている代行証を握って名を告げる。

 

「斬月………ッ!!!!」

 

爆発的な霊圧が解放され付近に吹き荒れると一護の姿は瞬く間に懐かしき死覇装へと変わる。

 

「…しっ! 準備運動にはもってこいだな。 ()()()といこうじゃねぇか」

「黒崎先輩……? その姿は…?」

 

驚愕する木虎には悪いが説明は後回し。先ずはこちらをぐるりと辺りを取り囲む虚…と同じ白い仮面を付けたモールモッド、バムスター、ラービットの相手が先だ。

 

「久しぶりだから手加減は出来ねーぞ…月牙天衝…ッ!!」

 

斬魄刀に自らの霊圧を刀に喰わせ振りかぶると同時に超高密度の斬撃が放たれ一気に半分程の虚達が跡形もなく消し飛んだ。

が、同時に辺りの霊力、トリオンにも甚大な被害を出したようで…

 

「黒崎先輩、あの本部との通信が凄まじく乱れて…ますが…」

「……………………よし、とりあえずそこで待ってろ。こいつら片付けるから」

 

この辺一帯を観測出来なくなってるだけならいいが……沢村さんとかオペレーター連中が悲鳴を上げてねぇよな…?

 

 

 

 

 

「南地区で大幅な計器の乱れ!? 黒崎隊長、木虎隊員と通信途絶!」

「いったい何が起きているですか!? 城戸司令!?」

「南は気にする必要は無い。 引き続き他地区の対応を」

 

 

 

 

 

 

「…黒崎が動いたか…!」

「いちご先輩が?」

 

エスクードで道を塞ぎ三雲+C級隊員達を2人の人型近界民達から分断すると迅は嬉しそうに笑った。

 

「いちご先輩が動くとどうなるの」

「人型近界民が一人、かなりの量のトリオン兵が消えてメガネくんの生存確率も跳ね上がる」

「いい事づくめだね」

「だからおれ達はこの2人を何とかしないとな」

 

 




市丸ギン
誕生日:9月10日
身長:185cm
星座:乙女座(WT界ではおおかみ座) 職業:研究員
好きな物:干し柿

トリオン:7?
攻撃:10
防御・援護:6
機動:8
技術:8
射程:9
指揮:3
特殊戦術:8

Total:59



特殊トリガー
神鎗孤月


ある人物の部下として日々研究中のトリガーを片手にトリオン兵で実験をしている社畜。
トリガーの性質上機能に重きを置いているためトリオン体になれずベイルアウトすら出来ないが持ち前のセンスで傷一つなく戦場を渡りあるく。
神鎗孤月は旋空弧月の原型として開発されたものであり非常にピーキーで使いこなせるものは他にいない。
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