ありふれた職業と共に一刀両断!!   作:籠城型・最果丸

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どうも、最果丸です。

お気に入り登録者数100人超え&閲覧数10000回突破ありがとうございます!!
今後とも精進していきますので、応援よろしくお願いいたします!

今回の話は夜叉竜さんの二次小説に影響されて書きました。ですが、もしかしたらこの話を一から書き直すことになるかもしれません。


今回からコメント欄でキャラについての質問コーナーを開設します。キャラについて知りたいことがあれば、コメントお願いします。


キャラクター紹介

名前 南雲ハジメ
性別 男性
年齢 17歳
身長 163㎝
体重 69㎏
天職 錬成師
得意武器 銃火器(来から剣術も教わっているが、適正は薄い)
得意属性 無し
好物 来の手料理(ハジメ曰く、これで食っていけそうな程美味い)

原作及びこの物語の主人公。もう一人の主人公とそのメインヒロインの来と膵花とは幼馴染。地球ではいじめられっ子だが、来と膵花に守られている。しかし自分にとってはそれが悔しいようで、力を付けていつか二人を見返したいと思っている。
性格の方は温厚だったが、ユエとの出会いを経て檜山に対し深い恨みを持つようになり、一人称が僕から俺に変わる。
剣術はトータスで来から教わる。だが訓練内容はメルドもビックリな程の鬼畜。木刀で殴られ続けた為、耐性がかなり伸びている。その結果、檜山如きなら余裕で打ち倒せる程の戦闘力を手に入れた。
本作では主にドンナーとシュラークを用いるが、自作した剣を改造したレオもよく用いる。また、来以外にも膵花や雫にも自作の刀を贈っているが、耐久性は普通より少し高い程度であり、来に渡した刀は二度折れてしまった。


第十六陣 蜥蜴狩り

光輝達一行は馬車に揺られながら訓練のためとある場所へ向かっていた。ハジメ達も同じ馬車に乗っている。馬車の中でもハジメと香織はイチャついている。

 

「またこいつらと訓練しなきゃならないのかよ……」

「頑張ってハジメくん! 来くんに追いつくんじゃなかったの?」

「ん。ハジメは私の恋人。だから頑張れる」

「ユエちゃん? ワ・タ・シの・ハジメくんとあんまり私の前でイチャつくのはちょっと控えてくれるかな?」

「香織! 我慢よ……膵花も何か言ってあげてよ!」

「嗚呼、愛しの来君……早く私を迎えに来て……」

「こっちはダメね……」

 

ハジメ一行が騒いでいると、KY(空気読めない)おバカ勇者が割り込んできた。

 

「香織、雫、膵花、俺とも話を……」

「何?」

 

膵花が敵意剥き出しの応答で光輝を黙らせた。

 

「ん? おい、馬車を止めろ」

 

苦笑いで見ていることしかできないメルドはふと外を見ると、突然馬車を止めた。

 

「どうしたんですか?」

「外の様子が変だ、まず俺が外を見る。安全が確認されるまで、絶対に外へ出るなよ」

 

メルドは馬車から降り、部下を数人連れて付近の安全を確認する。安全を確認すると、光輝達に馬車から降りるよう指示を出した。

 

「な、何だこれは……!?」

 

光輝は目に飛び込んできた光景に動揺を隠せなかった。

 

「これは酷い有様だな……」

 

ハジメも同様である。一応言っておくが、決して狙って言った訳ではない。光輝と()()に、ハジメも()()を隠せていないだけである。

 

村は全ての家屋が破壊されており、生存者の姿が見られなかった。

 

「このような村が他にも複数あるかもしれん。まずは生存者がいないかこの村を探索する。くれぐれも気を抜くなよ」

 

メルドの指示で光輝達は村の探索を行う。

 

村跡を探索していると、遠藤が何か見つけたようだ。

 

「おい、あそこに誰かいないか?」

 

遠藤が指差す方向に誰かが瓦礫の下敷きになっていた。

 

「本当だ、確かに誰かがいる。早く助けださないと!」

 

光輝達の中でもガタイの良い龍太郎と永山が瓦礫を取り除く。髪が短かったから男性かと思ったが、倒れていた人は女性だった。

 

「うぅっ……」

 

彼女はまだ息がある。だが身体中傷だらけで虫の息だ。

 

「えっ……」

 

膵花にはこの女性に見覚えがあるようだった。

 

「そんな……嘘でしょ……ハジメ君! 神水を飲ませてあげて!」

 

膵花に言われるがままにハジメは持っていた神水を女性に飲ませた。神水の強力な回復効果で女性の傷は癒えていき、自力で立てるまで回復した。

 

「あれ……アタイ、生きてる……」

「おい、大丈夫か? ここで何が遭った?」

「アタイは確か()()()に襲われて……!?」

 

女性は膵花に気づくと、突然膵花の許へ歩み寄った。

 

「アンタ……もしかして嬢ちゃんかい? 随分小っちゃく見えるけど……」

「ヘールボップさん……」

「そうだよ……今まで何処行ってたんだよ!! アンタがいなくてめちゃくちゃ寂しかったんだよ……」

 

プリズムと呼ばれた女性は膵花を抱きしめた。膵花も涙を流しながら抱き返す。

 

「膵花さん……その人は一体?」

 

膵花はハジメに女性を紹介する。

 

「この人はプリズム・ヘールボップさん。私の知り合いだよ」

「……え?」

「「「「「「「ええええええええええええ!?」」」」」」」

 

その場にいた全員が驚いた。

 

「膵花さん……随分と日本語が上手な外国人の知り合いがいたんだな……何処出身なんだ?」

 

ハジメが聞くと、ヘールボップは首をかしげた様子でハジメに言う。

 

「日本語? 外国人? 何だいそりゃ? アタイは新都出身だよ」

(新都? 聞いたことないな……俺達の世界とはまた別の世界から来たのか……)

「安心してくれプリズム、俺達が来たからにはもう大丈夫だ。だから……」

 

光輝の顔面に強烈なパンチが入る。顔だけイケメンの光輝が女性に思いっ切り打ん殴られたことにハジメ、香織、雫、膵花が思わず吹き出した。

 

「何人の下の名前勝手に呼んでるんだよ! アンタ歳はいくつだい!?」

「じゅ、17だけど……」

「アタイより八つ年下のくせに調子乗ってんじゃないよ女たらし!」

 

そしてまたぶん殴られる。

 

ヘールボップの言っていることは何一つ間違っていない。過去に()()()()()()と知り合っている。ただしその男は光輝とは違い、女性を口説くことは()()()()()()一切無かった。(感じ方の問題)

 

「それで、ここで一体何が遭ったんだ?」

 

ハジメがヘールボップから何が遭ったのかを聞き出す。

 

「この村はバケモンにやられちまったよ……ギルドから依頼があって、そのバケモンの討伐の為に大勢でこの村に来たんだ。でも、皆あっという間にやられちまった」

「その化け物はどんな見た目をしていた?」

「霧でよく見えなかったが、そいつは上半身が蜥蜴で、下半身が蛇のような見た目をしていたんだ……」

 

(脚が二本しかない蜥蜴……何処かで見た覚えがあるわね……)

 

「どうかしたの? 膵花ちゃん」

「へ? いや、何でもないよ……」

「そう? ならいいけど……」

 

鈴が考え事をしている様子の膵花に声を掛けた。

 

「オルクス大迷宮のサソリモドキみたいな奴がうようよいるのかよ、これはちょっと厳しいかもな」

 

今のハジメはかなり強いが、それでも勝てるかどうか分からない程の強さと見た。

 

「村をあっという間に壊滅させるような化け物……俺達でも勝てるのかな……やっぱアイツ(辻風)がいないとダメな気がしてきた」

「何を言ってるんだ! 俺達ならやれるはずだ! 何時までも死んだ奴に構うな。どんなに弱音を吐いても、あいつは()()()()()()()()()()()()

 

光輝が弱音を吐いている男子生徒を勇気づけていると、突然膵花が青筋をピキッと音を立てながら浮かび上がらせた。近くで香織と雫、ユエが抑えている。光輝は最近膵花の怒りを買いすぎだと思う。

 

ヘールボップはそんな膵花の様子を見ると、思い出したように尋ねた。

 

「……そうだ、嬢ちゃん! アンタがここにいるなら、白狐もここにいるんだろ?」

「白狐……来君なら今ここにはいないけど……」

「ちっ、いないのかよ……だけどアイツのことだ、どっかで生きてるだろ」

 

二人の会話に全員ついていけていなかった。

 

「おい膵花、白狐って……」

 

また光輝がヘールボップに殴られた。ハジメ一行はまた吹き出した。

 

「おいアンタ、何人妻を呼び捨てにしてんだい! 嬢ちゃんはアンタのもんじゃないだろうが!! それに、アイツ(白狐)はそう簡単には死ぬような軟じゃないよ!!」

「いやしかし……」

「アンタにアイツの何がわかるってんだい! アイツは、想い人の為なら命だって平気で投げ出すような奴だよ! 元々の運がいいんだろう、それでもしぶとく生き残るんだ……アイツが死ぬなんて天地が裂けても有り得ないね」

 

光輝達よりも来と知り合った時間の方が圧倒的に長い。ちなみにヘールボップの想い人は同じパーティを組んでいた魔術師の青年である。

 

「ヘールボップさん、ここは私達に任せて、貴女は戻って下さい」

「そうかい、なら頼むよ。絶対死ぬんじゃないよ!!」

 

ヘールボップはギルドに報告しに村を後にした。

 

「さて、我々は探索の続きだ。ここから東西に二つ村がある、永山達は西の村を、檜山達は東の村の様子を見に行って来てくれ」

 

メルドの指示で永山達は西の村へ、檜山達は東の村へ向かった。残った者はこの村を探索する。

 

 

「大小様々な足跡が残っている……どうやら複数体いるようだ。用心して掛かれ」

 

村中の至る所にに足跡が付けられている。一部はベヒモスよりも大きいものもいるようだ。

 

光輝達が村跡をしばらく散策していると、ユエが何かを見つけた。

 

「んっ……見て……骨が……いっぱい……」

 

村跡の中央に意図的に掘られた窪みが開いていた。窪みの中には魔物が今まで喰らったであろう獲物の白骨死体が散乱していた。その中には金ランクの冒険者のものも入っていた。

 

「これはまるで生き物の縄張りだな」

 

窪みにはいくつもの穴が開いており、言うなれば土竜の巣だ。

 

「それにしたっておかしいわね」

「雫ちゃん? おかしいって、どういうこと?」

 

雫は異常にいち早く気づいたが、香織は解らない様子だった。

 

「これだけ人や生き物を食べてるってことは、かなり獰猛なはずよ、例の魔物。でも私達の前に姿を現さない……穴に近づいても何も起こらなかった……おかしいと思わないの?」

「それは……そうだけど……」

「魔物が巣を棄てたってことも……」

「それはないわ。この死体を見て。まだ肉が付いてる。これは捕食されてからそんなに時間が経ってないってことなの」

 

今日の雫はいつになく頭が冴えていた。探偵ものの小説をハジメから借りて読んでいたのが役立っている。

 

「あ……ああ……」

 

膵花は魔物の巣を見て、突然震えた声を出した。

 

「どうかしたの? 膵花ちゃん」

 

香織が声を掛けるも膵花はじっと巣を凝視していた。そしてメルドに訊ねた。

 

「おかしなことを聞きますが、その目撃者が魔物を見たのは、何時の時間帯ですか?」

 

膵花は一連の事件の犯人が判ったようだ。だがその他の者達がついてこれていない。

 

「ああ……たしか、陽が沈んだ後だったそうだが……それがどうかしたか?」

「やっぱり……」

 

膵花は確信していた。間違いない、犯人は奴しかいない。

 

「やっぱりって、一体何のことだ?」

 

今度はハジメが尋ねる。ハジメは図書館で魔物の本を読み漁っていたから大抵の魔物なら知っている。

 

「村を壊滅させた魔物……あれはおそらく新種の魔物だと思う。ハジメ君、この魔物に見覚えがある?」

 

膵花は目撃情報を参考に地面に描いた絵を指し示した。後ろ脚の無い蜥蜴の姿をしている。

 

「ん? 見覚えが無いな……映画に出て来る怪獣か何かか?」

「ハジメ君は図書館で魔物についての本を私と一緒に読んだから、大抵の魔物なら対処法を知ってるの。でもハジメ君が知らないっていうから、本には書かれていない未知の魔物だというのが判るでしょ?それに、陽が沈んだ後に姿を見たという証言と今私達が探している昼間には全く姿を現さない……これが何を意味しているか解る?」

「あっ!」

 

どうやらハジメは解ったようだ。

 

「その魔物は夜の間にしか活動しないってことか?」

「正解」

「それじゃあ私達は夜になるまでここで待たないといけないの!?」

「本当に討伐できるのかな……」

 

鈴が怯えた様子で声を上げた。恵里もそれに続く。そこへ光輝が二人を鼓舞しようとする。

 

「魔人族め……こんな恐ろしい魔物を操って沢山の人を殺すなんて……許せない! 大丈夫だ皆、俺達ならきっと討伐できるはずだ!」

 

そこへハジメの鉄拳が入る。

 

「まだ魔人族が絡んでいると決まったわけじゃないだろ。あれを見てみろ、食い散らかされた死体が一か所に集まってる。それに、相手は未知の魔物だ。お前の根性論で俺達まで全滅させる気なのかよ」

「何だと……それじゃあお前は俺達じゃ勝てないって言いたいのか!?」

「ああ、お前みたいな奴なら真っ先に餌食になるのがオチだ」

 

ハジメはこれでもかと言わんばかりに光輝を煽る。ハジメの言う通り、窪みには一か所に人の骸が捨てられている。比較的村の規模は少ないが、明らかに村の人口を超えている。東西二つの村にもこういった廃棄場があるのなら、これは紛れもなく此処を住処にしている印。魔人族が繰る魔物なら勿論そんなことをするはずがない。魔人族が魔物を此処に住み着かせる理由がないのだ。それをするくらいなら他の村を襲撃させるはず。

 

そこへ一人の騎士が窪みの穴から出てきた。

 

「団長! 村跡の魔物の巣は地下で繋がってます!」

「何!? 他の者はどうした?」

「それが……例の魔物と地下で交戦中でして……」

 

メルドは青ざめた様子で指示を出した。

 

「お前ら、今すぐ巣穴を通って地下へ急ぐぞ!」

 

光輝達は窪みの穴から魔物の巣に入っていった。

 

 

時を遡って光輝達が探索を開始した頃、永山達は西の村に到着していた。

 

「な、なんだこれは……」

 

西の村も酷い有様だった。建物は全て瓦礫と化し、無数の足跡が付けられている。そして霧に覆われていて視界が悪い。

 

「あっ!?」

 

遠藤浩介が声を上げる。

 

「どうした!?」

「今、瓦礫の間を何かが通ったんだ。かなりデカいぞ!!」

 

永山が浩介の指差す方向に目をやるも、何もいない様子だった。

 

「何もいないぞ? 本当に通ったのか?」

「本当だ! 瓦礫の間を凄いスピードで…」

 

瞬間、地面が崩れ、永山達は地下へ落ちてしまった。

 

 

地下に落下してしまった永山達は檜山達と合流し、魔物が掘ったであろう地下空洞で魔物と交戦中だった。魔物の見た目は証言通り二本腕の大蜥蜴で、地面を滑るように素早く移動するため、攻撃を当てるのが非常に困難である。

 

「くそっ、こいつら速過ぎる!」

 

永山は攻撃を一つも当てられないことに苛立ちを感じていた。こちらがいくら攻撃しようと、相手はそれを悉く躱してしまうのだ。

 

(不味い……このままじゃ全滅してしまう……)

 

その時、鋭い音が二度空洞に響き、蜥蜴に命中した。蜥蜴は音がした方向に向かって吠えた。

 

「……あれは……!?」

 

永山達の許へ真っ先にハジメが駆けつけた。

 

ハジメはドンナーとシュラークを仕舞い、背中のレオに手を掛けた。そして蜥蜴へ向かって勢いよく飛び掛かった。

 

「砕け散れ!!」

 

蜥蜴の首筋にレオの刀身が喰い込み、ハジメがトリガーを引くと爆発が起こった。蜥蜴は地面に倒れ込み、ハジメは無傷で着地した。

 

「南雲!」

「こいつらは俺達が殺る。お前達は援護に回れ」

 

ハジメの指示で永山達は最前線から退いた。それと入れ替わるように香織、雫、ユエ、膵花、光輝、龍太郎、恵里、鈴が前に出る。

 

「妖術 〝油霧〟!」

 

膵花が〝油霧〟を発動させ、味方の炎属性の攻撃魔法の威力を強化する。

 

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ――〝螺炎〟」」」

 

香織、恵里、鈴の放つ攻撃が蜥蜴を包み込み、文字通りの圧倒的火力で焼き尽くした。

 

(やっぱり地下で生活できるように進化したせいで炎属性に弱くなってる……)

「おい、蜥蜴はあとどれくらいいる?」

 

ハジメが永山に聞いた。

 

「さっき焼き殺した奴も含めて残りはあと五体だ」

 

今この空間に二体、無数の穴のどれかに三体、この調子ならすぐにでも討伐できそうだった。ところが、蜥蜴達は突然攻撃を止め、穴に入っていった。

 

「何だ? 急に動きが変わったぞ」

「恐らく、外はもう夜なんじゃないかと思う」

 

永山達も加え、一行は来た穴を戻っていく。外へ出ると既に日は落ちている。

 

「早く奴らを見つけないと周りの村にも被害が出るぞ」

「それは多分無いわ。奴らは私達をこの窪みに誘い込んで一網打尽にする気みたい」

 

膵花の読み通り、一行は大小五体の魔物に囲まれていた。〝油霧〟の効果はまだ継続中である。

 

(ん? 様子が変だ……()()してるぞ……!)

 

永山は蜥蜴同士が吠え合っている様子に何か気づき、皆に警告する。柔道をやっていた為、相手の動きを読むことができる。

 

「こいつらは会話をする程知能があるぞ! 何か罠を仕掛けているかもしれない」

 

永山の警告を聞き、メルドが的確な指示を出す。やはりこういった司令塔はメルドの方が適任だと、ハジメは感じた。

 

「よし、聞いたかお前達! 奴らは知性を持っているようだ。ならば我々もそれ相応の策を見せつけてやれ! 永山達は比較的小柄な三体を相手どれ! 残る大柄な二体は俺達がやる」

 

永山達は散り散りになり、蜥蜴の方はそこそこ機動力の高い方である四、五メートル台の三体を差し向けた。

 

残った大型の個体のうち、二十七メートルともう一方と比べて少し小さめの個体が尾を振って来た。それを盾役の龍太郎が防御する。

 

「今だ!」

 

龍太郎の合図で膵花が飛び出した。それと同時に光輝も技を発動させる。

 

「飛沫ノ舞 〝稜鱗(ぜいご)削ぎ落とし〟!!」

「万翔羽ばたき 天へと至れ 〝天翔閃〟!」

 

刀身に水を纏わせ、膵花が蜥蜴の背中を切り裂き、光輝の放った光刃が蜥蜴の腹を斬りつけた。

 

「「「ここに焼撃を求む 〝火球〟!」」」

 

魔法組が威力強化された火球を放つ。蜥蜴の方は着実にダメージを負っている。

 

「ユエ!」

「ん……〝蒼天〟」

 

ハジメは銃弾を放ち、ユエは上位の攻撃魔法、〝蒼天〟を放つ。二つの銃弾と青い炎が合わさり、蜥蜴の魔物を射抜いた。蜥蜴の身体は心臓の位置に風穴が開き、そのまま地面に倒れ伏した。

 

 

一方、永山達の方では、檜山達小悪党組が三体の蜥蜴に攻撃を仕掛けていた。だが、碌に訓練をしていなかったことが祟り、中野、斎藤、近藤が尾で殴り飛ばされた。残った檜山は三体の魔物に穴の方へ追い詰められていた。そして、三体が穴の方へ咆哮を放つと、永山達の方へ向かって行った。

 

「!?」

 

檜山が後ろを振り向くと、穴の中から五メートルの蜥蜴が途轍もないスピードで檜山に飛び掛かった。無抵抗のまま蜥蜴に捕まり、牙が檜山の身体に深く食い込んだ。

 

「だ、誰が……だずげでぐれぇ~!」

 

牙が鋭かったことが災いし、あっという間に致命傷を負った。檜山は必死に助けを懇願するも、他の仲間は三体の蜥蜴に囲まれてそれどころではない。

 

「な、なんでおれがここでしななぎゃならねぇんだよ!」

 

檜山を救助する余裕がないのか、それとも檜山を救出する気なんて無いのか、檜山には判らない。橋の上でハジメを痛めつけるはずが、ハジメではなく来が重傷を負い、奈落へ落ちてしまった。檜山はあれは事故だ、と自分に言い聞かせて罪悪感から逃れてきた。そのツケが今頃回って来たのだろう。

 

「それもこれも全部南雲と辻風(アイツら)のせいだぁ!!!」

 

これがクズの極みである。どす黒い声で『とっととくたばれ糞野郎』と言い放たれそうなほどのゴミである。

 

そこへ()()()()火球の流れ弾が蜥蜴を直撃し、檜山は蜥蜴から解放された。だが出血量が酷く、既に虫の息状態であった。吹き飛ばされた三人はまだ死んでいない。

 

近くでは一番大きな個体がハジメ達と戦っている。永山達は三体の蜥蜴を何とか倒し、檜山達の回収に向かう。

 

 

永山組が小悪党組の治療を行っている一方、ハジメ達は残った一体を相手取っていた。龍太郎が頭に向かって一撃喰らわせようと飛び掛かるも、腕で叩き落とされた。

 

「龍太郎!!」

 

幸いにも龍太郎は一命を取り留めていたが、かなりの重傷を負っている。

 

「貴様……よくも龍太郎を……許さない!」

 

光輝は怒りを露わにし、無謀にも龍太郎と同じように飛び掛かる。

 

「【万翔羽ばたき 天へと至れ 〝天翔閃〟】!」

 

「ちっ、あのバカがッ!!」

 

ハジメは誰一人欠けさせない為にも渋々光輝を救うべくドンナーとシュラークを蜥蜴に向ける。蜥蜴は無謀な光輝を嘲笑するがごとく舌なめずりをし、顎門を大きく開く。

 

「喰らえ!」

 

ハジメの声と共に二丁の拳銃が火を噴いた。〝纏雷〟で勢いよく射出された二つの弾丸は蜥蜴の喉笛と右目を破壊した。

 

「ギェェェェェッ!!?」

 

蜥蜴は断末魔を叫びながら地面をのたうち回る。光輝が放った光刃は暴れる蜥蜴の脇腹を大きく裂いた。切り傷から血が勢いよく噴き出す。

 

「よし、やったな」

 

光輝はもうじき魔物は死ぬと思い、香織、雫、膵花の許へ向かう。が、三人の顔は恐怖で引き攣った。

 

「ん? どうしたんだ三人共。俺の顔に何か付いてるの……か……!?」

 

光輝が後ろを振り向くと、大量出血しながらもしぶとく生き延びた蜥蜴が光輝を睨んでいた。

 

(まずい……このままでは三人が殺されてしまう! そうならないために俺が倒すしか……)

 

光輝が聖剣を構えると、突然蜥蜴は動きを止めた。空が徐々に明るくなっていく。光輝達が動きを止めている間に蜥蜴は地面を掘り、そのまま地下へ姿を消してしまった。

 

「……一体逃したか」

「大丈夫だよハジメくん! 次出てきた時に倒せばいいから」

 

ハジメは蜥蜴を取り逃がしたことに苛立ち、香織に宥められながらドンナーとシュラークを仕舞う。

 

「魔人族め、あんな化け物を隠し持っていたなんて……絶対許さない!」

「光輝、どうやらこの一件は魔人族とは関係がないようだ」

「どういうことですか?」

「村には魔人族のいた痕跡が残っていなかった。もし本当に魔人族がさっきの魔物を操っていたのなら、被害がそれほど広がらなかったのは不自然だ。それに、三つの村の人口を合わせても骨の数の方が圧倒的に上回る。恐らく、ここで狩りを続けていたんだろう。魔人族には、ここに留まっておく理由がないからな」

 

蜥蜴の魔物は明らかにここを住処にしていた。

 

「どうだ? 魔石は回収できたか?」

 

メルドが部下に魔石を採取できたか確認を取ったが、部下の一人が青ざめた様子で報告をする。

 

「団長、胃袋から冒険者が持っていたと思われる魔石が見つかりました。ですが、こいつ自体には魔石がありません!」

「何だと? 砕けたんじゃないのか?」

「いえ、胃袋以外からは魔石の欠片一つ見つかりませんでした。間違いなくこいつには魔石が存在しません! こいつは、魔物とは別の生物です!」

 

蜥蜴の胃袋から魔石が見つかった。だがそれ以外からは見つからなかった。これは蜥蜴が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

魔石が見つからなかったことを聞いた膵花は香織達が心配するほどに震え上がっていた。

 

「そんな……なんでそいつがいるの……」

 

魔石を持たない怪物、その名は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…『ターツェル』……




解説

ターツェル(ヌマスベリ)
Tharzel

脚が二本しかない夜行性の蜥蜴型のモンスター。本来は水辺に生息するが、トータスに住み着いた個体は地下に住処を移した。

二本の腕で地面を滑るように移動する。移動速度はとても速く、一度狙いを付けられたら逃げ切れないと思ったほうがいいだろう。

雷属性が弱点だが、地下での生活に適応した結果、雷属性を克服したがその代わりに炎、水属性が弱点となってしまった。


次回
第十七閃 亜人族との対峙

オリ主ヒロインにミレディ・ライセンを追加しようと思っていますが、入れてもいいと思いますか?

  • 入れてもいい(むしろ入れてくれ)
  • 原作重視(入れるな)
  • 死亡回避ならOK
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