銀子ちゃんを可愛い可愛い×5するだけの話(+短編集)   作:銀推し

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40. 更に空銀子VS空銀子の話

 

 

 ──『空銀子』

 それは女流棋界に燦々と輝く名前。

 これまであらゆる挑戦者をなぎ倒してきた、まさしくラスボスの如き名前。

 

 今日もそんなラスボスに挑んだ若き幼女が、次いで小学生が無残にも敗れた。

 そして次に白羽の矢が立ったのは──

 

「じぇーしー、おねがい、かたきを討って」

「………………」

 

 縋るような幼女の声。

 幼い頃の自分の言葉をJC銀子ちゃんは表情も変えずに受け止める。

 多分だけど、展開的に次は自分にお鉢が回ってくると彼女も分かっていたのだろう。

 

「……ふぅ」

 

 相手がどれだけ強大であろうと挑む事を止めない、それが空銀子という棋士の生き様。

 故にJC銀子ちゃんは小さく息を吐くと、意を決したように立ち上がった。

 

「……分かった」

 

 そして向かうは──ラスボスが待つ玉座。

 

「……次は私が相手よ、JK」

「そう、いよいよ中学生ってわけね。ま、誰が相手でも結果は同じだと思うけど」

 

 力強い眼差しを向ける挑戦者。対して不敵な笑みを崩さないラスボス銀子ちゃん。

 二人の力量差はその表情が物語る通り。幼女や小学生と同様、中学生の銀子ちゃんであっても高校生相手にはこれまで連敗続きなんだけど……。

 

「……今日こそはJKに勝つッ!」

 

 力の籠もった宣言一つ。

 そして力の籠もった指先で角道を開けて、JC対JKの対局が始まる。

 

 相手は女流棋界のラスボス、今や世界初の女性プロ棋士にまでなってしまった高校生の銀子ちゃんな訳だけど、それでも唯一勝つ可能性があるとしたらやっぱりJC銀子ちゃんだろう。

 JC銀子ちゃんは中学3年生の14歳。この頃なら段位は二段だったはず。JK銀子ちゃんとは1年半程度の年齢差があるものの……逆に言えばその程度の年齢差しかないとも言える。

 

 そもそも将棋というのは年齢差で相手を分けるゲームじゃない。成人にもなっていない俺と引退間近の蔵王先生が対局する事もあるように、勝負の場では年齢差など一切考慮されない。

 JC銀子ちゃんも奨励会では自分より年上の相手と何度も戦ってきているはずで、1年半程度の年齢差など言い訳にならない事は百も承知だろう。

 

 ……と、いうのが一般論ではあるんだけど。

 しかしそれはあくまで普通の対局の場合、普通の世界での一般論であって。

 

「……くっ」

 

 対局が中盤に差し掛かった頃合い、JC銀子ちゃんの表情が曇り出す。

 ここまでよく食らい付いて来ていたけど……どうやら差が出始めてきたようだ。

 

 先程の年齢差など言い訳にならない理論。その考え方はしかしこの二人の対局に限って言うなら当て嵌まらないと言わざるを得ない。

 なんせ相手は他人ではなく自分自身。となれば年若い方にとって年齢差というのがそのまま不利な要素になるのは間違いない。棋力が衰えてくる老齢ならまだしも、未成年の銀子ちゃんはまだ成長期の真っ只中にある訳だしね。

 

 そしてなにより……年齢が違うという事は、その分知識量に差があるという事でもある。

 将棋の世界は日進月歩だ。この1年半の間に生まれた新たな研究、コンピュータ発の新手など、そういったJK銀子ちゃんは知っているけどJC銀子ちゃんには知り得ない知識というものが存在している。

 その知識があるかないか、この差は凄く大きい。知識というのは大きな武器だ、特に銀子ちゃんのような研究熱心な子にとっては尚更。

 そしてJK銀子ちゃんってば、そういう所をマジで容赦なく突いてくるから……。

 

「…………っ」

 

 時は進んで──最終盤。

 自玉が包囲された盤面を悔しげな表情で見つめながら、ぐっと息を飲み込んで。

 

「……負けました」

 

 JC銀子ちゃんが小さく頭を下げた。

 あぁ、ラスボス銀子ちゃん相手に十分健闘はしたものの……やはり力及ばなかったか。

 ただ先程も言った通り、この結果はもうしょうがない事だ。なんせ本来なら成長した自分との対局なんて成立し得ない訳だし。

 

 ……けれど、だ。

 こうしてJC銀子ちゃんまでもがラスボスの前に敗れ去ったとなると、これは……。

 

「……ふふふ」

 

 ……全く、しょうがないなぁ。

 これはいよいよ、俺の出番ってことかな?

 

 

「JK、もう一戦よっ!」

「良いわよ。何度でも掛かってきなさい」

 

 ……って、ありゃ?

 JCとJK銀子ちゃん二人はまたすぐに対局を始めてしまった。あれれ? 俺の出番は?

 

「ね、ねぇねぇ、次は俺の番じゃないの?」

 

 思わず俺は観戦中のJS銀子ちゃんの肩を叩く。

 すると小学生は「……は?」と言いたげな目を俺に向けてきた。

 

「八一? なんで八一の出番なの?」

「だってJC銀子ちゃんまで敗れた訳で、そうなると順番的に次は俺なんじゃないかなーと……」

「あのねぇ。八一がJKに勝ったとしても私達の勝利にならないじゃないの。JKの事は私達で倒さなくちゃいけないの、それぐらい分かるでしょ?」

「……そ、そっすか」

 

 ……どうやら最初から俺はお呼びじゃなかったらしい。かなしい。

 

「じぇーしぃ、つぎこそはじぇーけーをぼこぼこにして……」

「JC、頑張って……」

 

 遠巻きから見つめる幼女と小学生の声援を受け、中学生はラスボスと死闘を繰り広げる。

 元はと言えば幼女のぎゃん泣き事件から始まったこの因縁も、今ではラスボスJK対その他銀子ちゃんズという構図になっている。

 憎きJK相手になんとか一矢報いてくれと、幼女と小学生の視線も盤面に釘付けだ。

 

「ねぇやいち。じぇーしぃ、つぎは勝てそう?」

「どうかな……JC銀子ちゃんも頑張ってはいるんだけど、なんせ相手が相手だから……」

 

 元々銀子ちゃんって格下の女性相手には本当に取り零しをしない子だからなぁ。それは対女流成績無敗という前人未到の偉業が物語っている。

 いくら相手が女流でも58戦も無敗というのはプロ棋士でもビックリな記録だったりする。……という言い方もおかしいか、もうJK銀子ちゃんだって立派なプロ棋士な訳だしね。

 

「このままじゃ……JCでも勝てない?」

「……そうだね。ちょっと難しいかな……」

 

 とにかくJK銀子ちゃんというのはそれ程に強い存在な訳で、そんな相手に勝つとなると……。

 

「……むぅ。だったら……」

「だったら?」

「……だったら、えんごしゃげきするしかない」

 

 援護射撃。

 そう呟いた幼女はてくてくとラスボスのそばに近付いていって。

 

「……ばか」

 

 と可愛らしく一言。

 

 それが幼女による援護射撃。

 罵倒を浴びせて相手のメンタルを揺らがせる、つまりは盤外戦術だ。

 

「ばーか」

「……む」

「ばーか。じぇーけーのばーか」

 

 幼女銀子ちゃんはラスボスに向かって次々と悪口を浴びせる。

 そういえばこういう悪口攻撃での盤外戦術、俺達も子供の頃にお互いやりあったっけなぁ。

 極めて幼稚な手ではあるものの、相手の集中力を乱すという意味では結構効果的だったりする。

 

 だが。

 

「……ふっ、いかにも子供が考えそうな手ね」

 

 JK銀子ちゃんは鼻で笑っただけ。

 その表情もその思考もその打ち筋も、彼女の全ては微塵も揺らぐ気配が無い。

 

「ばーか」

「あーほ」

「どじ」

「まぬけ」

 

「はいはい。もう少し罵倒のセンスを磨く事ね」

 

 幼女による盤外戦術、罵倒の雨をラスボス銀子ちゃんは軽くあしらう。

 先程も言った通り、この悪口攻撃というのは俺達が子供の頃にやりあった番外戦術であって。

 つまりJK銀子ちゃんにとってはすでに一通り経験済みだという事。故に幼女がどれだけ悪口を並べようとも、今更その程度の攻撃で新四段の強靭なメンタルが揺らぐことなんて──

 

 

「ひんにゅう」

「っ!」

 

 ……あ、揺らいだ。

 今JK銀子ちゃんの指先がピクって動いたぞ、ピクって。

 

 

「ひんにゅう、ひんにゅう」

「…………(イラッ)」

「やーいやーい、ひんにゅうひんにゅう」

 

 効果アリと見たのか、ここぞとばかりにその控えめな胸元を小馬鹿にしてくる幼女。

 

「……くぅ、ぬ、ぬぅ……」

 

 すげー効いてる。JK銀子ちゃんのこめかみにはくっきりと怒りマークが浮かんでいる。駒を掴む指がブルブルと震えちゃってる。

 しっかしまぁなんという命知らずな幼女だ。あの銀子ちゃんに対して貧乳煽りをするだなんて。

 

 ……てかね、うん、あれだよ? 

 別にそのね、銀子ちゃんの控えめで慎ましやかなお胸……俺は好きだけどね?

 

「ひんにゅう。ひんにゅ……むぐ」

 

 とそこで幼女のお口を封じる手が。

 その悪口攻撃にストップを掛けたのは味方であるはずのJS銀子ちゃんだった。

 

「……幼女。それ以上は駄目」

「なんで?」

「それは……その言葉は自爆魔法だから」

「じばくまほう?」

 

 ……さすがに小学生はよく分かっている。

 高校生の自分への悪口、それは後々全てが自分自身に跳ね返ってきてしまうのだ。

 ……あとその悪口はね、挑戦者のJC銀子ちゃんのメンタルにもダメージ与えちゃうから……。確かにJK銀子ちゃんには効いていたけど、一方でJC銀子ちゃんの眉もピクピクしちゃってたから……。

 

「幼女。その悪口はこれ以降禁止で」

「……でもじぇーえす、じぇーけーを倒すためにはじぇーしぃをえんごしないと……」

「……うん、それは分かってる」

 

 あまりにも危険過ぎる貧乳煽りはNGとして、外部からラスボスを攻撃する他の盤外戦術。

 JS銀子ちゃんは眉を顰めながら「うーん……」としばし唸っていたのだが。

 

「……あ、そうだ。幼女、耳貸して」

「みみ?」

 

 何らかの方法を思いついたのか、幼女の小さな耳元に口を寄せてごにょごにょと内緒話。

 

「こういうのはどう? ……ごにょごにょ」

「……ふむふむ」

「ごにょごにょ、ごにょごにょ……」

「ふむふむ………えっ」

 

 すると幼女銀子ちゃんはくりくりなおめめを大きく見開いた。

 

「どう? 出来る?」

「……それ、ほんとにこうかあるの?」

「ある。絶対にJKには効くはずだから」

「……なら、じぇーえすがやったら」

「わっ、私がやるより幼女の方が効くのよ」

「……そうなの?」

「そうなの」

「ふーん……」

 

 それはまだ4歳児には難しい話なのか、不思議そうな顔をしていた幼女銀子ちゃんだったが、

 

「……ん。わかった。ならやってみる」

 

 やがてこくりと頷いた。

 そしてすくっと立ち上がって、もう一度ラスボスが待つ玉座のそばに……。

 

「……ん?」

 

 ……ではなく、今度は俺の方に近付いてきた。

 

「やいち」

「どうしたの?」

「…………むぅ」

 

 そこで少し口を真横に結んで、躊躇うような様子を見せる幼女。

 何事に対しても物怖じしないこの子にしては珍しい反応だ。はてさて、一体幼女銀子ちゃんは如何なる盤外戦術を繰り出すつもりなのか。

 

「…………やいち」

 

 幼女は俺の目を真っ直ぐ見つめて。

 その綺麗な瞳を輝かせながら、俺に対してこんな事を言ってきた。

 

 

「……やいち、けっこんしよ?」

 

 ──えっ!?

 

 

「えッ!?」

「はぁ!?」

 

 驚愕に叫ぶ二人の銀子ちゃんの声が聞こえた。

 ような気がしたけどそんな事どうでもいい。

 

 えっ! ま、マ!? 俺、幼女から逆プロポーズされちゃった!!?

 だってそんな、幼女銀子ちゃんは4歳なのに! 4歳の銀子ちゃんが逆プロポーズなんて!!

 マジかマジでか!! なんてことだ、結婚なんて、そんな事があってもいいのだろうか!?

 

 しかし逆プロポーズされてしまったのなら、兎にも角にもここで俺が返す言葉は一つしかない。

 

「うんそうだねっ! 結婚しよう! 幼女銀子ちゃんっ!!」

 

 という事で、俺こと九頭竜八一と幼女銀子ちゃんはこの度結婚する事となりました。

 まだまだ至らないところも沢山ある二人ではありますが、今後の人生をお互いに支え合って二人で歩いていこうと思います。これからも皆様にはご指導ご鞭撻のほど宜しくお願いします。

 

「銀子ちゃん、おいで!!」

「ん。……やいちっ」

「くぅ! 幼女銀子ちゃん……っ!」

 

 俺の胸に飛び込んできた幼女……じゃないな、お嫁さんの事を優しく受け止める。

 あぁなんて軽い、なんて柔らかい。これがお嫁さんの温もりなのか……なんて愛おしい。

 なんか対局席の方から「結婚しよう、じゃないでしょ!」とか「あんたフザケてんの!」とか聞こえるような気もするけど……どうでもいいね。

 

 けれどまさかまさかだ。まさかこの俺が幼女銀子ちゃんと結婚する事になるなんて。

 あれだけ色々な人からロリコンロリコンと揶揄されてきた俺だけど、こうなってしまってはもうその疑念は払拭出来そうにない。まぁそんな事どーでもいいんだけどね。

 

 嗚呼、幼女と結婚、幼女銀子ちゃんと結婚……。

 ていうかさ、なんか……ウエディングドレスを着た4歳の幼女って……想像するとなんか背徳的な感じがしちゃうね……。

 

「や、やいちぃっ!」

 

 すると声を上げたのはJS銀子ちゃん。

 ててててーとこちらに近付いてきて、続けざまに小学生からも更なるアプローチが。

 

「や、やいち! わわ、わっ、わたちも、わたちもやいちと結婚すりゅ!」

「うんいいよ!!」

 

 こんなん即答したわ。勿論JS銀子ちゃんも結婚しようねっ!! ね!!!!

 顔真っ赤にしながら逆プロポーズしてくるJS銀子ちゃん可愛すぎか。ヤバかわ。

 かわいい幼女とかわいいJS、二人と結婚する事になっちゃったけど問題は無い。はーマジ、C級1組に昇級しといて良かったわー。

 

「っと、こうしちゃいられないな。二人共、今すぐ役所に婚姻届を出しに行こうね」

「えっ、今から行くの?」

「そうだよ。一秒でも早く結婚したいからね」

 

 こういうのは早ければ早い程に良い。今は一刻も早く既成事実を作りたい。婚姻届は重婚という形で提出するとして……結婚式はどうしようかな。

 やっぱり結婚式といったら6月だよね……という意見もあるだろうが、しかし何事も早いに越した事はない。だから今週中にでも……いや、いっそ明日にでも結婚式を執り行いたい。

 予約を入れた翌日に結婚式を挙げたい、そんな希望を叶えてくれる式場はないだろうか。探せばあるかもしれないね。よし、なら日本全国の式場を当たってみようか。それで駄目なら次は海外だ。さぁーて忙しくなってきたぞー!

 

 ……え? 対局? 

 いやもうそれどころじゃないっしょ。

 JCとJKの戦いよりもJSと幼女との幸せな未来の方が大事に決まっている。

 

「じゃあJK銀子ちゃん達、俺は幼女とJS銀子ちゃんのウエディングドレスと式場選びに行ってくるから、二人はそのまま対局を続けててね」

「「……ッ!」」

「さ、二人とも」

「ん」「うん……やいち……」

 

 途中で何か尖った音が聞こえたけど、そんなものは無視して俺は幼女と小学生の手を取った。

 そうして二人をエスコートしながら、俺達はリビングを後にする──

 

「っ、この、どバカ!」

「いだぁっ!」

 

 瞬間、無粋な乱入者が。

 JK銀子ちゃんが力一杯投げつけた扇子が俺の後頭部にスパーンッ! とヒットした。

 

「い、痛でで……」

「やいち、だいじょうぶ?」

「こらっ! そこのバカ八一!」

 

 そしてすぐにあの二人が、対局席から離れた二人がこちらにドシドシと詰め寄ってくる。

 

「あんたねぇ! 幼女と小学生相手に何しようとしてんのよ!」

「ちょっと銀子ちゃん、まだ対局途中──」

「対局なんてしていられる訳が無いでしょ!? け、け、結婚とか──!」

「あーあー、JC銀子ちゃんまで……」

 

 余程の衝撃だったのか、JKはおろかJC銀子ちゃんまでもが対局そっちのけになっちゃってる。

 

「もー、こんなの冗談じゃーん。ただの盤外戦術じゃーん」

「ば、盤外戦術?」

「そのとおり。これは高度なばんがいせんじゅつ。ねーやいちー?」

「ねー幼女銀子ちゃーん?」

 

 してやったりという顔で頷き合う俺と幼女銀子ちゃん。ねー、かわいいねー。

 そう、これはあくまで盤外戦術。結婚をダシにしてJK銀子ちゃんのメンタルを揺らす一手。

 つまり先程の話は単にこの子達の盤外戦術に付き合ってあげただけだ。……ホントだよ?

 

「しかしまぁ効果の程は凄いけど、この盤外戦術も駄目みたいだね」

「だめ? どうして?」

「だってほら、これJK銀子ちゃんだけじゃなくてJC銀子ちゃんにも効いちゃってるじゃん」

「あー」

「そうよJCっ! これはJCの事を援護する為の盤外戦術だったのに、あなたが取り乱したりしちゃ意味がないじゃないの!」

「そ、そんな事言われたって! だって、八一が、やいちが……!」

 

 小学生の言葉に反論出来ず、口をパクパクとさせるJC銀子ちゃん。

 やはり双方共に同じ空銀子となると、片方だけに効く盤外戦術というのは難しい。

 二人共に弱点というか、心を揺らしてしまう理由は同じようなものだからね。

 

「けど……こうして二人共に席を立った訳だし、これはもう試合放棄、対局続行不可能って事で両者共に負け扱いでいいよね?」

 

 俺がそう声を掛けると、JKとJC銀子ちゃんは「むっ……」と顔を顰める。

 

「となるとこれは対局が続行不可能になった状況を作り出した人物、つまり幼女銀子ちゃんの勝ちって事でいいよね?」

「あ、そうだね。私もそう思う。ほら、幼女の勝ちだって、良かったね幼女」

「やったぁ」

 

 両のおててを真上に上げて喜びを露わにする幼女銀子ちゃん。かわいい。

 

「……て事でいいよね?」

「……はぁ。好きにしたら?」

 

 大きく溜息を吐いた後、JK銀子ちゃんはつまらなそうな顔でそう答える。

 こうして、数多の女流棋士達を返り討ちにしてきたラスボスJKの牙城は崩された。

 

「ふふん」

 

 と得意げにする4歳児。

 幼女銀子ちゃんの手によってラスボス銀子ちゃんは倒されたのであった。

 

 めでたしめでたし……。

 

 

 

 

 ……と、そんな事をして。

 五人で仲良く楽しく過ごした休日とか。

 

 今ここに四人の銀子ちゃん達が居る日常。

 その日常に慣れきってしまった俺達は、そんな一日一日を当たり前のように過ごしていたのだが。

 

 しかしこれは当たり前のものではない。

 だってこれは……これは、一時の夢の中での出来事でしかないのだから。

 

 とかく夢というのは荒唐無稽なもので。

 そして次第に移り変わっていくもので。

 

 だからこそ、それが近付いていた。

 新たな出会いと──そして、別れが。

 

 

 

 

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