【5D's決闘歌劇】遊星vsジャック【デュエルオペラ】   作:ふれれら

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※小説化ファンノベル【期間限定】2020.4.24 〜2020.6.23
デュエルオペラ公開に寄せて、動画公開終了時まで公開。
あの奇跡に、一生忘れない感謝を込めて。


八年後、ネオドミノシティ

【遊星vsジャック デュエルオペラ】

 

「わたしは感動している! あの熱い第一回フォーチュンカップから、はや十年! 再び彼らのデュエルを実況できるとは!」

 司会者が、興奮気味にリーゼントを揺らした。

「世界王者、ライドエースの八年連続チャンピオン! 我らがキング、ジャックアトラスが指名した地はここ、ネオドミノシティ‼︎ 」

 スタジアムにあふれる大歓声。観衆の熱狂。デュエルを渇望する人々の期待が燃えている。

「対するは、かつてこの地で唯一、キングを破った男! チーム5D'sとしてキングと共にWRGPを戦った仲間であり、この街の英雄! 表舞台から長らく姿を消していたこの男、我々はこの対決を心待ちにしていた! チャレンジャー、不動────遊星ッ‼︎」

 

 ギュインッ!

 宙に飛び出した赤いDホイール。

 

 着地し、ドリフトしてタイヤが火花を散らす。停止した機体から、地面に降り立ったデュエリスト。

 ヘルメットを外した瞬間、歓声が爆発した。

 

「ジャック!全力で来い!!」

 

 準備はもう出来ていた。

 

 八年の歳月は、なかったように鮮やかで。

 遊星の熱い叫びに、伝染したようにジャックが「遊星ッ!」と応えた。

 

「この俺が、貴様に圧倒的な力の差というものを教えてやろう! いくぞ!!」

 

 カウントがゼロを告げる。

 二台のDホイールが、同時に火を噴いた。

 

「「デュエル!!!」

 

『開幕ッ‼︎』

 歓声が爆発した。

『エキシビジョンマッチ────決闘歌劇ッ‼︎』

 

◇ ◇ ◇

 

※公開期間終了につき一部削除

 

◇ ◇ ◇

 

 ガッとアクセルを踏む。散る火花。加速する風の熱さ。澄んでいく心。共鳴していく魂。

 風が、赤く、赤く燃え上がった。

 

「クリアマインド! レベル8の【スターダスト・ドラゴン】に、レベル2、シンクロチューナー【フォーミュラ・シンクロン】をチューニング!!」

 

 加速していく風の中。

 肩にそっと触れるような優しい風が寄り添うのを感じる。

 感じる。風の中に。友を。

 この八年、忘れた瞬間など無かった。

 

「集いし絆が、仲間の魂と重なり合う。照らしだせ! 俺たちの未来のその先を! アクセル・シンクロォォォォォッ!!!」

 

 届け、未来のその先まで。

 

 加速したDホイールが、消える。

 音速を超えた破裂音と共に、遊星のDホイールが、宙を舞った。

 

「これがオレの、新たな絆だ! カモン! 【シューティング・スター・ドラゴン・TG‐EX】!!!」

 

 宙に舞う白銀の竜の背には、友の託したブースター。

 ジャックは大きく目を見開き、純粋な驚愕と歓喜を滲ませた。

 

「おお!! 新たな【シューティング・スター・ドラゴン】か!」

 ジャックが感極まったように感嘆の声を上げた。

 ライバルの声が、あまりに鮮やかに耳朶を打つ。

「俺たちのラストデュエルからはや八年! さらに腕を上げたようだな、遊星!!」

 

 そうだ、八年だ。

 みんなが旅立って、もう八年が経つ。

 

 八年。長いようで、あまりに懐かしく、瞬く間に過ぎていった日々だった。

 まぶたの裏に映るのは、あの日と変わらない仲間の笑顔。

 

 目を閉じて、今はあまりに遠い友を想う。

 

(見ているか、ブルーノ)

 

 もう会えなくても、離れてても。

 決して消えない絆で闘ったデュエルを。

 

(お前に、もう一度……!)

 

◇ ◇ ◇

 

 

※公開期間終了につき一部削除

 

◇ ◇ ◇

 

 Dホイールが、静かに停止する。

 ヘルメットを、脱ぎ去る。

 

 頭を振って、遊星は輝く汗を散らしながら。

 熱く笑った。

 

「今回はオレの勝ちだな、ジャック」

「ふん。次こそ負けんぞ」

 

 ジャックが喉で笑った。

 

 拳をぶつけ合う。

 歓声が、爆発した。

 

「勝者、不動────遊星ッ!!」

 

 

 やがて青の瞳を細めて、柔らかに握手を差し出した遊星を。

 ジャックが片眉を跳ね上げて

 次いで、ニッと笑って、掴んだ。

 

 そのまま、チャンピオンにするように

 ジャックが、高く遊星の手を掲げた。

 

 遊星は一瞬、驚いたように目を丸くして

 次いで、破顔した。

 

 フラッシュは鳴り止まなかった。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 フラッシュは、そこで時を止めていた。

 

 その写真は。いま。

 ネオドミノ決闘記念館にて。

 

 勝者インタビューとして、こんな言葉が刻まれていた。

 

『このデュエルの間、ずっと友のことを想ってました。オレたちは生きていて、いつか命が尽きるけど、仲間との絆は命が尽きても消える事は絶対に無い。全てのカードに意味があって、無駄なカードなんて1つも無くて、その先に出会えた仲間のカードです。もう会えなくても、離れてても、決して消えない絆で闘った────』

 

 遠い未来のその先で。

 

「不動遊星のデュエルが好きなの?」

「うん! 僕もいつか、こんなデュエルが出来るプロデュエリストになりたいんだ」

 

 青い髪の子どもがひとり、熱っぽくパネルを、憧れの目線で見ていた。

 

 宝物のようにカードを抱えながら。

 その子どもは、憧れのデュエルの世界に飛び出した。

 子どもの手の中で、テックジーナスが眩しい太陽を弾いていた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「エクスパンション・ジョイント」とは

異なる二つの存在を繋ぐ「継ぎ目」のこと。

 

構造物は、ただ繋げると外力が掛かって双方が壊れてしまう。

 

しかし、エクスパンション・ジョイントがあれば

破壊されないまま、互いを繋ぐことが出来る。

 

【シューティングスタードラゴン TG-EX】

 

二つの未来を繋ぐ絆は いまも

 

 




【引用文献】

【期間限定公開】遊戯王デュエルオペラ/第一幕『5D’s』/KONAMI
https://youtu.be/3IfHHoGmpPw


不動遊星役:宮下雄也‪(@HonjoJrHigh)様
久々にジャックとデュエルしました。
もう会えなくても、離れてても、決して消えない絆で闘ったデュエルをもう一度見て下さい。
https://twitter.com/honjojrhigh/status/1253266378162753543


この口上を考えてる時、ずっとブルーノの事を想ってました。俺たちは生きていて、いつか命が尽きるけど、仲間との絆は命が尽きても消える事は絶対に無い。だから、俺は彼の言葉を使わせて貰いました。全てのカードに意味があって、無駄なカードなんて1つも無くて、その先に出会えた仲間のカードです。

https://twitter.com/honjojrhigh/status/1208294965463224320


◇ ◇ ◇

おまけ

デュエルオペラ直後、リアル遊星(宮下雄也さま)と同じステージに立ち
「カッコ良かった!おいデュエルしろよ」と書かれたサイン色紙を本当に頂いた件
https://twitter.com/fu_re_re_ra/status/1209109469805731840

一生、あの日のデュエルオペラの感動を忘れない。
その欠片が、あの頃の5D'sを愛する全ての人に届きますように。

2020.4.30 presented by ふれれら

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