Juwelen 強さと孤独   作:Kalin

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宝石

屋上から逃げ出したあの日はその後何事もなく夜を迎えた

 

「俺最近逃げてばかりだな」

 

最近の俺は何からも逃げている気がする

 

屋上から妹から逃げている

 

「情けないなあ...」

 

そっと呟く

 

「情けなくなんかないよ」

 

姉が静かに扉を開け部屋に入ってきた

 

「りゅーくんは情けなくなんかないよ」

 

そう言ってゆっくりと俺の方に近付いてくる

 

「姉さん...もう遅いし部屋に戻った方がいいよ」

 

俺は夜遅くに女性と自分の部屋にいるという状況に心底困っていた

 

「...」

 

姉は何も言わずこちらを見つめている

 

「わかった。今日はもう戻ることにするよ」

 

そう言ってそっと姉さんは帰っていった

 

 

 

燃えている

 

誰が? 俺が燃えている

 

とても赤い。目の前をチカチカ点滅し揺らめく赤い宝石。

 

炎は俺を包んでいる。まるで真紅の宝石に閉じ込められたようだ

 

しかし不思議だ。熱くない

 

萌えているのに熱くなかった

 

これはきっと夢だな

 

そう燃えて熱くないことなどないのだ

 

最近は燃える夢ばかりだ

 

家が燃え自分が燃えている

 

ただ姉妹が燃えるあれだけは許せなかった

 

そっと下見ると俺の足はもう崩れていた

 

ああ、なんだかこの感じ覚えがある気がする

 

 

 

俺は目を覚ます

 

今日は悪夢のはずなのに不思議と目覚めがいい

 

時計を見る。あれ?朝だ

 

今日はゆっくり眠れたようだ

 

今日はゆっくり下に降りる

 

久々の寝坊に姉も妹も驚いていた

 

ゆっくり寝たからか

 

起きるのが遅く妹と接する時間が短かったからか

 

今日は喧嘩はしなかった

 

今日は気分がいい

 

少しスキップ気味に学校へ向かった

 

 

 

今日は憂鬱だ

 

今日は妹と喧嘩せず幸せな朝を過ごしたのに

 

学校に着いて早々夜空に絡まれる

 

他の生徒から見れば羨ましいかもしれない

 

ただ俺は分かる

 

こいつは危険だ

 

目が目が怖い。獲物を狙う目だ

 

はあ...なんでこんな奴に目をつけられたんだよ

 

放課後が近付くにつれて憂鬱は増していた

 

 

 

「ねえ、聞いてる?それとも死ぬ?」

 

夜空はよく分からない話をしていた

 

宝石?どうでもいいわ

 

そう思ったが自分の身は可愛いから仕方がないだろう

 

「聞いてますよ。ルビーは赤く輝く炎のような美しさなんでしょ」

 

「よく聞いてるじゃない。褒めてあげるわ」

 

「へいへい、どーも」

 

ほんとにめんどくさい

 

「あなた、ほんとは適当なのね」

 

「そうですよ。わるーございますか?」

 

こんなやつの相手は適当でいい

 

あーあ妹が心配だなあ

 

なんて妹の事考える方が全然幸せだ

 

今朝は喧嘩しなかったし仲良くなれてるよな...

 

「ほんとにあんたは...適当なこと考えながらでも

 

私の話が聞けるんですからいいですよね。ほんとに死にたいのね。」

 

「はあ!?褒めてくれるんじゃなかったのか?」

 

「そうよ褒めてるのよ。そうやって片手間でも聞ける能力を」

 

忘れていたが俺は放課後1度もこいつの顔を見てない

 

だって嫌いだし仕方ないじゃないか

 

褒めてあげるなんて言いながら怒ってたことに気づけなくても仕方ない

 

仕方ないか...

 

「夜空さん、怒ったらシワができますよ?」

 

そう言って夜空の顔を見る

 

あ...こいつ真顔だ

 

でも...目の奥燃えてる...怒りの炎が...

 

「ちょっと暑いわね。屋上に涼みに行かない?」

 

「ぜっっっっったい行かない!!おまえ殺す気だろ!?」

 

「そうね。涼みに行った先でたまたま転落事故があるかもしれないわね」

 

こいつ絶対殺す気だぞ

 

怖すぎだろ

 

「あなたね、私はあなたのためを思って言ってるのよ」

 

何言ってんだ?こいつアホか?

 

なんで宝石の話が俺のためになるんだ?

 

俺別に宝石とか興味ないけど

 

「俺は女性に宝石を送るような機会はありませんけど?」

 

「大丈夫よ。時が来れば気づくわ。

 

ただあなたはルビーそれを覚えておけばいいのよ」

 

そういう夜空の目は...真剣で

 

それでいて目の奥に薄暗い危ない感情を感じていた

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