今回は全く喋りませんが。
今私は走っています。何故かって?高校に遅刻してしまいそうなのです。昨晩柄でもなくランク戦用のトリガーセットを考えているとついつい時間が経ってしまいました。しかも遅刻しそうな時に限って信号にめっちゃ捕まる事ありません?いっそのことトリガーを使って信号無視してしまいましょうかね。ほら、あそこの白髪の子みたいに……
「って待って待って!!」
つい焦ってその子の襟を掴んでしまう。思いの外軽くすぐに止めることができた。
「きみ、赤信号は止まれって習わなかったんですか?」
「そうか、赤は止まれだったな。」
「そうです。……あれ、その制服三門中のですよね。」
「今日転校してきたんだ。あんたは制服違うんだね。」
「えぇ、中学はもう卒業しましたので。ところで中学までの道はわかりますか?」
「大丈夫だよ。」
「では、信号に気をつけてくださいね。」
不思議な子ですね。もしや信号すらない国から来たのでしょうか。でも日本語ペラペラだし顔立ちも日本人でしたし。でもまぁ、もう会うこともないでしょう。それに、私だって遅刻しそうなのです。急がなくては。
因みにしっかり遅刻しました。少しだけ彼を恨んでしまった。申し訳ない。
「失礼します!」
少し強めにドアが開けられる。入ってきたのは嵐山隊に所属している木虎さん。普段からお仕事が忙しいのかしかめっ面をしているが今日はいつにも増して機嫌が悪い。さて、どうしたのでしょうか。
「とりあえず、飲み物をいれますね。コーヒーでいいですか?」
「はい、よろしくお願いします。」
コーヒーを出してから話を聞く。内容としては規約を破ったC級隊員がいるようだ。ここ数日イレギュラーゲートが開いていることがあり、彼しか近くにいなかったらしいが彼女は規約を破ったことがどうにも気に入らないらしい。
「……というわけなんです!嵐山さんも優しすぎるんです!」
「そうですね。というか、その話を私にしてもよかったんですか?」
しまった……と口をぱくぱくしている木虎さん。かわいらしいですね。
「でもまぁ、その彼の気持ちもわからなくはないです。私だって同じ立場ならトリガーを起動してしまうかもしれません。」
「そんな、上地さんもですか!」
「自分だったらと思って考えてもみてください。たしかに規約は大切ですが、彼は大勢の命を救ったんです。そこは評価しても良いのではありませんか?」
「それはそうですが……」
「私が好きなヒーローの言葉にこんなものがあります。『大いなる力には大いなる責任が伴う。』です。我々は一個人には大きすぎる力があり、それを制御するためにボーダーの規約があります。ですが、その力で守れる人がいるなら私は使うべきだと考えます。」
木虎さんは複雑な表情をしている。おそらく彼女の中で様々な葛藤があるのでしょう。
「とまぁ、説教のようになってしまいましたが、木虎さん。あまり考えすぎないでください。あなたには素敵な仲間がいます。相談してみるのもいいかもしれませんよ。」
「はい。そうしてみます。あの……」
「大丈夫です。このことは口外しませんよ。私は口が硬いので。」
と、口の前でバッテンをつくってみる。それをみた木虎さんはやっと表情を和らげてくれた。やはり女の子は笑ってナンボですね。女性の1番の化粧は笑顔とはよくいったものです。
「では、失礼しました。」
「またいつでもきてください。そうだ、これを持っていってください。」
木虎さんに少しだけお高いチョコレートを渡す。疲れた時には甘いものが1番です。
「部隊の皆さんでたべてください。あと、佐鳥さんに伝えておいてください。ツインスナイプをこんど教えてくださいと。」
あれかっこいいんですよねぇ。
自粛期間は暇でしょーがないですね。