名前 八重樫雫
性別 女性
年齢 17歳
身長 173㎝
体重 63㎏
天職 剣士
得意武器 刀
得意属性 風
好物 パフェ
ハジメのサブヒロイン。来、膵花、光輝とは同じ剣道仲間。ただし光輝に恋愛感情は抱いていない。かつて虐めを受けていたが、光輝に一度だけ救われ、その後も陰湿な嫌がらせを受け続けていたところを来と膵花に救われた。そのため雫にとって来と膵花は最も信頼できる人物の一員である。
ハジメとはそれなりに親しいが、来の手紙を読んでからはハジメを少しずつ意識するようになる。
本作ではハジメの作った刀を使用する。だが最初に渡された際、性能があまり高くなかった為、度々改良してもらっている。いつかは伝説級の一振りを手にしたいと思っている。
ハウリア達を連れて、来は濃霧の中を虎の亜人ギルの先導で進む。
行き先は勿論フェアベルゲンである。来とハウリア族、アルフレリックを中心に周囲を亜人達で固めて一時間程歩いている。ザムという名の伝令は相当な俊足だが、それでも来には敵わないだろう。
しばらく歩いていると、突如、霧が晴れた場所に出た。晴れたといっても一本真っ直ぐなトンネルが出来ているだけだった。よく見れば道端に誘導灯のごとく青い光を放つ拳大の結晶が地面に半分埋められている。そこを境界線に霧の侵入を防いでいた。
「あの青い結晶は一体?」
「あれは、フェアドレン水晶というものだ。あれの周囲には、何故か霧や魔物が寄り付かない。フェアベルゲンも近辺の集落も、この水晶で囲んでいる。まぁ、魔物の方は、〝比較的〟という程度だが」
「成程、四六時中霧の中では気が滅入るだろうし、住んでいる場所くらい、霧は晴らしたいですよね」
樹海の中であっても街の中は霧が無い。
そうこうしている内に、眼前に巨大な門が見えてきた。太い樹と樹が絡み合ってアーチを作っており、其処に木製の十メートル程の両開きの扉が鎮座していた。天然の防壁は高さ三十メートル以上ある。まさに、亜人族の〝国〟に相応しいものである。
ギルが門番らしき亜人に合図を送り、重い音を立てて扉が僅かに開かれる。周囲の樹の上から来達に視線が突き刺さる。人間が招かれているという事実に動揺を隠せないようだ。アルフレリックがいなければ、ギルであっても一悶着あったかもしれない。その辺りも予測して自ら出てきたのだろう。
門を潜ると、そこは別世界だった。直径数十メートル級の巨大な樹が乱立しており、その樹の中に住居があるようで、ランプの明かりが樹の幹に空いた窓と思しき場所から溢れている。人が優に数十人規模で渡れるであろう極太の樹の枝が絡み合い空中回廊を形成している。樹の蔓と重なり、滑車を利用したエレベーターのような物や樹と樹の間を縫う様に設置された木製の巨大な空中水路まであるようだ。樹の高さはどれも二十階くらいありそうである。
来がその美しい街並みに見蕩れていると、アルフレリックが声を掛けた。
「ふふ、どうやら我らの故郷、フェアベルゲンを気に入ってくれたようだな」
アルフレリックの表情が嬉しげに緩んでいる。周囲の亜人達やハウリア族の者達も、どこか得意げな表情だ。来は、そんな彼等の様子を見つつ、素直に街並みを称賛した。
「ええ、ここは綺麗な街です。空気も澄んでいて、見事に自然と調和してますね」
掛け値なしの率直な称賛に、流石にそこまで褒められるとは思っていなかったのか、亜人達は少し驚いた様子だ。皆そっぽを向いているが、獣耳と尻尾は正直だった。
来達は、フェアベルゲンの住人に好奇と忌避、困惑と憎悪といった様々な視線を向けられながらもアルフレリックが用意した場所に向かった。
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「……成程、試練に神代魔法、それに神の盤上か……」
「この世界は亜人族に厳しいのかもしれませんね」
「何を今更……」
亜人族には神への信仰心など全く無かった。あるとすれば自然への感謝の念である。
来の話を聞いたアルフレリックは、フェアベルゲンの長老の座に就いた者に伝えられる掟を話した。それは、この樹海の地に七大迷宮を示す紋章を持つ者が現れたらそれがどのような者であれ敵対しないこと、そして、その者を気に入ったのなら望む場所に連れて行くことという何とも抽象的な口伝だった。
その口伝は【ハルツィナ樹海】の大迷宮の創設者、リューティリス・ハルツィナが、自分が〝解放者〟という存在である事と、仲間達の名前と共に伝えたものなのだという。フェアベルゲン建国前からこの地に住んでいた一族が延々と伝えていったのだという。敵対してはならないというのは、迷宮の攻略者が途方もない力を有しているからである。
オルクスの指輪の紋様と同じものが大樹の根本に建てられた石碑に刻まれている。だからアルフレリックが指輪に反応したのだ。
「それで、僕は資格を持っているんですね」
アルフレリックの説明により、人間を亜人族の本拠地に招き入れた理由がわかった。しかし、全ての亜人族がそんな事情を知っているわけではないはずなので、今後の話をする必要がある。
来とアルフレリックが話を詰めようとした時、シア達ハウリア族のいる階下が騒がしくなった。どうやら彼女達が誰かと争っているようだ。二人は顔を見合わせ、同時に立ち上がった。
階下では、大柄な熊の亜人や虎の亜人、狐の亜人、背中から翼を生やした亜人、小さく毛深い亜人が剣呑な眼差しでハウリア族を睨みつけていた。部屋の隅でカムが必死にシアを庇っている。二人共頬が赤く腫れているから既に殴られた後のようだ。
来が階段から降りてくると、彼等は一斉に鋭い視線を送った。熊の亜人が激情を抑えながらも剣呑さを声に乗せて発言する。
「アルフレリック……貴様、どういうつもりだ。なぜ人間を招き入れた? こいつら兎人族もだ。忌み子にこの地を踏ませるなど……返答によっては、長老会議にて貴様に処分を下すことになるぞ」
拳が震えている。やはり、亜人族にとって人間族は不倶戴天の仇。加え忌み子とそれを匿った罪があるハウリア族まで招き入れた。他の亜人達もアルフレリックを睨んでいる。
しかし、アルフレリックはどこ吹く風といった様子だ。
「なに、口伝に従ったまでだ。お前達も各種族の長老の座にあるのだ。事情は理解できるはずだが?」
「何が口伝だ! そんなもの眉唾物ではないか! フェアベルゲン建国以来一度も実行されたことなどないではないか!」
「だから、今回が最初になるのだろう。それだけのことだ。お前達も長老なら口伝には従え。それが掟だ。我ら長老の座にあるものが掟を軽視してどうする」
「なら、こんな人間族の小僧が資格者だとでも言うのか! 敵対してはならない強者だと!」
「そうだ」
あくまで淡々と返すアルフレリック。熊の亜人は信じられないという表情でアルフレリックを、そして来を睨む。
今この場にいる亜人達は当代の長老達。だが口伝に対する認識には差があった。
アルフレリックは口伝を重視する方だったが、他の長老達は少し違うのだろうか。平均寿命が百年の亜人族でもアルフレリックは特に長命な森人族である。森人族の平均年齢は二百年程。眼前の長老達とアルフレリックでは年齢が異なり、その分、価値観にも差があるのだろう。
そのような理由もあり、アルフレリックを除く長老衆は、この場に人間族や罪人がいることに我慢ならないようである。
「……ならば、今ここで試してやろう!」
熊の亜人が突如、来に向かって突進してきた。あまりに突然のことで周囲は反応できていない。アルフレリックも、まさかいきなり襲いかかるとは思っていなかったのか、驚愕に目を見開いている。
一瞬で間合いを詰められた来。しかし、彼の姿は一瞬ぶれ、黄金の瞳を熊の亜人に向けて一睨みする。熊の亜人はこの人間族の気配が突然変わったことに驚き、拳を引っ込める。
「なっ!? 馬鹿な……この小僧……確実に何かを隠している……!」
熊の亜人は獣の勘で来の隠している実力の一端を読み取った。そして突然白目を剥き、床に倒れ伏した。来は熊の亜人の首筋に刺さっている針を丁寧に抜いた。
「なっ……貴様……よくもジンを……」
傍から見れば、熊の亜人を毒殺したように見えるだろう。だが、その予想は外れた。
「殺してはいない。さっき刺したのは麻酔針だ。ダイヘドアやハイベリアですら一発で気絶してしまうであろう程の強力な麻酔薬を塗ってある」
「何……!?」
麻酔薬はオルクス大迷宮で遭遇した蛾の鱗粉から作ったものである。針一本分で丸一日は眠り続ける程の効能がある。
「それで? 他に僕に挑もうという者はいるのか?」
その言葉に、頷ける者はいなかった。
来が熊の亜人を戦闘不能(昏睡状態)にした後、彼による蹂躙劇が始まる、他の亜人達はそう思った。だが、蹂躙劇が始まることは無かった。熊の亜人の方は昏睡状態に陥っただけで、身体の方は損傷が見られなかった。もっとも、トラウマで二度と戦えなくなるだろうが。あの後熊の亜人の長老、ジンは部屋に籠るようになり、来に絶対に敵対してはならないこと(口伝に従ったからではなく、来に対し恐怖を覚えたから)と、来が死ぬまで絶対に外に出ないことを同族達に伝えたという。
そして現在、当代の長老衆である虎人族のゼル、翼人族のマオ、狐人族のルア、
戦闘力では一、二を争う程の手練れだったジンが文字通り手も足も出ることなく瞬殺されたことに、アルフレリックを除く長老衆の表情緊張感で強張っていた。
「そちらの仲間を再起不能にしてしまったことは詫びる。あちらが先に攻めてきたとはいえ、彼には申し訳ないことをした」
「き、貴様! ジンはな! ジンは、いつもこの国のことを思って!」
「だからといって、それが初対面の相手を問答無用に殺していい理由にはならない」
「そ、それは! しかし!」
「それとも……」
ジンにやったように再び黄金の瞳でグゼを睨みつける。
「
「ぐっ……」
「グゼ、気持ちは解るが、そのくらいにしておけ。彼の言い分は全くの正論だ」
アルフレリックの諫めの言葉に、立ち上がりかけたグゼは表情を歪めて音を立てて座り込んだ。そしてそのまま、黙り込んだ。
「確かに、この少年は紋章の一つを所有しているし、その実力も大迷宮を突破したと言うだけのことはあるね。僕は、彼を口伝の資格者と認めるよ」
糸のような目で来を見てルアが言った。その後、他の長老はどうするのかと周囲を見渡す。
その視線を受け、マオ、ゼルも相当思うところがあるようだが、同意を示した。代表してアルフレリックが来に伝える。
「辻風来。我らフェアベルゲンの長老衆は、お前さんを口伝の資格者として認める。故に、お前さんと敵対はしないというのが総意だ……可能な限り、末端の者にも手を出さないように伝える。……しかし……」
「必ずしも絶対……とは言えない……か」
「ああ。知っての通り、亜人族は人間族をよく思っていない。正直、憎んでいるとも言える。血気盛んな者達は、長老会議の通達を無視する可能性を否定できない。特に、今回再起不能にされたジンの種族、熊人族の怒りは抑えきれない可能性が高い。アイツは人望があったからな……」
「それで、貴方は結局何が言いたいのですか?」
すべきことをしただけであり、すべきことをするだけだ、という意志が黄金の瞳に宿っている。アルフレリックはその意志を汲み取り、長老として同じく意志の宿った瞳を向ける。
「お前さんを襲った者達を殺さないでほしい」
「殺しはしないが、ハウリア達に危害を加えるというのなら、しばらく眠ってもらう」
麻酔薬には致死性はないが、強者ですら一発で眠ってしまう程の効能がある。だから、麻酔で無力化すれば少なくとも命は助かる。来は、アルフレリックの頼みを取り敢えず聞き入れることにした。
だが、ゼルが口を挿み、再び来と長老衆との間に緊張が走る。
「悪いがそいつらは罪人だ。フェアベルゲンの掟に基づいて裁きを与える。何があって同道していたのか知らんが、ここでお別れだ。忌まわしき魔物の性質を持つ子とそれを匿った罪。フェアベルゲンを危険に晒したようも同然なのだ。既に長老会議で処刑処分が下っている」
ゼルの言葉にシアは泣きそうな表情で震え、カム達が一様に諦めたような表情をしている。情が深い為、誰もシアを責め立てなかった。
「長老様方! どうか、どうか一族だけはご寛恕を! どうか!」
「シア! 止めなさい! 皆、覚悟は出来ている。お前には何の落ち度もないのだ。そんな家族を見捨ててまで生きたいとは思わない。ハウリア族の皆で何度も何度も話し合って決めたことなのだ。お前が気に病む必要はない」
「でも、父様!」
シアは土下座しながら必死に寛恕を請うが、ゼルの言葉に慈悲などない。
「既に決定したことだ。ハウリア族は全員処刑する。フェアベルゲンを謀らなければ忌み子の追放だけで済んだかもしれんのにな」
自分だけではなく、家族まで処刑されてしまうことに耐え切れず、シアはとうとう泣き出してしまった。カム達が優しく慰めるも焼け石に水。ハウリア達の情の深さが自分達の首を絞めてしまった。
「そういうわけだ。これで、貴様が大樹に行く方法が一つ途絶えたわけだが? どうする? 運よく辿り着く可能性にかけてみるか……」
ゼルの言葉を一振りの刀が遮った。だがそれは、亜人達が見ている幻に過ぎない。実際は黄金の瞳で睨んでいるだけだった。
「悪いがハウリア達は誰にも殺させないって決めてるんだ」
ハウリア族を全員処刑するというゼルの言葉に、遂に来が激昂する。
「シアが忌み子だと? 巫山戯るな! 彼女はフェアベルゲンの希望と為り得る存在だ!! 今お前らがしようとしていることは、いずれフェアベルゲンを脅かすことに繋がるかもしれないんだぞ!! だが、ここで俺が何を言おうがハウリア族の処刑が覆ることは無いだろう。ならば……」
次の言葉で長老衆だけでなく、ハウリア族まで恐怖と絶望に塗りつぶされた。
「
シアだけでなく、
だが、その後に続く言葉は、全員の予想を大きく覆すものだった。
「アルフレリック殿、フェアベルゲンの掟で、奴隷として捕まったことが確定した者、樹海の外から帰って来なかった者はどうなる?」
「……死んだ者として扱う。樹海の深い霧の中なら我らにも勝機はあるが、外では魔法を扱う者に勝機はほぼない。故に、無闇に後を追って被害が拡大せぬように死亡と見なして後追いを禁じているのだ」
一か八かの大博打に出た。物理的に生かしたまま法的に殺す手段を探していたのだ。そして思った通りその手段は見つかった。
「なら、今からハウリア族は全員、僕の奴隷だ。既に死亡したとみなした者を処刑することはできまい」
「んなっ……」
来を除く全員が、彼の意味不明な言動に困惑している。
「勿論、長老会議の威信が落ちない確証はない。だがシアを見逃すことについては今更だろう」
来は両腕の袖を捲り、魔力操作で両手を〝纏雷〟のように雷で纏う。
長老衆は、来のその異様に目を見開いた。詠唱も魔法陣も無く魔法を発動したことに驚愕を表にする。それほどの力を有しておきながら、それを一切使うことなくジンを倒したのだ。
「魔力を直接操作できるのは、シアだけじゃない。貴方方にとっては化け物だ。だが、口伝では〝それがどのような者であれ敵対するな〟、そうだろう? 掟に従うなら、いずれにせよ化け物を見逃すことになる。シア一人を見逃すことくらい、今更だと思うんだけどね」
しばらく硬直していた長老衆だが、やがて顔を見合わせヒソヒソと話し始めた。そして、結論が出たのか、代表してアルフレリックが、それはもう深々と溜息を吐きながら長老会議の決定を告げる。
「……ハウリア族は忌み子シア・ハウリアを筆頭に、同じく忌み子である辻風来の身内と見做す。そして、資格者辻風来に対しては、敵対はしないが、フェアベルゲンや周辺の集落への立ち入りを禁ずる。以降、辻風来の一族に手を出した場合は全て自己責任とする……以上だ。何かあるか?」
「特にないですけど……忌み子はシアだけじゃないんですね」
「我々にとっては、お前さんもれっきとした忌み子だ。ようやく現れた口伝の資格者を歓迎できないのは心苦しいが……」
「気にしないで下さい。全て譲れないとはいえ、相当無茶を言い過ぎました。むしろ冷静な判断を下してくれて感謝しているくらいですよ」
アルフレリックは苦笑いするしかなかった。他の長老達はさっさと何処かへ行ってくれ、という雰囲気だった。その様子に肩を竦め、シア達を促して立ち上がった。
しかし、シア達ハウリア族は、未だ現実を認識しきれていないのか呆然としたまま立ち上がる気配がない。ついさっきまで死を覚悟していたのに、気がつけば追放で済んでいるという不思議。「えっ、このまま本当に行っちゃっていいの?」という感じで内心動揺しまくっていた。
「どうした? 早く行くぞ」
来の言葉に、ようやく我を取り戻したのかあたふたと立ち上がり、来の後を追うシア達。アルフレリック達も、門までは見送ってくれた。
シアがオロオロしながら来に尋ねた。
「あ、あの、私達……死ななくていいんですか?」
「ああ、自由に生きていていいんだ」
「そうですか……その、何だかトントン拍子で窮地を脱してしまったので実感が湧かないといいますか……信じられない状況といいますか……」
周りのハウリア達も同様なのか困惑した表情をしている。それほどまでに長老会議の決定が絶対的なのだろう。どう処理していいか分からず困惑するシアに来が呟くように話しかけた。
「素直に喜べ、バカウサギ共」
ハウリア族をバカウサギと呼ぶが、来の顔は、笑っていた。これは親しみを持っている証である。
「来さん?」
「……元勇者一行最強と呼ばれた僕に救われたんだ。受け入れてバカみたいに喜べよ」
「……」
シアはそっと隣を歩く来に視線をやった。来は前を向いたまま肩を竦める。
「……約束、したからね」
「ッ……」
シアは、肩を震わせる。樹海の案内と引き換えにシアと彼女の家族の命を守る。シアが必死に取り付けた来との約束だ。
元々、〝未来視〟で来が守ってくれる未来は見えていた。しかし、それで見る未来は必ずしも絶対とは限らない。選択肢次第で、いくらでも変わるものなのだ。だからこそ、シアは来の協力を取り付けるのに
一度高鳴ったシアの心臓が再び跳ねた。顔が熱を持ち、居ても立ってもいられない正体不明の衝動が込み上げてくる。それは家族が生き残った事への喜びか、それとも……
シアは今の気持ちを衝動のままに全力で表した。
「来さ~ん! ありがどうございまずぅ~!」
「うわっ!? いきなりどうしたんだ!?」
シアは来に全力で抱きついた。泣きべそを掻きながら絶対に離さないと言わんばかりに顔をぐりぐりと来の肩に押し付けた。その表情は緩みに緩んでいて、頬はバラ色に染め上げられている。
その頃、トータスの何処かで、妖艶な少女の笑い声が聞こえたような聞こえていないような…
「うふふ~、私のものになるまで逃がさないわよ来く~ん♡」
「お前は来を狙う魔女か何かか!? それにあいつはもうお前のもんだろ(心が)!!」
喜びを爆発させ来にじゃれつくシアの姿に、ハウリア達もようやく命拾いしたことを痛感し、隣同士で喜びを分かち合っている。
それを長老衆は複雑な表情で見つめる。そして更に遠巻きに不快感や憎悪の視線を向ける者達もあり。
「これはしばらく面倒ごとに巻き込まれるな……」
そう呟いた来は苦笑いするしかなかったのであった……
次回
第十九閃 戦闘訓練
オリ主ヒロインにミレディ・ライセンを追加しようと思っていますが、入れてもいいと思いますか?
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入れてもいい(むしろ入れてくれ)
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原作重視(入れるな)
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死亡回避ならOK