【安価?】掲示板の集合知で来世をエンジョイする【何それ美味しいの?】   作:ちみっコぐらし335号@断捨離中

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【ダニーズ一階駐車場 with FBI】
コナン「えっ、各国のスパイが殺されてる!?」

【ダニーズ二階店内】
有戸「パスタうまうま」モグモグ

 今回はお互いニアミスに気付かなかったのでセーフ()。



一方その頃 その九

 ◆

 

 

 

 五月四日、みどりの日。

 ゴールデンウイークももう終盤に差し掛かっている中、吉田歩美、円谷光彦、小嶋元太の三人は近所の公園に集まっていた。

 少年探偵団の依頼が来ていない時でも三人は一緒に遊んでいることが多いが、ボール遊びをしている彼らの表情には陰があった。

 

「お姉さん、良くなったかな…………?」

「心配ですね…………」

「だよな………………」

 

 こうして遊んでいても、救急車で搬送されていく女性の姿がチラついてしまう。

 

 昨日、東都水族館で出会った記憶喪失の女性。とても綺麗なお姉さんだった。長い銀髪に、左右で目の色が異なるオッドアイ。

 けれど、あれほど特徴的な人物だったのに、誰一人として知り合いを見つけることはできなかった。記憶を取り戻すための手伝いをしたかったのに。

 

 彼女は共に乗った観覧車の頂上で、頭を押さえ苦しんでいた。とても辛そうにしていた。

 冷静なコナンや灰原がいたから、三人は何とか平静を保っていられた。アルトがお姉さんが楽になるよう体勢を変えてくれたから、三人は安心することができた。

 だが、もし彼らがいなかったら。三人だけでちゃんと対応できただろうか。

 今もまだ体調が戻っていなかったら――――。

 

「そうだ! オレらで姉ちゃんに会いに行こうぜ!」

「確かに!」

 

 心配なら、様子を見に行けばいい。あの女性が警察病院に運ばれたのはわかっている。一般の病院より警備が厳しいから、会えるかどうかはわからない。行っても無駄かもしれない。

 けれど、ずっとモヤモヤを抱えているよりは遥かにマシに思えた。

 

「病院までどうやって行こっか?」

「あっ、博士の車とかどうだ?」

「ダメです。博士の家には灰原さんがいます」

「そっか。哀ちゃん、お姉さんのこと苦手みたいだから…………」

「灰原に知られたらぜってーダメって言われるよな」

 

 同様に、コナンも知れば止めてくるに違いない。

 二人とも事件の時には頼りになる仲間だが、こういった時にはあれこれ理由を付けて邪魔をしてくることも多いのだ。

 

 阿笠博士の車が使えないとなると、子供たち三人だけで行く必要があるが、幸いにも東都警察病院の前にはバス停がある。バスを使えば三人でも行ける。

 そうと決まればすぐに動かなければ。

 病院に行く支度をしようとした時、光彦のスマホに着信があった。

 

「光彦君、スマホ鳴ってるよ? 誰からの電話だろ?」

「アルトお兄さんからですね」

「アルト兄ちゃんから? 何の用事だ?」

「とりあえず出てみます」

 

 光彦は通話ボタンを押し、全員で会話できるようにスピーカーホンに切り替えた。

 それは女性(お姉さん)のお見舞いに行ったかどうかを問う内容の電話だった。

 

「ちょうど今から病院に行こうとしていたところです」

「そうだ! 兄ちゃんも一緒に来ないか?」

『君たちと、一緒に?』

 

 アルトの声にはやや驚きが滲んでいるように思えた。

 

『コナン……少年や哀って子は? 一緒じゃないのか?』

「コナン君や哀ちゃんは来ないよ」

「僕たち三人だけです」

「兄ちゃんもどうだ?」

『子供だけで行くのか…………ちょっと予定を確認してみる』

 

 そう言って、アルトの声は聞こえなくなった。

 

 そういえば、水族館で元太がエスカレーターから落ちてお姉さんに助けられた直後に、お兄さんとお姉さんは()()していた。

 誤解が原因だったため、二人ともすぐに喧嘩を止めて仲直りしていたが…………お見舞いのことを話して大丈夫だったのだろうか。コナンたちに告げ口したりしないだろうか――――。

 

 しかし、その心配は杞憂に終わった。

 しばし後、聞こえてきたアルトの返事は『一緒に行く』というものだったのだから。

 

 

 

 

 

 アルトはバイクで来るらしいので、警察病院の前で待ち合わせをすることになった。現地集合という奴だ。

 

 三人が警察病院前でバスを下車すると、アルトは既にバス停の傍で待っていた。子供たちの到着まで、警察病院の駐車場の方を眺めていたようだが――――。

 

「おーい、アルト兄ちゃーん!」

「駐車場の方をジッと見て…………誰か知り合いでもいたんですか?」

「……いいや、ちょっと車を見ていただけだよ」

 

 ともあれ、アルトとも無事に合流できた。

 

 意気揚々と警察病院の中に入り、光彦が代表して受付に聞きに行くことになった。

 女性は記憶喪失のため名前がわからないが、受付にいくつか情報を伝えるとこの場所に運ばれてきたことは確認できた。

 

 しかし、彼女は面会謝絶状態で誰も会えないという。

 

「マジかよ…………」

「そんなに具合悪いのかな…………」

「これは確かめてみる必要がありますね」

「うん? 光彦少年、『確かめる』って一体どうやって?」

「アルトお兄さんにはまだ言ってませんでしたが、僕たち少年探偵団には強い味方がいるんです」

 

 そう言って光彦が取り出したスマホの画面には『高木刑事』の連絡先と写真が表示されていた。

 

 

 

 

 

 そして高木刑事に事情を話し、四人は上の階に上がらせてもらうことになった。

 最初は難色を示していた高木刑事だったが、光彦らの粘り強い交渉の末についに折れ、この件の責任者である目暮警部に話を通してくれるという。無論、目暮警部に断られてしまえばそこまでなので、高木刑事には上手く説得してもらいたいところだ。

 

 高木刑事が戻ってくるまでの間、持ってきたオセロで時間を潰すことになった。

 歩美・光彦ペアと元太・アルトペアに分かれ、交互に手を指していく。

 

 意外だったのは『こうしてオセロで遊んだことがない』と語っていたアルトの強さだ。

 特に手を考えている様子はないのだが、アルトが指示した場所に元太が置くとそれが存外良い手だったりするのだ。

 本人は『ただの直感だ』と言っていたが、おかげで光彦は散々長考する羽目になった。

 今も勝負は拮抗しているように見えるが、もし彼がオセロに慣れていたらどうなっていたことやら。

 

 やがて高木刑事が姿を見せ、病室の方から彼女が現れた。目暮警部や千葉刑事、佐藤刑事らに連れられてきたが、顔色も良く元気そうだ。

 

 取り調べまでの間、特別に女性と面会できることになった。

 

 聞けば、もう頭は痛くないという。これで一安心。目的の一つは果たされたようなものだ。

 

 せっかくなので、話しながらオセロで遊ぶことにした。

 先ほどのペアのどちらかに女性を加え、三対二でプレイしようとしていたが、『自分は付き添いだから』とアルトがプレイヤーから抜け、その代わりに女性が入ることになった。

 

 少し離れたソファの端でアルトが見守る中、オセロゲームは進んでいく。

 

 最中、元太が白いイルカのキーホルダーの存在を思い出し、女性に手渡した。

 少年探偵団の三人も色とりどりのイルカのキーホルダーを所持しているが、こちらは昨日水族館で女性に挑戦してもらったダーツゲームの景品だ。

 一方、元太が取り出した方は色を塗る前の試作品。女性の分がないことを気にしたダーツゲームのスタッフが『試作品で良ければ』と聞き込みしていたコナンに渡し、博士を経由して、こうして女性の下に届いたわけだ。

 

 『これでみんなお揃いだ』と子供たちはキーホルダーを見せて笑ったが、アルトの姿を見てハッとなった。

 人数は五人。けれどキーホルダーの数は四つ。――――アルトの分がない。

 

 どうしよう、と顔を見合わせる子供たちに対し、アルトは手をひらひらさせた。

 

「別に気にしなくていいよ。ダーツゲームのことは知らないし。それは君たち四人の思い出だろう?」

「でも…………」

「今、自分のことは空気か何かだと思って…………ね?」

「……兄ちゃんが気にしてねぇならいいけどよ」

 

 女性に再会してからここまで、アルトは四人の様子を見ているだけだったが、終始楽しそうな表情を浮かべていた。

 一緒じゃなくていいのだろうか。本人が付き添いのつもりでも、一人だけ蚊帳の外なのは良くないのでは――――しばらくの間、心の片隅に引っかかっていたが、最終的には『本人が良ければいいのかな』と光彦たちは思うことにした。

 

「来たか…………」

 

 不意にアルトの低い声が聞こえた。

 

 アルトの視線を辿ると、厳めしい顔をした男性が複数。公安を名乗る彼らは女性を連れて行こうとしていた。

 目暮警部らは渋っていたが、この引渡要請は正式なものらしく、彼らにも拒否できないらしい。

 

 ――――彼女との一時はこれで終わりだ。

 

 手続きのため、女性は一度病室に戻らなければならない。

 目暮警部らに連れられていく前に彼女は一度振り返った。

 

「ありがとうみんな。これ、大切にするから。またいつか、みんなで観覧車に乗ろうね」

「お姉さん…………」

「あなたもここまでありがとう」

「いや、自分は何もしてないよ」

「そうね、そういうことにしておくわ」

 

 そうして、名も無き女性と少年探偵団は別れることになった。

 彼女が最後に見せた微笑みを、子供たちはきっと忘れないだろう。

 

 






【解説】
キ「あなたもここまで(子供たちの引率してくれて)ありがとう」
ア「いや、自分は何もしてないよ(自分が連れてこなくても、彼らだけでここまで来たはずだし)」
キ「そうね、そういうことにしておくわ(確かにそうかもしれないわね)」

周囲の人々(???)
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