ありふれた職業と共に一刀両断!!   作:籠城型・最果丸

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どうも、最果丸です。
サソリモドキとエセアルラウネ(+恐竜)はハジメ達に丸投げしました。

感想ありがとうございます。
奈落に落ちてしまった親友に報いようとするハジメに心打たれた方も多いでしょう。ハジメが作った刀を決して鈍と呼ばないで下さい。さもなくば檜山達と同類と見做し粛清します(嘘)。

今回はその奈落に落ちてしまった一人の剣士が辿った真のオルクス大迷宮での行動を書きました。



追記
ステータスを修正しました。


第三章 奈落、そして迷宮攻略
第七陣 彷徨う剣士


(あれ……何で俺……こんなところで寝てるんだ?)

 

真のオルクス大迷宮最下層にて、ヒュドラの死体と共に転がっている者が一人。腹部に穴の開いた和服を羽織っている剣士だ。

 

剣士は必死に記憶を辿る。

 

(そうだ、洞穴で目が覚めて……よし、覚えてる。だけど……その前のことが思い出せない……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣士は暗い谷底で眠っていた。腹にあった刺し傷は塞がっている。そこにウサギのような魔物が近寄る。ウサギはキュ?と首を傾げ、剣士に近寄る。至近距離までウサギが近寄った瞬間、ウサギの首が飛んだ。

 

剣士は()()()()()立ち上がり、歩き出した。そこへ二頭の二尾狼が襲い掛かるも、神速の抜刀術で首を斬り落とした。

 

再び歩き出す剣士の背後に二メートル程の熊に似た魔物が立っていた。三十センチ位の鉤爪を両腕に三本ずつ生やしていて、二本の脚で立っていた。

 

爪熊が鉤爪を振るう。しかし避けられてしまう。だが、左の側頭部を掠った。また鉤爪を振るわれ、今度は両腕、両脚を掠った。出血量が酷い。

 

「〝錬成〟」

 

剣士は錬成を発動させ、左側の壁に縦五十センチ、横百二十センチ、奥行二メートルの穴を開けた。即座にそこへ転がり込んだ。

 

爪熊は獲物を目の前で逃がし、怒り狂った。

 

「〝錬成〟……〝錬成〟……〝錬成〟……〝錬せ……」

 

剣士は錬成を繰り返し、更に奥へと進んだ。だが、ある程度進んだところで魔力よりも先に失血で昏睡状態に陥った。

 

 

水滴が頬に当たり口に流れ込んだ。それを何度も続けた結果、四肢と頭に負った切り傷が塞がり、出血が止まった。剣士の意識が徐々に覚醒していく。

 

(ここは……何処だ?)

 

身体を起こそうとしたが、低い天井に頭を思いっ切りぶつけて再び気絶してしまった。気絶した剣士は目を閉じたまま錬成で空間を広げた。空間を広げることに岩の隙間から滴る液体の量が増えていく。ある程度広げたところで、水源に辿り着いた。

 

「……んはっ!?」

 

剣士は意識を回復させた。空間がいつの間にか広がっていることに驚いている様子だ。

 

戸惑いつつも液体の水源を見てみると、岩の壁から突き出た青白く発光する結晶だった。下に向かって結晶から液体が滴り落ちている。

 

剣士はそれに縋りつくように結晶に手を伸ばし、結晶の前で口を大きく開けた。すると、結晶から液体が口に向かって滴り落ち、身体中から痛みと倦怠感が消え失せた。

 

「疲れや痛みが退いていく……まるで神の水だな……〝神水〟とでも呼ぼうか」

 

剣士は結晶から滴り落ちる液体を〝神水〟、結晶そのものを神の結晶、〝神結晶〟と呼ぶことにした。

 

剣士は他に何か持っていないか、持ち物を全て地面に置いた。

 

「腰の刀……折れてる」

 

腰に差してある刀は折れてしまっているが、何かを斬るには十分な長さだ。

 

「手裏剣に……苦無?」

 

手裏剣は伊賀流、甲賀流それぞれ二つずつある。苦無も二本ある。

 

「何だこれ……鍛冶台? 随分小さいな」

 

剣士なのに何故か鍛冶台とハンマーがある。それに鉄鉱石もあった。

 

「後は……石板?」

 

残りはステータスプレートのみ。剣士はそこで自分の名前と強さを知る。

 

 

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辻風来 17歳 男 レベル:4

天職:剣士

筋力:345

体力:495

耐性:345

敏捷:1215

魔力:965

魔耐:575

技能:雷属性適正・全属性耐性・剣術[+抜刀術]・縮地・剛腕・先読・気配感知・気配遮断・龍化・魔力感知・自己再生・魂の回廊・思念通話・昏睡覚醒・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・言語理解

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(……辻風来? ……誰のことだ? ……でも、これは俺が持っていたし……恐らく俺の名前だろうが……技能の使い方が全く分からん)

 

剣士辻風来は記憶を失ってしまっていた。だが読み書きは何とかできるようだ。

 

(試しにこの錬成って技能でそこに穴とかできないかな……)

 

来は足元に右手を翳す。

 

「〝錬成〟」

 

すると、イメージ通りに穴が開いた。

 

「使い方が簡単過ぎる……」

 

穴を埋めた後、神水を出来るだけ沢山集めることにした。

 

「数滴飲んだだけであれほど血が出るような傷が塞がるとは……神水かなり使えるな」

 

二日経つと、神結晶から輝きが失われ、神水が出なくなった。

 

「あれ? 神水が出なくなった……待てよ……神水が滴り落ちていた時、神結晶には魔力が詰まっていた……それが今は尽きている……なら……」

 

来は神結晶に手を当て、魔力を流し込んだ。すると、神結晶は再び輝きだし、神水が出るようになった。

 

「……もう十分すぎるくらい集めたから……まあいいか」

 

神水は結構集めたのでこれ以上はもう必要ないだろう。だが無くなったら困るので、魔力が無くなった状態の神結晶を複製し、懐に仕舞う。かなり邪魔だが我慢することにした。

 

 

しかし、七日を過ぎた辺りから、重度の飢餓感を感じるようになった。

 

(喉の渇きは神水で何とかなるが……こればかりはどうしようもないな)

 

食料を探すため、来は洞穴から外に出ることにした。

 

(ん? あの熊みたいな生き物……こっちを見てる)

 

爪熊に見つかってしまった。爪熊は来を捕食者の目で見ている。

 

(不味い……喰われる……!!)

 

来は今まで味わったことのない恐怖を感じていた。

 

(……逃げなきゃ……!)

 

来は逃亡を開始するべく後ろを向こうとした。だが、それよりも早く爪熊の一撃が来を切り裂く。

 

「がっ……」

 

来は倒れてしまい、胸に出来た傷の痛みで苦しんだ。

 

来が爪熊の方を向いた瞬間、爪熊の一撃が炸裂する。そして来は意識を手放してしまった。

 

爪熊は来が死んだと思い込み、喰らい付こうと顔を近づけた瞬間…

 

ザシュッ

 

爪熊の首が飛んだ。

 

首を失った爪熊の身体はその場に倒れた。しばらくして傷が塞がると、来が目を醒ました。

 

「はっ……生きてる? ……あっ……し、死んでる……!!」

 

来は何が起こっているのか全く解らなかった。

 

「……それにしても腹が減ったな……食えるのかな? ……やってみるか」

 

爪熊の近くに転がっていた二尾狼の死体の一部を捥ぎ取り、食した。

 

「……生臭い……それに酷い味だ……余程腹が減ってもない限り絶対喰いたくないな……」

 

生臭さと酷い味に苦しめられながらも、何とか胃に流し込んだ。そして、来の身体に異変が起こる。

 

「――ッ!? うぐッ!!!」

 

身体中に激痛が走る。身体を内側から破壊されているような感覚。時間が経つごとに痛みは増していく。

 

「あッ……あッ……あッ……あッ……」

 

耐え難い痛みに痙攣を起こした。胸の傷程度の痛みが無効化されるような想像を絶する痛み。

 

来は急いで石製の試験管に入っている神水を飲み干した。痛みが退いていくが、しばらくするとまた痛み出す。

 

「がぁッ……うっ……あぐッ……」

 

痛みと共に来の身体が脈打った。至る所から肉が裂ける音がした。

 

あまりの痛みに意識を手放したかった。しかし神水がそれを許さない。

 

来は痛みには強い方だったが、あまりに強いその痛みに顔が苦痛に歪んでしまう。

 

そして、来の身体に変化が起こる。

 

 

一部茶色になっている髪が色素を失い、白くなる。

 

明るい空色だった瞳が見蕩れるような黄金色になっていく。

 

筋肉や骨の密度が増す。

 

 

魔物の肉を喰らえば肉体が変質した魔力に耐え切れずに崩壊してしまう。しかし、来の場合は神水を服用したことで完全に崩壊することなく修復されていく。

 

脈動と共に作り変えられていく来の身体。いや、作り変えられていくというより、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

一種の先祖返りである(人格は変わってないけど)。

 

やがて脈動が止まり、来は地面に伏した。髪は茶髪だったところが白くなっている。黒いままなのは、染めていたからである。

 

「……〝龍化〟」

 

そして何故か龍化を発動させた。来の身体は黄色い光に包まれ、ベヒモスよりも更に巨大なドラゴンへと姿を変えた。四足歩行に見えるが二足で立ち上がり走ることもできる。前脚は翼と一体化しており、かなり大きく開くことが出来る。後脚は少し細いが見た目とは裏腹に丈夫にできている。尾も長く、先端には無数の棘状の鱗が生えている。首は長く、角が獅子の鬣のごとく生えている。身体に赤黒い線が走っていることを除けばその姿は正に首と尾が一本だけのモンスター・ゼロ(キングギドラ)。

 

ドラゴンとなった来はまるで産声のような雄叫びを上げた。以前来が斬り捨てたウサギとは別個体の蹴りウサギが現れたが、来は問答無用で生きたまま捕食した。そして爪熊の頭も捕食した。

 

来は龍化を解き、ステータスプレートを確認した。

 

 

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辻風来 17歳 男 レベル:4

天職:剣士

筋力:682  [+龍化状態2800]

体力:778  [+龍化状態3600]

耐性:625  [+龍化状態4050]

敏捷:1477 [+龍化状態1230]

魔力:1532

魔耐:682

技能:雷属性適正・全属性耐性・剣術[+抜刀術]・天歩[+空力][+縮地]・剛腕・先読・気配感知・気配遮断・龍化・魔力感知・魔力操作・胃酸強化・自己再生・魂の回廊・思念通話・昏睡覚醒・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・纏雷・風爪・言語理解

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「自分で言うのもなんだけど……化け物だ」

 

技能が増えてもうわけが分からなくなってきている。

 

「……奥から強い気配を感じる……」

 

来は下層から漂う気配を感じ取り、一瞬戦くも意を決して進むことにした。

 

 

下の階層は兎に角暗かった。緑光石が無いので仕方なく緑光石で作った松明で照らす。光源が命取りになり兼ねないが来は気にせず先を進む。

 

しばらく進んでいると、左側に嫌な気配を感じ取った。松明を向けると、そこには二メートルの蜥蜴がいた。蜥蜴は金色の瞳で来を睨みつけると、その金眼を一瞬光らせた。

 

「ッ!?」

 

来の右手が音を立てて石化を始めた。右手がグーのまま固まっている。来は仕返しと言わんばかりに石化した右手で蜥蜴、バジリスクの頭を殴り潰した。

 

来は急いで神水を飲んだ。石化は肘当たりで止まり、徐々に戻っていく。

 

来は右腕の石化が解除されるまでに羽を散弾銃のごとく飛ばす(フクロウ)と六本足の猫を仕留めた。そしてその場に座り、バジリスクと梟と猫の肉を()()()()喰らった。

 

瞬く間に身体に激痛が走るが元々痛みに強い来にとっては苦にならなかった。

 

 

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辻風来 17歳 男 レベル:6

天職:剣士

筋力:796  [+龍化状態3410]

体力:907  [+龍化状態3570]

耐性:843  [+龍化状態4320]

敏捷:1520 [+龍化状態1350]

魔力:1782

魔耐:947

技能:雷属性適正・全属性耐性・剣術[+抜刀術]・天歩[+空力][+縮地]・剛腕・先読・気配感知・気配遮断・龍化・暗視・魔力感知・魔力操作・胃酸強化・自己再生・魂の回廊・思念通話・昏睡覚醒・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・纏雷・風爪・石化耐性・言語理解

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「流石に石化耐性だけか……石化の邪眼も面白そうだったんだがな……」

 

思ったのとは違う技能を手に入れ、来は少し残念そうだった。もし石化が技能として加わっていれば無敵になってしまいパワーバランスが崩れてしまう。

 

来は魔物だけでなく、鉱石も採取していた。今まで採取してきたのは、緑光石、燃焼石、タウル鉱石。元々持っていた物は鉄鉱石である。ちなみにそれらは谷底で目を醒ましてからずっと持っていたポーチに入れてある。

 

 

また下の階層に潜ると、地面がぬかるんでいて歩きにくかった。途中タールの中からサメのような魔物が飛び出してきたが、来は折れた刀でばっさりと斬り捨てた。また肉を少し頂戴してから食したが技能は新しく手に入らなかった。

 

 

タールに潜むサメとの戦いから更に時は流れ、五十階層以上進んでいた。

 

空間全体が薄い毒霧で包まれた階層では毒を吐く虹色のカエルと毒の鱗粉を撒き散らす蛾に襲われた。毒霧で意識を削がれていた来は反対に恐ろしいほどの戦闘力を発揮し、カエルと蛾を切り裂いた。

 

そして勿論食べた。蛾の方はカエルよりも少し美味しかったらしい(〝毒耐性〟、〝麻痺耐性〟獲得)。

 

密林のような階層では分裂するムカデが現れたが一匹残らず〝風爪〟で殺し尽くした(〝遠視〟獲得)。

 

トレントのような見た目の魔物からはスイカ味の果実を根こそぎ採った後、タール状に融解したフラム鉱石をかけて燃やした。

 

ある階層では出鱈目に〝錬成〟で掘り進んでいくと、広い部屋に出た。中央には立方体が置かれてあり、後にハジメによってユエと名付けられる吸血鬼の幼女が封印されていた。

 

来は気配遮断を使い、部屋を探索した。天井に張り付いているサソリモドキを見つけ、外殻を少し剥がして肉を千切り取った。幸いサソリモドキは眠っているのか来に全く気付いていない様子だった(〝魔力放射〟、〝魔力圧縮〟獲得)。

 

樹海の中を気配遮断を使って魔物から姿を隠しながら更に進んでいき、来は遂に最初にいた階層から数えて丁度百階層目に到着した。

 

「ここか……最初の所で感じ取った強い気配の根源がいるのは……」

 

その階層は螺旋模様と気の蔓が巻き付いたような彫刻が彫られてある無数の柱で支えられていた。天井までおよそ三十メートル。

 

入口から二百メートルほど進んだ処に、巨大な両開きの扉が付いていた。この扉にもまた、彫刻が彫られている。七角形の頂点に何らかの紋様が描かれている。

 

(この先は明らかに不味い。確実に罠が仕掛けられている。あのサソリモドキも罠の一つだろう。立方体に閉じ込められた幼女を助けようとした侵入者を排除するための仕掛け……だが先に進まなければ何も変わらない……行くしかないのか……)

 

来は覚悟を決めて扉に向かって歩み出した。最後の柱の間を越えたあたりで、ベヒモスの時の三倍近い大きさの赤黒く輝く魔法陣が出現した……




次回
第八閃 オルクスの守護者

オリ主ヒロインにミレディ・ライセンを追加しようと思っていますが、入れてもいいと思いますか?

  • 入れてもいい(むしろ入れてくれ)
  • 原作重視(入れるな)
  • 死亡回避ならOK
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