パナケイアダンガンロンパ   作:ろぜ。

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非日常編

「どうしてまた、2人も犠牲になっちゃったのかな。」

悲しそうに愛教が目を伏せる。それに続いて看薬院も口を開いた。もう気持ちは捜査へと切り替えたらしい。

「2人が殺し合った結果なのか、それとも2人とも誰かに殺されてしまったのか♡ しかし…この部屋の荒れ具合はすごいです…♡」

 

「…そうだな。」

俺はぐるりと部屋を見渡した。

床は祇園寺の部屋の物で散乱している。片倉と祇園寺が争ったのか、はたまた別の人物と2人のどちらかが争ったのか。

ここでどちらかが殺害されたことは明らかだった。

 

そして何より、ツンと鼻を刺す血特有の鉄の香りが部屋に充満している。

俺は顔をしかめ、祇園寺の遺体の方へと向かった。 

 

匂いは祇園寺からだろう。祇園寺の四肢からシーツまで、血が染み込んでいた。

犯人は祇園寺の四肢を切り、出血死させたのだろうか。それとも、何か別の方法で殺害した後、切ったのだろうか。

 

そうだとしたら、かなり強い怨恨での殺害になるだろう。

 

足下には弓鋸のようなものが。

「犯人はこれで祇園寺さんの四肢を切ったのかな…。」

残酷なものを想像したのか、愛教は首を振った。

 

更に、近くには壊れた時計が落ちていた。

粉々になったガラス破片や電池が側に虚しく転がっている。

時刻は昨日の正午で止まっていた。

 

片倉の方はというと、血が溜まっているのか、顔をピンクに染めたまま死んでいた。縄が酷くきつく締まっていたのだろう、苦しそうな顔のままだった。

 

そして、近くには椅子が倒れていたり、メモパッドの紙が散っていたり。こちらも荒れている。

 

片倉の遺体近くのテーブルの上に鍵がある。これが祇園寺の部屋の鍵だろうか。俺は一度外に出ると、部屋の鍵穴にさしてみた。

ガチャリと音を立て、それは部屋を閉じる。本物の鍵で間違いないようだった。

 

「そういえば、蓮桜さんの時に続いてまた密室殺人なんだね。」

「そうだな。どちらかが鍵をかけたのか…?」

どうも、密室と聞くと頭が痛くなる。

 

「学級裁判を告げるアナウンスはまだ鳴りませんね…♡」 

「安心院は分からないが…。相模は参加するだろうが、捜査をしていないからな。あいつがある程度捜査をしたら、始まるんだろう。」

 

「ね、楼くん。先にカルテの方見ておけば?」

「そうだな。ここで突っ立ってるのもなんだし…な。」

俺はチラリと2人の遺体を見ると、散らばった紙や小物を踏まないよう、棚まで足を伸ばした。

 

祇園寺のカルテには一度読んだだけではわからない、彼らしいといえばそうだといえそうな、難しい内容がつらつらと書いてあった。

「…現実と夢での区別がつかなくなる病気、か。」

現実世界では常に幻覚を見ており、夢世界では幻覚に追われ眠るたびに幻覚に様々な方法で殺害される。

 

夢世界を現実世界と認識した途端、現実世界の自身の体が細胞変化により夢世界での死因で死亡する。

…恐らく、この幻覚が祇園寺のいう“うさぎちゃん”だったのだろう。

 

片倉のカルテには“cleanness”とだけ。

内容は此方は至ってシンプル。体が半透明になってしまうらしい。

片倉の手袋を一度外し、彼の指先を見たが、少しだけその手は透けていた。

 

もしかすると手袋は清潔を保つ他に、病気の進行を見せないためでもあったかもしれない。最も他人の為でも自分の為でもありそうだが。

 

それから数分後。

開け放ったままのドアに二つの影が。そこには、相模に肩を寄せられた安心院が立っていた。

「安心院。大丈夫なのか?」

 

「は…はい。ご迷惑おかけしました。」

そういうと、余計なことは他一切喋らず、安心院はまだ固い表情のままぺこりと頭を下げた。

そんな安心院を愛教、相模、仍仇、看薬院は不安そうに見つめている。

 

「…それよりも……聞きました。片倉さんと祇園寺さんが亡くなったそうで。」

「保健室でアナウンスが聞こえたんだ。…クソ…!」

安心院が悲しそうに首を振り、相模は悔しそうに壁を叩いた。

 

そして2人が捜査をだいぶし終えた後、放送がなった。

「ぴんぽんぱんぽーん!もうお馴染みになりつつあるけど、そろそろ学級裁判を始めるよ〜!」

 

もう、皆疲弊していた。

ギリギリなんだ。

 

命をかけて、犯人を見つけ出す。

死ねない理由があるから。

犯人が誰であっても、譲れないんだ。

 

…学級裁判が始まる。

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