あ、でも読まないと後の話で(なんでコイツ強くなってるんだ?)ってなるか???
毎回お気に入り、感想ありがとうございます!
ムカつく奴だな。最初はそう思った。
新しく入ってきた数十人の中でも優秀だった三人。 その三人ともイニシャルに《K》が入っており一人は加古隊に既にスカウトされていたし、もう一人は少し歳上だけどムカつく程に強かった。
最後の一人は訓練こそ優秀な成績を残していたけどトリオン量が少ないせいで苦労しているらしい。
加古隊に入った子とは個人ランク戦をしたことは無いけど負けることは無い。
木虎 藍にもそうそう負ける事は無い。
だというのに。
「この…!!」
拳銃を向けてハウンドを放つ。
追尾を難無く躱して飛び上がったところにアステロイドを撃ちまくる。 男はグラスホッパーで自在に宙を走るように移動して射線から逃れていく。
近接戦に持ち込めば太刀川 慶のようなデタラメな強さで斬られ。
遠距離戦に持ち込めば出水 公平や加古 望のようなアステロイドとハウンドで動きを制限される。
だったら中距離で…と思えば生駒 達人のような超射程の旋空弧月でトドメを刺される。
たかだか2ヶ月前にボーダーに入ったような奴に好き勝手にやられている。
ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!
「動きに無駄が多くなってきた…ぞっ!と」
「あ…」
スポーンっと軽く首を跳ね飛ばされ一瞬で撃破された。
ドンッ、とベッドに身体を打ち付けられ悔しさに歯を食いしばっていると通信が入り相手は一方的に話し始める。
【もう止めとくか? やらねーんだったら帰るけど】
「ッ!! やるわよ! こっちが頭下げてあげたんだから最後までアンタもやりなさいっ」
【頭下げた側がなんで偉そーなのか分かんねーけどいいぜ。 お前が何か掴むまで付き合ってやんよ】
そう私、香取葉子はこのムカつく年上の黒崎一護に頭を下げた。
最初は新人いびり、とは言わないけど一人で下位チームを圧倒して調子に乗った新人を少し痛い目に合わせようとした事は認める。
あと鳥丸くんと仲良さそうにしていたからムカついたのもあるけど。
啖呵切って嘲笑って行った個人戦の結果は惨憺たるモノ。まともなダメージを与える事も出来ずに十本ストレート負けした。
ボーダーをやめる。
何が「上級者の壁」だ。 マスター以下の奴にぼろ負け。 負けること自体は特に珍しくはないし下の人間に負けることだって少ないことでは無い。だと言うのに感じた圧倒的なまでの力量差に絶望してしまった。
ギャン泣きしながら隊室で喚いていたら華に言われた。
「やめたいならやめれば。葉子はやりたいことをやったほうがいい。そういう性格だから」
なんて。ムカつくけど三浦雄太にまで諭された。
「もうちょっとだけ頑張ってみようよ。その黒崎さん…? がどんな人か会った事が無いから分からないけど…もしかしたら葉子ちゃんが今より強くなるきっかけをくれたのかもしれないよ?」
「アタシが…強くなる? どうやって…」
「頼めばいいじゃない。 アタシに師事してくださいって」
………アタシがアイツに…頼む?
いやいやいやいや…有り得ない有り得ない有り得ない。
「でも悔しかったんでしょ? 悔しいって思えるんならまだ強くなれるはず」
華にそこまで言われた。 まだ強くなれるって。
だから。
「は? 俺が師匠だ? トリガー構成全然ちげーだろ」
「アタシが頭下げてるのよ!? ひとつ返事で了承しなさいよ」
「烏丸にでも頼めばいいだろ。アイツ器用だからなんでも教えれるだろうしよ」
「アタシにとりまるくんに話しかけろっての!?」
「何でそこでキレ気味なんだよテメェ!?」
そうこうして私、香取葉子は黒崎一護の弟子?になった。
ムカつくけどわざわざアタシに合わせてスコーピオンを使ってくれることもあった。流石にその時はこちらの方が使ってる歴が長い為、三本程取れたが直ぐにそこから連続で取られ始めた。
実力差もあるが自分と一番に違うのは判断力と戦闘センス。 ボーダーに入ったばかりというのにとんでもなく戦い慣れている。 対人も対トリオン兵も…
「ふぅ…勝った勝った」
「あんた…手加減しなさいよ…っ」
「んなの意味ねーだろ。お前の攻めは馬鹿正直過ぎんだよ。折角のスコーピオンなんだ雅人とか風間さんの様な不意をつく事もしてみろよ。お前センスあるんだろ?」
「アタシが言うのもなんだけど、アンタが言うととんでもなく皮肉に聞こえるわ」
ブースから出てきたムカつく顔がムカつく事を吐く。同じ隊の三浦と若村に自分が取ってきた態度を思い出し額を抑える。
…やめよう。どんだけこの男にアタシはムカついてるんだろうか。
「あ、黒崎くん。お疲れ様っ! ちょうど探してたんだ」
「井上? なんか用か」
「うん、迅さんが隊室に来てて黒崎くんを待ってるんだ」
「迅が…? 分かった。 香取、悪ぃが今日はここまでだ」
「いいわよ。アンタが暇な時って条件だし」
ごめんね!と謝る井上さんとさっさと立ち去る黒崎を見送ると入れ替わるように影浦雅人がやってきた。
「何よ」
「あ? 別になんでもねーよ」
互いに睨み合いながら無言でブースに戻る。
アタシが、強くなるために。
華が強くなれるって言ってくれたアタシを信じる為に。
同日。
時刻は少し進んで夜。
「それで黒崎くんは一人で迅さんと会ってると…」
「はい。最近は葉子ちゃんに笹森くんに友子ちゃん…色んな人に頼られてるみたいで忙しそうだから少し心配なんですけど…」
「黒崎くんは普通に無理しそうよね」
「イッチーさんはその辺ダメダメだからねー」
本部からは離れた中心街のカフェで女子会と称した集まりが開かれていた。
定期的に開かれており各隊の男子連中の愚痴がもっぱらである。
「そう言えば柚宇の所、新しい子入ったんですって?」
「うん、ダメダメな子〜」
「コネで入った…なんて噂まで出てますよね…」
「風間さんの所、時期遠征に選ばれたんだってね? 暫くは柚宇さんにも歌歩ちゃんにも会えなくなっちゃうのかぁ…」
「私も寂しいです織姫さん…」
「はいはい、二人ともしんみりしないの。 少し長い遠征みたいだけど風間さんに太刀川くんが一緒なら大丈夫よ」
加古さんの一言でそうですね。なんてみんなが笑い合う。なんてことの無い日常。
「そう言えば織姫。 貴女、今日は何かこの後用事ある? 黒崎くんとデートとか」
「な、ないですよ!?」
「それじゃあ、お泊まり会決定よっ」
加古さんはとっても優しい。
いつもあたしが一人にならないように優しくしてくれる。
「もちろん、歌歩達もね」
女子会メンバーがわいわいと盛り上がる様子を見て自然と笑ってしまう。 あぁ、自分はボーダーに入って良かったんだな。なんて改めて思う。
「あ、そうだ。私いくつか服が余ってるからみんなにプレゼントするわ? クリスマスまでに戻って来れないかもしれないでしょ」
「え、そんな加古さん悪いですよ…」
「いいのいいの。 クリスマスにはまだみんなで集まりましょうね?」
「「「「はいっ!」」」」
賑やかな雰囲気の中、あたしは思う。
彼は何をしてるのだろうと。
「織姫がクリスマスは黒崎くんとデート出来るように、みんなで話し合いましょうか」
「ちょっっと待ってください!!?」
〜〜〜〜
さらに同日。
「織姫ちゃんには言わなくていいのか?」
「こっちの問題だからな。巻き込むつもりはねーよ」
迅と二人で顔を突合せ言葉を混じえる。
まぁ、俺を探してたってんならそういう話なんだろうよ。
「んで、どうしたんだ? 何か変化があったか」
「そうだな。 当初は来年の四月頃って視てたんだけどさ。 来月に変わっちゃった」
「はぁ!? 来月!?」
変わっちゃった…なんてあっけらかんと言い放った迅に向かって思いっきりコーヒーを噴き出しそうになった。
この世界に来て早八ヶ月。確かに早まった方が俺的には嬉しいが唐突すぎるだろ。
「あ、でもいい方向の変化だよ。とりあえず敵じゃないと思う」
「敵じゃない…ねぇ。 それなら良いけどだとしたら俺はどう動けばいいんだよ」
「んー、きっと城戸司令の派閥は近界民を絶対許さないからなぁ。 太刀川さんとか風間さんとかA級トップクラスを使って殺しに行くと思うんだ」
「んなっ…いやあの人なら有り得るか…? 俺はお前と一緒に邪魔すりゃいいんだな」
「そうなるな。まぁ黒崎が動いた場合、連帯責任で隊としてのペナルティはあると思うけど織姫ちゃんには被害は無いよ」
結局、井上を巻き込む事にはなるのか。
頭が痛い話だ…と額を抑えながら考えていると迅は大丈夫大丈夫と言いながらぼんち揚げを食べている。
「たぶん、年明けが一番の山場だよ。 こっちにとっても…そしてキミ達の世界。死神…だっけ? にとっても」
「……そうか。手立てはあるしそうそう負けることはねーよ」
「頼もしいな。 頼んだぞ黒崎」
隊室から出ていく迅を見送る。
浦原さんに連絡をしないと…と携帯端末を開くとメールが転送されていた。
【黒崎くん大丈夫? 黒崎くんの事だから大丈夫だとは思うけど…何かあったら頼ってね!】
あっちの井上にも心配させてるのは変わらないか…ったく。ままならねぇな。
そして、物語が、動き出す。
香取葉子
年齢:16 誕生日:10月18日
身長:157cm 血液型:O型
星座:みかづき座 職業:高校生
好きな物:ゲーム、煎餅、友達、勝つこと
家族:父、母、兄
トリオン:6
攻撃:9
防御・援護:6
機動:8
技術:7
射程:3
指揮:5
特殊戦術:2
Total:46
トリガー
メイン
スコーピオン アステロイド:拳銃 シールド グラスホッパー
サブ
スコーピオン ハウンド:拳銃 シールド バックワーム
原作よりも半年早くボッコボコにされた結果強くなること決意した本作のシンデレラガール。
黒崎一護に挑む事、百ウン十回。 首を跳ね飛ばされ、グッバイ上半身下半身され、時折メテオラで木っ端微塵に吹き飛ばされても持ち前のムカつく精神で若干涙目で黒崎に突っかかる。
とりまるにたまたま褒められ天狗になっては影浦などにやられるを繰り返している。
強くなり始めたせいで柿崎隊、玉狛第二にとって強敵になってしまったけど作者(自分)が好きなキャラだから仕方がないよね。許して