ありふれた職業と共に一刀両断!!   作:籠城型・最果丸

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キャラクター紹介

名前 辻風膵花(旧姓 滝沢)
性別 女性
年齢 700歳以上(来と同い年)
身長 173㎝
体重 63㎏
天職 幻術師
得意武器 槍、刀
得意属性 水
誕生日 12月24日
星座 山羊座
好物 来の手料理なら何でも

本作のオリジナルヒロインかつオリ主のメインヒロイン。来とは前世からの夫婦。南雲ハジメ、白崎香織、八重樫雫とは親友。光輝から好意を寄せられているが、膵花は来一筋である。
性格は温厚かつ寛大。キレることは滅多にない(簡単に言えば嘴平伊之助が人の名前を正しく言える確率。つまり七回に一回)。彼女を本気で怒らせるのは大抵(というかほとんど)檜山達か光輝。クラス三大女神が一人(残りは香織と雫)。
槍術、剣術に長けており、特に槍術の方はトータスでは敵なし。剣術の方はこちらも光輝を上回っている。
本作ではハジメの作った刀と槍、〝マーシフル・レイン(干天の慈雨)〟を用いるが、前世では七星刀のうちの一つであり、来の所有する〝舞鱗〟と対を成す雌の刀、〝眼鱗〟を使っていた。


第十五陣 ハルツィナ樹海

七大迷宮の一つにして、深部に亜人族の国フェアベルゲンを抱える【ハルツィナ樹海】を前方に見据え、大型馬車二台と数十頭の馬、そして魔力駆動の二輪アーティファクト、〝飛脚(ひきゃく)〟がそれなりに早いペースで平原を進んでいた。この魔力駆動の二輪走行アーティファクトは〝八咫〟の機能の一つで、魔力で走り、流した魔力の量でスピードを調節できる優れた代物である。また、魔力は座席の下に設置してある神結晶製のタンクに詰め込む電池式であり、自分の魔力が枯渇しても走らせることができる。魔力を直接〝飛脚〟につぎ込むこともできるが、魔法ではないので魔力が分散してしまうライセン大峡谷でも問題なく走らせることができる。本当はリニアモーターカーのように浮かせたかったのだが、生憎その手段が思いつかなかったので二輪にした。だが機体を浮かせる手段が手に入れば即改造する予定らしい。ちなみに四輪もある。

 

〝飛脚〟には、来の後ろにシアが乗っている。当初、シアには馬車に乗るよう指示したのだが、シアは二輪に乗ると言って聞かなかったため、仕方なく後ろに乗せてもらっているのである。

 

シアとしては、初めて出会った〝同類〟である来と、もっと色々話がしたいようだった。来にしがみついて上機嫌になっているが、彼女が気に入ったのは座席か来の後ろか……それは彼女にしか判らない。

 

一方の来はというと、二輪を走らせながら遠くを見つめていた。

 

そんな彼にシアが声を掛ける。

 

「あの、あの! 来さんのこと、もっと教えてくれませんか?」

「能力のことは全て話しただろう?」

「いえ、能力とかそういうことではなくて、なぜ、奈落?という場所にいたのかとか、旅の目的って何なのとか、今まで何をしていたのかとか、来さん自身のことが知りたいです」

「……聞いてどうするんだ?」

「どうするというわけではなく、ただ知りたいだけです。……私、この体質のせいで家族には沢山迷惑をかけました。小さい時はそれが凄く嫌で……勿論、皆はそんな事ないって言ってくれましたし、今は、自分を嫌ってはいませんが、……それでも、やっぱりこの世界のはみ出し者のような気がして……だから、私、嬉しかったのです。貴方に出会って、私みたいな存在は他にもいるのだと知って、一人じゃない、はみ出し者なんかじゃないって思えて……勝手ながら、そ、その、な、仲間みたいに思えて……だから、その、もっと貴方のことを知りたいといいますか……何といいますか……」

 

次第に小声になって身を縮こまらせるシア。そんな彼女に来は何とも言えない表情になる。シアはずっと気になっていた。あの時、谷底でも魔法のようなものが使える理由など簡単なことしか話していなかった。

 

樹海に到着するまで、まだ時間はかかる。特段隠す必要などないものばかりなので、暇つぶしにはなるだろうと、来はこれまでの経緯を語り始めた。

 

「……僕は好きで奈落にいたわけじゃない。ほんの数か月前まで僕はとあるパーティの一員だった。そのパーティの中で一番強かったんだよ? でも、それを疎ましく思っていた輩がいたみたいで、訓練では何度も衝突していたよ。トラップに掛かって転移させられた先で僕は親友と共にベヒモスと戦った。その時に親友の錬成師に作って貰った刀を折ってしまったんだ」

「刀? 貴方が今腰に差している武器のことですか? でも、折れたならなんで持ち続けているんですか?」

「この刀は奈落の底の底にあった住居にあったよ。ああ、話がそれてしまったね。魔力が共に底をつき、僕は親友と共に撤退した。ベヒモスに向かって仲間達が色んな属性魔法を撃ったんだ。ところが、その中の一人、恐らく軽戦士の奴が親友の前に魔法を放ったんだ。親友は大きく吹き飛ばされ、疲労で視界を奪われていた僕の身体を剣で貫いた。その直後に橋が崩壊して、血を大量に流して倒れていた僕は逃げ遅れて奈落に落ちた……」

 

来の凄惨な経緯を聞いた結果……

 

「うぇ、ぐすっ……ひどい、ひどすぎまずぅ~、来さんがわいぞうですぅ~。そ、それに比べたら私はなんでめぐまれて……うぅ~、自分がなざけないですぅ~。私は、甘ちゃんですぅ……もう、弱音は吐かないですぅ……」

 

滂沱の涙を流して号泣していた。来の(オスカーの)外套で顔を拭いている。自分以上に大変な思いをしていたことを知り、不幸顔していた自分が情けなくなった。

 

(あの頃の僕と同じだ……)

 

来は遠き日の記憶を思い出していた。

 

 

 

 

それは、遥か遠い昔、来が元居た世界でのことだった。

 

その時はまだ、膵花とは恋人の関係ですらなかった。

 

来には両親と弟が一人いた。家が食事処だったから、来は料理が出来た。それなりに繁盛していたようで、生活には困っていなかった。

 

或る日、来が食材の買い出しから帰ると、いつもならいるはずの父親と母親、弟がいなかった。来を十四年も愛情を込めて育ててきた両親だ。彼を捨ててどこかにいくはずが無かった。

 

必ず帰ってくると信じて、来は待ち続けた。店の営業をしながら、ずっと待ち続けた。しかし、三人が帰ってくることはなかった。

 

両親と弟が姿を消してから一年が過ぎた或る日、誰かが家を訪ねた。来は両親と弟が帰って来たと思い、希望を目に宿しながらドアを開いた。しかし、そこに両親と弟の姿はなく、代わりに市政職員が立っていた。来は職員からの話を聞いて絶望した。

 

一年前に抗争が発生し、両親は抗争に巻き込まれ死亡、弟は行方不明になった。

 

来は一晩中泣き続けた。突然の家族の死の報せを受け入れるのにかなり時間をかけた。

 

両親の遺品を整理していた時、古い書物が見つかった。その書物には、驚きの事実があった。

 

両親とは血が繋がっていなかったのだ。更に、自分が四百年以上前の剣豪の末裔であることが分かった。

 

訃報を受けてから一月が経ち、来は両親が息絶えた場所に赴いた。抗争があったその場所は、未だに瓦礫が散乱していた。

 

来は花屋で買った花束を瓦礫で作った墓石の前に置き、合掌した。墓石には、「風見幸一」と「風見里沙」の人名が刻まれていた。

 

(さようなら、父さん、母さん。血は繫がってなくても、家族として大好きだったよ)

 

帰り道の途中、来は一人の少女と出会った。その少女は、縹色の髪に藍色の瞳をしていた。満月に照らされたその姿は、まさに月下美人。しかし、その綺麗な容姿は薄汚れていた。

 

来はその少女に声を掛けると、少女は怯えた様子で応えた。

 

『…来ないで……』

 

来は心が痛くなった。彼女が何に怯えているのかは知らないが、自分はこの娘を救いたいと思った。

 

来はその少女を家に連れて帰った。家に着くや否や、来は少女のために風呂を沸かし、少女を風呂に入れてあげた。流石に一緒に入ったら色々と不味いので、風呂場の外で待っていた。

 

少女が風呂から上がると、少女は尋ねた。

 

『どうして、見ず知らずの他人に優しくできるの?』

『…人に優しくしなきゃ、生きていけないんだ、僕。両親が死んで、僕は独りぼっちになった。両親は僕にとても優しくしてくれた。人に優しくしたら、あの頃の幸せな暮らしに戻ったような幸福感に包まれるから』

 

少女は、『こんな優しい人もいるんだ』と思った。

 

『ねえ、名前は何て言うの?』

『僕は来、辻風来。君は……?』

 

辻風という苗字を聞いた瞬間、少女の表情は恐怖のあまり引き攣った。

 

『…殺される』

 

その時の来には意味が分からなかった。

 

『貴方の家族を……私の家族が殺しちゃったかもしれないの……』

 

少女は、滝沢膵花と名乗った。

 

膵花の家は来の生家と衝突していた一族で、来が生まれる前に、辻風一族を追い詰めて滅ぼした。しかし、一族には生き残りがいた。生き残りが集まって滝沢一族に奇襲をかけた。そうして起きた抗争で、来の育ての両親は命を落とした。

 

それを知ってもなお、来は彼女を邪険に扱わなかった。心優しい彼は、復讐の連鎖を繋げたくなかったのだ。

 

膵花は、来の優しさに少しずつ心を許し、やがて恋に目覚めていった。

 

来も、膵花と共に過ごすうちに彼女への恋が芽生えていった。

 

来と膵花が十七になったある日、二人は墓参りに行っていた。

 

不幸が訪れたのはその帰り道だった。何者かに膵花を連れ去られ、来は頭を金属棒で殴打され、意識を失った。薄れゆく意識の中、彼が最後に見たのは膵花の絶望に歪む表情だった。その後二年間、来は全ての記憶を失っていた。

 

 

 

 

しばらくめそめそとしていたが、突如、決然とした表情で顔を上げると拳を握り宣言した。

 

「来さん! 私、決めました! 貴方の旅に付いていきます! これからは、このシア・ハウリアが陰に日向に貴方を助けて差し上げます! 遠慮なて必要ありませんよ。私達はたった二人の仲間。共に苦難を乗り越え、望みを果たしましょう!」

 

(この娘からは天之河のような生半可な決意を感じない。本気で僕に付いていく気だ……自分の家族という存在を案じて、一族の意を裏切ってまで彼らを守ろうというのか? ……泣きたくなるような(やさ)しさだ……だけど……)

 

「いいのか? 七大迷宮は化物揃いな処ばかりだ。今の君じゃ確実に瞬殺、はっきり言って足手纏いだ。少し時間をやる。それでもなお付いていくという意志が変わらないのであれば、考えてやる」

 

来の口から容赦のない言葉が発せられ、シアは落ち込んだように黙り込んだ。それからの道中、二輪の座席に座り込み、何かを考えこむように難しい表情をしていた。

 

それから数時間、一行は【ハルツィナ樹海】と平原の境界に到達した。樹海に一歩踏み入ればたちまち霧で覆われる。

 

「それでは来殿、中に入ったら決して我らから離れないで下さい。貴方を中心にして進みますが、万一逸れると厄介ですからな。それと、行き先は森の深部、大樹の下で宜しいのですな?」

「ああ、聞いた限りでは大樹が七大迷宮と深く関わっているようだし」

 

峡谷脱出時にカムから〝大樹〟について聞いた。【ハルツィナ樹海】の最深部にある巨大な一本樹木で、〝ウーア・アルト〟と呼ばれ、神聖な場所として滅多に近づく者はいないとのことだ。

 

当初、【ハルツィナ樹海】そのものが大迷宮かと思われたが、魔力を持たない亜人族が住処にしているあたり、奈落の底の魔物と同等の脅威はいなさそうだ。【オルクス大迷宮】のように真の迷宮の入口が〝大樹〟にあるのだろうと睨んだ。

 

カムは来の言葉に頷き、周囲の兎人族に合図を出して守りを固めた。

 

「来殿、できる限り気配は消してもらえますかな。大樹は、神聖な場所とされておりますから、あまり近づく者はおりませんが、特別禁止されているわけでもないので、フェアベルゲンや、他の集落の者達と遭遇してしまうかもしれません。我々は、お尋ね者なので見つかると厄介です」

「承知」

 

来は〝気配遮断〟を発動させた。ただ、あまりに気配を絶ち過ぎると兎人族でさえ見失ってしまう危険性があるため、ほどほどに気配を絶つ。

 

「……こんなものか?」

「はい、結構です。全力で気配を殺されては、我々でも見失いかねませんからな。いや、全く、流石ですな!」

 

兎人族の唯一の強みをあっさりと凌駕され、カムは苦笑いだ。

 

「それでは、行きましょうか」

 

カムの号令と共に一行は、カムとシアを先頭に樹海へと足を踏み入れた。

 

しばらく、道なき道を突き進む。視界を濃い霧が遮るが、カムの足取りに全く迷いがない。現在位置も方角も完全に把握しているようだった。

 

(如何に霧で視界を奪おうとも、流石に魔力と音まで絶つことはできまい)

 

来は蝙蝠や海豚が使うような超音波を放ち、、周囲の索敵をしていた。視界が漁船のソナーのように映るので、霧に邪魔されることなく進めている。自動ドアが三回に一度しか作動しない程の影が薄い遠藤ですら来の目からは逃れられないのだ。

 

順調に進んでいると、突然カム達が立ち止まり、周囲を警戒し始めた。複数の魔物に囲まれているようだ。本来なら自慢の隠密力能力で逃走を図るところだが、今回はそうはいかない。皆一同、緊張の表情を浮かべている。

 

と、突然来が妖術を発動させた。

 

「【妖術 〝鳴時雨〟】」

 

兎人族の周りに雷の弾が時雨の如く降って来た。下手な鉄砲も数撃てば当たるもので、三つの何かが倒れる音と、悲鳴が聞こえた。そして、慌てたように霧の中から四本腕の猿が二匹、近くの子供とシアに飛び掛かって来た。どうやら残りの一匹は〝鳴時雨〟で息の根を止められたらしい。

 

近くの大人達が二人を庇おうとするが、猿の頸が二つの手裏剣で斬り飛ばされた。手裏剣はブーメランの要領で投げた方へ戻っていき、それを来が二つともキャッチした。

 

「あ、ありがとうございます、来さん」

「お兄ちゃん、ありがと!」

 

シアと男の子が窮地を救われ礼を言う。来は気にするなと手を振った。男の子はキラキラした目で来を見ていた。一方のシアはというと、何も出来なかった自分に肩を落とした。

 

(はぁ、これじゃあ来さんに旅のお供にさせて貰えないですぅ~。自分が情けないったら情けないですぅ~)

 

その様子にカムは苦笑いするしかなかった。来から促され、先導を再開した。

 

その後も道中で幾度となく魔物に襲われたが、全て来によって退けられた。来にとって樹海の魔物は問題なく始末できるのだった。

 

しかし、樹海に入って数時間過ぎ、今までにない無数の気配に囲まれ、来達は歩みを止める。数と殺気、連携の熟練度も、今までの魔物とは比べ物にならない。カム達は忙しなく兎耳を動かして必死に索敵を行っている。

 

そして、何かを掴んだのか苦虫を噛み潰したような表情を見せた。シアに至っては顔面蒼白だ。

 

来も相手の正体に気がついたようで、面倒そうな表情になった。

 

「お前達……何故人間といる! 種族と族名を名乗れ!」

 

豹柄…いや、虎柄の耳と尾を付けた、筋骨隆々の亜人だった……




次回
第十六閃 蜥蜴狩り

オリ主ヒロインにミレディ・ライセンを追加しようと思っていますが、入れてもいいと思いますか?

  • 入れてもいい(むしろ入れてくれ)
  • 原作重視(入れるな)
  • 死亡回避ならOK
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