この言葉、毎回言っている気がする……。
イッセーサイド
あのカオスな体育大会の種目決めが無事に終わり。(松田と元浜がボコボコになって帰ってきたが)その後の授業もつつがなく進行していった。俺はアーシアとの二人三脚だけで乗り越えれるはずさ……。多分、恐らく、きっと、メイビー……。それに体育大会といえば体操服に迸る汗! ゆれる胸! 透けるブラ! これが楽しみでしかた無いのだ!部長やアーシアの運動する姿……。ぐへへ……楽しみだぜ!
だが、俺は気づかなかった。おっぱいについて考えることに夢中だった俺は背後から来た人影にに後頭部を強打され、猿轡を噛まされた。意識が薄らいで行く中、耳に入ってきたのは「ヤハハ」と「にゃ……」という声だった。
そして、目が覚めると。体を縛られた状態で放送室の椅子に座っていた!
おっふ……。
いや、これどういう状況?
「やっと目が覚めたかイッセー」
「…やれやれですね」
机を挟んで対面に座っているのは我らが高校の問題児、三日月 朧とマスコットの搭城 小猫ちゃんだ。両方とも呆れた声を出してこちらを見ている。うん……。とりあえずさ、なんで放送室? とか、殴って気絶させたのはあんたらだろ! とか言いたいことはいっぱいあるけどさ……。
これどういう状況?
「つかぬ事をお聞きしますが、朧さん?
「ん? なんだいイッセーさんや?」
「……今は何時でしょうか?」
「…12時5分ですよイッセー変態……先輩」
俺の疑問に答えてくれたのは朧の横に座りパンをモキュモキュと頬張っている小猫ちゃんだ。さっき俺の名前の後ろの先輩と言う敬称が変態に聞こえたのはパンを頬張っていたからだよね? そんなナチュラルに罵ったりしないよね小猫ちゃん?
それにしてもパンを頬張ってリスみたいに頬が膨らむ小猫ちゃんはかわええのう、かっわええのーう! 猫なのにリスみたいとはこれいかに? なんちゃって……。
「…ん、ゴクン。……変態」
おっとー。
さっきの変態は勘違いでも、気のせいでもなんでもなかったようだね! パン飲み込んではっきりとおっしゃいましたよこの後輩は。出来ればパンと一緒に罵倒も飲み込んでほしかったな!
「12時5分てーと、ちょうど昼休みにはいったぐらいか……」
「ああ、昼休みに俺と小猫が放送室……これでわかるよな?」
昼休み……朧と小猫ちゃん……。
はっ!
「二人っきりでランチタイム!」
「はい、どーん!」
「グハッ!」
俺の冴えわたる頭脳が導き出した答えを言った瞬間。俺は朧に蹴り飛ばされた。
すっげえ、痛いんですけど?
あと、俺と椅子を縛ってる縄をほどいてはくれませんか! 起き上がりたくても起き上がれないんですけどッ‼
「次に変なことを言えば落とす」
「ちょ、落とすって何を!」
「小猫、窓を開けろ」
「……いえっさー」
ややっ!
これは俺を窓から落とそうとする動きではないかっ! お願いしますやめてください。悪魔でも窓から落ちるのは恐いんだからねっ! 若干ツンデレっぽく言い訳をしてしまった。まあ、これ以上なくテンパっていると考えていいだろう。落ち着け俺の思考回路!
「ヤハハ、二人で飯はたまにしかしてねえぞ?」
「……にゃう」
あ、二人っきりでランチタイムはしてたんだ。しかもあの反応からして、どうやら誘ったのは朧からじゃなくて小猫ちゃんからっぽいな。顔を真っ赤にして照れてる。うーん、俺もアーシアや部長と二人っきりでご飯が食べたいぜ。でも松田や元浜、朧にクラスの奴らと一緒なのも嫌いじゃないんだよなぁ。むしろあの時間は好きだな。なんか日常って感じがしてさ! ずっとこのまま時が止まってしまえばいいのに……なーんてね。
さてさて、俺が昼休みに放送室にいる理由は……ん? 放送室?
「あ! ラジオ!?」
「…正解」
「ってことでお昼のラジオ放送を始めます!」
朧の掛け声と同時に小猫ちゃんが手元にあったスイッチを押す。少しのノイズが聞こえた後にスピーカーから適当な音楽が流れ出していく。ああ、よかった今日は普通の音楽だったなドライグ。普通なんだからちょっとビクッてするなよう……左手が勝手に少し動いちゃったじゃんかよ。
朧と小猫ちゃんは目の前にある机に備え付けてあるマイクを口元に近づけるように調整する。その何気ない姿にも手馴れたような感じがするのは何故だろうか? 俺たち一緒の部活に所属してますよね? 何で手馴れてるの?
「毎度おなじみ、駒王学園ラジオメインパーソナリティーの三日月 朧と」
「……アシスタントの塔城 小猫です」
「さてさて毎回ラジオを楽しみにしてくれているリスナーにはお馴染み、今回のゲストを紹介するぜ!」
「……」
いや、小猫ちゃん。ラジオで無言はやめようぜ?
もしかして俺がゲストなの不服? 不服なのか?
「……」
無言で頷かれちゃったよ。不服だったよ、気に入らなかったのかな? もしかして朧と二人で居たかったとか? ははは、小猫ちゃんはやっぱり可愛いなああああああああああああああ足が割れるように痛いいいいいいいいいいいい!?
机の下で俺の脛をダイレクトアタックするのやめて!? 戦車の力はばかになんないんだからぁ! 腰をしゃがめてズボンをめくる。いてて、これ青あざになってる絶対。というか、朧も小猫ちゃんも俺の心読みすぎぃ!
そんなにわかりやすいかな? どう思うドライグ?
『駄々漏れだと思うぞ』
うっわマジカー。
でも欲望は抑えることができないからなぁ。ほら、俺ってば悪魔だし、ドラゴンだし!
「今回のゲストはなんと駒王学園である意味もっとも有名な奴! 兵藤 一誠!」
おっと。ドライグと話し込んでいるうちに俺が自己紹介するタイミングになったようだな! ふふふ、どれどれここは結構気合を入れて自己紹介をかましてやるとしますかね! 俺が自分の名前を言おうと口を開いた瞬間だった。
「動くなッ!」
朧の意外な大声によって体が硬直してしまう。たまにあるよね動こうとした瞬間に自分じゃない、何かが動いたりして固まっちゃうことって。しかし何で朧はいきなり大声を出したんだ?
「スピーカーの前のリスナーよ、ゆっくりと教室のスピーカーの音量スイッチの前から離れるんだ」
あれっ!?
俺の名前出したから? 俺の名前出したからこの学校の奴らラジオを消そうとしやがったのか? ヤダ、俺の好感度、低すぎいいいい。
「よろしい、離れたな? 離れたなら自分の席に座って弁当をつつくんだ」
「……もぐもぐ」
いや、小猫ちゃんが弁当を食べだしたらだめなんじゃないかな?
一応君もこのラジオのメインパーソナリティーだよね?
「確かに諸君らの懸念も理解できる。イッセーの下ネタを昼休みにも聞きたくないという感情はとても理解できる」
いや、そういう事おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?
確かに学校では松田や元浜とおっぱいについて語り合ったり、覗きをしたり、AVやエロ本を持ってきたりしてるけども! さすがに学校のラジオでは下ネタ発言なんてしないよ!? ……自分で言って何なんだけど、説得力ぜんぜんねえわ。 ははは。
「安心しろ全校生徒たちよ。その対策はすでにすませている。だから安心してラジオを聴いてくれよな!」
対策?
何のことだよ?
って言うか、流石に言わないよ?
「…ゆっくりしていってね!」
小猫ちゃんどうしたの⁈
ゆっくり小猫ちゃん……。
欲しい…。