美しき城へ続く道:「大和姉妹の事情」編 作:Whiplash
元になった人物が全員バレバレでも、名前さえ出さなければセーフですよね(震え声)
夏のアイドルフェス「夏の偶像」の顔合わせと下見、すなわちアイドルとしての「大和姉妹」の邂逅から2週間が経った。その間はレギュラーで抱えている仕事を消化しつつ、随時フェス本番に向けたレッスン等の準備が進められていた。特にバックバンドが投入される亜季たち炎陣や、あるいはindividualsの場合、レッスンでは主に「バンドサウンドに慣れて、合わせる」ためのメニューに時間が割かれていた。普段からある程度「生音」に慣れているのは、その手のジャンルで活躍をしている夏樹、涼、輝子くらいのもので、その3人でさえ、事務所全体で行う規模の大きいライブでは、ライブ構成の都合上カラオケ音源での歌唱を余儀なくされている、という事情を踏まえてのものだ。
この「生音に慣れる」ための練習は、はじめのうちなかなか滑稽な光景が繰り広げられることとなった。爆音に慣れ切っている炎陣の面々は生の音圧を前にしてテンションが上がりすぎ、ついつい歌が走ってしまったり、ライブパフォーマンスのチェックで予定より暴れて息を切らしてしまったり、といった事態が見受けられた。一方individualsについては逆に、その音圧に驚いた美玲や乃々が歌を止めてしまう……どころか、乃々に至ってはバックバンドから離れるようにレッスンルームの隅に行ってしまうことすらある有様であった。
とはいえそれもはじめの1日、2日のことで、先述の光景に苦笑いを浮かべていたバックバンドの面々も、少しずつアイドル達との呼吸も合ってきて、来たるリハ、ゲネプロ、そして本番に向けて期待を膨らませられるようになりつつあった。
そうして「夏の偶像」本番から1週間前の土曜日。この日は都内2か所のリハーサル用スタジオを借り上げ、本番会場で行うゲネプロに先だって曲順で通してのリハーサルが行われることとなっていた。ゲネプロはあくまでも舞台演出の最終チェックであり、各日の出演逆順で、時間もごく限られてるため、対外的には本番前最初で最後のステージ通しの機会といえるだろう。余談ではあるが、楽器を使用するユニットが複数あることから、2日目組の会場となったスタジオは、1日目組が割り当てられたところよりだいぶ広いものとなっているらしい。
リハーサル開始に先立ち、この日から合流する運営および演者側スタッフの挨拶が行われていた。運営側については上層部のうち実務に近い者、舞台監督、演出、照明、PA(音響)が挙げられるだろうか。そして、DJやバックバンドなど、アイドル本人以外で舞台上に上がる者がいれば、その合流もここからとなっていた。
さてこれまでも触れてきた通り、亜季たちのプロダクションではこの「夏の偶像」から、「試験的に」バックバンドを投入することになっている。今回対象となる炎陣やindividualsをはじめとして、この事務所のアイドル達が歌う曲はソロ・ユニットを問わず、アイドル、クリエイター双方の色を濃く出した多種多様なものがリリースされている。その中には当然、所謂「ロック」「HR/HM」に分類されるものも多数含まれており、それらを大きな会場で、バンドサウンドで聞きたい、という要望も多数寄せられていた。そこで、現在企画されている「ジャンル別」をテーマとした大型ライブを大きなゴールとして、まずは今回の夏の偶像での2ユニット8曲、続いて8月末の定例ライブのうち12曲程度、を演奏するバックバンド、通称「シンデレラバンド」を5月から設置・招集し、準備が進められてきていた。メンバーについては、
1.バンド構成はギター2人、シンセサイザー1人、ベース1人、ドラム1人とする
2.将来的にアイドルが楽器を演奏する、となった場合の指導役となることも加味し、プロダクションのアイドルに楽曲を提供していること。ただしリズム隊であるベースとドラムは相互の連携を重視するため、その限りではないものとする
3.原則としてシンセサイザー担当がバンドマスターを兼ねる予定であるため、可能な限り編曲等、音響面の管理を担当した経験が多い者を選ぶことが望ましい
という基準を定めて選定が行われていた。
「炎陣とindividualsのバックバンド1stギター、とあと今日のリハの音響補助もやるJOEで~す」
明るい茶髪に、黒Tシャツとダークジーンズ。傍らにはライブ・レコーディングでよく使用しているというKiller Guiter Scaryのカスタム品を置く、中年に差し掛かろうかという風体の男はJOEと名乗った。彼は輝子と白坂小梅*1によるジャーマンメタル調のナンバー「Lunatic Show」や、夏樹と多田李衣菜のRock the Beatによる「Jet to the Future」の提供を行ったほか、いくつかの曲でギター演奏を務めている。夏樹にいわく「面白いギタリスト」であるとか。
「えと……同じく2ndギターのHEYです」
傍らにmoonのテレキャスター型、ESPのPotbellyを置き、ダークブラウンの髪、華奢な身体にはやや大きい白Tの上に、スタジオが冷えるのかライトグレーのパーカーを羽織り、JOEのよりはやや明るめのジーンズ、という風体の青年がその容姿に似合わず随分と低めの、しかしか細くも感じられる声でHEYと名乗った。こちらはindividualsへの「∀NSWER」を筆頭に、ロックナンバー以外のものも含め10曲近くを提供し、そのことごとくがヒットを飛ばすなど、今回のメンバーの中でも事務所との連携が特に深い人物と言える。当人は職業作曲家であると言って憚らないが、プロダクション内ではライブアクトの経験も豊富な、若手のエース的存在として、一目置かれる存在だ。
「ベースのSHINです、よろしくおねがいしまーす」
「ドラムのMAOです」
傍らにJiraud Fourier 4jjのカスタム品を携え、ポロシャツにタイトなスラックスという出で立ちの、他の面々より明らかに若く見える若者と、アロハシャツとネイビーブルーのジーンズの、こちらもベースを携えている方と同年代と思われる青年が立て続けにSHIN、MAOと名乗った。この2人がリズム隊を形成する面々であり、MAOは里奈に「Loveハズカム」を、そしてプロダクションの看板の一人であり、自身も大ファンであるという十時愛梨へ「ヒトトキトキメキ」を提供している。SHINは曲の提供等はないが、MAOとともに新進気鋭のフュージョンバンドを組んでいる人物であり、今回の「リズム隊は相互の連携を重視する」という方針に合致して選出された。
「バンマス兼キーボード、そして本日みなさんの音響面のチェックも担当させていただきます、SHUNです。今日1日よろしくお願いいたします!」
ストライプ柄の半袖カッターシャツに夏用と思われるスラックスといういでたちの、見た目からは年齢を推し量りがたい青年が、最後にSHUNと名乗った。初めての提供曲となった「メッセージ」をはじめとして、事務所全体で歌う曲の提供が目立つ。今回のフェスに関するところで言えば、佐久間まゆのソロ曲は全て彼が手がけている。「(最初に渡した)エブリデイドリームで本人からも担当プロデューサーからも強い信頼を得られた」とは、本人の談である。
スタジオには最初にリハーサルを行うPastel*Pallettesをはじめとした順番が早い数組と、バックバンドとの調整が随時必要なためにリハーサルを通している予定の炎陣、individuals、といった面々が集まっており、一通り挨拶が終わると拍手が起きた。
亜季は、最初ということで楽器が配置されているところにいるPastel*Pallettes--特に麻弥の方を見ながら挨拶を聞いていた。バックバンドの面々など、亜季たちにしてみれば物珍しくもないが、スタジオミュージシャンである麻弥にしてみれば錚々たるメンバーであるらしく、文字通り目を輝かせたとしか表現ができない表情をして、隣にいたイヴから何かしらの質問を受けるとその表情のまま熱っぽく語っている様子が見えたのであった。
ともあれ、時間的に余裕の少ないスケジュールということもあり、挨拶が終わると少しばかりあわただしくPastel*Pallettesのリハーサル準備が始められた。手順としてはまず立ち位置のチェックからになる。本番のステージとは広さこそ異なるが、形状は可能な限り模すようになっており、大まかな確認には十分役に立つ。そうでなくても、バンドである以上リードボーカルを務める彩がそう大きく動くことはないので、ここで確認したことがおおよそそのまま適用できる。ただし今回はツインボーカルの曲も1曲含んでいるということで、そこだけは少しばかり時間をかけたうえで、ゲネプロでも改めて確認、ということになった。ともあれチェックは10分程度で終了し、通しで曲をかける段階になった。
亜季は先の表情を見て、麻弥が入れ込み過ぎていないか心配していたものの、演奏が始まってほどなく、それが杞憂であることを--すなわち、演奏家(あるいはスタジオミュージシャン)としての麻弥の力量をまざまざと見せられることになった。
麻弥以外の面々はライブアクトへの不慣れという面もあってか、日菜とイヴには時折目立ったミスタッチがあったし、千聖は、特にボーカルとしても入る段になるとまだテンポを守ることで精一杯という感じ、彩もリハーサルということで緊張からくる大きなミスはないが、まだ仕上げられる余地を大きく残している。
それでも--曲としてきちんと聞ける形に整えられてるのは麻弥の、十代とは思えない老獪なテクニックあってこそだろう。最後に見た麻弥の演奏はいつだっただろうか。それからのさらなる研鑽を亜季は感じ取り、それならば「アイドルの先輩」としての力量をフェス本番ではしかと見せて行くことが必要だな、と思うのだった。
「はーい、おつかれさまです。まあちょっと今の設定と本番は大分音量面違ってきちゃいそうなんで、また改めてゲネでも確認したいですね--」
と、SHUNが告げ、JOEから
「分かってるとは思うけども、今回はみんながこれまで出てきた箱と比べてだいぶ広いと思うんで、そこの違い意識しつつあと1週間、頑張ってください」
等と二言三言あったのち、リハの様子を録音したSDカードを麻弥に手渡したところで、Pastel*Pallettesのリハーサルは一区切りとなった。
「「「「「おつかれさまです」」」」」
ここで亜季としては話をしたかったところではあったが、どうやらこの後もフェスに向けたラジオへのゲスト出演や、今日のリハーサルの反省会と、それを踏まえたレッスンがあるとのことで、5人は早々にリハーサル会場を後にしていった。昼ごろには麻弥からのメールがあったが、「あのMAOさんのドラム、目の前で見たかった!!!」と相変わらずな様子で、亜季は嘆息するほかないのであった。
時間は流れ19時半。さすがにこの時期でもとうに夕陽が沈んだこの時間から、ようやく炎陣のリハーサルが開始された。他の面々と同様に、立ち位置等のチェックから始まる。
「あれ、マイクの位置と違うところ出ちゃったな……すいませんもう1回で!--」
「まだ捌けが遅いー?これ以上足音立てたくはねーんだけど--」
今回は涼と拓海のソロから始まり、5人でのRockin' Emotion、純情midnight伝説へと繋ぐ流れで、ソロがそれぞれステージ左端、右端と偏った位置で始まること、曲後にはそこから中央、スタンドマイクに向かって移動が必要となることから、2人がライトの当たる所からどう捌けるかが主な焦点となり、それなりに時間を食うことになった。そこから、曲をかけての通しが始まる。これまでのカラオケ音源からバンドサウンドになったという変化はあれど、4曲いずれも、普段からライブでやっているいわゆる「定番曲」で固めていることもあってこちらはスムーズに進んでいく。音響面の調整は随時入ったものの
「これならゲネ本*2も大丈夫そーっすねー」
「あとは音量面だけあっち行ってから確認しときましょ」
と、大きな問題もなく進めることができたのだった。
最後にindividualsも同様の流れでリハーサルを行った。こちらも、3人のソロ曲から、最後は中央に3人集まっての∀NSWER、というセットリストになっており、立ち位置と、まだライブ披露回数自体が少ない乃々と美玲のソロの調整、それぞれの確認が焦点となっていた。ともあれパフォーマンス慣れはしている3人であり、前日までのレッスンでおおよそ仕上がっている状態であり、時折バックバンドとの音量等でのやり取りをしつつ、おおよそのプランを固めて終えることに成功したのだった。
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それからレッスンやフェス絡みの仕事をこなしていくうちにあっという間に時は過ぎ、本番3日前、仙台市立運動公園総合体育館。この日は2日目の出演者によるゲネプロが行われる。ゲネプロ翌日はもう本番1日目であり、全行程が終了した際には、1日目のオープニングアクトを務めるユニットのためにセッティングされた状態で撤収しなければならない。したがって、この日の順番としては2日目のヘッドライナー*3を務めるindividualsから開始し、2日目のオープニングアクトを務めるPastel*Palletesが最後、というふうになっている。そして、翌日もヘッドライナーからオープニングアクトに向かっての順番でチェックが入ることになっている。
当然というべきか、この日最後にチェックを行うPastel*Palletesの姿はない。順番によって入り時間が指定されており、Pastel*Palletesの入りは確か17時であった、と亜季は思い返す。一方で捌けの時間は帰りのバスの時間以外指定されていないが、これが終わった後は、亜季たちもすぐに東京へと戻ることになっている。フェス直前であろうと、レギュラーのラジオ等の収録が入っているためだ。よってPastel*Palletesがきちんと仕上げられているかは、3日後の本番を御覧じろ、ということになる。
「麻弥ちゃんたちが見れなくって残念じゃーん?☆」
「前々からわかってたことではありますからな……本番で、控室からしかと見守ることにしましょう」
「この間のリハの後でも異様な気の入りようだったしサ、変に気負って空回りは勘弁だったしちょうどいいんじゃない?」
「いえいえ、そこは心配ありませんとも!あくまで麻弥を導くための一助になれば、ということですから!」
「そういうとこだと思うけどな……」
individualsの3人が立ち位置と演出の確認を終え、所定の位置に付いたのを、すでに敷設されたアリーナ席最前列から眺めつつ、冗談半分、本気半分のゲキを、4人は亜季に飛ばしていくのであった。
さてそのindividualsの方であるが。
ゲネプロではまず3人の立ち位置・動きや、チェックが必要な演出を見る前に、シンデレラバンド側のPA調整から始められることになっている。次の炎陣でも必要な音量が出ているか、程度のチェックは行う--が、ここではもう少し念入りに、ドラムの音がマイクを通じてきちんと拾われているか、ギターやベースの音はアンプからきちんと聞こえているか、シンセサイザーはライン出力できちんと音が出ているか、楽器側全体の音量バランス、…等々、事前にリストアップされている事項をステップバイステップで消化していき、適切に調整を終えたところから、設定をメモしていく。これが終わると、今度は3人でボーカルマイク、イヤモニ等、アイドルたちのパフォーマンスに直結する部分の確認に進んでいく。
初めて使用する会場ということで、バンド側の調整にはそれなりの時間がかかっていたが、その間individualsの3人はずっと待機なのかというとそういうわけにはいかない。持ち時間は楽器を使用する分伸びているものの、それでも本番の持ち時間より多少長い程度の時間しか与えられていない。したがって、PA調整と並行して、実際の立ち位置のチェックおよびバミりを、スタッフと3人で行っていた。
「ここだと照明を顔の正面から受ける形に……なっちゃうな……身体一つ分……寄せる……フフ」
「あ、輝子さんが位置を変えてますね……こっちももう少し……」
輝子と乃々はソロ曲をステージ上下(かみしも)の両端で歌うことになっており、まずはその位置取りを、可能な限り2人が対称であることを保ちつつ、決定していく。
「スタンドがココで、それなら--」
対して、美玲については位置選択の余地がない。先んじてマイクスタンドの位置が決定されているのだ。バミッた上から、マイクスタンドと区別がつくよう、美玲のイメージカラーで彩られるペンで色を付けていく。
最後に、∀NSWERで集まる位置を、美玲がソロ用にバミッたところを基準にして決めたところで、
「ではマイクとイヤモニ3人に渡してもらっていいですかー?」
と、ちょうどよくシンデレラバンドのキーボード、SHUNからの声がかかり、3人での音声チェックが開始される。とはいえ、マイクもイヤモニも、調整は初めてではない。普段からのルーティンに従い、まず(特にイヤモニが)正常に動いているかのチェック、音量が大きすぎないかのチェック、そして1フレーズずつ曲を流して、音量バランスの確認を行っていく。
∀NSWERまで一通り通した後、乃々のソロだけは大きく毛色が異なる(主にキーボードで、一部管楽器や打楽器の音を音源から流す形での演奏)ため、次の輝子のソロとの曲間でバンド側、PA側双方で設定変更が必要、完了時には必ず報告する、という旨の注意が出たところで、音声面のチェックは完了となった。
すでに残り時間は少なくなっており、チェックはすぐさま、曲に合わせての照明等演出に移る。演出の切り変わりがある箇所を中心にざっとチェックしつつ、曲ごとの向きや使用する照明の種類、タイミングを担当者に改めて確認させる作業である。特にソロではいわゆるピンスポや転がしに対する位置確認が徹底されたし、最後の∀NSWERではレーザーやスクリーンを利用した演出も考慮しての調整がなされていた。残り時間ギリギリで全ての調整・確認を終えたところで……
「「「おつかれさま(…フヒ)(でした…)」」」
ようやく全工程を終えた。
そのまま、急ぎ炎陣と入れ替わる。シンデレラバンド側のチェック作業は、あくまでindividualsとの差分チェック程度のものであるからそう時間はかからない。しかし、後ろ15分ではアンプや一部のスピーカー等、次の出演者が使用しない設備の撤収作業が入ってくる。したがって、時間が十分にあるとは言い難い。
幸い、シンデレラバンド側はindividualsと同様のセッティングで行けることが確認でき、予定より少しだけ早くチェックを完了できた。
「お、結構早く終わったみたいだな」
「そろそろ集合かかりそうだね~☆」
と、3曲目以降の出番となる夏樹たちが、早々に位置チェックを終えて暇を持て余しているところで、先のindividualsと同様にSHUNから、ではチェックをー、と声がかかる。
「あれ、これ全然出てないな……すいませーん!」
夏樹が着けたイヤモニから音が出ずに交換するハメになるハプニングこそあったものの、それ以外はおおよそ問題なく、音のチェックを進めることができた。
それからの12、3分ほどは、舞台演出のチェックを行っていた。とはいえ、individualsほど複雑な演出は使わないこともあり、急ぎ足でのチェックになった3人とは違い、舞台側と照明側でやり取りをしながらある程度ゆとりをもって作業をすることができた。
「もうちょい下手寄りに立つんで--」
「うわ、影でけえな……フットライト切っとくほうがいいか?--」
「こちらは大丈夫ですが、客席からちゃんと顔見えてます?--」
一つ一つ、気になるところを潰し、曲をかけて演出切り替わりのタイミングを確認し。さらにMCのチェックも、
「新情報近日公開!」
という字幕だけの、あからさまに何かを隠すダミーのスライドを使って行った。そうして確認すべき事項がなくなったことを確認すると--
「よーし、みんな撤収!ありがとうございました!」
「「「「ありがとうございました(ありりーん☆)」」」」
次の出演者がチェックを開始できるよう、少しばかりあわただしく10人での撤収作業が行われるのであった。
その後のドリームアウェイについては、すべていつも通りのカラオケ音源を使用した演奏で、こちらも特段複雑な演出は特に使わない曲が並ぶことから、先の2組よりもつつがなく進んでいく。こうして亜季たちのプロダクションの面々は本番当日までに行う全ての作業を終え、確かな手応えを得て、翌日、フェス関連での仙台市内のラジオ出演のために移動するまでは一旦東京へと戻ることになる。
--我々5人で、私なりの「アイドルとしての姿勢」を麻弥に示す。そしてドリームアウェイとindividualsが……アイドルって、思ったより「なんでもあり」の土壌なんだ、ということをパスパレの面々に見せてくれるのだろう。亜季はそうなることを願いつつ、他の面々とともに仙台駅行きのバスへと乗り込んでいった。
次回投稿:5/17 16:30(書き溜めの都合で延期の可能性あり)