ありふれた職業と共に一刀両断!!   作:籠城型・最果丸

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第三陣 奈落転落

とうとうこの日がやって来た。オルクス大迷宮での戦闘訓練だ。博物館の入口の如くしっかりとした入口でチェックを受ける。誰が死んだのか、正確に把握するためらしい。一行はチェックを済ませ、迷宮の中へ入っていった。

 

外の賑やかさとは異なる迷宮の静けさ。緑光石のぼんやりとした光が通路を照らす。

 

一行が隊列を組みながら軍隊蟻の如くぞろぞろと歩いていると、ボディビルダーのような鼠の化け物が数十匹、壁の隙間から姿を現す。

 

「よし、光輝達が前に出ろ。他は下がれ! 交代で前に出て貰うからな、準備しておけ! あれはラットマンという魔物だ。すばしっこいが、大した敵じゃない。冷静に行け!」

 

正面に立つ光輝達――特に前衛である雫の頬が引き攣っている。やはり、気持ち悪いらしい。

 

間合いに入ったラットマンを光輝、龍太郎、雫、来の四人で迎撃する。その間に、膵花と香織、メガネっ子の中村恵里とロリ元気っ子の谷口鈴が詠唱を開始。魔法を発動する準備に入る。訓練通りの堅実なフォーメーションだ。

 

光輝は純白に輝くバスタードソードを視認も難しい程の速度で振るって数体をまとめて葬っている。

 

彼の持つその剣はハイリヒ王国が管理するアーティファクトの一つで、お約束に漏れず名称は〝聖剣〟である。光属性の性質が付与されており、光源に入る敵を弱体化させると同時に自身の身体能力を自動で強化してくれるという“聖なる”というには実に嫌らしい性能を誇っている。

 

龍太郎は、空手部らしく天職が〝拳士〟であることから籠手と脛当てを付けている。これもアーティファクトで衝撃波を出すことができ、また決して壊れないのだという。龍太郎はどっしりと構え、見事な拳撃と脚撃で敵を後ろに通さない。無手でありながら、その姿は盾役の重戦士のようだ。

 

雫は、サムライガールらしく〝剣士〟の天職持ちでハジメに造ってもらった刀を抜刀術の要領で抜き放ち、一瞬で敵を切り裂いていく。その動きは洗練されていて、騎士団員をして感嘆させるほどである。

 

そして来はハジメに錬成してもらった日本刀で敵の首を討ち取っていく。その姿はまるで龍だった。

 

ハジメ達が光輝達の戦いぶりに見蕩れていると、詠唱が響き渡った。

 

「【妖術 〝油霧〟】」

 

【妖術 〝油霧〟】とは、膵花の使う妖術の一つであり、効果は味方の火属性の魔法の威力を大幅に引き上げるというものである。さらに、敵の脂肪分が液状化したものが身体から滲み出てくるというちょっと恐ろしい効果もある。

 

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ——〝螺炎〟」」」

 

油まみれになったラットマン達を三人同時に発動した螺旋状に渦巻く炎が吸い上げるように巻き込み燃やしていく。螺旋状の炎はすぐに消え、ラットマンは断末魔すら残らず灰と化した。

 

他の生徒の出番も無く、ラットマンは全滅した。一階層の敵では弱すぎたのだ。

 

「ああ~、うん、よくやったぞ! 次はお前等にもやってもらうからな、気を緩めるなよ!」

 

生徒の優秀さに苦笑いしながら気を抜かないよう注意するメルド団長。しかし、初めての迷宮の魔物討伐にテンションが上がるのは止められない。頬が緩む生徒達に「しょうがねぇな」とメルド団長は肩を竦めた。

 

「それとな……今回は訓練だからいいが、魔石の回収も念頭に置いておけよ。明らかにオーバーキルだからな?」

 

メルド団長の言葉に香織達魔法支援組は、やりすぎを自覚して思わず頬を赤らめるのだった。

 

そこからは特に問題もなく交代しながら戦闘を繰り返し、順調よく階層を下げて行った。

 

そして、一流の冒険者か否かを分けると言われている二十階層にたどり着いた。

 

現在の迷宮最高到達階層は六十五階層らしいのだが、それは百年以上前の冒険者がなした偉業であり、今では超一流で四十階層越え、二十階層を越えれば十分に一流扱いだという。

 

ハジメ達は戦闘経験こそ少ないものの、全員がチート持ちなので割かしあっさりと降りることができた。

 

もっとも、迷宮で一番恐いのはトラップである。場合によっては致死性のトラップも数多くあるのだ。

 

この点、トラップ対策として〝フェアスコープ〟というものがある。これは魔力の流れを感知してトラップを発見することができるという優れものだ。迷宮のトラップはほとんどが魔法を用いたものであるから八割以上はフェアスコープで発見できる。ただし、索敵範囲がかなり狭いのでスムーズに進もうと思えば使用者の経験による索敵範囲の選別が必要だ。

 

従って、ハジメ達が素早く階層を下げられたのは、ひとえに騎士団員達の誘導があったからだと言える。メルド団長からも、トラップの確認をしていない場所へは絶対に勝手に行ってはいけないと強く言われているのだ。

 

「よし、お前達。ここから先は一種類の魔物だけでなく複数種類の魔物が混在したり連携を組んで襲ってくる。今までが楽勝だったからと言ってくれぐれも油断するなよ! 今日はこの二十階層で訓練して終了だ! 気合入れろ!」

 

メルド団長のかけ声がよく響く。

 

ここまで、ハジメは特に何もしていない。いや、実際にはこっそり前線に出て取りこぼした魔物を己の剣技だけで討ち取っていった。だが、敵が強くなるにつれ、錬成で倒すことの方が多くなっていった。そこで、錬成で戦う方が自分に合う、と判断し、二十階層直前まで降りた頃には、剣を抜くことはほとんど無かった。

 

昨夜の香織がハジメを〝守る〟という宣言とは異なり、香織達魔法支援組を援護しているので寧ろハジメが香織を〝守る〟という形になっていた。若干、香織が拗ねたような表情になる。

 

「香織、なに南雲君と見つめ合っているのよ? 迷宮の中でラブコメなんて随分と余裕じゃない?」

 

からかうような口調に思わず顔を赤らめる香織。怒ったように雫に反論する。

 

「もう、雫ちゃん! 変なこと言わないで! 私はただ、南雲くん大丈夫かなって、それだけだよ!」

 

「それがラブコメしてるって事でしょ?」と、雫は思ったが、これ以上言うと本格的に拗ねそうなので口を閉じる。だが、目が笑っていることは隠せず、それを見た香織が「もうっ」と呟いてやはり拗ねてしまった。

 

そんな様子を横目に見ていたハジメは、ふと視線を感じて思わず背筋を伸ばす。ねばつくような、負の感情がたっぷりと乗った不快な視線だ。今までも教室などで感じていた類の視線だが、それとは比べ物にならないくらい深く重い。

 

その視線は今が初めてというわけではなかった。今日の朝から度々感じていたものだ。視線の主を探そうと視線を巡らせると途端に霧散する。朝から何度もそれを繰り返しており、ハジメはいい加減うんざりしていた。

 

(なんなのかな……僕、何かしたかな? ……むしろ無能とは言わせないぞ、ってくらいに頑張っている方だと思うんだけど……もしかしてそれが原因かな? 調子乗ってんじゃねぇぞ! 的な? ……はぁ~)

 

深々と溜息を吐くハジメ。香織の言っていた嫌な予感というものを、ハジメもまた感じ始めていた。

 

一行は二十階層を探索する。

 

迷宮の各階層は数キロ四方に及び、未知の階層では全てを探索しマッピングするのに数十人規模で半月から一ヶ月はかかるというのが普通だ。

 

現在、四十七階層までは確実なマッピングがなされているので迷うことはない。トラップに引っかかる心配もないはずだった。

 

二十階層の一番奥の部屋はまるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形をしていた。この先を進むと二十一階層への階段があるらしい。

 

そこまで行けば今日の実戦訓練は終わりだ。神代の転移魔法の様な便利なものは現代にはないので、また地道に帰らなければならない。一行は若干弛緩した空気の中、せり出す壁のせいで横列を組めないので縦列で進む。

 

すると、先頭を行く光輝達やメルド団長が立ち止まった。訝しそうなクラスメイトを尻目に戦闘態勢に入る。どうやら魔物のようだ。しかし魔物の姿は何処にも見当たらない。

 

「「……! そこか!!」」

 

メルド団長の忠告が飛ぶ前に膵花と来がいきなり壁に向かって攻撃を始めた。膵花の放った火球と来の投げた苦無が前方でせり出していた壁に当たる。直後、壁が突如変色しながら起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始めた。どうやらカメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物のようだ。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

 

メルド団長の声が響く。光輝達が相手をするようだ。飛びかかってきたロックマウントの豪腕を龍太郎が拳で弾き返す。光輝と雫が取り囲もうとするが、鍾乳洞的な地形のせいで足場が悪く思うように囲むことができない。

 

龍太郎の人壁を抜けられないと感じたのか、ロックマウントは後ろに下がり仰け反りながら大きく息を吸った。

 

 直後、

 

「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」

 

 部屋全体を震動させるような強烈な咆哮が発せられた。

 

「ぐっ!?」

「うわっ!?」

「きゃあ!?」

 

体をビリビリと衝撃が走り、ダメージ自体はないものの硬直してしまう。ロックマウントの固有魔法“威圧の咆哮”だ。魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させる。

 

まんまと食らってしまった光輝達前衛組が一瞬硬直してしまった。だが…

 

「その程度、どうということはない」

 

来だけは麻痺することなくロックマウントを逆に威圧し返した。ロックマウントはサイドステップし、傍らにあった岩を持ち上げ香織達後衛組に向かって投げつけた。見事な砲丸投げのフォームで!咄嗟に動けない前衛組の頭上を越えて、岩が香織達へと迫る。

 

香織達が、準備していた魔法で迎撃せんと魔法陣が施された杖を向けた。避けるスペースが心もとないからだ。

 

しかし、発動しようとした瞬間、香織達は衝撃的光景に思わず硬直してしまう。

 

なんと、投げられた岩もロックマウントだったのだ。空中で見事な一回転を決めると両腕をいっぱいに広げて香織達へと迫る。妙に目が血走り鼻息が荒い。香織も恵里も鈴も「ヒィ!」と思わず悲鳴を上げて魔法の発動を中断してしまった。

 

「来ないで!!」

 

あまりの気味悪さに膵花がロックマウントを空中で蹴り返す。投げられた方は投げた方にぶつかり、二体とも気絶した。

 

「貴様……よくも香織達を……許さない!」

 

どうやら気持ち悪さで青褪めているのを死の恐怖を感じたせいだと勘違いしたらしい。彼女達を怯えさせるなんて! と、なんとも微妙な点で怒りをあらわにする光輝。それに呼応してか彼の聖剣が輝き出す。

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ――〝天翔閃〟!」

「あっ、こら、馬鹿者!」

 

メルド団長の声を無視して、光輝は大上段に振りかぶった聖剣を一気に振り下ろした。が、それは別の攻撃で防がれた。

 

「邪魔をするな、辻風!」

 

光輝の聖剣を来が居合で弾き返し、光輝の手首を蹴って聖剣を落とした後、華麗なバックステップからの前方宙返りで気絶している二体のカメレオンゴリラを切り裂いた。

 

「はぁ、はぁ」と呼吸を荒げた来は光輝の許へゆっくりと歩み寄り、そしてバチン、と頬を打ん殴った。

 

「狭い洞窟の中で大技を出すな。崩落で僕達まで巻き添えにする気か。使う技と場所を考えろ」

 

光輝は不満そうな表情で来を睨む。香織達が寄ってきて苦笑いしながら慰める。

 

その時、ふと香織が崩れた壁の方に視線を向けた。

 

「……あれ、何かな? キラキラしてる……」

 

その言葉に、全員が香織の指差す方へ目を向けた。

 

そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるでインディコライトが内包された水晶のようである。香織を含め女子達は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になった。

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

 

グランツ鉱石とは、言わば宝石の原石みたいなものだ。特に何か効能があるわけではないが、その涼やかで煌びやかな輝きが貴族のご婦人ご令嬢方に大人気であり、加工して指輪・イヤリング・ペンダントなどにして贈ると大変喜ばれるらしい。求婚の際に選ばれる宝石としてもトップ三に入るとか。

 

「(こんな浅い階層に()()()()()()()があっていいのか? ひょっとしたら……!)」

 

来はグランツ鉱石を怪しんでいた。

 

「素敵……」

 

香織が、メルドの簡単な説明を聞いて頬を染めながら更にうっとりとする。そして、誰にも気づかれない程度にチラリとハジメに視線を向けた。そして膵花も頬を染めながら来の方へ視線を向ける。もっとも、雫ともう一人だけは気がついていたが……

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

そう言って唐突に動き出したのは檜山だった。グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。それに慌てたのはメルド団長だ。

 

「こら! 勝手なことをするな! 安全確認もまだなんだぞ!」

 

しかし、檜山は聞こえないふりをして、とうとう鉱石の場所に辿り着いてしまった。

 

「不味い、トラップだ!」

 

来は檜山達へ向かって走り出した。そして引き戻さんとばかりに檜山の服を掴んだ。が、既に檜山は()()()()()()()()()()()()

 

「遅かったッ……!」

 

鉱石を中心に魔法陣が広がる。魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、輝きを増していった。まるで、召喚されたあの日の再現だ。

 

「くっ、撤退だ! 早くこの部屋から出ろ!」

 

メルド団長の言葉に生徒達が急いで部屋の外に向かうが……間に合わなかった。

 

部屋の中に光が満ち、ハジメ達の視界を白一色に染めると同時に一瞬の浮遊感に包まれる。

 

ハジメ達は空気が変わったのを感じた。次いで、ドスンという音と共に地面に叩きつけられた。

 

尻の痛みに呻き声を上げながら、ハジメは周囲を見渡す。クラスメイトのほとんどはハジメと同じように尻餅をついていたが、メルド団長や騎士団員達、光輝達など一部の前衛職の生徒は既に立ち上がって周囲の警戒をしている。

 

どうやら、先の魔法陣は転移させるものだったらしい。現代の魔法使いには不可能な事を平然とやってのけるのだから神代の魔法は規格外だ。

 

ハジメ達が転移した場所は、巨大な石造りの橋の上だった。ざっと百メートルはありそうだ。天井も高く二十メートルはあるだろう。橋の下は川などなく、全く何も見えない深淵の如き闇が広がっていた。まさに落ちれば奈落の底といった様子だ。

 

橋の横幅は十メートルくらいありそうだが、手すりどころか縁石すらなく、足を滑らせれば掴むものもなく真っ逆さまだ。ハジメ達はその巨大な橋の中間にいた。橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。

 

それを確認したメルド団長が、険しい表情をしながら指示を飛ばした。

 

「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」

 

雷の如く轟いた号令に、わたわたと動き出す生徒達。

 

しかし、迷宮のトラップがこの程度で済むわけもなく、撤退は叶わなかった。階段側の橋の入口に現れた魔法陣から大量の魔物が出現したからだ。更に、通路側にも魔法陣は出現し、そちらからは一体の巨大な魔物が……

 

その時、現れた巨大な魔物を呆然と見つめるメルド団長の呻く様な呟きがやけに明瞭に響いた。

 

――まさか……ベヒモス……なのか……

 

橋の両サイドに現れた赤黒い光を放つ魔法陣。通路側の魔法陣は十メートル近くあり、階段側の魔法陣は一メートル位の大きさだが、その数がおびただしい。

 

小さな無数の魔法陣からは、骨格だけの体に剣を携えた魔物〝トラウムソルジャー〟が溢れるように出現した。空洞の眼窩からは魔法陣と同じ赤黒い光が煌々と輝き目玉の様にギョロギョロと辺りを見回している。その数は、既に百体近くに上っており、尚、増え続けているようだ。

 

しかし、数百体のガイコツ戦士より、反対の通路側の方がヤバイとハジメは感じていた。

 

十メートル級の魔法陣からは体長十メートル級の四足で頭部に兜のような物を取り付けた魔物が出現したからだ。もっとも近い既存の生物に例えるならトリケラトプスだろうか。ただし、瞳は赤黒い光を放ち、鋭い爪と牙を打ち鳴らしながら、頭部の兜から生えた角から炎を放っているという付加要素が付くが……

 

メルド団長が呟いた〝ベヒモス〟という魔物は、大きく息を吸うと凄まじい咆哮を上げた。

 

「グルァァァァァアアアアア!!」

「ッ!?」

 

その咆哮で正気に戻ったのか、メルド団長が矢継ぎ早に指示を飛ばす。

 

「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」

「待って下さい、メルドさん! 俺達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 俺達も……」

「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ! ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと行け! 私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」

 

メルド団長の鬼気迫る表情に一瞬怯むも、「見捨ててなど行けない!」と踏み止まる光輝。

 

どうにか撤退させようと、再度メルドが光輝に話そうとした瞬間、ベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。このままでは、撤退中の生徒達を全員轢殺してしまうだろう。

 

そうはさせるかと、ハイリヒ王国最高戦力が全力の多重障壁を張る。

 

「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず――〝聖絶〟!!」」」

 

二メートル四方の最高級の紙に描かれた魔法陣と四節からなる詠唱、さらに三人同時発動。一回こっきり一分だけの防御であるが、何物にも破らせない絶対の守りが顕現する。純白に輝く半球状の障壁がベヒモスの突進を防ぐ!

 

衝突の瞬間、凄まじい衝撃波が発生し、ベヒモスの足元が粉砕される。橋全体が石造りにもかかわらず大きく揺れた。撤退中の生徒達から悲鳴が上がり、転倒する者が相次ぐ。

 

トラウムソルジャーは三十八階層に現れる魔物だ。今までの魔物とは一線を画す戦闘能力を持っている。前方に立ちはだかる不気味な骸骨の魔物と、後ろから迫る恐ろしい気配に生徒達は半ばパニック状態だ。

 

隊列など無視して我先にと階段を目指してがむしゃらに進んでいく。騎士団員の一人、アランが必死にパニックを抑えようとするが、目前に迫る恐怖により耳を傾ける者はいない。

 

その内、一人の女子生徒が後ろから突き飛ばされ転倒してしまった。「うっ」と呻きながら顔を上げると、眼前で一体のトラウムソルジャーが剣を振りかぶっていた。

 

「あ」

 

そんな一言と同時に彼女の頭部目掛けて剣が振り下ろされた。

 

死ぬ――女子生徒がそう感じた次の瞬間、トラウムソルジャーの足元が突然隆起した。

 

バランスを崩したトラウムソルジャーの剣は彼女から逸れてカンッという音と共に地面を叩くに終わる。更に、地面の隆起は数体のトラウムソルジャーを巻き込んで橋の端へと向かって波打つように移動していき、遂に奈落へと落とすことに成功した。

 

橋の縁から二メートルほど手前には、座り込みながら荒い息を吐くハジメの姿があった。ハジメは連続で地面を錬成し、滑り台の要領で魔物達を橋の外へ滑らせて落としたのである。いつの間にか、錬成の練度が上がっており、連続で錬成が出来るようになっていたおかげだ。錬成範囲も少し広がったようだ。

 

もっとも、錬成は触れた場所から一定範囲にしか効果が発揮されないので、トラウムソルジャーの剣の間合いで地面にしゃがまなければならず、緊張と恐怖でハジメの内心は一杯一杯だったが。

 

魔力回復薬を飲みながら倒れたままの女子生徒のもとへ駆け寄るハジメ。錬成用の魔法陣が組み込まれた手袋越しに女子生徒の手を引っ張り立ち上がらせる。

 

呆然としながら為されるがままの彼女に、ハジメが笑顔で声をかけた。

 

「早く前へ。大丈夫、冷静になればあんな骨どうってことないよ。うちのクラスは僕を除いて全員チートなんだから!」

 

自信満々で背中をバシッと叩くハジメをマジマジと見る女子生徒は、次の瞬間には「うん! ありがとう!」と元気に返事をして駆け出した。

 

ハジメは周囲のトラウムソルジャーの足元を崩して固定し、足止めをしながら周囲を見渡す。

 

誰も彼もがパニックになりながら滅茶苦茶に武器や魔法を振り回している。このままでは、いずれ死者が出る可能性が高い。騎士アランが必死に纏めようとしているが上手くいっていない。そうしている間にも魔法陣から続々と増援が送られてくる。

 

「なんとかしないと……必要なのは……強力なリーダー……道を切り開く火力……天之河くん!」

 

ハジメは走り出した。光輝達のいるベヒモスの方へ向かって。そして途中で来と合流する。

 

 

 

 

ベヒモスは依然、障壁に向かって突進を繰り返していた。

 

障壁に衝突する度に壮絶な衝撃波が周囲に撒き散らされ、石造りの橋が悲鳴を上げる。障壁も既に全体に亀裂が入っており砕けるのは時間の問題だ。既にメルド団長も障壁の展開に加わっているが焼け石に水だった。

 

「ええい、くそ! もうもたんぞ! 光輝、早く撤退しろ! お前達も早く行け!」

「嫌です! メルドさん達を置いていくわけには行きません! 絶対、皆で生き残るんです!」

「くっ、こんな時にわがままを……」

 

メルド団長は苦虫を噛み潰したような表情になる。

 

この限定された空間ではベヒモスの突進を回避するのは難しい。それ故、逃げ切るためには障壁を張り、押し出されるように撤退するのがベストだ。

 

しかし、その微妙なさじ加減は戦闘のベテランだからこそ出来るのであって、今の光輝達には難しい注文だ。

 

その辺の事情を掻い摘んで説明し撤退を促しているのだが、光輝は〝置いていく〟ということがどうしても納得できないらしく、また、自分ならベヒモスをどうにかできると思っているのか目の輝きが明らかに攻撃色を放っている。

 

まだ、若いから仕方ないとは言え、少し自分の力を過信してしまっているようである。戦闘素人の光輝達に自信を持たせようと、まずは褒めて伸ばす方針が裏目に出たようだ。

 

「光輝! 団長さんの言う通りにして撤退しましょう!」

 

雫は状況がわかっているようで光輝を諌めようと腕を掴む。

 

「へっ、光輝の無茶は今に始まったことじゃねぇだろ? 付き合うぜ、光輝!」

「龍太郎……ありがとな」

 

しかし、龍太郎の言葉に更にやる気を見せる光輝。それに雫は舌打ちする。

 

「状況に酔ってんじゃないわよ! この馬鹿ども!」

「雫ちゃん……」

 

苛立つ雫に心配そうな香織。

 

その時、二人の男子が光輝の前に飛び込んできた。

 

「「天之河(くん)!」」

「なっ、南雲!? 辻風!?」

「南雲くん!? 辻風くん!?」

 

「ここは僕と来が食い止める、皆はその隙に逃げて!」

「いや、ここは俺達に任せて南雲と辻風は……」

「逃げろよ!!」

 

光輝の言葉を遮り、ハジメが今までにない乱暴な口調で怒鳴り返す。そして来も共に怒鳴る。

 

「「早く行け!!」」

 

光輝達はあまりの威力に怖気づき、撤退する。ベヒモスの前に立つのは、刀を抜いたハジメと来だった。

 

「さて、邪魔者もいなくなったことだし、やっちゃおうか、来……来?」

 

来は既に腰を低くして居合の体勢に入った。

 

「(え?一体どうしたの?まさか凄い一撃でもアイツに食らわせるつもりなのかな?なんかこっちまでワクワクしてきた)」

 

来は刀を少しだけ抜き、技の名前を紡ぐ。

 

「【鳴ノ舞 〝紫電一閃・五連〟】!!」

 

次の瞬間、雷を纏った来が電光石火の如く橋をジグザグに移動し、ベヒモスの後ろに回ったかと思えば、今度は前方に向かって射抜き、ベヒモスの角が一本切れた。が、しかし……

 

「くっ、折れたかッ!」

 

流石に表皮は硬かったのか、ハジメが造った刀が折れてしまった。だが、まだ来には苦無と手裏剣が残っている。最早侍ではなく忍者である。

 

来は残った苦無でハジメと共にベヒモスを足止めする。が、苦無だけではとても足止めにならなかった。

 

「仕方ない、〝錬成〟!」

 

来が錬成を発動させ、橋から突き出た何本もの石柱がベヒモスを閉じ込める檻となる。

 

「君だって錬成の腕あげたじゃないか!」

 

「磨いたのは剣術だけじゃないのさ!」

 

後ろの皆はトラウムソルジャーの大群と戦っている。が、トラウムソルジャーは依然増加を続けていた。既にその数は二百体はいるだろう。階段側へと続く橋を埋め尽くしている。

 

だが、ある意味それでよかったのかもしれない。もし、もっと隙間だらけだったなら、突貫した生徒が包囲され惨殺されていただろう。実際、最初の百体くらいの時に、それで窮地に陥っていた生徒は結構な数いたのだ。

 

それでも、未だ死人が出ていないのは、ひとえに騎士団員達のおかげだろう。彼等の必死のカバーが生徒達を生かしていたといっても過言ではない。代償に、既に彼等は満身創痍だったが。

 

騎士団員達のサポートがなくなり、続々と増え続ける魔物にパニックを起こし、魔法を使いもせずに剣やら槍やら武器を振り回す生徒がほとんどである以上、もう数分もすれば完全に瓦解するだろう。

 

生徒達もそれをなんとなく悟っているのか表情には絶望が張り付いている。先ほどハジメが助けた女子生徒の呼びかけで少ないながらも連携をとり奮戦していた者達も限界が近いようで泣きそうな表情だ。

 

誰もが、もうダメかもしれない、そう思ったとき……

 

「――〝天翔閃〟!」

 

純白の斬撃がトラウムソルジャー達のド真ん中を切り裂き吹き飛ばしながら炸裂した。

 

橋の両側にいたソルジャー達も押し出されて奈落へと落ちていく。斬撃の後は、直ぐに雪崩れ込むように集まったトラウムソルジャー達で埋まってしまったが、生徒達は確かに、一瞬空いた隙間から上階へと続く階段を見た。今まで渇望し、どれだけ剣を振るっても見えなかった希望が見えたのだ。

 

「皆! 諦めるな! 道は俺が切り開く!」

 

そんなセリフと共に、再び〝天翔閃〟が敵を切り裂いていく。光輝が発するカリスマに生徒達が活気づく。

 

「お前達! 今まで何をやってきた! 訓練を思い出せ! さっさと連携をとらんか! 馬鹿者共が!」

 

皆の頼れる団長が〝天翔閃〟に勝るとも劣らない一撃を放ち、敵を次々と打ち倒す。

 

いつも通りの頼もしい声に、沈んでいた気持ちが復活する。手足に力が漲り、頭がクリアになっていく。実は、香織の魔法の効果も加わっている。精神を鎮める魔法だ。リラックスできる程度の魔法だが、光輝達の活躍と相まって効果は抜群だ。

 

治癒魔法に適性のある者がこぞって負傷者を癒し、魔法適性の高い者が後衛に下がって強力な魔法の詠唱を開始する。前衛職はしっかり隊列を組み、倒すことより後衛の守りを重視し堅実な動きを心がける。

 

治癒が終わり復活した騎士団員達も加わり、反撃の狼煙が上がった。チートどもの強力な魔法と武技の波状攻撃が、怒涛の如く敵目掛けて襲いかかる。凄まじい速度で殲滅していき、その速度は、遂に魔法陣による魔物の召喚速度を超えた。

 

そして、階段への道が開ける。

 

「皆! 続け! 階段前を確保するぞ!」

 

光輝が掛け声と同時に走り出す。

 

ある程度回復した龍太郎と雫がそれに続き、バターを切り取るようにトラウムソルジャーの包囲網を切り裂いていく。

 

そうして、遂に全員が包囲網を突破した。背後で再び橋との通路が肉壁ならぬ骨壁により閉じようとするが、そうはさせじと光輝が魔法を放ち蹴散らす。

 

クラスメイトが訝しそうな表情をする。それもそうだろう。目の前に階段があるのだ。さっさと安全地帯に行きたいと思うのは当然である。

 

「皆、待って! 南雲くんと辻風くんを助けなきゃ! 南雲くんと辻風くんがたった二人であの怪物を抑えてるの!」

 

「早く来君を助けないと……刀は折れちゃったみたいだし、あの苦無だけじゃもう限界だよ……!」

 

香織と膵花のその言葉に何を言っているんだという顔をするクラスメイト達。そう思うのも仕方ない。なにせ、ハジメは〝無能〟、来は〝最強〟で通っているのだから。

 

だが、困惑するクラスメイト達が、数の減ったトラウムソルジャー越しに橋の方を見ると、そこには確かにハジメと来の姿があった。

 

「なんだよあれ、何してんだ?」

「あの魔物、石の檻に閉じ込められてる?」

 

次々と疑問の声を漏らす生徒達にメルド団長が指示を飛ばす。

 

「そうだ! 坊主と来がたった二人であの化け物を抑えているから撤退できたんだ! 前衛組! ソルジャーどもを寄せ付けるな! 後衛組は遠距離魔法準備!もうすぐ坊主と来の魔力が尽きる。アイツが離脱したら一斉攻撃で、あの化け物を足止めしろ!」

 

ビリビリと腹の底まで響くような声に気を引き締め直す生徒達。中には階段の方向を未練に満ちた表情で見ている者もいる。

 

無理もない。ついさっき死にかけたのだ。一秒でも早く安全を確保したいと思うのは当然だろう。しかし、団長の「早くしろ!」という怒声に未練を断ち切るように戦場へと戻った。

 

その中には檜山大介もいた。自分の仕出かした事とはいえ、本気で恐怖を感じていた檜山は、直ぐにでもこの場から逃げ出したかった。

 

しかし、ふと脳裏にあの日の情景が浮かび上がる。

 

それは、迷宮に入る前日、ホルアドの町で宿泊していたときのこと。

 

緊張のせいか中々寝付けずにいた檜山は、トイレついでに外の風を浴びに行った。涼やかな風に気持ちが落ち着いたのを感じ部屋に戻ろうとしたのだが、その途中、ネグリジェ姿の香織を見かけたのだ。

 

初めて見る香織の姿に思わず物陰に隠れて息を詰めていると、香織は檜山に気がつかずに通り過ぎて行った。

 

気になって後を追うと、香織は、とある部屋の前で立ち止まりノックをした。その扉から出てきたのは……ハジメだった。

 

檜山は頭が真っ白になった。檜山は香織に好意を持っている。しかし、自分とでは釣り合わないと思っており、光輝のような相手なら、所詮住む世界が違うと諦められた。

 

しかし、ハジメは違う。自分より劣った存在(檜山はそう思っている)が香織の傍にいるのはおかしい。それなら自分でもいいじゃないか、と端から聞けば頭大丈夫? と言われそうな考えを檜山は本気で持っていた。

 

そして来、今まで散々自分を痛めつけてきた。別に彼に対して何かしたわけでもないのに。

 

ただでさえ溜まっていた不満は、すでに憎悪にまで膨れ上がっていた。香織が見蕩れていたグランツ鉱石を手に入れようとしたのも、その気持ちが焦りとなってあらわれたからだろう。

 

その時のことを思い出した檜山は、たった二人でベヒモスを抑えるハジメと来を見て、今も祈るようにハジメと来を案じる香織と膵花を視界に捉え……

 

ほの暗い笑みを浮かべた。

 

 

 

 

その頃、ハジメと来はもう直ぐ自分の魔力が尽きるのを感じていた。既に回復薬はない。チラリと後ろを見るとどうやら全員撤退できたようである。隊列を組んで詠唱の準備に入っているのがわかる。

 

ベヒモスは相変わらずもがいているが、この分なら錬成を止めても数秒は時間を稼げるだろう。その間に少しでも距離を取らなければならない。

 

額の汗が目に入る。極度の緊張で心臓がバクバクと今まで聞いたことがないくらい大きな音を立てているのがわかる。

 

ハジメと来はタイミングを見計らった。

 

そして、数十度目の亀裂が走ると同時に最後の錬成でベヒモスを拘束する。同時に、一気に駆け出した。

 

ハジメと来が猛然と逃げ出した五秒後、地面が破裂するように粉砕されベヒモスが咆哮と共に起き上がる。その眼に、憤怒の色が宿っていると感じるのは勘違いではないだろう。鋭い眼光が己に無様を晒させた怨敵を探し……

 

ハジメと来の二人を捉えた。

 

再度、怒りの咆哮を上げるベヒモス。二人を追いかけようと四肢に力を溜めた。

 

だが、次の瞬間、あらゆる属性の攻撃魔法が殺到した。

 

夜空を流れる流星の如く、色とりどりの魔法がベヒモスを打ち据える。ダメージはやはり無いようだが、しっかりと足止めになっている。

 

いける! と確信し、転ばないよう注意しながら頭を下げて全力で走るハジメと来。すぐ頭上を致死性の魔法が次々と通っていく感覚は正直生きた心地がしないが、チート集団がそんなミスをするはずないと信じて駆ける。ベヒモスとの距離は既に三十メートルは広がった。

 

思わず、頬が緩む。

 

しかし、その後、ハジメの表情が凍りつくようなことが起こる。

 

無数に飛び交う魔法の中で、一つの火球がクイッと軌道を僅かに曲げたのだ。

 

……ハジメの方に向かって。

 

明らかにハジメを狙い誘導されたものだ。

 

(なんで!?)

 

疑問や困惑、驚愕が一瞬で脳内を駆け巡り、ハジメは愕然とする。

 

咄嗟に踏ん張り、止まろうと地を滑るハジメの眼前に、その火球は突き刺さった。着弾の衝撃波をモロに浴び、来た道を引き返すように吹き飛ぶ。直撃は何とか避けたし、内臓などへのダメージもないが、三半規管をやられ平衡感覚が狂ってしまった。そして、嫌な音がした。

 

「……!?」

 

ハジメは剣を持ったまま吹き飛ばされていた。衝撃でハジメの手から剣が離れる。そしてその剣は真っ直ぐ貫いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を。

 

「「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

その光景を見て、香織と膵花が叫ぶ。

 

ハジメは手を震わせながら剣を抜き、手から放す。

 

「……来……」

 

来は血を吐きながらハジメに言葉をかける。

 

「逃げろハジメ……お前だけでも生きてくれ……」

 

ハジメを突き飛ばした後、膵花へ手を伸ばすも力尽き、橋の上に横たわる。そしてそのまま、血だまりの上で動かなくなった。

 

ベヒモスも、いつまでも一方的にやられっぱなしではなかった。ハジメが立ち上がった直後、背後で咆哮が鳴り響く。思わず振り返ると三度目の赤熱化をしたベヒモスの眼光がしっかりハジメを捉えていた。

 

そして、赤熱化した頭部を盾のようにかざしながらハジメに向かって突進する!

 

フラつく頭、霞む視界、迫り来るベヒモス、遠くで焦りの表情を浮かべ悲鳴と怒号を上げるクラスメイト達。

 

ハジメは、なけなしの力を振り絞り、必死にその場を飛び退いた。直後、怒りの全てを集束したような激烈な衝撃が橋全体を襲った。ベヒモスの攻撃で橋全体が震動する。着弾点を中心に物凄い勢いで亀裂が走る。メキメキと橋が悲鳴を上げる。

 

そして遂に……橋が崩壊を始めた。

 

度重なる強大な攻撃にさらされ続けた石造りの橋は、遂に耐久限度を超えたのだ。

 

「グウァアアア!?」

 

悲鳴を上げながら崩壊し傾く石畳を爪で必死に引っ掻くベヒモス。しかし、引っ掛けた場所すら崩壊し、抵抗も虚しく奈落へと消えていった。ベヒモスの断末魔が木霊する。

 

ハジメは何とか間に合ったが、来の身体は橋だった瓦礫と共に奈落の闇へと吸い込まれていった……




次回
第四閃 手書遺言

オリ主ヒロインにミレディ・ライセンを追加しようと思っていますが、入れてもいいと思いますか?

  • 入れてもいい(むしろ入れてくれ)
  • 原作重視(入れるな)
  • 死亡回避ならOK
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