艦隊これくしょん【艦これ】 汎用決戦重巡洋艦が建造されました!(リメイク版) 作:ライドウ
===============
響 vs 五十鈴
===============
(くぅ、わかっていても対策はしずらいっ。)
何度も何度も見た手段だが、いざやられるとなるとかなり厳しい。
予想よりはるかに砲撃精度がいいことは想定済みであったがここまで視界を遮ることを前提とした砲撃は予測外だった。
いや、むしろ相手もわかっているのだろう。硫黄島に配属されるだけの能力があると見込まれて今まで見せたことのないことをしているんだろう。そう思うと、五十鈴自身内心ワクワクしていた。
(そして、次の手は)
「やっぱり・・・そう来るわよね。」
「これは驚いた。まさか、本当に」
「あなたは必ず、そう来るって!!」「天龍さん以外で”刀”を実戦で使ってくるなんてね!!」
先に攻撃をしたのは”素手”の響だ。
軽く握った拳を勢いよく五十鈴に向かって打ち込む。
五十鈴はそれを抜刀せずに、合気道で捌きすぐさま右手だけで居合を放つ。
響はそれを”見て”回避し、バク転の要領でサマーソルトを放つ。
それを五十鈴は、紙一重で回避し右手で持っている刀に左手を添えて素早くけさ斬りを放つ。
両者一歩も譲らない近距離格闘戦。もちろん、響の素手は変わらない。
むしろ、”構えてすらいない”。
ゆったりとしていて、リラックスした余裕のある姿勢。
対して、五十鈴は汗を流しながら響から目を離さぬように瞬きすら抑えていた。
「どうしたんだい?もうちょっと肩の力を抜きなよ。」
「・・・それほどの余裕は、ないわ。」
「そうかい、まあそんなに肩の力を入れすぎるとさ」
瞬間、響の姿は掻き消え背後からの殺気を察知する。
しかし、刀を振った先には何も存在しない。それどころか、さっきまで向いていた方向、その懐に響が拳を構えていた。
そして、鋭い拳が五十鈴の脇腹を穿つ。
「ぐぅっ!?」
「こんな風に、フェイントに弱くなるよ?」
フェイント、今のが?あの殺気で!?。五十鈴は、目の前が白黒になりながらも頭の中でそう考える。
先ほどの残像は、響が習得した殺気を持った残像だ。さらに言えば、掻き消えたのは武道の書を読み、参考にした瞬歩を響なりにアレンジしたものだ。この二つを同時に行うことは、まず不可能。横須賀の格闘家武蔵でさえ瞬歩は3歩ですぐに息切れしてしまう。
しかし、響は違った。響が担当しているのは銭湯・・・つまりお風呂の管理とその清掃だ。しかも、床だけではなく壁や天井すべてが掃除する箇所なのだ。それに加えて合計40個もあるシャワーヘッド予備を含めて100個ある温泉セット全てを点検する必要があった。
そのために彼女は瞬歩を習得し、その使用を常日頃から行っていた。
最初は動けなるほどの筋肉痛など日常茶飯事だった。姉妹に迷惑をかけながらも瞬歩を使用した清掃と点検、自分なりに研究を行い続けてついに”瞬歩”の極地へと至ることができたのだ。そのため、響にとって瞬歩は、歩くようなものである。それに、体力だって硫黄島鎮守府の中ではトップクラスである。その分、筋肉の変化はなかったが・・・。
「それこそ、そういう力を入れてる時こそ。弱点は多くなるものさ」
やれやれさ、と油断したように後ろを向く響。
そこを狙ったかのように、五十鈴は素早く近寄り刀を振り下ろす。
取った。と、五十鈴は確信したが・・・そもそも響がなぜ後ろを振り向いたのか気付いていなかった。
「だめだよ、相手が格上ならとびかかるんじゃなくて・・・」
瞬間、五十鈴の視界には水にぬれた靴底が見えていた。
「構えないと。」
蹴り飛ばされ海面をバウンドし、倒れ伏す五十鈴。
いつの間に、と思いつつも立ち上がり刀を構えるのであった。
=======
暁vs霞
=======
駆逐隊を束ねる霞と暁、その勝負は暁の一方的な引き撃ちにより霞は不利に陥っていた。
「くぅ・・・近寄れない。なんていう射撃能力なのよっ」
必死に襲いかかる水しぶきから目を守りつつ、暁に狙いを定めて発砲を繰り返す。
しかし効果はない。撃って着弾する寸前には暁の機銃に撃ち抜かれ空中で爆破してるからだ。
(まだ余裕があるって言うの?)
魚雷は既に発射し艦砲射撃で処理され、近寄れば機銃込みの一斉掃射で距離を置かれ、離れれば冷酷無比なまでの弾幕を展開される。
完璧すぎる。霞は心の中でそう毒づいた。
「あぁ、もう!こうなったら・・・突撃してやる!」
半ばヤケクソになりながらも暁に向かって全速力で近寄る。すぐさま機銃込みの激しい一斉射撃が襲いかかるが霞は”目”を守りつつ、弾幕の嵐の中を無理やし突破した。
「嘘っ!?」
「ところが、本当なのよ!!」
初めて余裕のある顔を崩した暁。その顔に霞は格闘戦ならば!と思い殴りかかった次の瞬間。
「ここまで予想通りなんて、嘘みたい」
瞬間、自分の体を自分で砲撃し、暁から急いで距離をとる。つい先程までたっていた場所には暁の魚雷の跡が残っており、あのままだと被雷して大破していただろう。
咄嗟に、小破反対にならない箇所を自分で砲撃したことを自分で褒めたいが、霞にはもう既にそんな余裕は無くなっていた。
(一体、何を見てるのよ。アンタ)
もはや未来予知のレベルで展開される弾幕の嵐。
明らかにトドメを指してきた魚雷群。
少し嬉しそうにこちらを見る目。
「回避できたなんて、ちょっと予想外だけど、想定済みよ。」
「言ってくれるじゃない・・・」
自分で砲撃した場所が痛みつつも立ち上がる。
どうやって、超えてやろうか・・・霞は頭を回し始め、暁は砲を構えるのであった。
======
雷&電vs満潮&曙
======
「ちょこまかちょこまか・・・いい加減当たりなさい!」
「なんで当たらないのよ?!」
満潮と曙はそう叫びながら、華麗に回避する雷に対して砲撃を続ける。バレリーナのように柔らかい身体とどうやっているのかスケートリンクみたいな軌道で美しく回避し続ける雷は芸術品のようにも感じてしまう
それに追従する電も、ヒョイヒョイと雷と同じように回避し続ける。満潮と曙は、踊るように回避し続ける雷と電に対し、完全に包囲されていた。
雷はフロントを担当している。
フロントに求められるものは間違いなく、丁寧な接客と素早い計算能力、そして高速であっても見逃さない目だろう。着任したての頃はそれこそ失敗ばかりで提督から怒られることも多かった雷、それでも彼女は努力し続け今では硫黄島の名物娘だ。無論強さとて姉2人のような才能こそないが、雷には卓越した艤装出力管理技能が備わっていたのである。
それは電とて同じであった。
電は1番目立たない雑用を任されている。
しかし、他姉妹たちの中でも、その仕事はとてもとても厳しいものだ。毎日150kgはあるであろう洗濯物を洗濯し、シーズンでは毎日のように宴会が広げられその宴会場の清掃や、宴会場に持ち込む料理、たまに酔っ払った客の対応や、他姉妹たちの手伝いもありそれに加えて秘書艦業務もあるのだ。だからこそ、よく手伝いをする雷(オマケに提督)の行動は手に取るように理解している。だからこそ電は雷をフォローする動きを心がけつつ、タイミングを今か今かと図っているのだ。
「なんなのこれ、まるでダンス会場いるみたいっ・・・」
「それ、冗談ならよかったのにね!!」
くるくると周囲を回る雷と電に対し射撃をし続ける満潮と曙もいつの間にかダンスを踊るかのような動きになっていた。しかもあちらは、よそ見する余裕すらある始末。
「電!やるわよ!」
「なのです!」
来る。二人は背中合わせから向き合うように艤装を構えた。
======
提督さん(撃破判定待機所)
======
「ふむ、随分と五十鈴たちの練度も高いな。」
提督は、メモを片手に計器を妖精さんに任せ、演習の様子を事細やかに描き続ける。
最初の一回で彼女たち風の第6駆逐隊に食らいついている五十鈴たちの評価を書き直している最中だ。
「残弾数は?」
「いすずは4わりで~、かすみは8わりをきったところ、みちしおとあけぼのは5わりになりそうかな~」
のほほんとしたよく提督の方に乗っている妖精がそう提督に言う。
その報告を受けながら、五十鈴と霞の評価を2段階上げた。
それはなぜかというと、響と暁に対してそこまで食らいついているからである。
この鎮守府の中でも異色で最恐に名高い二人だが、二人には明確な弱点がある。
響は、格闘戦が大得意だが射撃能力だけは普通未満才能無し以上で暁に関しては、射撃が大得意だが格闘能力だけはからっきしである。
その分、五十鈴は響に対して射撃戦を展開しながら隙を見つけては切りかかっている。
霞に関しては、どうやって見抜いたのか・・・はたまた偶然なのかやけくそなのか暁に対して特攻を繰り返し若干だが優位を得ている。
(うちの人材としてはもったいないレベルだな。それこそ激戦区であるパラオやインド洋方面に配属されてもいいレベルだが・・・しかし)
評価が上がった五十鈴と霞に対し、満潮と曙は不利に陥ってしまっている。
今は気合と根性で致命傷は避けているがそれも時間の問題だ。
よく耐えている方だが、おそらくあと2分もしないうちに轟沈判定が下るだろう。
「あっ、みちしおそんしょうりつ43ぱーせんとでちゅうは、あけぼののそんしょうりつは31ぱーせんとでたいはだよ~」
「分った。満潮、中破。曙、大破だ。」
《くっ・・・こんな時に通信してくんなバカ!!》
《演習の邪魔よ!!轟沈判定になったら戻るから黙ってなさいクズ!!》
「こりゃひでぇ、言われようで・・・」
よく横須賀で粛清対象にならなかったな。と思いながら、評価を少しだけあげておく。
口はともかく根性だけは確かだ。それに戦闘に集中しようとする意志も見て取れる。
本来なら上官への悪口で重営倉だが、うちはどっちかって言うと旅館がメインだから減俸だけで十分だろう。
「あはははっ、くずだって~!」
「笑うなこら・・・計器に集中しろ。」
「はぁ~い」
さて、そろそろ勝負がつき始めるころ合いだな。
提督は、提督帽を被りなおしながらメモ帳をそっと閉じるのであった。
緊急防衛!硫黄島沖防衛海戦 のお話を
-
見たい
-
見たくない