{街に飛来したキャベツを全て収穫せよ}
この世界は異世界ということもあり、あっちでは絶対に考えられないことも起こる。だからキャベツが飛ぶとアクア様が言っていたのもある程度は納得できた。…けどさぁ……。
「「なんじゃこりゃあああああ!!??」」
飛ぶってそんな明確に飛ぶの!?夕方にたまに見るカラスの大群みたいに飛んでるんだけど!?もはや緑の塊みたいになってるんだけど!?
「いい、2人共?この世界のキャベツは、飛ぶわ!味が濃縮してきた収穫の時期が近づくと、簡単に食われてたまるかとばかりに……。街や草原を疾走する彼らは大陸を渡り、海を越え、最後には人知れぬ秘境の奥で、ひっそりと息を引き取ると言われているわ…」
「行けええええ!!」
「「「「「おおおおおおおおおお!!!!」」」」」
私たちが呆然としている間にも、冒険者たちは次々とキャベツの大群へと突き進んでいく。そして各々の得物でキャベツを狩り始めた。
……剣や矢がキャベツを倒していく光景…なんだかなぁ…。
「それならば!私達は彼らを1玉でも多く捕まえて、美味しく食べてあげようってことよ!」
「皆さ〜ん、今年もキャベツの収穫時期がやって参りました!今年のキャベツは出来がよく、1玉につき1万エリスです!是非多くのキャベツを捕まえて、こちらに納めてください!」
どこかテンションの上がっているようなルナさんの示した場所には、すでに何玉かのキャベツが納められていた。というかあれたぶん大きめのモンスター用の檻だよね?え、キャベツってそんなに需要高いの?
「…俺、もう帰って寝てもいいかな?」
「ま、まあまあ…、1玉1万エリスは大きいし、ここら辺でお金を稼ぐのもありじゃない?」
ジャイアントトードよりも買い取り価格が高いのは悲しくなるが。なんだか愛着が湧いてきたんだよなぁ、あのマスコット感。
「ちょうどいい機会だ。私のクルセイダーとしての実力、その目で確かめてくれ」
そう言うや両手剣を構えたダクネスさんは、他の冒険者に続くようにキャベツの大群に向かって行った。そして構えた両手剣をそのまま大群へと振り下ろした。
「はぁぁぁっ!」
ブンッ!と振り下ろされた剣は、1玉のキャベツにも当たることはなく空を斬り裂いた。
「…へぁ?」
「ふっ!!やぁっ!!」
その後もダクネスさんは剣を振り続けるが、気合と裏腹にキャベツではなく空を斬り続ける。というか変な声出ちゃったけどダクネスさんってもしかして…。
「………カズマ、もしかしてダクネスさんって…」
「…本人曰く、自分は不器用で攻撃が当たらないそうだ」
もう不器用とかの次元を超えてないかな!?あんなに密集した場所で大振りしてなんで1回も当たらないの!?もう剣がキャベツを避けてるように思えてきたよ!?
「ぐわああああ!!」
「た、助けてくれぇ!!」
急に叫び声が聞こえてきたと思いそちらを向くと、キャベツの反撃を受けた冒険者が重なって倒れてしまっていた。
「おい、あのままじゃ…!」
「カズマ!私行ってく………ダクネスさん!?」
すぐに助けに行こうとした瞬間、ダクネスさんが剣を捨てて冒険者たちの前に身を乗り出した。冒険者の代わりとなって攻撃を受けるダグネスさんの鎧は、キャベツの突進によって次々と剥がれてしまう。
「くっ……ここは私が…!今のうちに…!」
「ダクネス!!」
「このままじゃあんたが死んじまう!俺達はいいから逃げて…」
「バカを言うな!!倒れた者を見捨てるなど……んっ、出来る……ものかぁ!」
「……………ねぇ、カズマ。なんかダクネスさん様子おかしくない?」
「…………奇遇だなカナデ。俺も全く同じこと思ってるよ」
「…見られている…!むくつけき男達が、私を見て興奮している…!…なんという辱め………汚らわしい……たまらんっ!」
やっぱり喜んでる!?薄々気付いてたけど、この人やっぱりドMだよね!?
「あんなになってまで人を守るなんて…」
「すごい人だ…!俺も騎士として見習わなければ!」
ア゛ア゛ア゛ア゛!!!何かしらのすれ違いが起きている気がするぅ!!それもものすごく最悪な感じですれ違いと勘違いが加速している気がするぅ!!
「ふっふっふっ…、我が必殺の爆裂魔法の前において、何者も抗うこと叶わず!」
「ここにもややこしいやつがああ!!!」
「ここにもややこしい娘があああ!!!」
ア゛ア゛ア゛ア゛!!!こっちもだめだぁぁぁ!?もう爆裂魔法撃つ気満々だもん!!表情がこれ以上ないほど語ってるよぉぉ!?
「…ふふふふふ、あれほどの敵の大群を前にして、爆裂魔法を放つ衝動が抑えられようか……いやない!」
「「いやあるんだよ!!??」」
「光に覆われし漆黒よ、夜を纏いし爆炎よ。紅魔の名のもとに、原初の崩壊を顕現す…。終焉の王国の地に力の根源を隠匿せし者、我が前に統べよ!
『エクスプロージョン』!!!」
〜スペシャルボーナス〜 {キャベツ大豊作!!!}
「「納得いかない……」」
「何故たかがキャベツの野菜炒めがこんなにも美味いんだ…」
「なんでキャベツの千切りをドレッシング無しで食べれるんだろう…」
あっちではキャベツを食べるには絶対胡麻ドレ常備だったのに…。キャベツに甘さを感じるよぉ……。そしてなんでキャベツ食べてるだけで経験値が入ってくるんだろう…。
「あなた、流石クルセイダーね!あの鉄壁の守りには流石のキャベツ達も攻めあぐねていたわ!」
「いや、私など…ただ硬いだけの女だ。誰かの壁になって守ることしか取り柄がない」
「アクアの花鳥風月も見事なものでした!冒険者の皆さんの指揮を高めつつ、収穫したキャベツの鮮度を冷水で保つとは」
…アクア様があの時してた事って、扇から水をまいて、その水を冒険者のみんなに配ってたことくらいしか浮かばないんだけど…。あとキャベツ収穫。………いや、水の女神としては正しいのかなぁ?
「めぐみんの魔法もすさまじかったぞ。キャベツの群れを一撃で吹き飛ばしていたではないか。……あんな火力の直撃、喰らったことはない…!」
((直撃させんなよ!?))
いまカズマと全く同じこと思った自信がある。
「それに、カズマもカナデも素晴らしかったわね!」
「確かに、潜伏で気配を消して、スティールで強襲する。その姿は、まるで鮮やかな暗殺者のごとくです!」
「カナデも中級魔法を使いこなしていたではないか。あんな逃げ場を潰すような魔法の使い方は初めて見たぞ!」
まぁエルフの特典で魔力が多いのを利用したゴリ押しみたいなものだけどね…。雷系の魔法である程度囲んで、氷系の魔法で凍らせていったのだ。雷系で囲むのは対多勢の時に重宝している、ほぼ無効化されることがないからね。
「カズマ、あなたには私の名において、“華麗なるキャベツ泥棒”の称号を授けてあげるわ!」
「いやぁ、流石ですよカナデ!“孤高の姫騎士”に恥じない魔法の精度でしたね!」
「ぐふっ…!」
「喧しいわ!?あぁもうどうしてこうなったぁ…」
どうしてこうなったかって言われると、私にもなんでなのかは分からないとしか言えないなぁ…。……あとめぐみんちゃん、それはもう忘れて欲しいな〜ってお姉さん思うんだけど…。
「では改めて………名はダクネス。職業はクルセイダーだ。一応両手剣を使ってはいるが、戦力としては期待しないでくれ。何せ、不器用すぎて攻撃がほとんど当たらん。だが!壁になるのは大得意だ!」
ほとんど攻撃が当たらないって冒険者としてはこれ以上ない欠点じゃないかなぁ…?というか戦力にカウントできないの?クルセイダーなのに?…そして壁になるのが得意って……えぇ…?
「それにしても、このパーティも豪華な顔ぶれになってきたわね!」
「そうですね。アークプリーストにアークウィザード、クルセイダーに魔法騎士と、5人中4人が上級職というのはそうそうありません」
……悪いところしか見ないのはアレだけど、今のところこれといった活躍が出来ていないアークプリースト、1日1回しか魔法を撃てないアークウィザード、攻撃が当たらないクルセイダー、チートだよりの魔法騎士だけどね…。
「……? カズマ、どうしたの?何かある?」
「へっ!?い、いや!何でもない!」
ん〜?なんだか視線を感じたんだけどなぁ…?気のせいかなぁ?
「パーティの足を引っ張るようやことがあれば、強めに罵ってくれ。なんなら捨て駒として見捨ててもらってもいい!あぁ…想像しただけで武者震いが…」
えぇ……、この人……………ええぇ………?
「……改めて、これからよろしく頼む!」
…そう言って新しい仲間、ダクネスさんが浮かべた笑みは、とても綺麗だった。
感想コメント評価などなどよろしくお願いします!
それと、とある感想をいただき考えたのですが、アンケートを始めようと思います。
この原作ヒロインたちの扱いにアンケートを!
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ヒロイン候補は全員参戦だろぉ!?
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別に何人か参戦させても良いんじゃない?
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ヒロインはカナデだけで良いっスよ!
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知るか勝手に決めろや!!