「それじゃー、黒崎の最速昇級と初ランク戦大勝利を祝う歓迎会ってことで」
「「「「「「乾杯っ!!」」」」」」
ボーダーの面々が太刀川&風間さんの奢りという事で焼肉屋に群がっている。 未だ顔を合わせたことの無い人も居るし…つーか、迅の代わりにって誘われた俺と井上なんだが…なんでいつの間にか俺の歓迎会になってるんだ?
「悪いな黒崎」
「いや…奢ってもらう立場だから文句は言わねぇけどよ…ホントにいいのか風間さん」
「気にするな。 俺もお前とゆっくり話す機会が欲しかった。 仮入隊の時は聞きそびれたからな」
生駒に絡まれている井上を遠目に見ながら離れたテーブルで肉を焼く俺とその向かいに座る風間さん。その横に入隊試験の時、レクリエーションをしていた嵐山……
「あぁ、別に質問はいいんだが…めちゃくちゃ俺にガン飛ばしてるコイツはいったい誰だよ」
「迅にスカウトされたというのは本当ですか黒崎さん」
「あぁ、彼は俺や風間さんと同じくA級部隊隊長の三輪秀次。 凄腕だよ」
「A級…すげぇな。 と、俺が迅にスカウトされたかだっけ? 一応そういう事になってるな。サイドエフェクトで見たとか何とか」
「…そうですか」
何やら訳アリのようだな三輪ってやつは。
ボーダーってのも一枚岩って訳じゃねーんだな。尸魂界もそうだったようにその場その場で歪みはあるってことか。
「今度俺と個人戦してくれよ。まだまだトリガーの特製とかも知らねーし、A級の実力ってのが気になってるんだ」
「俺は構わない。 お前は中々面白そうだからな」
「いやぁ、俺は遠慮させてもらおうかな。 黒崎は手強そうだし」
「…俺は……俺も別に構わないですよ」
「なんだ、ガンを飛ばしてたわりにはノリがいいじゃねーか三輪」
仏頂面で横に座り黙々と肉を焼く三輪の背をバシバシ叩く一護。 離れた席では井上が生駒に絡まれている。
風間がグラスを傾けながら改めて一護を見据えて口を開いた。
「それで、だ。 黒崎、お前もサイドエフェクトを持っているんじゃないか? 答えにくいのなら答えなくていいが」
「黒崎がサイドエフェクトを? 本当ですか風間さん」
「あー、あの時か」
「あの時…?」
「あぁ、黒崎が仮入隊した頃に防衛任務で一緒になった。 その時、コイツはオペレーターよりも先にゲートが開くと分かっていた」
「迅の様な未来予知のサイドエフェクト…?」
「ちげーよ。 なんつーかこう…ゲートが開く時に周りのトリオンが……グッと集まって開くのが分かるんだ」
「トリオンを感知できるサイドエフェクト…だと?」
「だからこの前の試合で北添隊員を建物越しにピッタリ当てる事が出来たのかっ! 凄いな黒崎」
浦原さんが言うには霊力、霊子に近しいトリオンだから感じる事が出来る、それだけらしい。
だからトリオン体の隊員達がある程度近くにいるなら大まかな場所が把握できるし、そこに井上のアシストも加わって建物越しでもぶった切れたって程度の話だ。
尸魂界の死神たちとかなら出来ることなのだがこちらの世界ではどうにも普通では無くサイドエフェクトという括りになるようだ。
「まぁ、これでも感覚を掴めるようになるまでは色々と訓練したんだ」
「訓練ですか」
「そりゃな。訓練しねーと感知したそれが人なのかトリオン兵かも分からないしよ」
「一朝一夕で使いこなせるようなサイドエフェクトじゃない。ということか…だとしてもお前のその力は迅並に希少なモノだ」
「隠すつもりはねーしな。 少しランク戦で不利になるが教えといた方が有事の時に役に立つだろ」
特に気にする様子もなく、一護は三輪がいつの間にか皿に載せてくれていた肉を頬張る。
風間も質問を終え、嵐山は自らの兄弟の自慢話を始める。 井上やチャド、石田のコミュニティとは全く違う人間性を持つ面々だがそう悪い気はしなかった。
大学に上がったら新しい人間関係も出来るのだ。 その場所があちらの世界ではなく、今はこっちに出来たと言うだけ………
(あれ? あっちの大学での俺ってマジでどうなってるんだ…浦原さんが問題ないって言ってたからきっと、とんでもない問題になってそうなんだが)
俺そっくりの義骸なんか用意してコン辺りが出席なんてしてたらヤバい。
時間の流れがいくら違うからって流石に数日は経過してるはずなのだ。
ダラダラと嫌な汗を流しながら不安を誤魔化すようにメシを掻き込む俺の背後から、三白眼の柄の悪そうな野郎が絡んできた。
「よぉ、黒崎。 今期のルーキーは活きのいいのが多いがおめぇは特にいいな。 今度の試合楽しみにしてるぜ」
「今度の試合ってことはあんたが諏訪さんか」
「まっ、そう簡単に勝たせねぇし先輩の強さってのを見せてやる」
「そりゃいいな。簡単に勝たせてもらっちゃ腕が鈍りそうだしよ」
「可愛げのねぇ後輩だな」
「悪ぃな、可愛げならうちのオペレーターで間に合ってんだよ」
険悪なムードになる訳ではなく互いに軽く笑いながらそんなやり取りをする。
まだ顔を合わせたことの無い先輩ってのは多いんだし少しぐらい挨拶回りしといた方がいいか。と、同じ席の風間さんに断りを入れて席を立った。
「あ、イッチー先輩こっちこっち〜」
「おう、国近。 久しぶりだな」
「だって太刀川さんの奢りだしねぇ。 あ、知らないだろうから紹介するよ〜 私の向かいに座ってるのが嵐山隊のオペレーターをしてる綾辻遥ちゃんでー、こっちが風間隊の新しいオペレーターの三上歌歩ちゃんだよ」
綾辻と紹介されたのは茶髪に整った顔をしている女子。わざわざ立ち上がり丁寧に礼をされた。
続いて三上と呼ばれたのは中学生だろうか。幼い顔立ちで風間さんと同じく小柄な少女は少し強ばった表情でこちらを見ている。 なんつーか居た堪れない。
「あー、黒崎一護だ。ボーダーについてよく分かんねぇ事が多いから何かあったら教えてくれると助かる」
「歌歩ちゃん、イッチー先輩そんな怖くないから大丈夫大丈夫。 ね?」
「ね? って俺に振るんじゃねーよ!! つーか、明らかにこのテーブルに俺を呼ぶことが間違いだろうがっ」
「えぇ〜折角オペレーターの可愛い所を紹介したのに」
「お前な……」
げんなりしていると国近は満足したのか最早こっちに構うことなくそれはそれはいい笑顔でご飯をパクパク食べ始めた。 綾辻に三上は申し訳なそうにするも悪いのは国近なので後日〆る。
女性陣(比較的まとも)のテーブルを離れると次は井上の所へと向かった。 井上は加古さんと生駒、それに初めて見る…いや、正確には入隊試験の日にブースに座ってた人だ。
「王子様がお姫様放置はあかんやろ」
「い、生駒さん!? いいい、い、いきなり何言ってるんですか!?」
「あ? 王子とか姫とか何言ってんだお前」
「あら織姫。慌てちゃって可愛いわね」
「黒崎くん。 えっと鈴鳴第一の来馬辰也です。 入隊試験の時はごめんね…こっちのミスでモールモッドと戦うことになっちゃって…」
「ん…? あぁいや、全然いいっすよ。 どうせ太刀川さん辺りが無理矢理やったんだろうし、アレのお陰で文句無しの一位通過出来たんで」
「いやいや、彼を止めれなかったのは僕と諏訪さんだから…」
物腰の柔らかい…というか低い人だな。
来馬さん(感じてた通り年上だった)が席を詰めてくれたので腰を据える。
一通り食べ終えたのか周りのテーブルも談笑し始めているのでここに腰を落ち着けるか、と思い視線をあげると鼻が触れ合いそうな位置に生駒が居た。
「ぅおあ!? な、なんだお前!?」
「なんや、今度の相手をしっかり確認しておこうと」
「イコさん失礼やろ! すみません黒崎さん」
「うちの隊長何時もなんで」
横のテーブルには生駒隊の面々、細井真織に南沢海、水上敏志、隠岐孝二が笑いながら各々、改めて宜しくと手を振った。
攻撃手が2人、射手、狙撃手が1人ずつの4人構成で役割分担と細井(マリオという渾名らしい)の情報処理能力の高さが噛み合ったB級でもかなりの強力なチームだそうだ。
「気にすんな。今度の試合で生駒を真っ二つにしてチャラにする」
「お、負けへん」
「イコさんが斬られる前に撃ち抜いたる」
「はいはい、男共〜そういう話はまた今度にしなさい。折角、織姫や真織が居るんだから」
「わ、私は大丈夫ですよ! 」
「井上ちゃん、ホンマにええ子やなぁ…」
「噂に聞いたんやけど黒崎、店やっとるんやって?」
「俺の店って訳じゃねーけどな。 知り合いが暫く店を空けるからその間頼むってよ。 迅にスカウトされてこっちに来て根無し草だったから助かってるよ」
「へー、ウチも行ってみてええですか?」
「俺も俺も!」
「いいぞ。ボーダー隊員は漏れなく割引対象だからな。隊室で食べる用の菓子買って行ってくれよ」
なんだかんだ最近は浦原商店十五号店を利用するボーダー隊員が増えてきたお陰で本家本元浦原商店よりも売上が出ている。
隠れ蓑だとしても商才ないんじゃねーか浦原さん。
「おーい、そろそろお開きにするぞー風間さんが出来上がってるし」
「俺はまだ大丈夫だ」
太刀川の声でこの場に集まった十数人は一度静まる。風間さんは何故か壁に向かって話し掛けていた。
「んじゃ、最後になんか言え黒崎」
「マジかよ……あー、まだ誰が誰とか名前と顔が一致しねーことが多いが、話し掛けてくれると助かる。 何だったらランク戦に誘ってくれても構わねぇ。「それじゃあ俺とやろうぜ黒崎!」お前は断る」
かのバトルジャンキーの言葉を即答で切り捨て焼肉屋のテーブルについた面々を眺める。
柄の悪そうなモジャモジャ頭やらリーゼント頭野郎と日焼けした少女…? などまだ話せてない奴らもいたがこの先、迅の言う一年後の未来までに関わることが出て来るだろう。
なら別に急ぐ必要は無い。今出来ることをやればいいんだ。
「改めてよろしく頼む」
■■■
「資金に関しての話し合いはコレでお終いにしましょうか」
「何故、キミはそこまでボーダーに肩入れをする」
笑みを見せたスポンサーである企業の人物に城戸正宗は逆に瞳を細め睨む。
彼は出資者でボーダーに誰よりも協力的な人物、多くの技術支援や資金援助を行ってくれている。 しかし、度が過ぎているのだ。
「イヤだな城戸さん。僕は近界民から市民を守るボーダーの理念に共感して力を貸しているだけですよ。それにトリオンを応用した医療やまだまだ発展する部門で利益を得ようとしているだけですよ」
「黒崎一護か」
おどけた様子を見せた彼は一瞬、僅かにだが表情を崩すも再び微笑む。
「そうですね。 何せ私の知り合いの子ですし…いやぁ、僕との面識は無いんですけど彼や彼がこれから共に戦う人々の場をしっかりと支えて上げたいんです」
「そうか。今後ともボーダーを宜しく頼もう」
「もちろんです。 では、僕も帰って以前お借りしたプロトタイプトリガーと近界民の新しいトリガー研究に戻るとします」
後ろに控えていた薄ら笑いをしている秘書と共に部屋を出ていくスポンサーを睨むように見送りながら
「良くも悪くも…迅の視た通りか」
黒崎一護
年齢:18 誕生日:7月15日
身長:181cm 血液型:AO型
星座:蟹座(WT界ではつるぎ座) 職業:浦原商店店主代理
好きな物:チョコレート、辛子明太子
トリオン:16(限定霊印付与時)
攻撃:14
防御・援護:5
機動:9
技術:7
射程:3
指揮:2
特殊戦術:2
Total:58
トリガー
メイン
孤月 旋空 Free グラスホッパー
サブ
Free 炸裂弾(Free枠) エスクード グラスホッパー
気分によってトリガーを入れ替えしまくってる為に相手からしてみれば孤月、グラスホッパー、エスクード以外の手立てが毎回変わるので溜まったものでは無い。
加古さん曰く、変化弾のセンスは現状微塵も無いものの通常弾、追尾弾の撃ち分けのセンスは良く練習を重ねれば二宮、出水に続く射手になれる天才肌。
太刀川との純粋な剣技のみ、孤月のみ十本勝負では7:3とトリオン体に慣れてないこともあり結構負けるが旋空やエスクードなど他のトリガーを絡めると5:5、時折4:6だったり6:4だったりとイーブンまで持ち込める為、同時期の隊員及び前期入隊員達からは尊敬と畏怖の目で見られている。
特に木虎や香取は何時か一護を倒してやるとブースの隅で睨み付けている。