パナケイアダンガンロンパ   作:ろぜ。

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非日常編

「さぁさぁ!そろそろ投票タイムといってみよー!」

モノアピスは張り詰めた空気も関係なしに、嬉々として言う。

「いんちょーもう飽きてきちゃった!ほら早く!」

俺達は答えることのない仍仇から視線を戻し、投票ボタンへ手を伸ばした。

 

「だいせいか〜い!祇園寺現おにいちゃんと片倉藍おにいちゃんを殺したのは仍仇伊織おにいちゃんでした〜!」

正解を告げるちゃちなBGMが酷く煩わしかった。

仍仇はモノアピスをひと睨みする。

 

「どうして殺したんだ?」

事件の全貌はまだ明かされていない。

俺はそれを知ろうと仍仇へ声を寄せた。

 

「何も、言わない。」

しかしながら、仍仇は表情を崩さないまま、事件について口を開くことはなかった。そう、絶対に口を割らないのだ。

 

「……。」

「ねえ〜!もう何も言い残すこともないならさ!オシオキタイムいっちゃお〜よ!」

痺れを切らしたのかモノアピスは頬を膨らませながら、椅子の肘掛を叩く。仍仇は何の躊躇いも見せず、頷いた。

あいつは、何も話さず死んでいくつもりなのか?

 

引き止めることもできないまま、背を向けた仍仇を見つめると、彼はふと振り向いた。思いつきなのか、元から計画していたのか。

 

「…これは僕の部屋の鍵だ。」

仍仇がヒュッと鍵を投げて寄越す。それが何を意味しているのかはわからなかった。オシオキ後に向かえという意味だろうか。聞く暇も与えず、最期に仍仇はこう言った。

 

「………僕は生きて帰りたかった。」

か細い声だった。

 

▼セガタキくんがクロに決まりました。オシオキを開始します。

 

 

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…その記憶はどこへ持っていくつもりなのか。

 

茫然と立ち尽くす俺だったが、投げられた鍵の重みに自我を取り戻す。

 

謎は解かれていない。

3人の間に何があったのか、何故仍仇は2人を殺したのか。

真実を知らなきゃいけない義務があると俺は思う。

 

俺達は全員で仍仇の部屋に向かった。

 

仍仇の部屋は事件のあった祇園寺の部屋とは対照的に、綺麗に整頓されていた。机の上にあったのは、15通分の封筒。

“美尽くんへ”

“安心院さんへ”

“月羽さんへ”

生きている人、死んでいる人、関係なく宛名は書いてある。

 

「…違ったんだ。」

「え?」

 

「あいつは元々死ぬつもりだったんだよ。」

これは祇園寺からあてられた、全員分への遺書だった。

 

「そ、それじゃあやっぱり現は自ら殺害を受け入れたのか?」

「いや、それならわざわざ四肢を切断して死ぬ手段は選ばないだろう。」

 

それなら残るは

 

「病死…したんだ。」

 

「で、でも祇園寺さんのカルテを見る限り、自分で意識を保てたなら抗えそうだけど…。」

「抗うことをやめたんだ。」

……あいつは諦めたのか?

自分で口にしながらもその現実が恐ろしかった。

 

「そんな……。だって現さんは……。」

安心院は血の気のない顔で項垂れる。

 

封筒の束から仍仇宛のものを探す。一度開封した跡があり、俺は中から折られた手紙を取り出した。

 

その内容は、黒幕を探してほしい旨のこと。

全て仍仇に託すということ。

自分はもう限界であること。

そんなことだった。

 

「…現の筆跡だ。」

相模は誰もが認めたくはない事実を首を振って肯定した。悔しそうだった。

 

この手紙を恐らく祇園寺の死体を発見した際に読んだのだろう。仍仇は何度か個人的に部屋に訪れていたはず。

 

「それなら、どうして祇園寺さんを他殺に見せかける必要が、片倉さんを殺す必要があったのかな。」

愛教が心の底から不思議そうに言う。他の皆も同調するように頷いた。

 

此処から先はあくまで俺の推理だ。

 

「仍仇は祇園寺が自殺したという事実が受け入れられなかったんじゃねえか…?」

必死に裁判を生き抜いて、仲間を想っていた友人が、諦めたことが、受け入れられなかった。そんなプライドがあったのではないか、そう思う。

 

だが仍仇は生きて帰りたかった。

祇園寺から託されたことを成せる確証すらない。

…祇園寺を他殺に見せかけたとしても、裁判では何も起こらない。

 

その為には……生きる為には、もう1人犠牲が必要だった。

 

皆が寝静まった頃を見計らい、片倉を殺害。1人でいることが多くなっていた上、体格差もある。片倉を殺すことは然程難しくはなかっただろう。

 

殺害後、祇園寺の部屋に吊るし自殺に見せかける。そして、祇園寺の服を糸鋸で切断。ちゃんと他殺に見えるように。

 

「そうであれば、見た感じ…ですけど、現くんの遺体の血は恐らく輸血パックではないでしょうか?♡」

看薬院が俺の推理を聞きながら助言する。

 

あとは粗方裁判で話した通りだろう。

 

悲しいだとか悔しいだとかそんな簡単な感情じゃ表せない事件だと思った。

誰が悪いとか、そんなものはなくて。

だからこそ、俺は真相を突き止めた時、闇に落とされた様な気になった。

 

…残された俺達にできることはなんだろう。

 

生きなきゃいけない。

 

それもそうだが、もうそんな風に時にただ立ち止まってちゃダメだ。

祇園寺の意思を仍仇が継がなかったのなら、俺が継ぐ。

 

勝手だと3人は怒るだろうか?

 

「_______。」

 

「ぼく達で病棟の真実を探そうよ。」

声がふいに重なった。

 

「俺達も抗ってやろう。絶対薬を手に入れて此処から出よう、5人で出よう!」

愛教の肩を寄せ、相模も頷く。

 

皆も同じ気持ちなんだ。

 

息をしてるだけじゃ何も成果は出ない。

俺達は病棟の真実すべてを知る為、足を早めるのだった。

 

 

Chapter 5

 

ユメの内、晨星落落

 

 

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___生存者

 

 

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五章シロ 祇園寺現くんの裏シートでございます。

 

 

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五章シロ 片倉藍くんの裏シートでございます。

 

 

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五章クロ 仍仇伊織さんの裏シートでございます。

 

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