「バレてしまったのなら、潔く全てを話そう。さぁ、最後の物語さ。」
御伽は人が変わったように饒舌に喋りだす。浮かべた笑顔が奇妙だった。
〜御伽月羽視点〜
まず、御伽月羽は奇病じゃないのさ。勘違いなんだ。医者の誤診。
いわば精神疾患ってやつかな?今この世に蔓延してる病気になんか罹ってない。
だから、特効薬も必要ないし、誰かを殺す必要なんてなかった。
でもアイツあんな性格だから2度の学級裁判で疑われたから、あぁ。2度目は"君たち"は疑ってなかったね。
疑われて疑われて。そんな矢先彼女に病気がバレた。そう、あの超高校級の新聞記者にさ。
万が一の為に、別の偽の病気を用意していたんだ。瞳孔が2つある病気だ、ってね。それでずっとコンタクトをいれてたんだけど、練習後1人になったし、流石にずっとこれをつけている訳にもいかないから、取ったんだ。そうしたら、遊戯室に忘れ物をとりに来た新聞記者に見られてしまった。
彼女は鋭いね、さすがは超高校級だ。彼女の嘘が嫌いな性格もあるのかもしれない。怪しい、とその場で問い詰めてきたよ。
でもその日は劇の前日だったから、「明日劇が終わったらみなさんにお話しします。」ってかわして、渋々だけど了承を得たんだ。
病気を隠してることがバレたら…。と偽物が焦り出した。そして、あいつは図書室に向かったんだ。そこで毒のある宝石の存在を知った。
真夜中に超高校級の宝石鑑定士の研究教室に忍び込んで、毒のある宝石を探したよ。あとはうまく紅茶と混ぜるだけ。まぁ大変だったね。
皆にも飲ませてしまって悪いけど、そうでもしないと僕からたった1人へ渡すものなんて、受け取ってもらえないと思ったから。
でも解毒薬があったから助かってるだろ。そのことだけど…薬品保管庫が閉まってたと言ったね。確かにそうだ。だけど、そこの院長にあけてもらったよ。
まんまと紅茶は皆が飲んでいるからと、新聞記者も口に含んだ。そして飴は予想通り、受け取らなかった。
嘘を見抜くという点では、この中でもかなり優れているだろうね。何か、“殺されてしまうかもしれない”という嫌な予感があったのかもしれない。
本当に、彼女は優秀な新聞記者だよ。
でもそれが仇になって、利用されて殺されるとはね。
あぁ、でも…。
「一緒に病気を治す方法、見つけませんか?」
紅茶ものみ終わった後、新聞記者はそう言ったっけ。
彼女なりに歩み寄ろうと考えていたのかもしれないね。
少し遅かった。
…仲良くなれた未来があったかもしれないのに。
砂切さんとお友達になれたかもしれないのに……。
ごめんなさい……。
るうは…なんてことを………。
黙れよ。
失礼。
あぁ、君達が出した推理でひとつだけ違うのはね、あの宝石鑑定士は飴を食べていたよ。
その後自ら毒をもつ宝石を含んだんだ。
そう、彼はたまたま自殺したわけなんかじゃない。
棺の中の新聞記者が息絶えている事に気づいたんだろうね。そしてその犯人が僕であることも。…どこかで見られていたのか。何か知っていたのか。
それでも尚彼は、
僕を庇ったのさ。
僕を庇って………。
あぁ、舞台袖にいた僕だけにしか聞こえない声だったなぁ。
その言葉は……。
〜御伽月羽視点終了〜
「長くなったね。最後はオシオキだったかな?…オシオキを受けるのは御伽月羽。だから僕じゃない。なんてね。」
へらりと笑ったままだった。
語られている間、誰もが長い物語を読み聞かせられている感覚だった。何もかも、知らなかった。
砂切と月陰が物語の中にいて、次のページには結末があり、そしてその作者になる御伽は……御伽は…。どこにいった?
御伽から告げられた事実は全て衝撃的で、だから、誰も何も発言ができなかった。
その時、また御伽が口を開く。砂切と月陰は見ることの無かった笑顔で、いや、今度は笑っていなかった。
「あの…るう……あのとき…月陰さんに言われたんです…『貴方は悪くない』って…。とっても…優しい声…でした…。るうは…二人に天国で謝らなきゃいけません…。」
俺達と過ごした御伽月羽だ。
あいつはそこにいた。
ちゃんと、いたんだ。
***
「あっ、るうは地獄行きでした。」
▼オトギさんがクロに決まりました。オシオキを開始します。
「手に持たれた無罪の板には小さく死刑と刻まれていた。」▼
俺は最悪すぎるエンドを見届け、重いものが心にあったが、御伽の自白で気になったことが一つあった。それを聞かずに、自室に戻るわけにはいかない。
「…お前は殺人に関与しないといったよな?」
「うん、言ったよ!いんちょーは約束破らないし!解毒薬は殺人に関係ないと思ったもーん!だから、彼女に薬品保管庫への入室を許可した!実際用途はちゃんと解毒薬だったじゃん!」
モノアピスは相変わらず、幼い顔で笑っていた。顔だけは愛嬌たっぷりで、子供向けの番組に出ていそうだ。
この“院長”は何者で、一体どこからきたのか、もしくは誰が作ったのか。
俺達はそれを知る事ができるのだろうか。
「知っていたんだろう。御伽が砂切を殺そうとしていた事も。」
「君達のことはなーんでも♪いんちょーは知ってるんだよ!」
「いつ、どこで手に入れたっていうんだ。お前は何者なん…「裁判も終わったし、いんちょーは帰ろっかな!じゃ、おっさきー!」」
俺の追及を無理やり自らの言葉で切り、手を振ると、モノアピスは軽やかな足取りで何処かへ消えていってしまった。
今、これ以上モノアピスに聞いても無駄だと思い、俺も裁判場を後にしようとしたが、蓮桜はまだ台に立ったまま、両指を絡ませ、何かを祈っていた。
「…なにしてるんだ?」
「白雪姫と王子様が目覚めてまた愛し合えますように。」
Chapter 3
毒林檎はゆっくり甘い夢を見る
残り9人
三章シロ 砂切ひなのさんの裏シートでございます。
三章シロ 月陰美尽くんの裏シートでございます。
三章クロ 御伽月羽さんの裏シートでございます。