テレビの大画面で観れるのはありがたい…。
ギルドから少し離れた路地裏で、私とダクネスさんの目の前でカズマとクリスちゃんが向かい合っていた。
「さぁ!その盗賊スキルで君の財布を取り返してみなよ!」
「何盗られても泣くんじゃねぇぞ!」
さて、何故この2人が財布を巡って争っているのか、そして何故私がダクネスさんの事を知っているのか。それを知ってもらうには少々時間を遡る。
〜数十分前 ギルド〜
「探したぞ、サトウカズマ」
いきなり登場した女騎士さんは、何故かカズマの事を知っているようだった。昨日解散した後なにかあったのだろうか?
「カズマ、この人は?知り合い?」
「え!?あ〜、え〜と…」
…………何故言うのを躊躇っているのだろう。もしやそう言う事なのだろうか、言う事を躊躇うような知り合い方でもしたのだろうか。
「……カズマ、ちゃんと責任は取らないとダメだよ?」
「待て!お前なんか勘違いしてないか!?」
ふむ、この反応なら恐らく違うのだろう。少し一安心。となるとますますこの人とどのような関係なのか気になってしまう。
改めて件の女騎士さんを観察させて貰うと、何処か育ちの良さを感じさせる立ち振る舞いや礼儀正しそうな雰囲気から、やはり位の高い人に感じられる。貴族のボディガードとか似合いそうな人だなぁ…。
あと何より胸部装甲が非常に強力だ。この世界の人、この人もルナさんもアクア様も、胸部装甲厚すぎないかなぁ…、絶対成長しないこの身体を恨んでしまいそうだ。
「昨日は飲み過ぎたと言ってすぐに帰ってしまったが、大丈夫か?」
「お、お気遣いなく…」
そう言いつつ、女騎士さんはカズマの隣の席に腰を下ろした。因みに今私たちは、左から
女騎士さん→カズマ→めぐみんちゃん→私
の順番で席に座っている状態だ。カズマは思いっきり挟まれている。
「ならば、昨日の話の続きをさせて貰おう」
あ、やっぱり昨日カズマと接点があったんだ。話ってことはパーティ募集の張り紙を見て来てくれたのだろうか?
「私をあなたのパーティに入れ…」
「お断りします!」
やっぱりパーティ加入希望者かぁ。こんな綺麗な人が入ってくれるのは嬉しい………断るの!?
「え!?カズマ断るの!?断っちゃうの!?」
「んんっ!………くっ……即断…だと…?」
………あれぇ?この人喜んでる?興奮してない?…あ、カズマの顔見えないけど今すごい顔してるのだけはわかった。何故なら私と同じような雰囲気をまとっているから。
「あははっ、ダメだよダクネス。そんな強引に迫っちゃさ」
「あ、クリスちゃん。久しぶり」
「あれ、カナデさん?あなたもここのパーティだったの?」
「うん、昨日からだけどね」
女騎士さんの奇行に頭がフリーズする直前、前に聞いた声が聞こえた。慌ててそちらへ向くと(別に女騎士さんが怖くなった訳ではない、ホントに)、大会でお世話になったクリスちゃんだった。
というかこの人ダクネスさんっていうんだ。センサーに反応したからすぐ覚えれた。まぁそうじゃなくても記憶の片隅には絶対残ってしまうという自信はあるが。
「え?カナデ、こっちの人と知り合いか?」
「うん、前にお世話になったクリスちゃん」
「はじめまして、あたしはクリス、見ての通り盗賊だよ!こっちはクルセイダーのダクネスで、この娘とは友達かな」
この世界でリーンちゃんの次に好きな娘だなぁ…。ボーイッシュなのに可愛いって無敵だと思う。その露出の多い服だけはお姉さん心配だけど。
「キミ、役に立つスキルが欲しいんだって?盗賊系のスキルなんてどうかな」
「盗賊系スキル?」
「習得にかかるポイントも少ないしお得だよ!」
「確かに、気配察知とか何かと便利なスキルも多かったと思うよ?」
「どうだい?今ならシュワシュワ一杯でいいよ?」
「安いな!よし、お願いします!すいませ〜ん、こっちの人にキンキンに冷えたの一つ!」
〜現在 路地裏〜
という訳で、盗賊スキルを習得するために路地裏に来た。ダクネスと私は付き添いのようなものだ。
「……とまぁ、盗賊系スキルには気配察知とか潜伏とかいろいろあるけど、特に私のイチオシはコレ。よく見といてね…」
「うっす!お願いします、クリスさん!」
「いくよ〜、『スティール』!」
クリスちゃんがスキルを発動すると、クリスちゃんの突き出した手のひらから光が溢れ出した。すぐにその光は止んだが、その手の中にはさっきまで無かったものが握られていた。
「え?あっ、俺の財布!」
「これが窃盗スキルの『スティール』。成功すれば相手の持ち物を奪うことが出来るよ」
「へぇ、すごいなぁ!……あれ?」
カズマが感心しながら手を出したが、クリスはその手から財布を離した。あれ、なにするつもりなんだろう?
「ねぇ、勝負しようよ。キミも盗賊スキルを習得して、私から財布を取り返してみせて?」
「お、おいクリス…、それはあんまりではないか?」
「キミも冒険者なんでしょ?だったら、危ない橋も渡らなきゃ!」
「ふぅむ……」
なるほど、いわゆる荒くれ冒険者のやり取りみたいな事をやらせてくれる訳だ。カズマにとってはなかなか魅力的な提案に思えるけどなぁ、確か『スティール』って幸運値高いと成功率上がったはずだし。
「よし、いいぜ!その勝負受けた!」
「じゃあ冒険者カードを使って、スキルを習得してみて!あたしから習ったスキルが表示されているはずだよ?」
「え〜と…、『敵感知』1ポイント、『潜伏』1ポイント、『窃盗』1ポイント、『花鳥風月』…、花鳥風月?」
「あぁ、それはギルドであなたたちの仲間が使っていた宴会芸スキルだ」
「宴会芸スキルで5ポイントも取るのかよ!?」
………アクア様ぁ、もうちょっと計画的にスキルポイント使いましょうよぉ…。絶対もったいないですってぇ……。
とまぁ、こう言った経緯のもと、冒頭の争いが開始されたという訳だ。
…え?宴会芸スキルについて?……ノーコメントで…。
「じゃあ始めよっか!当たりはこのマジックダガー、一本40万エリスはかたい代物だよ!」
「おぉ!なかなか!」
「そして残念賞は………、この石たちだ!」
「あぁ!汚ねぇ!」
うわぁ、ずるいなぁ…。とはいえ仕方がない、勝負の前に細工をするのはこっちの世界では普通にあることだ。いわゆる「騙された方が負け」という考え方だろう。カズマも悔しがりながらもどこか納得した表情だ。
「…申し訳ない、クリスは負けず嫌いなところがあるんだ」
「大丈夫だと思うよ?カズマって、ああ見えて幸運値はすごい高いし」
「ちくしょう、やってやる!『スティール』!!!」
カズマがスキルを使い、さっきと同じく光が溢れ出した。そして光が収まり、先程と変わらない光景が広がる。少なくともマジックダガーは盗れなかったようだ。
「よし!とりあえず成功!」
「なっ!?……あ、あぁ…」
カズマのスティールは成功したようだ。……ところでクリスちゃんの様子が何かおかしい。手に持ってた石も落としてしまったし、大切な物でも盗られてしまったのだろうか?
「ってかなんだ?妙に温かいんだが……」
「? カズマ?」
「…………おぉ…、おおおおお!」
「当たりも当たり!大当たりだああああああ!!!」
「いやあああああ!パンツ返してえええぇぇぇぇ!!」
「ヒーャッハッハッハッハー!!!ウワッハッハー!!」
「な、なんという鬼畜の所業…!やはり私の目に狂いはなかった!
……おや、カナデ?どうした?」
「………うん、ちょっと待っててね、ダクネスさん」
「………ちょっと説教してくるから」
「返して、返してよお!財布なら返すし、お金も払うからぁ!」
「いくら出す?自分のパンツの値段は自分で決めろ!だ〜はっはっはぁ!!」
「………カズマ」
「おいなんだよカナデ、今いいところなんだから…」
「……そろそろやめよっか?」
「…はい」
………さて、カズマもクリスちゃんにパンツを返したことだし…、
「…お説教のお時間です、正座しなさい」
「………はい」
「パンツを盗っちゃったところはいいよ?スティールの盗るものは完全ランダムらしいし、財布も盗ってその上で自分は盗られないように石を準備してたんだから、向こうも何も言えないもんね?」
「…はい」
「だからってその盗ったパンツを頭の上でブンブン振り回す?日本だったら通報待った無しだからね?それともカズマは警察のお世話になることが好きだったの?」
「…いいえ」
「しかも何あれ?クリスちゃんが返してって言った後なんて言った?」
「…自分のパンツの値段は自分で決めろと言いました」
「いくら財布を盗られたからってやっていい事と悪い事があるよね?カズマは自分の大事なもの盗られてそんな事言われたらどう思う?」
「…辛いです」
「……今度からはこんなことがないように、わかった?」
「…はい、気を付けます」
「……はぁ、クリスちゃんに謝っておいてね」
「…はい」
カズマの反省の返事も聞いたので、『アースバレット』をカズマの頭上から消す。ちゃんとクリスちゃんにも謝っているのでもうこんなことはしないだろう。
………しないよね?
します(ネタバレ)
この二次創作に新しいオリキャラを!
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入れてくれぇぇ!!!
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見たい…うん、まぁ…(ちょっと…?)
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あんまり入れて欲しくねぇ〜…
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カナデだけに集中しろやワレェ!!
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勝手にせんかい!!