「緋鳥!!」
警察を呼んで二時間後、姐さんが急いでやって来た。
あのあと、警察の人に検査のために病院に連れていかれた後、事情聴取を受けたのだ。まあ、俺が一度死んだ件は言ってないけど、ムーンフィッシュの事は伝えた事だし、多分どこかで捕まるだろう。
「姐さ」
「ルミで良い!」
そう言って姐さんは俺を力強く抱き締めてくる。
俺の個性(ウォルター)を知らないから一度死んでいる事に気がついていないのか。
「よかった……生きててよかった……」
「姐さん……いやルミねぇ。ちょっと話があるんだ」
「話?なんだそりゃ」
「オレ、ヒーローを目指すよ」
ヒーローを目指す。即ち、平穏な生活とはおさらばしなければならないと言うことだ。元の世界でどうやって死んだか分からないが、平穏を享受するのは悪いことではない。
だが……。オレは、あの惨劇の中で一回死ぬことで生き残ることができた。生き残ったと言うことはそれに意味がある。その意味とは、自分と同じ境遇から人を救いだすことだ。
(それにしても、よくもまあここまで偶然が重なる事だな)
偶々幼稚園にムーンフィッシュが進入し、偶々オレがトイレに行き、偶々オレが強個性を保有し、偶々復活後にムーンフィッシュがいなかったため再び死ぬことはなく、偶々オレだけが生き残り、偶々オレがヒーローになることを目指す……これは偶然と言う短絡的な言葉で片付けられることなのだろうか??
言うなれば必然的な運命か……。オレをヒーローに仕立てあげるための運命。オレと言うどうしようもない運命。なら、癪に触るがそれに乗っかってやろうじゃねぇか。
「ヒーローでも、お前は……」
「確かに、今日まではヒーローにはならず、極々平凡な人生を送るつもりだった。だけど、この事件のようなことを引き起こしたくないし引き起こせたくない。だからこそ、ヒーローを目指す」
ルミねぇに俺は誓いを宣言する。
これは憧れではない。これこそが運命。皮肉で、冷酷な運命。だが、だからこそその運命を踏破する。……俺は冷酷であって残酷ではない。故に、このくそったれな運命を憎み、恨みながらそれに乗っかってやる。
「そうか……なら、明日から鍛えてやるよ!」
「ありがとう、ルミねぇ」
「たく……可愛げのないやつだと思っていたが、可愛いところあるじゃん」
俺を抱きしめながら髪の毛をわしゃわしゃとしてきたため僅かに後ろに下がり、出口に向かって歩き出す。
これは、俺の
――――そして、ヒーロー・ヴィラン・政府。その全てを