光が収まり、クラス全員が目を開けると、そこは先ほどまでいた教室とは異なる場所だった。ほとんどの者が動揺でざわついている中、足音を聞いた膵花と来がクラスを庇うように立った。
台座の前にいた者達の中から、烏帽子を被った七十代の老人が歩み寄って来た。
「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖都教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」
イシュタル・ランゴバルドと名乗ったこの老人が纏う覇気は強いものだった。皺が無ければ五十代と見間違うかもしれなかった。クラスの者達が少し落ち着いてきたところで大広間へと集められた。
全員が着席したところでメイドが飲み物を給仕した。ハジメは思わず凝視しそうになったが悪寒と共に脇腹を木刀で思いっ切り突かれた。ハジメが悶絶している傍ら、先ず口を開いたのは膵花だった。
「改めて聞くわ。イシュタル・ランゴバルド、何故私達をこの世界、トータスに呼び寄せたの?」
「あなた方を召喚したのは我々聖都教会が崇める唯一神エヒト様でございます」
そこからイシュタルの説明が長々と為された。トータスという名のこの世界は人間族、魔人族、亜人族の三種類の種族が存在し、人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配し、亜人族は東の樹海でひっそりと暮らしている。人間族と魔人族は数百年に渡って争いを繰り広げていた。魔人族は個の力、人間族は数の力で対抗していた。実際、ここ数十年大きな争いは起こっていない。それだけならよかったのだが、魔人族が魔物を使役しだしてから人間族は劣勢に追い込まれ、滅亡するのも時間の問題だという。そのために彼らが呼び寄せられたのだ。
膵花と来は考察していた。
「(聖都教会の崇める唯一神エヒトがこの世界を創ったのなら、魔人族も創ってるってことだよね? 何故戦争を野放しにしているの?)」
「(この状況を楽しんでいるとしか思えないな。でもこれはあくまでも推察でしかない。膵花、引き続き様子を見よう)」
「(うん)」
「そこのお二方、先程から難しい顔をしていますが、どうなされましたか?」
突然イシュタルが二人に対して話しかけてきた。膵花と来は背筋が凍りついた。
「「い、いえ! 何でもありません!!」」
それからイシュタルの話は続いた。魔人族を滅するためにクラスは呼び寄せられたのだという。無論、抗議の声が出ないはずもなく。
「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! 貴方達のしていることはただの誘拐ですよ!」
愛子先生は生徒のために怒った。今頃行方不明になっていることに誰かがもう気づいているだろう。
「イシュタル殿、僕達が元の世界に戻るには魔人族を打ち倒さなければならないのか?」
「左様でございます。あなた方が帰還できるかどうかはエヒト様の御意思次第ということですな」
再びクラスが騒めき始める。それを断ち切ったのは膵花と来の二人だった。
「イシュタル殿の言った通り、僕達が元の世界に戻る為には戦争に参加しなければならないでしょう。だが必ずしも全員参加する必要はありません。神の使徒として魔人族と戦うにしろ、戦いを避け帰還方法を探すにしろ、それなりの覚悟は必要です」
「戦争に参加することは、人を殺めてしまうことになってしまいます。魔人族といえど、心は私達と何ら変わりないでしょう。彼らにも家族や愛する者がいます。それでも貴方達は戦争に参加しますか?」
「「
クラスが沈黙する中、一人が声を上げた。天之川光輝だ。
「膵花、辻風、俺は戦う。この世界は俺達の救いを必要としている。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が皆も世界も救ってみせる!」
「天之河君、本当に覚悟はあるの?」
膵花としては物凄く心配である。それが生半可なものでないことをただ祈るだけだ。
「当たり前だ。俺は勇者なんだ。人々を救わない道理は無い!!」
「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」
「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」
「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」
光輝に続き、龍太郎、雫、更に香織まで賛同する。愛子先生はというと……涙目になっていた。
愛子先生の抵抗も虚しく、全員が戦争に参加することになってしまった。
翌日、戦闘訓練と座学が始まる前、ハイリヒ王国騎士団長メルド・ロギンスからある物を手渡された。
「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ? プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」
「アーティファクト?」
聞き慣れない単語に光輝が質問をする。
「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」
メルドの指示通りに、全員がプレートに血を擦り付けた。すると、ステータスが表示された。
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1
天職:錬成師
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
技能:錬成・剣術・言語理解
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滝沢膵花 17歳 女 レベル:1
天職:幻術師
筋力:240
体力:270
耐性:240
敏捷:280
魔力:740
魔耐:250
技能:水属性適正・炎属性耐性・回復魔法・魂の回廊・思念通話・剣術・幻術・妖術・龍化・魔力感知・言語理解
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「…気にしないでハジメ君。これから強くなっていこう」
ハジメの弱すぎるステータスを見てもなお、膵花はハジメを励ましていた。ハジメは一瞬心が彼女に傾きかけたが踏みとどまった。何て言ったって、膵花には来という想い人がいるのだ。
ステータスの報告に光輝、来が前に出た。
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天之河光輝 17歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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流石勇者、一言で言えばチートの権化だった。ハジメとは天と地ほどの差がある。
「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」
「いや~、あはは……」
メルドは来のプレートに目を通した。ステータスを見て思わず二度見をしてしまう。
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辻風来 17歳 男 レベル:1
天職:剣士
筋力:250
体力:270
耐性:240
敏捷:1000
魔力:720
魔耐:240
技能:雷属性適正・全属性耐性・剣術[+抜刀術]・剛腕・先読・気配感知・気配遮断・龍化・魔力感知・自己再生・魂の回廊・思念通話・昏睡覚醒・錬成・言語理解
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こちらもチートの権化であるが、ステータスだけ見れば光輝がちっぽけに感じてしまうだろう。魔力は720と非常に高く、敏捷に至っては四桁に達していた。所々効果のよく分からない技能があるが、戦闘系の職業である剣士としては珍しく、ハジメと同じく錬成のスキルを持っていた。
「ふむ……レベル1で既に勇者を超えたステータスか。この差は一体何なんだろうな」
そして、来は膵花とハジメの許へ歩み寄った。
「ハジメ、膵花、ステータスはどうだった……ハジメの方はそっとしておいた方がいいね、こりゃ」
来のステータスは膵花だけが見た。反応の方は、目が輝いていた。
「流石来君だよ!
気になってハジメが来のステータスを覗いてみると、錬成という技能を持っていることに気づいた。
「(いろいろ規格外だよね、来って)」
それから二週間が経過した。ハジメは来から剣術を教わっていた。元の世界でも息抜き程度に教わっていたので上達は早かった。だが戦闘訓練の厳しさはそれとは比べ物にならなかった。
今ハジメは訓練場で来と剣術の稽古をしていた。ハジメは王国から支給された剣なのに対し、来はなんと木刀で対抗している。殺傷能力で言えばハジメの方が圧倒的に有利だ。だが……
「甘い!」
来はハジメの一撃をあっさりと躱し、木刀で腹に一撃を入れた。ハジメは床にうずくまり、悶絶していた。ハジメがその状態にも拘らず、来は無慈悲にも木刀で無理矢理叩き起こす。
「ほらほら、打ち返して来い!!」
ハジメはゆっくりと立ち上がり、来に向かって剣を振り下ろした。来は身体を捻って避けた。が、髪の毛が何本か切られた。
「……よし、今日の対人戦はここまで」
来は自分の髪の毛が切られたことを確認すると、その日のハジメとの戦闘訓練を終えた。ハジメは床に倒れ込み、息遣いを荒くしていた。
「初日から随分成長したじゃないか」
「ありがとう、来。頼まれていた武器、出来たよ」
来はハジメから刀と手裏剣、苦無と短刀を受け取った。他にも携帯用の金床とハンマーもハジメから受け取る。万が一武器を全て失った時の為に作り直せるように、というハジメの日頃の感謝の表れである。ちなみに雫にも刀を一振り用意しており、これから彼女に手渡す予定である。
「そうか、ありがとう。錬成の方も腕が上がっているな」
傍から見れば拷問のような戦闘訓練でハジメのステータスは一部が大幅に上昇した。
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:7
天職:錬成師
筋力:30
体力:42
耐性:58
敏捷:26
魔力:34
魔耐:27
技能:錬成・剣術・言語理解
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防御の方は
ハジメが膵花と一緒に図書館で本を読んでいると、檜山率いる小悪党四人組がやって来た。そしてハジメを訓練場へ無理矢理連れて行く。
「南雲、お前が剣持っても意味ないだろが。マジ無能なんだしよ~」
「ちょっ、檜山言い過ぎ!いくら本当だからってさ~、ギャハハハ」
「なんで毎回訓練に出てくるわけ? 俺なら恥ずかしくて無理だわ! ヒヒヒ」
「なぁ、大介。こいつさぁ、なんかもう哀れだから、俺らで稽古つけてやんね? ここならアイツもいねぇし」
いい加減ハジメも我慢の限界に達しつつあった。自分達は真面目に努力しているわけでもないのに人を無能呼ばわりして痛めつけるのが忌々しかった。
「あぁ? おいおい、信治、お前マジ優し過ぎじゃね? まぁ、俺も優しいし? 稽古つけてやってもいいけどさぁ~」
「おお、いいじゃん。俺ら超優しいじゃん。無能のために時間使ってやるとかさ~。南雲~感謝しろよ?」
ブチっ。
ハジメの中で、何かが音を立てて切れた。
クラスメイトが見て見ぬふりをしているのをいいことに檜山が殴りにかかる。だが、来の一撃と比べれば圧倒的に遅い。ハジメはそれをあっさりと躱し、檜山の腹に膝蹴りをお見舞いする。
「……無能の分際で俺に歯向かうんじゃねぇ!」
そのことが檜山の怒りを買った。今度は四人がかりでハジメに飛び掛かった。
「無能なのは
ハジメは剣を床に置き、回し蹴りで檜山達を薙ぎ払った。すると…
「何やってるの!?」
突然飛び込んできた怒号にハジメは剣を鞘に仕舞った。直後、香織や雫、光輝に龍太郎、膵花と来が駆け寄った。
「南雲くん!」
すぐさま香織がハジメに駆け寄る。だがハジメは全くの無傷だった。
「大丈夫だよ白崎さん。来から体術を教わったおかげでボコボコにされずに済んだから」
ハジメから来の名が出た瞬間、光輝の目線が来に移った。
「辻風、もう一度聞く。お前一体南雲に何を吹き込んだんだ!?」
それに来は冷静に答える。
「僕はただハジメの訓練に付き合っただけだけど。ハジメは無闇に乱暴を働く奴じゃない」
「檜山達が怪我してるんだぞ! 今のは完全に南雲が悪い!」
途端に来の声が冷たくなる。
「
「そ、それは…」
ここで膵花も加わる。
「ねえ天之河君。どうしてハジメ君の味方をしようと思わないの?」
「それは南雲が図書館で本を読んでばかりでほとんど訓練に参加しないから…」
「ハジメ君は本当に図書館で本を読んでばかりなの? ほとんど訓練にも参加しないの? 違う、私は知ってるよ。ハジメ君が誰よりも一生懸命に皆の役に立とうとしているのを」
「それだとしても、毎日南雲の体がボロボロなのはおかしい。きっと辻風が痛めつけてるんだ」
「来君の稽古は厳しいけど、それはハジメ君が頼んだことなの。あれくらい厳しくなきゃ、強くなれる気がしない、って」
光輝のご都合主義には昔から頭を悩まされてきた。
「膵花……やっぱり君は優しいんだね。南雲と辻風を庇うなんて…」
その言葉で膵花はカチンときた。彼女がカチンとくること自体、とても珍しいのだ。そして光輝の頬に平手打ちをする。
「庇ってなんかいないよ!! 私だってハジメ君と一緒に本を読んだりして魔法も覚えてるんだもん! それに私は来君を愛してるんだから! あといい加減私のことを名前で呼ばないでくれる? 来君とハジメ君、香織ちゃんと雫ちゃん以外には名前で呼ばれたくないの!」
遂に光輝に対して嫌悪感を隠すことなく堂々と示してきた。遠回しに光輝のことが嫌いと言っているようなものだった。なのに、当の本人と来れば……
「そうか、君は辻風と南雲に洗脳されているんだな? だとしたら、君が俺のことをあまり好ましく思ってなかったように見えたのも説明がつく。南雲はなんて卑怯な奴なんだ! 一人だけ辻風に鍛えて貰って抜け駆けしようだなんて……辻風も、訓練に参加する日数が少なかった。まさか訓練に参加してない日は君の洗脳を確実なものにしようとしていたのか? やはりここは俺が皆の目を覚まさせてやらなければ! 待ってろ膵花。今俺が救ってみせる!!」
檜山達ですらドン引きするほどの独断と偏見に満ちた台詞を吐く。ちなみに檜山達は光輝が膵花をカチンとさせたところから目を覚ましたが、光輝の「今俺が救ってみせる!!」が終わったところで来にもう一度気絶させられた。
そして来は物凄い形相で光輝に歩み寄る。
「天之河光輝、一つだけ言っておく。
あまりの迫力に流石の光輝も何も言えなかった。これ以上ひどくならないうちにメルドが止めに入り、一通り伝達事項を伝えた後、その日は一旦解散した。
その晩、ハジメは自室で魔物図鑑を読んでいた。膵花と来は瞑想をしている。明日はオルクス大迷宮へ挑戦することになっている。魔物図鑑を一通り読み終え、自分専用に造った刀を見ていた。うむ、我ながらいい出来だ、と言わんばかりに眺めていると、誰かがドアをノックする音が聞こえた。
「南雲くん、辻風くん、膵花ちゃん、起きてる? 白崎です。ちょっと、いいかな?」
ドアを開けると、そこには白のネグリジェにカーディガンを羽織った香織が立っていた。
「えっと、どうしたのかな? 何か連絡事項でも?」
「ううん。その、少し南雲くんと話したくて……やっぱり迷惑だったかな?」
「…………どうぞ」
ハジメと膵花と来は香織を部屋に通した。香織は紅茶のような飲み物を飲みながら話をする。
「明日の迷宮だけど……南雲くんと辻風くんには町で待っていてほしいの。教官達やクラスの皆は私が必ず説得する。だから! お願い!」
何を言い出すかと思えば、一瞬戦力外通告かと聞き間違うようなことを言った。
「えっと……確かに僕は足手まといとだは思うけど……来は文句なしに強いし……流石にここまで来て待っているっていうのは認められないんじゃ……」
「違うの! 足手まといだとかそういうことじゃないの!」
そういうと香織は懐から一通の手紙を取り出した。
「その手紙は?」
「訓練場で辻風くんから渡された物なんだけど…これに書いてある通り、辻風くんが死んじゃうまで絶対中を見てはダメだって……」
実は膵花が光輝と言い争いをしている途中で来は香織に手紙を二通渡していた。一つは香織宛、もう一つはハジメ宛である。
「辻風くん、この手紙は何……」
香織が言い終わる前に来は人差し指を彼女の唇に軽く当てた。
「
来はそう言っただけだったという。
「そういうことがあったんだ」
香織は静かに話し出した。
「あのね、何だか凄く嫌な予感がするの。さっき少し眠ったんだけど……夢を見て……南雲くんが辻風くんの木刀を持って立っていたんだけど……声を掛けても全然気がついてくれなくて……走っても全然追いつけなくて……それで最後は……」
「最後は?」
ぐっと唇を噛みしめ、泣きそうになりながらも香織は言う。
「……
ハジメが消えるというのは何らかの理由でそのまま行方不明になることを暗示し、折れた来の木刀がそのまま
「大丈夫だよ白崎さん。来はそんな簡単に死ぬような男じゃない。メルド団長率いるベテランの騎士団員や天之河君みたいな強い奴がついてる。敵の方が可哀想に見えるくらいだよ」
それから二人の間には沈黙のみがあった。しばらく沈黙が続いた後、香織の微笑で破られる。
「南雲くんらしいね」
「…え?」
「南雲くん、覚えてる? 中学二年の頃、道で不良っぽい人達に土下座をしてたの」
ハジメは中学二年の時、服の汚れた不良の前でおばあさんとその孫らしき男の子の代わりに土下座をしていたことがあった。何だコイツ、と思いながら不良達がそれを見ていると、何故か突然頭を抱えて苦しみ始め、慌てて何処かへ去ってしまった。ハジメはぽかんとしていたが、周りの人々からは超能力を持った神童だと囃し立てられたという。見ていた香織も信じているが、ハジメにそんな能力など無い。ごくありふれた少年である。
「見てたんだ、白崎さん」
「うん、凄くかっこよかった。光輝くんとかよくトラブルに飛び込んでいって相手の人を倒してるし……でも、弱くても立ち向かえる人や他人のために頭を下げられる人はそんなにいないと思う……実際、あの時、私は怖くて……自分は雫ちゃん達みたいに強くないからって言い訳して、誰か助けてあげてって思うばかりで何もしなかっただから、私の中で一番強い人は南雲くんなんだ。それにあんな超能力持ってるし……高校に入って南雲くんを見つけたときは嬉しかった。……南雲くんみたいになりたくて、もっと知りたくて色々話し掛けたりしてたんだよ」
「「!?」」
超能力と聞いて膵花と来は冷や汗をかく。
「(どうしよう、ばれちゃいそうだよぉ~)」
「(心を無に! 心を無に!)」
「白崎さん……言っとくけど僕には
「……え?」
「……え?」
香織は目が点になった。実際、このことを膵花と来に相談したところ、汗だくになりながら首をかしげていたらしい。ハジメは怪しい、と二人を睨んでいたが、よくよく考えて人間がそんな能力を持ってるはずないと一旦忘れることにした。
その後もハジメと香織は困惑しつつも香織はハジメを守ると約束し、部屋を出て行った。それを歪んだ表情で見ていた者がいたが、何故か宿の入口の前で夜明けまで気絶していたという……
次回
第三閃 奈落転落
オリ主ヒロインにミレディ・ライセンを追加しようと思っていますが、入れてもいいと思いますか?
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入れてもいい(むしろ入れてくれ)
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原作重視(入れるな)
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死亡回避ならOK