APEXの新シーズンが始まったり忙しいNE!!!
エネドラから一度逃れた風間、歌川と香取隊の三名は新たな敵とぶつかり合っていた。
「これが黒崎が言っていたホロウ? というやつか」
「撃破したトリオン兵を動かす…気味が悪いですね…!」
ギチギチと孤月やスコーピオン、アステロイド等々で砕かれた四肢を動かしながら5人にゆっくりと近づいていく様はまるでゾンビ物の映画のように不気味な光景が広がっている。
「なんなのよこいつら…!!」
「めちゃくちゃタフだな…」
「このままじゃジリ貧だ…」
欠損したボディは黒い影のようなもので補われ動いている。
風間は虚モールモッドの爪を回避しながら黒い部位をスコーピオンで切り裂くが手応えが軽すぎてダメージを与えられているのか分からない。香取が風間の脇をすり抜け、追撃とばかりに風間が付けた切り傷に拳銃を押し当て連射気味にアステロイドを叩き込み漸く虚モールモッドは動きを止める。
二人の隊長の背後では虚バムスターを牽制するように若村がアステロイドを放ち、三浦が旋空弧月で仮面の部分にヒビを入れると歌川が両手に構えたスコーピオンを差し込みそのまま剥ぎ取った。
即席の混合部隊だが初めてにしてはそれぞれの隊員がかなり連携が取れている方だろうしバムスターやモールモッド程度ならばいくらタフでもこのメンバーで敗戦することはない。
「ラービットか」
「うげ、新型…っ」
トリオン兵やホロウトリオン兵の群れの中には新型、ラービットが2体ほど混ざっており、風間隊はラービットとの交戦をしているが香取隊にとってはオペレーター達から送られてくる情報が全てだった。
「ヤツらは速いぞ。動けるか」
「動くしかないんでしょう…ッ?!」
赤色ラービットの両肩の推進器が爆ぜると同時に凄まじい速度で風間、香取へと飛んでくる。
風間は飛び上がって回避をし、香取はグラスホッパーを使って突撃してくるラービットに向かって突っ込むと宙を飛ぶラービットと地面の間に割り込み、すれ違いざまにラービットの膝関節部にスコーピオンとアステロイドを叩き込む。
切断は出来ず、それでも装甲が薄い部分な為かしっかりと傷は残っている。
「…浅いッ!」
「とんでもない胆力だな」
香取葉子、ランク戦で見かけた事はあったが話すことはほぼ無かったB級隊員。諏訪隊の笹森と同じく黒崎一護の弟子。孤月使いの多くが黒崎と手合わせを頻繁に行っているがスコーピオンを使う香取葉子はまた別口らしい。
確かにその戦闘センスは光るものがある。 センスのみの半年前なら無理だがしっかりと鍛え上げられた今の香取ならばマスタークラスの上位とも実力の差はほぼ無いだろう。
香取の攻撃は大きな傷を与えた訳では無いが突っ込んできたラービットの動きを鈍くした。であれば、風間がその隙を見逃すわけが無い。
「香取」
「…ッ!!」
宙を舞っている風間の方へと視線を向けると咄嗟に理解をしグラスホッパーを使う。
よく一瞬で判断した、と風間は軽く笑うとそのままグラスホッパーを踏みラービットを空襲。 つんのめるように動きを鈍くした脚をそのまま叩き切った。
「葉子ちゃん、風間さんと初めての合同部隊だよね」
「隊長同士の感ってやつか?」
「アンタらは歌川ともう1匹の新型を仕留めなさいよ!? 話してる場合じゃないでしょう!?」
「香取の言う通りですね。 こっちも行きましょう」
片足を失っても動き、目から砲撃を行なうラービットにムカつきながらも冷静に対処し砲撃のタイミングを見計らってハウンドを打ち込んでいく。
以前の自分なら苛立って攻撃の手は単純になっていただろう。が、黒崎との特訓と称したランク戦で嫌という程にイラついた自分はこの程度では熱くならない。
だって
「加古さんからアドバイスを貰ったから射手系のトリガーの練習相手になってくれ」
なんてほざいてアステロイドとハウンドでこっちを蜂の巣にしたかと思えば次は
「スコーピオンの使い方を雅人から習った」
と言ってこっちがずっと使っていたスコーピオンで切り刻まれるし、極めつけは
「お前と同じトリガー構成にしてみた」
ですって!! それで10本中7本も取られてちゃ私の立場がないわよ!! 思い出したらムカつくわ!
などと思い出し怒りで心中穏やかではなくなった香取だがラービットが繰り出す拳や砲撃を難なく躱して着実に風間と共にダメージを蓄積させていく。
「このまま畳み掛ける」
「了解…ッ!!」
二人のスコーピオンが両腕を切り落とし、片足のみとなったラービットはそのまま地面へと倒れ伏した。
「三上、新型の撃破数を香取に入れて置いてくれ。 本部の方はどうなっている」
【了解です。 本部に侵入した人型近界民は諏訪隊、忍田本部長、試作型を使用した研究員の方が迎撃。 笹森隊員が撃破したのですが…】
「……?」
【同じ近界民に殺害されました】
「……そうか。 了解した」
【それともう一つ。 黒崎隊長のシグナルをロストしました。 織姫さんの方も把握していない様なのですが城戸司令が問題ないの一点張りらしくて…】
「黒崎が…?」
「は!? アイツ捕らえられたりしてないわよね!?」
【す、すみません! 分かりかねます!?】
黒崎がその辺のトリオン兵に引けを取るとは思えない。 先程本部から連絡があったC級隊員を捉えている人型か?
「三上、他の人型はどうなっている」
【迅さんが1人、玉狛の黒トリガーが1人をそれぞれ押さえています! ワープ使い、それともう一名が出水隊員他数名と交戦中。 何れも隊長の現在地からはかなり離れています】
確認されているのは撃破した2名と残り4名…これ以上の増員は無いだろう。
敵の狙いはC級。 ならば取る行動は…
「歌川」
「はいっ」
「このままトリオン兵を撃破しつつ本部を目指す。 香取隊には悪いが最後まで付き合ってもらうぞ」
「「「了解!」」」
会話をしながらも次々とトリオン兵、ホロウを撃破している風間を信じられない物を見るような目をして眺めている香取。しかしながら混合部隊は止まることなく進んでいる。
確実に数は減らしている筈なのだ。それでも敵は次々と湧き出て来て5人を襲う。
「あーもう! タフだし量多いしムカつく!」
「黒崎が懸念していた敵だ。それを伝えられたのは俺と香取の隊という事はアイツなりに考えがあるんだろう」
「うっ…わ、分かってますよ…」
「何にしても、ここは俺達で切り抜け……飛べ!!」
「「「「…ッ!?」」」」
背後からの強烈な圧に風間はらしくもなく声を張り上げて全員を上へ逃げるように促す。それが功を奏したのか誰一人疑問を覚えることも無く上へと飛び上がった。
直後、どのトリガーとも違う攻撃がトリオン兵を数体真っ二つに切り裂いていく。
「新手か…?」
「風間さん…!? わ、悪い悪い…城戸司令から即座に殲滅って命令が出て…慌てたっつーか…」
壮絶な一撃によって巻き上げられた土煙の中から現れたのは攻撃を放った人物…黒崎一護だった。
その姿は普段の隊服とは違い黒い袴姿で鞘も鍔も存在しない巨大な出刃包丁のような刀を右手に、左の小脇に木虎藍を抱えて居る。
「…………」
「…………?」
歌川、香取、若村、三浦は互いにチラリと視線を合わせると内々でしか聴こえない通信を行う。
『抱えられている』
『抱えられてるわね』
『抱えられてるな』
『抱えられてるねぇ』
「そこの先輩方、ハッキリ言ってくれた方が助かります…仕方ないんですよ…これ…」
木虎は顔を覆って恥ずかしいとばかりに首を振っている。
こうなった理由は一護が死神化したことにある。
自分と木虎に群がっていた虚の群れは月牙天衝の連発であっという間に片付けたのだが強大な霊圧を放っているおかげで通信は途絶したまま。 戦場であるが故に至る所で霊力、トリオンの反応が入り乱れており一護の感知もなかなか的を絞れずに居たので瞬歩で戦場を飛び回った方が速いと結論付け、グラスホッパーだけでは木虎が追い付けないので小脇に抱えて運ぶことにした。
因みに最初にかっ飛ばして移動をしたら木虎が悲鳴をあげて怒られた。
「だいたいその格好何よ」
「あー…正装?」
「改造隊服にしても限度がある気がするし…」
「…黒トリガー」
風間の呟きに皆、ギョッと目を剥くが一護は首を振った。
「ンなもんじゃねーよ。 …まぁ、アレだアレ。 この戦いが終わったら一部の部隊とオペレーター達には説明するつもりだ」
「そうか。ならお前がやるべき事をやれ。 俺と歌川、香取隊は新型及びホロウ型の撃破に移る。 人型近界民はお前がやるのだろう?」
風間さんは話が分かる人だな。
「あぁ、一番近いやつを先ずは潰しに行く。 ここまで来りゃそいつの気配も分かるしな。 風間さん、悪いが木虎を連れて行ってくれ」
「なっ!? この先、私が足手まといだとでも!?」
「そうじゃねぇよ。 俺はまぁ、1人でも大抵のことなら何とかなる。 お前は風間さん達と一緒に動いてC級の連中を助けてやれってことだ。 生憎、俺はこの姿をあまり晒せねぇからな」
「それは……」
言葉に詰まりながら目を逸らす。
少し気まずい空気になるも木虎は直ぐに持ち直し、わかりました。と頷いてくれた。
「その姿の事、そして黒崎先輩が虚と呼んだアレの事をしっかり後で教えていただきます」
「まったく、こんなに散らかしてアイツは…」
一護が月牙天衝を放って荒れに荒れた危険区域を歩く少女。
呆れたものだと首を振り、辺りに散らばったトリオン兵の破片を次々と集めていく。
「なんで私がこんなのを集めないといけないのよ。 浦原さんがやればいいのに……だいたいこんな所に1人放り出すなんて酷すぎよ…!」
ぶつくさ言いながら少女は1人、散歩のように戦場を歩いていく。
「私の上官がそちらのお仲間に王手をかけたようですな。子供を攫うのはやはり気が滅入る」
悠然と佇むアフトクラトルの老兵ヴィザ。
ここに来る以前に玉狛のレイジを緊急脱出させ、今この瞬間、空閑にも王手をかけている。 レイジがギリギリで片脚を落としでなければ空閑も即座に落とされていただろう。
その空閑もトリオン体の至る所からトリオンを盛れ出しており、このままでは黒トリガーが解除される。
「勝ち目が薄いからって逃げる訳にはいかない」
睨み合いが続く。 ヴィザにとっては時間稼ぎでいいのだ。 ハイレインとミラが金の雛鳥を確保するまでの間、空閑をこの場に縛り付ければ良い。 空閑は何としてでも彼を退け、三雲の元へと駆けつけたい。
星の杖が相手では一瞬の隙が命取りになる。
「爺さんはさ。自分より強いやつと戦ったことあんの?」
「はて………有利な相手、不利な相手なら覚えがありますが…真に己より強いか弱いかは勝負を決して後に判ることでありましょう」
「なるほど、強いやつのセリフだ」
背後へと空閑が身を隠すように瓦礫の山の中へと身を躍らす。ヴィザからは見えなかったがその瞬間の空閑の表情は何処か笑みを浮かべていた。
「撤退……ということでもなさそうですな。できれば向こうの決着までお喋りをしていたかったのですが………」
「じゃあ、俺と話をしようぜジジイ」
「…ッ!?」
空閑の隠れ場所を潰すために広げた
歴戦の勇士であるが故の反射。 仕込み杖を咄嗟に振るえば巨大な刀を受け止めた。
「…驚きましたな。 私ともあろうものがここまで接近されても気が付かないとは…いやはや歳はとりたくない」
「ついつい声を掛けちまったとはいえ…なんつー反応速度だよジジイ」
「今のは心の底から驚きましたがね」
ヴィザは一瞬、口元の微笑みを消すも一護の斬月は微動だにしない。
卍解はしていないとはいえ全力で振るうった斬月を受け止められ、一護の膂力を持ってしても押し込むことも出来ず笑ってしまう。
「何が歳をとりたくないだジジイ…!」
「若いものに簡単には負けるつもりはありませんよ」
押し返されるように斬月を弾かれると宙に身を飛ばした一護を追撃するように凄まじい速度で刃が軌道に沿って走るが一つ、二つと受け止め砕く。
「2度も驚かされるとは…まさか刃を見切った上に砕くとは」
「トロくて助かったぜ。 コイツは受け止められるか!?」
縦横無尽に飛び交う刃を瞬歩で避けながら霊力を喰らわせた斬撃を放つ。
「月牙天衝!!」
斬撃がヴィザに直撃するが複数枚の刃を重ねて威力を殺して受け切っていた。
即座に対応するなんてとんでもねぇ判断力だなジジイ。
「飛ぶ斬撃とは…面白い」
「俺は面白くねぇけどな…!」
ドン!! 爆発するような音ともに瓦礫が吹き飛び宙に浮くヴィザの足元から
「なかなか悪くない…ですが出し惜しみましたね」
「おい空閑。 このジジイさっさと片付けるぞ」
「いちご先輩、悪いね。 手伝って貰えるかな」
「おう、任せろ…!」
「御相手致しましょう」
凄まじい数の軌道が宙へと現れる。
これを相手にするのは…確かに骨が折れそうだ。
未来の分岐点まであと150秒。
ヴィザ
年齢:65
身長:176cm
好きな物:未知の相手との戦闘、少しの酒、散歩、動物を飼うこと
トリオン:68
攻撃:42
防御・援護:26
機動:7
技術:24
射程:10
指揮:8
特殊戦術:4
Total:189
黒トリガー : 星の杖
広範囲無差別瞬間即死斬撃という鬼のような黒トリガーを持ち、剣を取っても達人、なおかつ戦闘経験も豊富で搦め手からでも戦況を動かせるという盛りすぎの豪傑。 挙句の果てに一護の相手をするということで原作よりも『星の杖』の刃の数や速度に加え、ヴィザお爺ちゃんの腕力、動体視力等々のステータスも大幅アップ。よく、レイジさんは片脚を落としたな…