がっこうぐらし!RTA『オヤシロモード』覚醒素材生存ルート 作:シグアルト
────「なんじゃ、これは」
「何って、あーちゃん。夕ごはんだよ? あっ、もしかしてカップネードルはシーフード派だった? ごめんね、謎肉増量版しかなくて」
「妾は欧風……いや違うわ! 妾は神じゃと言うたろうに、食事は不要ぞ」
「オイ、じゃあ何で割り箸持ちながら3分待ってんだよ」
「これは妾の為に用意された供物じゃ。やらぬぞ」
「喜んで頂けてよかったです。神様でも栄養は取った方がいいと思いまして」
「めぐねえよ、次からは用意せずともよいぞ。まぁ出されれば残さず喰うがな」
「喰うのかよ!」
「当然じゃ。出された食事に文句をいう輩なぞ顔も見たくないわ」
「随分と庶民的な神様なのね……」
「悠里よ、食べ物への感謝の心を忘れてはならぬぞ。妾ならば出されれば例え吐瀉物でも食べ……」
「食事時に汚い例えを持ってくんな!」
「いったーい!? 何するんじゃ、この類人猿!!」
「誰が類人猿だ! 私は純粋な人類だ!」
「神様からもめぐねえ……でも生徒じゃないし別にいいのかしら」
「佐倉先生、そこ真剣に悩むところです?」
和気藹々とした食事風景を流している所から、オヤシロRTAはーじまーるよー!!
現在、一行は3階生徒会室で遅めの夕食を取っている所ですね。隣の部屋のソファーに先輩を寝かせ未開拓領域に簡単なバリケードを作ったら安全確保完了です。『神域』の効果でバリケードにはりついたが最後、即☆浄☆化しますからね。
という訳で生徒会室に隠されていた非常用食料(という名目)のカップ麺を美味しく頂く一行です。
暖かい飲み物、食べ物は無条件にHP/SAN値の回復に補正がかかります。初日から屋内で暖かいもの摂取出来るとか、他ルートでの皆の扱いがかわいそうになってくるレベルです。
逆にいうと、ここまでイージーモードにしないと助けられない覚醒素材先輩とは一体……
「…………」
「どうしたの、
「いや……、状況の変化に頭がついていけなくってさ」
誰やお前!!?
はい、という訳でチョーカーさんこと
彼女はアウトブレイク発生直後、校内のどこかのトイレに引き篭もる事で一旦は難を逃れます。ですがプレイヤーが救出に向かわない場合、大体2~3日で《かれら》に襲われてしまうんですね。
一階のトイレに篭っていた場合、助けに行くのはまず味なのでもう少し引き篭もりライフを行ってもらうつもりでしたが、幸い彼女は3階の女子トイレにいたので《神域化》でエリアを広げてる最中発見しました。
とはいえ初見の幼女にホイホイついていく子ではないので、彼女の友人であるゆきちゃんを迎えによこし引き上げて貰いました。先程まではお互い涙を流しながら生きてる事を喜び合っていましたが、引き篭もり期間が短かった分もうすっかり立ち直ってますね。えがったえがった。
ん?りーさんが神様のお手手をじーっと見てますね。なんや、白いお肌が羨ましいんか?
「しかし葛城くん。目を覚まさないわね」
ふと、めぐねえが憂い顔で隣の部屋に眠る先輩を想い壁を見つめています。
このルートを通るまで走者は知りませんでしたが、覚醒素材先輩は「葛城くん」とちゃんと名前があったらしいです。みんな、覚醒素材覚醒素材いうから知りませんでしたわ。
「先輩、昨日は徹夜だったらしいんだ。それもあるんだと思う」
「それなら無理に起こさない方がいいかしらね。……今日はあまりに色々な事があったから」
「そうね。もう休みましょうか、先生は廊下で見張りをするから皆さんは安心して寝て下さいね」
安心できないんだよナァ……
アウトブレイク発生数日はまだバリケードも不十分、校舎内のクリアリングも完璧でないので、あまり夜に出歩かない《かれら》もここにやってくる事があります。
そこで見張りを誰かが担当するイベントがありますが、めぐねえは先生という事で積極的に立候補します。ところが彼女一人だけに任せると一定確率で居眠りをしやがります。
そのタイミングで《かれら》がやって来た場合、あえなく全滅ENDとなるんですね。さすが要介護キャラの名は伊達じゃないっすね。(皮肉)
ですがそれは通常ルートのお話。
3階の行動領域内は『神域』となっており《かれら》に襲われる心配は0なので、(見張りなんていら)ないです。
とまぁそんなニュアンスをめぐねえ達に伝え、神様改めあーちゃんは一人用の個室に行きますよ。資料室で一緒に寝ようとゆきちゃんに誘われましたが、そういう訳にはいきません。
何故なら────
「……ぅぁ~、疲れたのじゃぁ~~~、だりぃ~~」
個室に入った途端、用意された寝袋に頭からダイブし、ごろごろ回り始めカリスマブレイクしたあーちゃんを見ればおわかりかと思います。
キャラクリ時、プレイヤーには【体力】がないと言いました。では永遠に動き続けられるかというと否です。
『オヤシロモード』では【
「やっぱごろごろするなら屋内じゃなぁ、外でおちおち寝てられるかっての」
はい、既におわかりかと思いますがあーちゃんの【持久力】はかなり低めです。にも関わらず今日はソロプレイで張り切りすぎた為、明日は行動に制限がかかる事でしょう。
では焦って校内解放しなければと思いますでしょうが、彼女は相当わがままで、屋外で一夜を明かすとやる気が0を突き破ってマイナスに突入します。そうなった場合、3日はニート生活を続けるので多少の無茶は承知で校内解放を行ったんですね。スタートダッシュ終わるの早すぎぃ!
まぁ明日は
と、いう訳でおやすみなさい~~。暗転して翌朝に…………
あれっ?
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────「なぁ、起きてるか?」
私達が横になって数時間が経過し私は呟く。
……よし、起きてるのは私だけみたいだ。
今日はあまりに色々な事があり最初はみんな寝る事が出来なかった。ゆきは柚村の寝袋に入るし若狭……いや、りーさんがそれを真似して私を自分の寝袋に引きずり込もうとしてきた。
そんな状況でお互い他愛のない話をしていたが、疲労も濃かったせいか今は全員寝息をたてている。でも私は、どうしても熟睡する事が出来ずにいた。
「先輩…………」
隣の部屋で寝ている先輩の事が気になり落ち着かない。こんな事なら先輩の部屋で看病でもしていた方がいいんじゃないかと思ってしまう。でも────
《「えぇっ!? ダ、ダメです。絶対に! 恵飛須沢さん、もっと自分を大切にしなきゃダメよ!!」》
────顔を真っ赤にしためぐねえに猛烈に反対された。何想像してるんだか、おかげでこっちまで恥ずかしくなってしまった。
結局、見張りと並行してめぐねえが先輩の様子を見るという事で落ち着いた。だから心配する事はない筈だけど……
「……めぐねえの様子でも、見てくるかな」
誰も聞いていないのに言い訳を口にしつつ、音を立てないように部屋を出る。
外に出ると月の明かりが廊下を照らし出していた。窓の外でいつも眩しく見ていた明かり達は自動的についたと思われる僅かな光量が残るだけだった。どれもまばらで異世界にでも来てしまったかのような気分に陥る。
でも、これが現実……、ならこれからどうやって、何を目的に生きていけばいいんだろうか。
「すぅ……、すぅ…………」
ふと横を見ると、めぐねえが寝息を立てていた。
見張りが何やってんだか、と苦笑するが唯一の大人という事で心労も人一倍だったんだろうと部屋から毛布を持ってくる。
《「ここには結界を貼っている。バリケードの中にいる限り、奴らが襲い掛かることはない! と思って頂こうなのじゃ!」》
ここまで私達を導いてくれたちんちくりんの言葉を思い出す。
私は知っている、アイツが御社から現れ私の願いを叶えてくれた神様である事を。
ドヤ顔がいちいちウザいし、話す言葉にもツッコミどころが多いがアイツに任せておけば全てうまくいく。
アイツが大丈夫だと言っている。ならめぐねえをここで寝かせておいても問題ないだろ、と毛布をかけ先輩の寝ている部屋に向かう。
「先輩? 起きてますか」
もしかしたら目を覚ましてるかもしれないので軽いノックの後、声をかけながら部屋に入る。今日は色々あった、出来るなら今夜は先輩と少しでも話を……
「…………ッ?!」
その願いは、もぬけの殻となったソファを見て儚く散っていったのだった────。
良夜(りょうや)→月の明るい夜。綺麗な夜。