ハイモチベで即投稿。
今回はエリちゃんの家族のお話。
ヴァイオリンの演奏と朝日の差し込む窓を背景に優雅に朝食……ぁぁ。あたしってば貴族。気分はノーブル。I am 優雅。
あ、もちろん日の光がさしてこないように窓からテーブルは遠ざけてあるけれど。せっかくのあたしの美しいお肌が焼けちゃうもの。
今朝は家族と共に朝食。
ガボール伯父さまは『食事だと!? サタン様にこれから祈りを捧げなければならぬのに、何を戯けたことを! ええい、お前らが食事になれい!』
……というわけでガボール伯父様は今日は欠席。まぁ、あのゾンビサタニストが来なくても損はない。むしろ得しかない。
あぁ、今日もテーブルがお皿でいっぱい。
良い色に焼けたソーセージにトースト、バター、パンケーキ。ゆで卵にベーコン、サラダ……って、前から思うけど朝食特に多すぎなのよね!
せっかくのあたしのスタイルが台無しになっちゃうじゃない! お腹ぽっこりになっちゃうわ!
「あら……このソーセージ、彼のみたいで美味しそう」
あー、今のでせっかくの優雅なお食事も台無しよクララ叔母様。
「叔母様、食事中に変なことを言わないでくれるかしら?」
「あら、失礼……ふふ」
ふふ、じゃねーよ。思い出しても口にしないでよ! あーもう、せっかくうまそうに焼けてるのにクララ叔母様が言ってるとアレにしか思えなくなってくるじゃない!
────見たことないけど! 見たこともないけど! 見たくもないけど!
「そうだぜ、叔母さん。そんなこと言われると……やべ、ベーコンのコゲ具合見てたら昔の嫁のシワを思い出しちゃったぜ」
「イシュトヴァン兄さま。おやめください」
お前ら肉系全部潰す気!? 家族じゃなかったら全員刺し殺して吊るすわよ!?
心の中であたしは串刺し公の槍をぶん回す。
あー、もうこうなるとブタ殺しの妄想でもするしかな、
「────っ」
また、か。
兄の前だ。ため息を抑えてじんじんと痛む頭を抑える。
「どうした? また例の頭痛か?」
「……っ、えぇ。まぁそんなところよ」
以前、あの家庭教師がやっていたようにツボとやらを指で押す。……ぁ、ちょっと楽になってきたわ。────っ、きもちい。
あー、もう……! それにしても、うちの兄や叔母はどうして、こう……! なんて言ったら良いのかしら、そうピンク! ピンク一色!
あたしは赤派なのにぃ!
「なぁエリザ、お前のところの使用人、可愛いな。もらっていいか? 是非ともうちで可愛がりたいんだ」
イシュトヴァン兄様は貴族にあるまじき下卑た笑いを浮かべる。
「……好きにすればいいじゃない。あの子、髪を結うのだけはうまかったから、ちょっと惜しいけど。あぁ、飽きたら私のところに戻してくれる?」
「……くれはしないのな。いいと言って貸すだけなんて意外と強欲だなお前は」
「兄様の色欲には及びませんけど」
そう。我が兄、イシュトヴァンは正真正銘の色欲魔。老若男女構わず手を出すという恐ろしい性癖……こほん。守備範囲の広すぎる性癖をお持ちになっている。
昔から遊んで仲が良かった兄さまが老人夫婦二人を部屋に連れこんで、部屋から老人二人の喘ぎ声が聞こえた時は自分の耳を三度くらい疑った。
あれ以来、若干そういうピンクものと兄に関してはトラウマだわ。
あたしでさえ餌食にしようとしているのか、気が気じゃない。ブタがあたしの身代わりに襲われてくれるのなら喜んで差し出すわ。
「言うじゃないか、エリザ。ま、約束は守れよな。安心しろ、三日経ったら返すから」
三日って……兄様の場合、三日ぶっ通しとかありえそうで怖い。
「……イシュトヴァン。そういう不適切で下劣な話題をこういう場に持ち込むんじゃない」
────アンドラス従兄さま。
「はぁ。はいはい。けど、いいじゃねーか。ここは天下の大貴族バートリ家のお屋敷。どうせ領民のブタどもにも聞こえやしねぇって」
「……聞こえないだとかそういう問題ではない。普段の振る舞いは公の場にも自然と現れる。自重しろ、と言っているのだ。それこそ我がバートリ家の傷になることもある」
アンドラス従兄さまはこのバートリ家の中ではあたしの父を除けば唯一と言っていいほどの常識人だ。
大貴族らしくどんと構えていて男らしい。
貴族と言えばこう厳粛に……彼のようにしっかりとしていなくては。
「……ちっ。アンドラス兄はかてーんだよ」
「舌打ちをするな。イシュトヴァン」
「あら、手厳しいこと」
クララ叔母様が色気のある笑みを浮かべる。
彼女の笑みに対しアンドラス従兄さまは顔をしかめる。
「クララ様。先ほどエリザからも言われていたが、あなたにもイシュトヴァンと同じことを言われたいのか。それに最近、また男女を屋敷に連れ込んだな? 領民たちにもあなたの悪い噂が広まっている。屋敷のベッドを出て少しは外を散歩したらどうだ」
「あら、怖いわアンドラス。そうだ。あなたも私の部屋にこない? そんなにいい顔をしているのに勿体ないわよ。私といいことしましょ?」
────ゾッ。
私に言われてないのにすごい悪寒が。
クララ叔母様はクラーケンか何かなのだわ。
それも一度テリトリーに獲物を引き込んだら絶対に離さない類の。男女構わず。最近は女性の方が愛し甲斐があるとか。
「私にはまだ仕事がある。いや、毎日仕事がある。よって忙しい。無理だ」
「あらら、三重に断るなんて……つれないこと」
ごちそうさま、と叔母様は口をナプキンで拭いて席を立つ。
「クララ様。野菜もとらなくては体に良くない。肉やタンパク質と精力ばかりでは人は生きていけないのだぞ?」
クララ叔母様はアンドラス従兄さまの気遣いを無視して食卓を去ってしまった。
「さて、オレももう部屋に戻るわー。未来の嫁がオレを待ってるんでね」
「お前の未来の嫁は何人いるんだ……」
「さぁね跡取りの数と同じくらいかもな。ハンガリーで大戦争が起きそうだ」
イシュトヴァン兄様も席を立つ。
「じゃな、エリザ。約束のメイド、早めにこっちによこせよ? もう今のブタには飽きたからな」
「イシュトヴァン!」
「はいはい、自重自重、ね」
目障りだなぁ、とイシュトヴァン兄様は口元を歪ませて去っていった。食卓には未だに食べるのが遅いあたしとアンドラス従兄さまだけが残される。
「お父様は今日はいらっしゃらないのかしら……」
「あぁ。まだ仕事中らしい。先に食べていてくれとおじさまから」
「……そう」
ひどく残念だ。
「エリザ」
「え、なに? アンドラス従兄さま」
「……昨日の家庭教師、どうだった? うまくやれそうか?」
合点がいった。なるほど、昨日の家庭教師は従兄さまの差し金だったのか。
「一昨日、君のお父様に進言してな。俺も彼の話を伺ってみたんだが、大した御仁だよ。彼ならきっとお前の役に立ってくれる」
「……ありがとうございます、兄様」
そっか。従兄さまは私のことを考えて彼を遣わしたのか。通りでレベルが高いわけだ。
選りすぐりのブタ、というわけね。
いわゆる高級ベーコンの材料ね。
「それで、どうだった? 今朝のお前の表情はひどく明るかった。どんなことを教えてもらったんだ?」
アンドラス従兄さまは先ほどと打って変わって子供のように興味津々にあたしに問いかける。
「そうか、マッサージか! なるほど、それならお前の頭痛も少しはマシになるかな……」
「無理やりされたのは嫌だったけれど」
「そうだな、お前は触られるのが嫌いだからな! ははは!」
「わ、笑わないで! 従兄さまでなかったら極刑よ、きょっ・け・い!」
あたしは昨日の会話の内容やことのあらましを事細かに伝える。
「そうか。うん、そうか……それならきっとこれからもっと楽しくなるはずだ。うん。エリザ、今度、ヴァイオリンの腕を見せてくれないか。ぜひともお前の演奏を聞きたい」
「えぇ。すごくうまくなったんだから! きっとお父様もアンドラス従兄さまも気にいるわ!」
きっとあたしの容姿が従兄さまのすこぶるタイプなのだわ。だからこんなにも優しくしてもらえる。日々の研鑽のたまものね。
ま、まぁ。バートリ家はその血の高潔さと尊さを保つために近親婚がメイン。
従兄さまだったら……うん、きっとあたしの恋道を飾ってもいいのかも。きっとお父様も認めてくれるわ。
「お父様も……そっか。あぁ、そうだな。うん、きっと……そうだ」
アンドラス従兄さまは厳しくも優しいにいさまだ。お父様に代わっていつもあたしを見てくれる。お父様も同然の存在だ。
生理現象以外でベッドにいてばかりの兄様や叔母様とは大違い。
けど、そんな従兄さまがこの時悲しげな顔をしている理由をあたしはこの時知る由もなかった。
教えて、エリちゃん先生!
「はーい! 今回は私の家系を紹介するわー! ぶっちゃけほとんどぶっ飛んだ奴しかいないわ! まだ出てきていない人も少しいるけど、続けばおいおいね! サーヴァントになってから若干忘れてるかもだから、間違えてたらごめんね⭐︎」
父 ジェルジュ=バートリー
↑
元・従兄妹同士
↓
母 アンナ=バートリー 結婚廚 3回目の結婚
伯父ガボール
悪魔崇拝者。自分は悪魔に取り憑かれているだとか抜かす。バイオハザードのゾンビの真似ばかり エクソシストの見過ぎ
叔母クララ
〇〇○大好きエロババア。生涯四人の夫をもち、そのうちの二人を窒息死させ、使用人の娘とえっちなことを繰り返すレズビアンだとも言われていた。本編では夫もいるし淫乱さで非常に有名だったため、女性だけでは留まらないだろうと思いバイになってる。
(従兄 ガボール 奇行ゲイ。登場しない)
従兄 アンドラス
アンドラスにいさま。
バートリ家唯一の良心にして常識人。
兄 イシュトヴァン
よくエリザベートと遊んでいたという仲のいい兄。その正体は色欲魔。どの年齢でもいける口。その部分は殺生院キアラに似ている。