ありふれた職業と共に一刀両断!!   作:籠城型・最果丸

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どうも、書き終わったので投稿します。多数のアンケートありがとうございます。今のところ暫定でオリ主ヒロインにミレディが追加される予定です。

今回はハジメ一行の話です。どこの世界でも女性の年齢の話はパンドラの箱ですから、皆様もお気を付けください。


それでは、お楽しみください。


第十陣 後を追う者達

膵花を狙っていたサソリモドキの尾は、一体のドラゴンに引き千切られた。

 

ドラゴンはサソリモドキの外殻が一部剥がれていることに気づいた。そこへ向かってドラゴンは龍化を解除し、剣を突き立てる。

 

「砕け散れぇぇぇッ!!」

 

そして剣に付いたトリガーを引く。サソリモドキの背中で爆発が起こった。彼はトリガーを何度も引いた。トリガーを引いた分だけ、爆発が起こる。

 

そして〝錬成〟でサソリモドキの外殻を引っぺがし、丸裸にされたサソリモドキに向かって弾を放った。

 

サソリモドキは弾を喰らい、動きを止めた。そして〝彼〟と向かい合う。〝彼〟もサソリモドキを睨みつける。しばらく互いに睨み合った果てに、サソリモドキが倒れた。

 

「はぁ…はぁ…何とか間に合ったな。大丈夫だったか? ()()()()

 

「……ハジメ君……」

 

サソリモドキの屍の上に立つ男……南雲ハジメはドンナーとレオを仕舞った。その姿を見た膵花は安堵の表情を浮かべる。

 

「来の捜索、再開するぞ」

 

「え? ……あ、うん……」

 

真っ先に六十五階層を飛び出したハジメはいち早く膵花の許へ辿り着き、救出に成功したのであった。そして香織、雫、ユエも合流し、来の捜索を再開したのであった。

 

 

ハジメ達は樹海のある階層に降り立った。空気は湿っぽいが、そこまで暑くなかった。

 

五人が階下への階段を探していると、突然地響きが鳴った。地響きの主は頭に向日葵のような花を咲かせた、T-レックスに類似した大型の爬虫類。

 

ハジメがドンナーを抜こうとして、ユエが制するように前に出て、手を掲げた。

 

「〝緋槍〟」

 

円錐状の槍の形をとった炎が恐竜を貫く。恐竜は即死。頭の花が落ちた。

 

「ユエちゃん凄い!」

 

「……私、役に立つ。仲間だから」

 

「……来るよ!」

 

膵花の気配感知が魔物を捉えた。十体ほどが取り囲むように向かってくる。

 

「「「「〝龍化〟!!」」」」

 

ユエを除く全員が龍化を発動させる。ユエはその光景に驚いていた。

 

「……竜人族?」

 

「(ううん、違うよ。ユエちゃんは私の背中に乗って!)」

 

膵花が思念通話でユエに呼びかける。ユエは指示通りにドラゴンとなった膵花の背中に乗る。

 

四体のドラゴンは接近する魔物の群れに飛び込み、爆炎放射を放つ。魔物は姿を現す間も無く焼き尽くされた。

 

ドラゴンとなったハジメ達(ユエを除く)は階段を探して彼方此方(あちこち)を彷徨った。そして壁の縦割れを発見した。

 

縦割れは大の大人二人が並べば窮屈さを感じる狭さだったので、龍化を解除して縦一列になって入った。

 

(ティラノといい、あのラプトル共といい、動きが妙に単調だった気がするな……それに皆頭に花生えてたし……ここに操っている奴がいるのか?この外を幾ら探しても見つからなかったが……)

 

ハジメの読み通り、縦割れの奥にある広間の更に奥の縦割れから張本人がいた。姿形はアルラウネだが、とんでもなく凶悪な顔つきをしている。

 

アルラウネ擬きは緑色のピンポン玉のようなものを多数放ってきた。ハジメ達は次々に叩き落していったが、本体を攻撃しようとすると、突然膵花がアルラウネ擬きを庇うような動きをし出した。頭には花が生えている。

 

「……逃げて……」

 

膵花はアルラウネ擬きに操られてしまっていた。

 

「雫!」

「分かった」

 

ハジメの指示で雫が飛び出した。アルラウネ擬きは膵花を使って雫を止めようとしたが香織が膵花の腹に抱きついた。その隙にハジメが膵花の頭に生えた花を撃ち落とし、緑の玉はユエが炎属性の魔法で焼き尽くす。

 

「今だよ、雫ちゃん……!」

「ありがとう、香織」

 

雫は香織に礼を言った後、再びアルラウネ擬きに狙いを定める。

 

「辻風君……私に力を貸して……」

 

雫は居合の体勢をとり、大きく息を吸った。

 

「【抜刀術 〝風流一閃〟】!!」

 

来の〝紫電一閃〟に影響されたこの技で、踏み込みの速さは来に大きく劣るもののかなり速いスピードでアルラウネ擬きに接近し、その頸を刎ねる。

 

アルラウネ擬きは手足を痙攣させた後、地面に倒れ伏した。そして雫も魔力消費で座り込む。

 

「「雫ちゃん!!」」

 

香織と膵花が雫に駆け寄る。

 

「……大丈夫よ、魔力消費が激しかっただけ」

「よかったぁ……それにしても、さっきの技、辻風くんに似てたよね?」

「ああ、これはね、辻風君の技を応用したの」

 

応用版と言っているが、雫の〝風流一閃〟よりも来の〝一騎当閃〟の方が速い。言ってしまえば劣化版である。

 

ハジメ達はアルラウネ擬きがいた洞窟に拠点を構えた。

 

 

「んっ……そう言えばハジメ達の言ってるライってどんな人?」

 

ハジメの創った拠点で、ユエが唐突に質問してきた。ユエには来という名の人物がどんな人物なのか分からなかった。言われてみればユエは人間をハジメ、香織、雫、膵花の四人しか知らない。

 

ユエの唐突な質問に対し、膵花がまるで最愛の人のことを語るかのように答えた。最愛の人なのだが。

 

「来君はね、誰よりも強くて…誰よりも慈しい(やさしい)人なんだよ」

 

雫は香織に惚気話を聞かされているかのような気分だったが、ユエは目を輝かせている。人の恋愛にも興味があるのだろうか。

 

「ふ~ん。で、膵花はその来って人のこと……好きなの?」

「好きどころか……愛してるよ。彼のこと」

 

ユエを含む全員には、膵花の瞳にハートが浮かび上がっているように見えた。おまけに涎がほんの少し垂れている。大正時代の人間から見ればはしたないことこの上ない。

 

「そう……まあ私にはハジメがいるから」

「おい、いつから俺はお前の彼氏になったんだよ。今の俺は香織一筋だ」

 

香織はユエをボコボコにする気になりかけたが、雫や膵花が必死に抑えた。

 

「……今ってことは、いつかはそうなるってこと」

「ならねぇよ!?」

 

香織の殺意が倍増する。雫と膵花は涙目だ。

 

(……辻風くんは私にとって良いライバルだし……ダメよ雫! 辻風くんには膵花がいるんだから……じゃあハジメさんは? ……それだと香織やユエに申し訳なくなっちゃう……でもどっちかっていうとハジメさんの方が私は好みだし……)

 

雫は葛藤に苛まれていた。雫個人としては来よりハジメの方が好みらしい。

 

(もし仮に…来君のことを他の女の子が好きになった時は……来君は断ると思うけど、私は……側室とかだったらまあいいんじゃないかな? でも正妻の座は私の物よ……ふふふっ♪)

 

膵花は断固反対するかと思いきや割と寛容だった。でも来の正妻の座は誰にも譲りたくないらしい。来とは誰よりも長く連れ添ってきたのだ。

 

その後も五人は拠点で話し合った。

 

「そうすると、ユエって少なくとも三百歳以上なわけか?」

 

「……マナー違反」

「……悪かった」

 

どこの世界でも女性の年齢(出てはいないが体重も)の話についてはご法度だ。

 

四人の記憶では吸血鬼族は三百年前の大戦争で滅びたとされていた。ユエは長年、物音一つしない暗闇の中にいたため、時間の感覚はほとんどなかった。それでもかなりの間封印されていた。二十歳の時に封印されたというから、ユエは三百二十歳位ということである。

 

「吸血鬼って、皆そんなに長生きするのか?」

「……私が特別。〝再生〟で歳も取らない……」

 

十二歳の時に魔力の直接操作や〝自動再生〟の固有魔法に目覚めてから歳を取っていないらしい。

 

吸血鬼の寿命は吸血を行うことで他の種族と比べて長いものの、精々二百年が限度。人間族は七十年、魔人族は百二十年、亜人族は種類によって数百年。だがそれでも、膵花にとっては短く感じてしまう。前世を含めた来と膵花の年齢は亜人族も驚くほど高いのだ。それでもなお、この世ならざる虚空の王には届かないだろう。

 

ユエは当時最強の一角に数えられていた。先祖返りで力に目覚めてから僅か五年で王位に就いたのだ。

 

欲に目が眩んだ叔父はユエを化け物として殺そうとするも殺しきれず、止む無く地下に封印したというのだ。

 

突然の裏切りにショックを受け、混乱したまま封印術を掛けられ、気づいたらあの部屋にいたのだという。奈落に連れて行った方法、封印の方法、サソリモドキについてもユエには一切分からなかった。

 

力について聞いたところ、ユエにはあのおバカ勇者と同じく全属性に適正があるらしいが接近戦は苦手で、身体強化で逃げ回りながら魔法を連射するくらいしかできない。それを魔法の威力でカバーしている。

 

無詠唱で魔法を発動できるのだが、つい癖で魔法名を呟いてしまうようだ。

 

〝自動再生〟については来の持つ〝自己再生〟の上位版かと思われたが、それだけでは無かった。

 

 

違い(ここだけ自動再生をユエ、自己再生を来とする)

 

 

魔力

 

ユエ……魔力が無いと発動しない。

来……魔力の有無に拘らず発動する。

 

 

欠損

 

ユエ……頭を潰されようが問答無用で再生する。

来……四肢や眼球の欠損は再生しない(四肢に関しては固定すれば接着し、問題無く動かせる)。心臓を破壊されれば死ぬ。

 

 

「……この迷宮は反逆者の一人が創ったと言われてる」

 

「「「反逆者?」」」

 

ハジメと香織、雫は反逆者について知らなかった。だが膵花は知っていた。

 

「反逆者って、神代に神に挑んだ神の眷属のことでしょ? 世界を滅ぼそうとしたと伝わってるあの……」

 

「そう。それが反逆者」

 

実際には解放者として世界を救おうとしていた。その真実は現在では来のみが知っている。

 

「この迷宮の最深部に、反逆者の住まいがある」

「そこなら地上への道があるかもな」

「きっと辻風くんはそこにいるのかも……」

「でも道があったとしても行き方が分からないんじゃ……彼、そこに留まっているかも」

「大丈夫だよ雫ちゃん、来君ならきっと行き方を見つけてる」

 

今のハジメ達にとって膵花のその言葉は正しく爆弾発言だった。

 

「ちょっと、それだったら辻風君はもう地上に出ているかもってことじゃない!」

 

まず雫が突っ込む。もしそれが本当ならハジメ達のやっていることはただの徒労でしかない。

 

「だったら地上で待っていた方が早くて楽だな」

 

ハジメも雫に賛同する。

 

「ハジメくんが戻るなら……私も戻ろうと思う」

 

香織もハジメと共に雫に賛同する。

 

「んっ。……私はどっちでもいい」

 

ユエは中立の立場をとった。

 

「そう……皆が戻りたいって思うなら……来君が帰ってくるまで地上で待ってる?」

 

五人は来が既に地上に出ている可能性に懸けて、地上に戻ることにしたのだった……




次回
第十一閃 兎は慄き剣士は廻る

オリ主ヒロインにミレディ・ライセンを追加しようと思っていますが、入れてもいいと思いますか?

  • 入れてもいい(むしろ入れてくれ)
  • 原作重視(入れるな)
  • 死亡回避ならOK
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