ありふれた職業と共に一刀両断!!   作:籠城型・最果丸

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第四十八陣 相対、魔人と黒髪の剣士

【オルクス大迷宮】九十層。この階層に到達したのは勇者一行が初めてだ。前衛は光輝、龍太郎、雫、ハジメ、永山、檜山、近藤の七人。後は中衛か後衛に回っている。

 

だが、そこは前までの階層とは異なり、静寂に満ちていた。探索が半分以上済んでもなお、魔物の気配はない。

 

「おかしいな……魔物が一匹も見当たらないぞ」

 

周囲を警戒していたハジメが呟く。

 

「………なんつぅか、不気味だな。最初からいなかったのか?」

 

龍太郎も同じく呟く。メンバーが口々に可能性を話し合うが答えなど見つかるはずもなかった。困惑は益々深まるばかり。

 

「……光輝。一度、戻らない? 何だか嫌な予感がするわ。メルド団長達なら、こういう事態も何か知っているかもしれないし」

 

雫が警戒心を強めながら、光輝にそう提案した。光輝も何となくだが、嫌な予感を感じていたので雫の提案に乗るべきかと考えたが、何らかの障碍があったとしてもいずれにしろ打ち破って進まなければならないし、八十九層でも割りかし余裕のあった自分達なら何が来ても大丈夫ではないかと考えて、答えを逡巡する。

 

光輝が迷っていると、不意に、辺りを観察していたメンバーのうち数人が何かを見つけた。

 

「これ……血……だよな?」

「薄暗いし壁の色と同化してるから分かりづらいけど……あちこち付いているよ」

「おいおい……これ……結構な量なんじゃ……」

 

表情を青ざめさせるメンバーの中から永山が進み出て、血と思しき液体に指を這わせる。そして、指に付着した血をすり合わせたり、臭いを嗅いだりして詳しく確認した。

 

「天之河……八重樫の提案に従った方がいい……これは魔物の血だ。それも真新しい」

「そりゃあ、魔物の血があるってことは、この辺りの魔物は全て殺されたって事だろうし、それだけ強力な魔物がいるって事だろうけど……いずれにしろ倒さなきゃ前に進めないだろ?」

 

光輝の反論に、永山は首を横に振る。永山は、龍太郎と並ぶクラスの二大巨漢ではあるが、龍太郎と違って非常に思慮深い性格をしている。その永山が、臨戦態勢になりながら立ち上がると周囲を最大限に警戒しながら、光輝に自分の考えを告げた。

 

「天之河……魔物は、何もこの部屋だけに出るわけではないだろう。今まで通って来た通路や部屋にも出現したはずだ。にもかかわらず、俺達が発見した痕跡はこの部屋が初めて。それはつまり……」

「……何者かが魔物を襲った痕跡を隠蔽したってことね?」

「そうだ」

 

後を継いだ雫の言葉に永山が頷く。光輝もその言葉にハッとした表情になると、永山と同じように険しい表情で警戒レベルを最大に引き上げた。

 

「それだけ知恵の回る魔物がいるという可能性もあるけど……人であると考えたほうが自然ってことか……そして、この部屋だけ痕跡があったのは、隠蔽が間に合わなかったか、あるいは……」

「おい。奥の方にある壁、何か削れてねぇか?」

 

ふいにハジメが呟いた。目を向けた先には、細長い傷が無数に走る壁があった。

 

「……本当だ。しかもこれ、何かの武器で削ったように見えるな」

 

永山は壁の傷を何らかの武器で削ったものだと推測した。

 

「だとしたらこれは不味いわね。誰かいるのは間違いないみたい。光輝、やっぱり一度引き返した方が……」

 

雫が光輝に撤収を促そうとした瞬間、突如斬撃が向こうから襲い掛かって来た。ハジメが錬成で壁を造ったお陰で誰も斬られることはなかった。

 

「ほぅ、今の攻撃を防ぐとはね」

 

突如、聞いたことのない女の声が響き渡った。男口調のハスキーな声音だ。光輝達は、ギョッとなって、咄嗟に戦闘態勢に入りながら声のする方に視線を向けた。

 

コツコツと足音を響かせながら、広い空間の奥の闇からゆらりと現れたのは燃えるような赤い髪をした妙齢の女。その女の耳は僅かに尖っており、肌は浅黒かった。

 

光輝達が驚愕したように目を見開く。女のその特徴は、光輝達のよく知るものだったからだ。実際には見たことはないが、イシュタル達から叩き込まれた座学において、幾度も出てきた種族の特徴。聖教教会の掲げる神敵にして、人間族の宿敵。そう……

 

「……魔人族か」

 

ハジメの発した呟きに、魔人族の女は薄らと冷たい笑みを浮かべた。

 

光輝達の目の前に現れた赤い髪の女魔人族は、冷ややかな笑みを口元に浮かべながら、驚きに目を見開く光輝達を観察するように見返した。

 

瞳の色は髪と同じ燃えるような赤色で、服装は艶のない黒一色のライダースーツのようなものを纏っている。胸部は開いていて、数人の男子は頬を染める。

 

「勇者はあんたでいいんだよね? そこの両手に何か持ってるあんたで。さっきの攻撃、防いだろ?」

 

女はハジメに向かって声をかける。光輝が何か言おうとしたがハジメがそれを制止する。

 

「攻撃を防いだのは確かに俺だ。だが、勇者は俺じゃなくてそっちのキラキラしてるのだ」

 

ハジメは光輝を指差して彼が勇者であることを示す。

 

「なんだ、そっちかい。てっきりあんたが勇者かと思ったよ。じゃ、あんたは噂に聞く勇者よりも強いっていう剣士かい?」

「……それも違う」

 

ハジメは拳を握り締める。

 

「目的は何だ!!」

 

光輝が魔人族の女に目的を問いただす。

 

「勇者君とそこの黒服のあんたに一応聞いておく。あたしら魔人族の側に来ないかい?」

「な、なに? 来ないかって……どう言う意味だ!」

 

魔人族の女は心底面倒そうに言葉を続ける。

 

「はぁ~、呑み込みが悪い勇者だこと。……まぁ、命令だし仕方ないか。そのまんまの意味だよ。勇者君を勧誘してんの。あたしら魔人族側に来ないかって。色々、優遇するよ?」

 

光輝達としては完全に予想外の言葉だったために、その意味を理解するのに少し時間がかかった。そして、その意味を呑み込むと、クラスメイト達は自然と光輝に注目し、光輝は、呆けた表情をキッと引き締め直すと魔人族の女を睨みつけた。

 

「断る! 人間族を……仲間達を……王国の人達を……裏切れなんて、よくもそんなことが言えたな! やはり、お前達魔人族は聞いていた通り邪悪な存在だ! わざわざ俺を勧誘しに来たようだが、一人でやって来るなんて愚かだったな! 多勢に無勢だ。投降しろ!」

 

光輝の言葉に、安心した表情をするクラスメイト達。光輝なら即行で断るだろうとは思っていたが、ほんの僅かに不安があったのは否定できない。

 

だが、それに内心舌打ちする者あり。

 

「普通考えてこんな所に一人で来るわけないだろ……それに気配はもう一つある。それにすら気づけてないのかよあいつは」

 

ハジメの指摘通り、いくら魔法に優れた魔人族とはいえ、こんな場所に一人で来るなんて通常考えられない。この階層の魔物を無傷で殲滅し、あまつさえその痕跡すら残さないなどもっと有り得ない。そんなことが出来るくらい魔人族が強いなら、はなから人間族は為すすべなく魔人族に蹂躙されていたはずだ。

 

「それに、彼女は武器を持ってない。恐らく先程の斬撃は別の何かが放ったものだと思うわ」

 

魔人族の女は手に何も持っていなかった。にもかかわらず、斬撃が来た。この時点で一人でないのは確定的に明らか。

 

魔人族の女より周囲に最大限の警戒を行う。ハジメと雫、そして永山は、場合によっては一度、嘘をついて魔人族の女に迎合してでも場所を変えるべきだと考えていたのだが、その考えを光輝に伝える前に彼が怒り任せに答えを示してしまったので、仕方なく不測の事態に備えているのだ。

 

それに、この階層に到達できるほどの人間族十六人+αを前にしても魔人族の女は全く焦っていない。戦闘の痕跡を隠蔽したことも考えれば最初に危惧した通り、ここで待ち伏せしていたのだと推測すべきで、だとしたら地の利は彼女の側にあると考えるのが妥当だ。何が起きても不思議ではない。

 

一方の、魔人族の女は、即行で断られたにもかかわらず「あっそ」と呟くのみで大して気にしていないようだ。むしろ、怒鳴り返す光輝の声を煩わしそうにしている。

 

「一応、お仲間も一緒でいいって上からは言われてるけど? それでも?」

「答えは同じだ! 何度言われても、裏切るつもりなんて一切ない!」

 

そのお仲間には相談せずに代表して、やはり即答。そんな勧誘を受けること自体が不愉快だと言わんばかりに、光輝は聖剣を起動させ光を纏わせる。これ以上は問答無用。投降しないなら力づくでも! という意志を示す。

 

しかし、ハジメと雫、永山の危機感は、直ぐに正しかったと証明される。

 

「そう。なら、もう用はないよ。あと、一応、言っておくけど……あんたの勧誘は最優先事項ってわけじゃないから、殺されないなんて甘いことは考えないことだね。それに、ここに来たのはあたしだけじゃない。リュータ!!」

 

魔人族の女が名を呼ぶと、先程の斬撃が迫って来た。今度は鈴の張った結界によって防がれたが、その結界も破られてしまった。すかさずハジメが銃撃を入れる。だが、弾は全て弾き返された。

 

「飛び道具か? 随分と面白い武器を使うのだな」

 

斬撃を放ったのは別の者だった。女と同じく浅黒い肌に少し先の尖った耳だが、髪色は漆黒だった。褐色のロングコートを羽織ったその男は、両手に剣を持ちながら一行に近づいて来る。

 

「ルトス、ハベル、エンキ。餌の時間だよ!」

 

女は虚空に向かって名を三つ呼んだ。瞬間、ハジメ雫と永山が苦悶の声を上げて吹き飛ぶ。

 

「ぐっ!?」

「がっ!?」

「くっ!?」

 

突如、光輝達の左右の空間が揺らぎ、〝縮地〟もかくやという速度で〝何か〟が接近し、何の備えもせず光輝と魔人族の女のやり取りを見ていたクラスメイト達に襲いかかったのだ。

 

最初から、最大限の警戒網を敷いていたハジメと雫、永山はその奇襲に辛うじて気がつき、咄嗟に、狙われている生徒をかばって見えない敵に防御態勢を取ったのである。

 

ハジメは、錬成師でありながら、近代武器があるのでそれなりの戦闘力を持つ。だが、ステータスは全体的にそれほど高くないので反応に体が追い付かず、胸部を裂かれてあっさりと地面に叩きつけられる。

 

雫は、スピードファイターであるため防御力はそこまで高くない。そのため、揺らぐ空間に対して抜刀した剣と鞘を十字にクロスさせて衝撃の瞬間を見計らい自ら後方に飛ぶことで威力を殺そうとした。しかし、相手の攻撃力が想像の遥か上であったため、防御を崩され腹部を浅く裂かれた上に強く地面に叩きつけられた。

 

永山は、〝重格闘家〟という天職を持っており、格闘系天職の中でも特に防御に適性がある。〝身体強化〟の派生技能で〝身体硬化〟という技能とお馴染みの〝金剛〟を習得しており、両技能を重掛けした場合の耐久力は鋼鉄の盾よりも遥かに上だ。自らの巨体も合わせれば、その人間要塞とも言うべき防御を突破するのは至難と言っていい。

 

だが、その永山でさえ、〝何か〟の攻撃により防御を突破されて深々と両腕を切り裂かれ血飛沫を撒き散らしながら吹き飛び、たまたま後方にいた檜山達にぶつかって辛うじて地面への激突という追加ダメージを免れるという有様だった。

 

ガラスが割れるような破砕音は、鈴が雫の臨戦態勢に合わせて予め唱えておいた障壁魔法を、本能的な危機感に従って咄嗟に張ったものだ。場所は、パーティーの後方。そこに〝何か〟あると感じたわけではなく、何となく、雫と永山の位置からして自分は後方に障壁を展開するべきだと、これまた本能的、あるいは経験的に悟ったからだ。その行動は極めて正しかった。鈴の障壁がなければ、三つ目の空間の揺らめきは、容赦なく永山のパーティーメンバーを切り裂いていただろう。

 

だが、味方を見事に守った代償に、障壁破砕の衝撃をモロに浴びて鈴もまた後方へ吹き飛ばされた。運良く、すぐ後ろに恵里がいたため、受け止められて事なきを得たが、ほかの雫と永山を切り裂いた二つの揺らめきと同じく、三つ目の揺らめきも直ぐさま追撃に動き出したため、危機は未だ終わってはいない。

 

突然の襲撃に、反応しきれていないクラスメイト達を三つの揺らめきが切り裂かんと迫った、その瞬間、

 

「光の恩寵と加護をここに! 〝回天〟〝周天〟〝天絶〟!」

 

香織がほとんど無詠唱かと思うほどの詠唱省略で同時に三つの光系魔法を発動した。

 

一つは、切り裂かれて吹き飛び、地面に叩きつけられた雫と永山を即座に癒す光系中級回復魔法〝回天〟。複数の離れた場所にいる対象を同時に治癒する魔法だ。痛みに呻きながら何とか起き上がろうともがく三人に淡い白光が降り注ぎ、尋常でない速度で傷が塞がっていく。

 

次いで、少しでも気を逸らせば直ぐに見失いそうな姿なき揺らめく三つの存在に、ハジメ達に降り注いだのと同じ淡い白光が降り注ぎ纏わりつく。すると、その光はふわりと広がって空間に光の輪郭が出現した。

 

光系の中級回復魔法〝周天〟。これは、いわゆるオートリジェネだ。回復量は小さいが一定時間ごとに回復魔法が自動で掛かる。この魔法は掛かっている間、魔力光が纏わりつくという特徴がある。香織は、その特性を利用し、回復効果を最小限にして正体不明の敵に使用することで間接的に姿を顕にしたのだ。

 

白光により現れた姿は、ライオンの頭部に竜のような手足と鋭い爪、蛇の尻尾と、鷲の翼を背中から生やすキメラ。おそらく、迷彩の固有魔法を持っているのだろう。姿だけでなく気配も消せるのは相当厄介な能力ではあるが、行動中は完全には力を発揮出来ないようで、空間が揺らめいてしまうという欠点があるのは不幸中の幸いだ。

 

なにせ、クラスメイトの中でもトップクラスの近接戦闘能力を持つハジメと雫、永山を一撃で行動不能に陥れたのだ。恐るべき敵である。この上、ほぼ完全に姿を消せるとあっては、とても太刀打ち出来ない。今までの階層の魔物と比較すると明らかにこの階層の魔物のレベルを逸脱している。

 

そのキメラ三体は、纏わりつく光など知ったことかと追撃の爪牙を繰り出した。目標は、雫、永山、鈴の三人だ。だが、その爪牙が三人に届くことはなかった。なぜなら、三人の眼前にそれぞれ三枚ずつ光の盾が出現し、キメラの一撃で粉砕されながらも、微妙に角度をずらして設置していたために攻撃を間一髪のところで逸らしたからである。

 

光系の中級防御魔法〝天絶〟。〝光絶〟という光のシールドを発動する光系の初級防御魔法の上位版で、複数枚を一度に出す魔法だ。〝結界師〟である鈴などは、この魔法を応用して、壊される端から高速でシールドを補充し続け、弱く直ぐに破壊されるが突破に時間がかかる多重障壁という使い方をしたりする。この点、香織は、光属性全般に高い適性を持つものの、結界専門の鈴には及ばないため、そのような使い方は出来ない。精々、設置するシールドの微調整が出来る程度だ。

 

しかし、今回はそれが役に立った。鈴の強力な障壁が一撃で破壊された瞬間に、香織は、自分の障壁では役に立たないと悟り、攻撃をいなす方法を選択したのだ。もっとも、全く同じ攻撃が、予想通り来るとは限らないので、イチかバチかという賭けの要素が強かった。上手くいったのは幸運である。

 

攻撃をいなされた三体のキメラは、やや苛立ったように再度攻撃に移ろうとした。稼げた時間は一瞬。問題などないと。しかし、一瞬とはいえ、貴重な時間を稼げた事に変わりはない。その時間を光輝達が逃すはずはなかった。

 

「雫から離れろぉおお!!」

 

光輝は、怒りを多分に含ませた雄叫び上げながら〝縮地〟で一気に雫の近くにいたキメラに踏み込んだ。光輝の移動速度が焦点速度を超えて背後に残像を生み出す。振りかぶった聖剣が一刀のもとにキメラの首を跳ねんと輝きを増す。

 

同時に、龍太郎も永山を襲おうとしていたキメラへと空手の正拳突きの構えを取った。直接踏み込んで攻撃するより、篭手型アーティファクトの能力である衝撃波を飛ばしたほうが早いと判断したからだ。龍太郎から裂帛の気合が迸り、篭手に魔力が収束していく。

 

さらに、吹き飛ばされ鈴を受け止めていた恵里が片手を突き出し、鈴と同様、危機感から続けていた詠唱を完成させ、強力な炎系魔法を発動させた。〝海炎〟という名の炎系中級魔法は、文字通り、炎の津波を操る魔法で分類するなら範囲魔法だ。素早い敵でも、そう簡単には避けられはしない。

 

光輝の聖剣が壮絶な威力と早さをもって大上段から振り下ろされる。龍太郎の正拳突きが、これ以上ないほど美しいフォームから繰り出され、それにより凄絶な衝撃波が砲弾のごとく突き進む。恵里の死を運ぶ紅蓮の津波が目標を呑み込み灰塵にせんと迸った。

 

だが……一体どこに潜んでいたのか。光輝達の攻撃がまさに直撃しようかというその瞬間、三つの影が咆哮を上げながら光輝達へと襲いかかった。

 

「「ッ!?」」

 

突然の事態に光輝と龍太郎の背筋を悪寒が襲う。二体の影は、それぞれ光輝と龍太郎に猛烈な勢いで突進すると、手に持った金属のメイスを豪速をもって振り抜いた。

 

咄嗟に、光輝は剣の遠心力を利用して身を捻り、龍太郎は突き出した右手の代わりに引き絞った左腕をカチ上げて眼前まで迫っていたメイスを弾く。光輝はバランスを崩し地面を転がり、龍太郎は、メイスを弾いた後の敵の拳撃による二撃目を受けて吹き飛ばされた。

 

光輝と龍太郎に不意を打ったのは、体長二メートル半程の見た目はブルタールに近い魔物だった。しかし、いわゆるオークやオーガと言われるRPGの魔物と同様に、ブルタールが豚のような体型であるのに対して、その魔物は随分とスマートな体型だ。まさに、ブルタールの体を極限まで鍛え直し引き絞ったような体型である。実際、先程の不意打ちからしても、膂力・移動速度共に、ブルタールの比ではなかった。

 

一方、恵里の方は直接攻撃を受けたわけではなかったが、受けた心理的衝撃の度合いはむしろ光輝達よりも強かった。なぜなら、押し寄せる炎の津波を、突如割り込んだ影が大口を開けたかと思うと一気に吸い込み始めたからだ。ヒュオオオ! という音と共に、みるみると広範囲に展開していた炎が一点へと収束し消えていく。その影が全ての炎を吸い込むのに十秒程度しか掛からなかった。

 

炎と熱気が消えた空間からは、体から六本の足を生やした亀のような魔物が姿を現した。背負う甲羅は、先程まで敵を灰に変えようと荒れ狂っていた炎と同じように真っ赤に染まっている。

 

と、次の瞬間、多足亀が炎を吸収しきって一度は閉じていた口を再びガパッと大きく開いた。同時に背中の甲羅が激しく輝き、開いた口の奥に赤い輝きが生まれる。まるで、エネルギーを集めて発射寸前のレーザー砲のようだ。

 

その様子を見た恵里が、表情に焦りを浮かべた。魔法を放ったばかりで対応する余裕がないからだ。だが、その焦りは、腕の中の親友がいつも通りの元気な声で吹き飛ばした。

 

「にゃめんな! 守護の光は重なりて 意志ある限り蘇る〝天絶〟!」

 

刹那、鈴達の前に十枚の光のシールドが重なるように出現した。そのシールドは全て、斜め四十五度に設置されており、シールドの出現と同時に、多足亀から放たれた超高熱の砲撃はシールドを粉砕しながらも上方へと逸らされていった。

 

それでも、継続して放たれる砲撃の威力は、先程のキメラの攻撃の上を行く壮絶なもので、一瞬にしてシールドを食い破っていく。鈴は、歯を食いしばりながら詠唱の通り次々と新たなシールドを構築していき、〝結界師〟の面目躍如というべきか、シールドの構築速度と多足亀の砲撃による破壊速度は拮抗し辛うじて逸らし続けることに成功した。

 

逸らされた砲撃は、激震と共に迷宮の天井に直撃し周囲を粉砕しながら赤熱化した鉱物を雨の如く撒き散らした。

 

「ちくしょう! 何だってんだ!」

「なんなんだよ、この魔物は!」

「くそ、とにかくやるぞ!」

 

そこまでの事態になってようやく檜山達や永山のパーティーが悪態を付きながらも混乱から抜け出し完全な戦闘態勢を整える。傷を負っていたハジメや雫、永山も完全に治癒されて、それぞれ眼前の見えるようになったキメラに攻撃を仕掛け始めた。

 

雫が、残像すら見えない超高速の世界に入る。風が破裂するようなヴォッ! という音を一瞬響かせて姿が消えたかと思えば、次の瞬間にはキメラの真後ろに現れて、これまたいつの間にか納刀していた剣を抜刀術の要領で抜き放った。

 

〝無拍子〟による予備動作のない移動と斬撃。姿すら見えないのは単純な移動速度というより、急激な緩急のついた動きに認識が追いつかないからだ。さらに、剣術の派生技能により斬撃速度と抜刀速度が重ねて上昇する。鞘走りを利用した素の剣速と合わせれば、普通の生物には認識すら叶わない神速の一閃となる。

 

先程受けた一撃のお返しとばかりに放たれたそれは八重樫流奥義が一〝断空〟。空間すら断つという名に相応しく、銀色の剣線のみが虚空に走ったかと思えば、次の瞬間には、キメラの蛇尾が半ばから断ち切られた。

 

怒りの咆哮を上げて振り向きざまに鋭い爪を振るうキメラ。しかし、その攻撃は虚しく空を切る。既に、雫は、反対側へと回り込んでいたからだ。そして、二の太刀を振るい今度はキメラの両翼を切り裂いた。

 

「くっ!」

 

速度で相手を翻弄し着実にダメージを与えていく雫。しかし、雫の表情は晴れず、それどころか苦虫を噛み潰したような表情で思わず声を漏らした。それは、思惑が外れたことが原因だった。雫は、本当なら、最初の一撃でキメラの胴体を両断するつもりだったのだが、寸でのところで蛇尾が割って入り斬撃が届かなかったのだ。二太刀目も胴体を切り裂くつもりが、斬撃が届くより一瞬早く身を屈められて両翼を切り裂くに留まってしまった。

 

キメラは今のところ、雫の速さに付いてこられていない。しかし、全く対応できないというわけでもなかったのだ。姿が消せる上、かろうじてとは言え雫の本気の速さに対応してくる反応速度。本当に難敵である。さっさと倒して他の救援に向かいたい雫としては、厄介なことこの上なかった。

 

その後も、三太刀目、四太刀目と剣を振るい、キメラの体に無数の傷をつけていくが、どれも浅く致命傷には遠く及ばない。それどころか、キメラは徐々に雫の速度を捉え始めていた。雫の表情に焦りが生まれ始める。

 

さらに、雫にとって、いや、雫達にとって悪いことは続く。

 

突然、部屋に何かの叫びが響いたかと思うと、雫の眼前で両翼と蛇尾を切断されていたキメラが赤黒い光に包まれて、みるみる内に傷を癒していったのだ。香織の〝周天〟は、ほとんど意味がないほどに効果を落としてあるので、いくら浅い傷といえどそう簡単に治ったりはしない。雫は目を見開き、癒されていくキメラに注意しながら叫び声の方をチラリと見やった。

 

すると、いつの間にか、高みの見物と洒落こんでいた魔人族の女の肩に双頭の白い鴉が止まっており、一方の頭が雫の方を、正確には、雫の眼前にいるキメラに向いていたのだ。

 

「回復役までいるって言うの!?」

 

難敵にやっとの思いで傷を与えてきたというのに、それを即座に癒される。唯でさえ時間が経てば経つほど順応されて勝機が遠のくというのに、後方には優秀な回復役が待機している。あまりの事態に、思わず雫が悲鳴を上げた。

 

その白鳩をハジメが狙って銃弾を放つが、またしても男に弾かれる。

 

見れば、雫だけでなく、他の場所でも同じように悲痛な叫びを上げる仲間達がいた。

 

光輝の方も、支援を受けつつブルタール擬きと戦っていたようで、ブルタールの胴体には肩から腰にかけて深々と切り裂かれた痕がついていたのだが、その傷も白鴉の一方の頭が見つめながら叫び声を上げることで、まるで逆再生でもしているかのように癒されていく。

 

龍太郎や永山の方も同じだ。龍太郎が相手取っていた二体目のブルタール擬きは腹部が破裂したように抉れていたり片腕が折れていたりしたようだが、雫が相手取っていたキメラを癒していた白鴉の頭が同じように鳴くとみるみる癒されていき、永山の相手だったキメラも陥没した肉体の一部が直ぐさま癒されていった。

 

「だいぶ厳しいみたいだね。どうする? やっぱり、あたしらの側についとく? 今なら未だ考えてもいいけど?」

 

光輝達の苦戦を、腕を組んで余裕の態度で見物していた魔人族の女が再び勧誘の言葉を光輝達にかけた。もっとも、答えなど分かっているとでも言うように、その表情は冷めたままだったが。そして、その予想は実に正しかった。

 

「ふざけるな! 俺達は脅しには屈しない! 俺達は絶対に負けはしない! それを証明してやる! 行くぞ〝限界突破〟!」

 

魔人族の女の言葉と態度に憤怒の表情を浮かべた光輝は、再びメイスを振り下ろしてきたブルタールモドキの一撃を聖剣で弾き返すと、一瞬の隙をついて〝限界突破〟を使用した。魔力を消費して一時的に基礎ステータスを三倍に引き上げる。ただし、長時間使用することはできず、使用後はしばらくの間基礎ステータスが半減する。

 

神々しい光を纏った光輝は、これで終わらせると気合を入れ直し、魔人族の女に向かって突進した。

 

光輝は、魔物の強力さと回復が可能という事実に、このままでは仲間の士気が下がり押し切られると判断し、〝限界突破〟を使用して一気に白鴉と魔人族の女を倒そうと考えた。

 

光輝の〝限界突破〟の宣言と共に、その体を純白の光が包み込む。同時に、メイスの一撃を弾かれたブルタールモドキが光輝の変化など知ったことではないと、再び襲いかかった。

 

「刃の如き意志よ 光に宿りて敵を切り裂け 〝光刃〟!」

 

光輝は、ブルタールモドキにより振るわれたメイスを屈んで躱すと、聖剣に光の刃を付加させて下段より一気に切り上げた。

 

先程も、〝光刃〟を使って袈裟斬りにしたのだが、その時は、深手を与えるにとどまり戦闘不能にすることはできなかった。しかし、今度は〝限界突破〟により三倍に引き上げられたステータスと、光の刃の相乗効果もあってか、まるでバターを切り取るようにブルタールモドキの胴体を斜めに両断した。

 

一拍遅れて、ブルタールモドキの胴体が斜めにずれ、ドシャ! という生々しい音と共に崩れ落ちる。光輝は、踏み込んだ足をそのままに、一気に加速すると猛然と魔人族の女のもとへ突進した。

 

光輝と魔人族の女を隔てるものは何もない。いくら魔人族が魔法に優れた種族といえど、今更何をしようとも遅い。このまま、白鴉ともども切り裂いて終わりだ。誰もがそう思った。

 

が、しかし、そこへ横槍が入る。黒髪の男だ。

 

「カトレアを殺したければ、まず私を殺してみるがいい。一騎打ちでな。まぁ、この程度では無理だと思うが」

 

光輝の一撃を軽く弾く。光輝は数段後ろへと吹き飛ばされる。

 

「邪魔者には少し大人しくしてもらおう」

 

そう言って男は剣を横に薙ぐと、光輝の後ろにいるクラスメイト達が一斉に斬られた。あまりにも速過ぎる攻撃に、流石のハジメとユエも避けられなかった。

 

「更にこれもおまけだ。カトレア」

「地の底に眠りし金眼の蜥蜴 大地が産みし魔眼の主 宿るは暗闇見通し射抜く呪い   もたらすは永久不変の闇牢獄 恐怖も絶望も悲嘆もなく その眼まなこを以て己が敵の全てを閉じる 残るは終焉 物言わぬ冷たき彫像 ならば ものみな砕いて大地に還せ! 〝落牢〟!」

 

詠唱が完了した直後、魔人族の掲げた手に灰色の渦巻く球体が出来上がり、放物線を描いて光輝達の方へ飛来した。速度は決して早くはない。今の光輝達の中に回避できないものなどいない。一見、何の驚異も感じない攻撃魔法だったが、それを見た先ほど腹を触手で貫かれた野村健太郎が、血を失ったために青ざめている顔に更に焦りの表情を浮かべて叫んだ。

 

「ッ!? ヤバイッ! 谷口ィ!! あれを止めろぉ! バリア系を使え!」

「ふぇ!? りょ、了解! ここは聖……」

 

だが、詠唱の途中で再び不可視の斬撃が襲い掛かる。そして斬撃は鈴の腹と太腿、右腕を切った。

 

「あぁああああ!!」

「鈴ちゃん!」

「鈴!」

 

その苦悶の声を聞いて香織と恵里が、思わず悲鳴じみた声で鈴の名を呼ぶ。直ぐさま、香織が回復魔法を行使しようと精神を集中するが、それより灰色の球体が飛び込んでくる方が早かった。

 

「全員、あの球体から離れろぉ!」

 

野村が焦燥感に満ちた声で警告を発する。だが、その警告は遅すぎた。

 

勢いよく飛び込んできた灰色の渦巻く球体は、そのまま地面に着弾すると音もなく破裂し猛烈な勢いで灰色の煙を周囲に撒き散らした。

 

傍には、倒れて痛みにもがく鈴と駆けつけようとしていた斎藤と近藤、それに野村。灰色の煙は、一瞬で彼等を包み込む。魔物の影はない。着弾と同時に、一斉に距離をとったからだ。

 

灰色の煙はなおも広がり、光輝達をも包み込もうとする。

 

「来たれ 風よ! 〝風爆〟!」

 

光輝が、咄嗟に、突風を放つ風系統の魔法で灰色の煙を部屋の外に押し出す。

 

魔法で作り出された煙だからか、通常のものと違って簡単に吹き飛びはしなかったが、〟限界突破〟中の光輝の魔法は威力も上がっているので、僅かな拮抗の末、迷宮の通路へと排出することに成功した。

 

だが、煙が晴れたその先には……

 

「そんな、鈴!」

「野村くん!」

「斎藤! 近藤!」

 

完全に石化し物言わぬ彫像となった斎藤と近藤、下半身を石化された鈴、その鈴に覆いかぶさった状態で左半身を石化された野村の姿があった。

 

斎藤と近藤は、何が起こったのかわからないという様なポカンとした表情のまま固まっている。鈴は、下半身を石化された事で更なる激痛に襲われたようで苦悶の表情を浮かべたまま意識を失っていた。

 

一方、鈴を庇いながら、それでもなお被害が一番軽微だった野村だが、やはり激痛に襲われているらしく食いしばった歯の奥から痛みに耐えるうめき声が漏れていた。野村の被害が軽かったのは、彼が〝土術師〟の天職持ちだからだ。土属性に天賦の才を持っており、当然、土系魔法に対する高い耐性も持っている。

 

魔人族の女が発動した魔法を瞬時に看破したのも、あの魔法が土系統の魔法で野村も勉強していたからだ。土系の上級攻撃魔法〝落牢〟。石化する灰色の煙を撒き散らす厄介な魔法だ。ほんの僅かでも触れれば、そこから徐々に侵食され完全に石化してしまう魔法で、対処法としては、バリア系の結界で術の効果が終わるまで耐えるか、煙を強力な魔法で吹き飛ばすしかない。しかも、バリア系は上級レベルでなければ結界そのものが石化されてしまう上、煙も上級レベルの威力がなければ吹き飛ばすことが出来ないという強力なものだ。

 

「貴様! よくも!」

 

光輝が、仲間の惨状に憤怒の表情を浮かべる。光輝を包む〝限界突破〟の輝きがより一層眩い光を放ち始めた。今にも、魔人族の女に突貫しそうだ。

 

だが、そんな光輝をストッパーの雫が声を張り上げて諌める。そして、撤退に全力を注げと指示を出した。

 

「待ちなさい! 光輝! 撤退するわよ! 退路を切り開いて!」

「なっ!? あんなことされて、逃げろっていうのか!」

 

しかし、仲間を傷つけられた事に激しい怒りを抱く光輝は、キッと雫を睨みつけて反論した。光輝から放たれるプレッシャーが雫にも降り注ぐが、雫は柳に風と受け流し、険しい表情のまま光輝を説得する。

 

「聞きなさい! 香織なら、きっと治せる。でも、それには時間がかかるわ。治療が遅くなれば、手遅れになる可能性もある。一度引いて態勢を立て直す必要があるのよ! それに、三人欠けた上に、今、あんたが飛び出したら、次の攻勢に皆はもう耐えられない! 本当に全滅するわよ!」

 

「ぐっ、だが……」

「それに、〝限界突破〟もそろそろヤバイでしょ? この状況で、光輝が弱体化したら、本当に終わりよ! 冷静になりなさい! 悔しいのは皆一緒よ!」

 

理路整然とした幼馴染の言葉に、光輝は、唇を噛んで逡巡するが、雫が唇の端から血を流していることに気がついて、茹だった頭がスッと冷えるのを感じた。雫も悔しいのだ。思わず、唇を噛み切ってしまう程に。大事な仲間をやられて、出来ることなら今すぐ敵をぶっ飛ばしてやりたいのだ。

 

「わかった! 全員、撤退するぞ! 雫、龍太郎! 少しだけ耐えてくれ!」

「任せなさい!」

「おうよ!」

 

光輝は、聖剣を天に突き出すように構えると長い詠唱を始めた。今までは、詠唱時間が長い上に状況の打開にならないので使わなかったが、撤退のための道を切り開くにはちょうどいい魔法だ。

 

ただし、詠唱中は完全に無防備になるので身の守りを雫と龍太郎に託さねばならない。それは、光輝が引き受けていた魔物も彼等が相手取らなければならないということだ。当然、雫と龍太郎の二人に対応しきれるはずもなく、必死に応戦しながらもかなりの勢いで傷ついていく。

 

「逃げられると思うなよ?」

 

出口が結界で塞がれてしまった。もう外へ逃げることも、救援を呼ぶこともできない。そして詠唱も途中で妨害された。

 

「さて、舞台は整った。人族の勇者よ、名は何という?」

 

男は光輝に話しかける。光輝は最初、「誰が貴様達に名乗るものか」と突っぱねたが、先に男が名乗る。

 

「仲間からはリュータと呼ばれている。そして後ろの女はカトレアという。わざわざこっちから名乗ってやったのだ。貴様も名乗らねば失礼に当たるぞ」

「俺は……天之河光輝だ!」

 

仕方なく自らの名を名乗る光輝。

 

「光輝か。無駄に輝いているのは名前も同じだな。まぁいい、それより素晴らしい提案をしよう」

 

リュータは右手の剣を光輝に向ける。

 

「もし一騎打ちで私に勝てたら、今回のところは見逃してやろう。ただし、負ければここが貴様らの墓場となる」

 

リュータは余裕の表情だった。まるで「貴様らなど軽く一ひねりで十分だ」と言わんばかりに。

 

「なに、私もそこまで鬼ではない。五分猶予をやろう。それまでに受けるか断るか、決めておくがいい」

 

そう言って光輝に何かを投げ渡す。

 

「今すぐ〝限界突破〟を解いて、それを飲んでおけ。飲んで五分程休めば全快するだろう。安心しろ、貴様が休んでいる間こちらからは一切手出しをしないと誓おう」

 

そう言ってリュータはカトレアの近くまで退く。

 

「本当にいいのかい? このまま殺した方が手っ取り早いだろうに」

「全快した勇者を完膚なきまで叩きのめせば、あいつらに絶望を植え付けられる。殺すのは、()()が来た時だ」

「何かよく分からないけど、まぁいいか。どう足掻いてもあたしらが勝つしね」

 

リュータは出口まで一瞬で移動し、結界をすり抜けて上の階層に登っていった。

 

 

五分後、リュータが戻ると光輝は全快していた。最初、光輝は飲むのを拒んでいたが、鑑定の結果リュータが言っていた効能そのままだったので渋々飲むことにした。

 

「……上で何をしていた?」

「それは秘密だ」

 

光輝が上で何をしていたかを訊ねたが、リュータは教えなかった。

 

「そんなことはどうでもいいだろう。それより、どうする? 一騎打ちを受けるか? それともここで死ぬか?」

 

光輝は拳を握り締めながら俯いていた。

 

「俺は……」

 

そして、聖剣を握って構えを取る。

 

「ここで貴様を倒す! 勇者として、絶対に負けられないからな!!」

 

その目には、目の前の敵を必ず倒すという意志が宿っていた。

 

「その心意気や良し。存分に楽しもうぞ」

 

リュータも剣を肩に担いで構えを取る。

 

今ここに、勇者と剣士の一騎打ちが展開されるのだった……




『対よ』

『対よ』

『『今こそ巡り逢はん』』

『疾く参りたまへ』

『しばし待ちたまへ』

『光れ(いなづま)

『流れよ澄水(ちょうすい)


次回 第四十九閃 雌雄逢着

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