世界から忘れられたものが住む幻想郷、その外れにある博麗神社に住む巫女、博麗霊夢こと私には3つの悩みの種があった。
1.お賽銭が中々入ってこないこと(入っても魔理沙に取られてたりする)
2.次々に巻き起こる異変
そして最後の一つは…。
「霊夢さん霊夢さん! 私ははお腹が空きましたです!」
――この、次代の博麗の巫女、博麗
容姿は端麗。つやのある長い黒髪に脇の出ていない蒼い巫女服を着こなし、齢十二らしい無邪気さも併せ持っている。
もちろん紫が拾ってきただけはあり、博麗の巫女としての能力も申し分ない。
但し性格に難アリなのだ。自由奔放、快楽主義、そして家計を圧迫する程の大食漢。
食欲は何処ぞの幽霊お嬢様とタメをはるくらいだろう。
「お腹が空いたじゃないわよこの馬鹿巫女。まだ午前の十時だし。アンタの食費にいくらかかってると思ってんの」
キラキラした眼で見上げる霊歌を小突きつつ、溜息を大きく吐く。その眼にはきっと呆れが現れているだろう。
対する霊歌はそんな私の顔を微塵も気にすることもなく、「だってお腹空いたんですもん!」と駄々をこね続けていた。
全く…。この子には巫女の誇りって言うものがないのかしら…。
そんな事を内心思ったが、こっちはこっちで色々やらかしたり妖怪に賽銭をねだったりと巫女らしからぬ行為をしているのでどっちもどっちかもしれない。
取りあえず、だだっ子は放っておくことに決め、耳を塞いで用事を済ませに魔理沙の家へと向かった。
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同時刻、魔法の森。そこでは打って変わったほのぼのとした姉妹の会話が繰り広げられていた。
「…でね、霊歌ちゃんが茸を食べちゃってさ」
「え!? あれ毒茸なんだが」
「ううん。全然平気そうだった」
「凄いなあの子…」
小さな家の中、まさに寄り添うように長いすに座り、私と
霧雨魔理璃、霊夢ん所の次代の巫女の良き友人であり、私が溺愛する大切な妹である。
博麗の次代の巫女とは違い大人っぽく常識人、雰囲気も大人しく、真っ白な魔女服は彼女の心を表していると村では言われているらしい。
ただ、かなりのビビリであり(まあ可愛いのだが)、実戦になると震え上がって敵前逃亡が日常茶飯事、最悪パニクって味方に弾幕を振りまいたりしてしまう。
今回はそれを何とかするために(何ともならないとは思うが)霊夢を呼んでみたのだ。
待ち合わせ時間は午前十時十五分。そろそろ来る頃か。
そう思い私が立ち上がると、丁度チャイムが鳴った。
「来たわよ~」
「待ってたぜ、まあ上がってくれ」
「いらっしゃい霊夢さん。今お茶をお持ちしますね」
パタパタと走り去る魔理璃を見ながらしみじみと「あんなに良い子が何であんたの妹なのよ…」と恨めしげに軽く呟く霊夢。
「そりゃ、花よ蝶よと育てたからな」
たった一人の大切な妹だからね。と心底嬉しそうに見えるであろう表情で笑う。だが悩みのことを考えると次の瞬間にはもう困ったような顔になり黙り込むしかない。結構深刻なことなのだ。
取りあえずお茶を持ってきてくれた魔理璃を遊びに行かせ、二人っきりになったところで霊夢が話を促した。
「…で、魔理沙はあの子のことどう考えてるの?」
「別に才能がない訳じゃない。ただ能力を上手く引き出せないだけだと思う。そっちは?」
「こっちはもうどうしようもないわね。あれは天性だわ」
簡単な見解を話した後、問い返してきた私に霊夢は首を振りつつ答える。
「もういっそ命蓮寺にでも預けて性根をたたき直して貰うとか?」
「あんなんで治る訳がないし、他の寺社に頼るなんて博麗神社の名折れだわ…」
う~んと私達は頭を抱え考え込む。そのまま―たまーに意見を交わしたりもしていたが―数分たち、いつものようにお開きにしようと私が口を開こうとしたとき、急に霊夢が声を上げながら立ち上がった。
「そうよ! 魔理沙良いこと言ったわ!」
それは余りにも唐突すぎて、私がイスからずり落ちるぐらいの衝撃だった。と思う。
やれやれとイスに座り直し、どうしたんだと私が聞くと、霊夢は自信満々にこう言った。
――私たちが今まで行ってきた場所の妖怪や神に頼んで、弾幕ごっこで性根と根性をたたき直して貰うのよ――
と。