パナケイアダンガンロンパ   作:ろぜ。

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非日常編

繰生は相変わらずむすっとした表情で口を開いた。

糸針を殺した時の話を。

 

〜繰生无子視点〜

 

確かに13時過ぎ、糸針は僕の研究教室に来たよ。

まぁ最初は部屋に来て、僕の研究教室に行きたいって話をされたんだけどさ。別に断る理由もないし、すぐに連れて行ったさ。

 

最初は他愛のない話。趣味とか普段の生活とかね。

 

『无子さんは…この“コロシアイ病棟生活”をどう思ってますか?あなたはどうしたいと…思ってますか?』

でもいきなり糸針がそう聞くもんだから、僕は生きたいと答えた。このコロシアイを必ず生き抜いて、絶対に特効薬を手に入れたい、ってね。

 

『生き抜きたい、ですか。きっと何か叶えたい夢があるんでしょうね!』

なんだか寒気がした。

屈託のない笑顔が、やけに胸を悪質にかき乱す。何も知らない顔で呑気な奴だな、とも思ったね。

 

『…僕は復讐がしたいんだ。それだけが僕の生きる理由なの。』

にこりともせず言ってやったよ。

 

そしたら糸針はこう言ったんだ。

『…復讐は本当に无子さんの為になるでしょうか?』

 

_______ぷつん

 

僕は無意識下で糸針の事が嫌いだった。だって、僕の大嫌いな物を楽しそうに作って…それに最初から何でも揃ってる上に愛されてるなんてさ。

 

糸針にとっては何気ない一言だったのかもしれないね。いつもみたく、馬鹿みたいなお節介だよ。

だけとその糸は、自分でも驚くくらい簡単に切れたんだ。

『……うるさいうるさいうるさい!なにも…知らないくせに!ふざけるなよ!』

 

僕は糸針を押し倒して、殴った。金属の義手は痛かっただろうね。だけどそんなの知ったこっちゃない。何回も何回も殴った。

『僕は、嫌いなものになって死ぬんだ、そんなの嫌だ!君はいいね、花に囲まれて眠るように死ねるんだろ?僕は、僕とは違う!楽に死ねて羨ましいね、だから僕は君のこと、楽に殺してなんかやらない!』

恨み辛み全部吐き散らしたよ。

 

『“みなさんと仲良くしたいです!” “无子さんの事がもっと知りたい” だなんて馬鹿らしいんだよ!僕は君達と仲良しこよししてる暇なんてないんだ!恵まれて…嫌な思い一つしたこと無い君に…僕の想いが分かられてたまるか!知った口調して腹が立つんだよ!』

 

糸針は殴られてる間何も言わなかった。殴られて喋る隙もなかったのかもしれないけど。

綺麗な顔を酷く歪ませて苦しそうな顔をしてたよ。僕の望んだ通りさ。

 

意識がフラフラで今にも死にそうでさ、だけど僕がもし、この時手を離したなら助かっていたかもね。

 

『………ごめん…なさ…い……。』

 

『最期にごめんだってさ。……お人好しだよ、バカみたい。』

糸針に聞こえていたのかはわからない。僕はぎゅっと首を締める手を強めた。

糸針の力がふっと抜けて、体が床へ倒れ込んでいく。

死顔はそれでも綺麗だった。僕は最後に1発殴った。…何も意味はなさないけど。

 

その後は君達の推理通りさ。深夜、部屋から抜け出して、僕の研究教室から菊地原の研究教室まで糸針を引きずって運んだよ。…何とかして裁判を逃れなきゃ特効薬は手に入らないから。

 

でも義手の金属破片を落としたのは…最悪だね。よりにもよって、義手……僕の義手の破片だぞ………。また、奪われた。なんにもないのに、これ以上奪って………腹が立つよ。

 

〜繰生无子視点終了〜

 

「…ひ、酷いです………。」

「无子さん……そんなの…。」

「結局繰生の恨みもあったわけじゃないですか…。」

「……。」

「…糸針を殺してまでお前は生きたいといえるのか?」

 

「は?そんなの当たり前だよ。馬鹿にしないでくれないかな。僕は生きたいから、糸針を殺した。経緯がどうであれそれは事実なんだよ。」

 

「ひっ……。」

片倉が何か恐ろしいものを見るかのように繰生を見る。口には出さないものの他の皆も同じような表情で繰生を見ていた。

 

「なにその顔…。別に僕は君達に殺人を強要してなんかないし、仲良しこよししてたいなら勝手にしてれば?死にたいならさ。…生きる努力もしてないで死を待ってるようなお前らには言われたくないね。」

 

 

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「でっでも!緋巴銉くんと一緒に他の生きる術を探せば…!何か!見つかったかもしれない!」

「そうだ!皆で何か掴める未来があったかもしれない!」

蓮桜の言葉に俺は続いた。自分でもこんな言葉が持てるなんて思いもしなかったわけだが。

 

「未来だとか…よくそんなこと簡単にいえるよね。全部…糸針の影響だろ?」

一度ここで言葉を切る繰生。そして勢いよく息を吸い込んだ。

 

「生きていける術が薬の他にあるならお前らはそれを試せよ!僕は無いんだ!

“薬がないから仕方ないね、仲良しこよししてようか!” そんなん受け入れられるものか!…それで…片付けられるのなら!薬を僕に譲れよ!」

叫んだ。心の底からの叫び。

 

「僕を悪役だと思うだろ?……バカにするなよ、僕は誰よりも人間なんだ!お前らより!僕はよっぽど人間なんだよ……!悪役になったっていい。……全員分の薬はないのに、呑気に仲良しこよしなんてしてられない!それで生きてられるならお前らだけでしてろ!…僕は特効薬を手に入れて生きたいのに…!生きたい…生きたいんだよ!」

 

ふぅーっ、ふぅーっと荒くなった息を整える繰生。今までで1番口角の上がった笑い顔で言った。

「ほら、オシオキしなよ。“主人公殺しの悪役を殺した”のは君達なんだから。」

繰生が何を言いたいのか、皆きっと頭では分かっている。…それでもその現実だけは考えないで過ごしてきた。

 

「い、生きる為には必要な投票です。」

「クロを野放しにしては……。」

ポツリポツリと返される返答。

 

「僕も必要だから彼を殺したんだけど。あれ?一緒だね。それでも僕が悪い事をしたって言える?それを真っ直ぐに言える子は僕が殺しちゃったもんね。」

もうこれ以上俺達は何も返せなかった。色んな感情が渦めきながらも、繰生の言葉を必死に飲み込んでいく。

そんな俺達を尻目にオシオキ執行場へ向かおうとする。

 

「…僕の言葉で君達の考えが変わる事を祈っとくよ。」

繰生は思い出したかの様に一度俺達の方を振り返り、そうつけくわえた。

140ばかりの小さな背中は…。とてもそうには見えなかった。

 

▼クリュウさんがクロに決まりました。オシオキを開始します。

 

 

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糸針の死と繰生の叫び、それは俺たちの心にぽっかりと穴を開けてそれぞれの想いを確立させていくのだった。

 

 

Chapter 2

 

嗚呼!絡繰仕掛けに危ぐ傀儡かな

 

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残り12人

 

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二章シロ 糸針緋巴銉くんの裏シートでございます……おや?彼はどこまでも光だったようですね。

 

二章クロ 繰生无子さんの裏シートでございます。

 

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