がっこうぐらし!RTA『オヤシロモード』覚醒素材生存ルート 作:シグアルト
────「名前が『ああああ』って……マジで?」
「嘘は言ってないようだけど、でもああああってさすがに……ぷふっ」
「若狭さん、気持ちはわかるけど駄目よ! いくら笑いたくなりそうでも人の名前を笑うなんて失礼ですよ!」
「いや、めぐねえの言葉も結構容赦ない罵倒になってると思うぞ」
「えっ!? いや、でも一見してひどい名前ですがきっと何か崇高な由来がある筈で……」
「でも神様さっき『適当な名じゃ、気軽に呼べ』って言ってたよ?」
「丈槍さん、本当ですか?! 適当にも程があるでしょう!」
名前を言った途端、円陣を組んでヒソヒソ話を始めた一行を見守る神様プレイはーじまーるよー!
まぁ神様の聴力なら全て聞き取れるんですけどね。めぐねえがテンパりすぎて失礼発言連発してる気がします。国語教師として『神の名』に思う所があるんでしょうか。
まぁここまでの流れを見るからにゲーム開始時の信仰ガチャでは
その為3人から否定意見は一切出ませんでしたが、めぐねえ的にはやっぱり幼女が神様なんて信じられないんでしょうね。今後は特にめぐねえの動向に気をつけることにしましょう。
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さてさて、やってきました3階制圧のお時間です。
本来ならば初日は屋上にて「アウトブレイク発生を理解した一同の心の整理」「覚醒素材先輩殺害によるくるみ覚醒」の2大イベントで終わります。
ですが今回は我等が覚醒素材先輩は無傷です。故にくるみ覚醒イベントも起こりません。更に神様の鉄壁ガードにより全員のSAN値減少もかなり抑えられていますので、場は比較的落ち着いています。
その為、僅かな時間ではありますが再行動が可能になるんですね。RTA的にここ重要ポイントです。
因みに生徒や教師操作ならば必ず起こる
「今、校舎内に入るのは危険です!」
いわゆる『めぐねえガード』も神様相手では機能しません。『オヤシロモード』の特権を初日からフル活用して校舎内の《かれら》を倒していきましょう。
L E V E L U P !
はい、バリケードの傍にいた《かれら》を撲殺するとレベルが上がりました。これで本日
1回目はどうしたって? 屋上へめぐねえ達を誘導してた時に上がってました。調べ事してて余所見してましたよ (見せ所を撮り逃す実況者の屑)
しかしレベルアップによる能力やスキル取得をしなかったのには理由があります。(後付け)
『オヤシロモード』には神様だけが使える専用のスキルがあり、どれもチート級の性能を誇っています。ですが、そのスキル取得には2レベル分の成長ポイントが必要になるので1回目のレベルアップでもらえたポイントは保留しておいたんですね。
そして、ここで取得するスキルはオヤシロモード専用スキル『神域化』。これは『安全が確保された場所で使用する事で、その場所が神域となる』効果です。
神域内では《かれら》に継続ダメージを与え、奇襲が強制失敗となるチート効果が発揮されます。また『神格パワー』(通称SP)がある限り、この効果は続くのでかけ忘れの心配もありません。
これにより“あめのひ”イベントでのかれらが無力化されるんですね。バリアのダメージ床をひたすら踏み続ける事になるので、引き篭っていれば勝手に倒れていく珍事が発生します。
更に追加効果の奇襲無効、これによりロッカーに《かれら》が新たにポップしてもそのまま浄化され、襲われる事はありません。クリアリングの手間はフヨウラ!
フハハハハ、最強ではないか我が神は!
どこぞ近場の研究室から逃げ出した、コミュ力マックスの狂戦士君にも負けませんね!!
とまぁそんな事を考えながら3階制圧を行っていきます。
撲殺! 撲殺!! もいっちょ撲殺!!! からの『神域化』! スキルの範囲は部屋1つ分なので順番に部屋を回っていきます。
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………………………………
ひとまず放送室、生徒会室など主要な場所は神域化し安全を確保しました。
ではでは、屋上に待機している原作組+パイセンを呼ぶ事にしますかね、ひとつ頼みたい事もありますし。
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────若狭悠里は考えていた。自らを『神』と名乗る少女の事を。
最初はただの冗談かと思っていた。しかし日常が壊れ、《かれら》が人々を襲い、たくさんの生徒や教師がもはや帰らぬ人になってしまった今もなお、少女はその有り様を崩す事はなかった。
それと同時に屋上から地上の光景を眺め、大人である佐倉慈から詳しい状況を聞いた時、彼女の心の中で何かにヒビが入ったような感覚に陥る。
今、彼女達は屋上で身を寄せ合い、男子生徒の介抱をしながら出て行った一人の少女を待つ。
「とんでもない事になっちまったな……」
「うん、そうだね」
「大丈夫よ。先生がついていますからね」
「あなた達ね……! 何でこの状況でそんな呑気にしていられるのよ!!」
思わず口から出てしまう不満の言葉、だがそれも仕方ない。現実離れした今の状況下、いつ死ぬかもわからない不安の中、彼女等の不安は口だけであまりにもいつも通りだった。
「あー、若狭だっけ? 悪い。そうだよな、本当なら泣き叫んで当然の状況だよな」
「大丈夫だよ。私たちには神様がついてるんだもん!」
「そうね。焦っても仕方ないわ、校舎内の事は今はあの子に任せて、とにかく落ち着きましょう」
「佐倉先生……。本気で言ってるんですか?」
佐倉先生は優しく、誰かの事を考えて行動できる人格者だと思っていた。
その彼女が「小さな女の子に任せて、自分達は安全な所で待ってましょう」と言ったのだ。あんまりな言動に信じられないといった眼で彼女を見る。
「そうね。他人の眼から見たら私は教師失格どころか、一人の大人として軽蔑されて当然だと思うわ。でも……」
そう言いながら、佐倉慈は先程の女の子とのやりとりを話し出す
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《「校舎内の制圧?! 今出て行っては危険です!」》
《「にょっほっほ、お主は心配性じゃな。安心せい、3階の一部を確保するだけじゃ」》
《「でも……、皆混乱していますし明日まで待ってからでも」》
《「こんな雨風すら凌げぬ場所で夜を越してか? 余計に心労が溜まるだけじゃ、あの男も目を覚まさぬしの」》
《「……ではせめて私だけでもついていきます」》
《「いらぬわ、たわけが。それぞれが行うべき役目を見失うでない」》
《「…………私の役目?」》
《「階下で蠢く者共を誅するのが教師なのか? 己の本分をゆめゆめ見誤るでないぞ」》
《「…………はい」》
《「では行って来る!」(ドヤ顔)》
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話を終えためぐねえは、悠里に近寄りそっと抱き寄せる。
「私はあなた達を絶対に守って見せる。それが《教師》の私が出来る精一杯。あの子の事は、きっと大丈夫」
「佐倉……、先生」
佐倉慈の身体は僅かに震えていた。きっと大丈夫、それは誰よりも自分自身にかけている言葉に思えた。
そこまで話を終えた所でバリケード越しにノックの音と共に快活な笑い声が聞こえる。
現れたのは先程の金髪の女の子、服にも身体にも傷どころか汚れ一つない。地獄の入り口の様に思えた校舎内から生還してきたとはとても思えない状態だった。
その姿に、佐倉慈はほっと安堵の息を漏らす。
「今、戻ったぞ! ひとまず下の安全は確保した。ここよりは快適な筈じゃ!」
「『あーちゃん』! おかえりー!」
「む? 丈槍由紀よ。その『あーちゃん』とはなんじゃ?」
「神様のお名前だよ、呼びやすいしかわいいでしょ?」
「ふむ、呼称の供物とは珍しいの。よい、これからは妾を『あーちゃん』と呼ぶが良い!! にょっほっほ!」
「はーい、あーちゃん! 私も『ゆき』って呼んでね」
「我に呼び名をねだるか! よいぞよいぞ。ではゆきよ、3階にいこうではないか!」
「あんた等本当に仲がいいというか、波長が合うよな。めぐねえ、若狭。行こうぜ。先輩は私が背負っていくよ」
「あー、ダメだよくるみちゃん。りーさんもちゃんと名前で呼んであげないと!」
「……りーさん?」
「ゆーりさんだから、りーさんだよ。……そう呼んじゃダメかな?」
「……フフ、別に構わないわよ。“ゆきちゃん”」
「若狭さん」
「すみません、先生。八つ当たりみたいな真似をして。ひとまず落ち着いて明日からの事をゆっくり考えたいと思います」
「えぇ、ありがとう。行きましょうか」
「はい」
晴れ晴れとは行かないまでも、各々の顔から憂いは消えた。ひとまずゆっくり休もうと各々は校舎内に入っていく。
「……あら?」
その途中、少女をつい横目に見ていた悠里だけは気付いた。
(あの子、つけ爪なんてしてたかしら? 今、指から先が真っ黒に見えたけど)
神域(しんいき)→ 神社の境内、または神の宿るとされる一帯の事
一番のほほんとしているのは筆者