世界への訪問者   作:ただの作者

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事件

『接触する平行世界が暴走を起こして空間を侵食し始めているんです!!』

 

思いもよらない返答に一瞬思考が止まりかける。

しかし、こういうときは思考を止めてはいけないということを経験でよくわかっていたため議長は近くにいた警備員にトランシーバーを借り詳しく状況を聞く。

 

「どういうことです。今までこんなことはなかったですよね?」

『ええ、前例がない状況なので対応に追われています。原因究明も平行して急いでいますが解明はこの場では難しいでしょう』

「対処できそうですか?」

『…なんともいえませんが、この状況が続けば少なくともこの試験場は飲み込まれることになるでしょうね』

「わかりました、すぐそちらに向かうのでそれまで持ちこたえてください」

「はい、なるべく早くお願いします」

 

連絡を切り、真剣な顔でこちらを見ている獅子を見る。

「…次元間移動発生装置が暴走を起こし空間を侵食しているという報告がありました。直ぐに待機している職員を含め避難してください」

「議長はどうするんです」

「僕は現場に向かいます」

「向かってどうするんですか」

「なんとかして消滅させる方法を探さなくてはなりませんので」

「とはいえ危険です!私としては技術チームに任せて安全な場所に避難すべきです」

 

それを聞いた彼は黒峰に聞く

「いま技術チームはどうしているんですか」

『必死に非常時のマニュアルも活用して対応はしていますが状況は悪化し続けています』

「どれくらいもちそうですか」

『長く見積もっても後30分で実験室は飲み込まれると思います』

 

それを聞き努めて冷静に獅子に話しかける。

「正直問題があったとしても少し特異な平行世界につながる程度の予見でした。こういう事態を予測していなかった責任は僕にあります」

「何も貴方が対処する必要はありません。カバーストーリーを流布すれば多少の民間に被害がでたとしても防ぐことはできます」

「とはいえ被害は小さい方が対処しやすいでしょう。迅速に処理しなくては」

「……」

返答をしない獅子に対しわらいかける議長

 

「そろそろ行かなくては被害が増えてしまいます。…あ、そうだ。もし飲み込まれたら本部の上層部に次の進行役を創設者(ザ・ファウンダー) に任せると言っておいてください、死者(ザ・デッドマン) でもいいんですが、彼は…恐れられてますからね」

「……」

「ではもう行きます。後はよろしく頼みましたよ」

「…議長」

 

そう言い残すと歩いて現場に向かおうとした時、突然獅子によって呼び止められる。

「なんでしょう」

「…後はよろしくお願いします」

「ええ。甚大な被害にはしませんよ」

 

そういいきびすを返して走り去る彼の後ろ姿を獅子は見えなくなるまで見送るのだった。

 

 

.....

 

 

 

...

 

 

 

.

 

 

「現状は?」といいながら実験室に到着したとき、既に他の職員はおらず黒峰一人だけが慌ただしく対応していた。

 

「機械の制御が全く効かない状態です。ゲートは依然として広がっているのでこのままだとこの施設は丸ごと消滅しかねないですね。」

「技術チームは」

「出来うる全ての試みを試してみましたが効果は今ひとつでしたしここまで浸食されてしまったら危険なので退避させました。浸食速度は多少なりとも低下しましたが完全な消滅まではいきませんでした。」

 

そういわれると議長も非常時に使用する制御装置を操作し制御を取り戻そうと試みるも結果は変わらずだった。

 

「『議長の能力であのゲートを消す』とかどうです?」

「・・・冗談ですか?」

「ちょっとした愚痴のようなものです」

「この機械はもはや制御装置としての意味をなしていませんね」

そう言うとまだ飲み込まれていない機械を集め確認を始める。

「何をしてるんです?」と聞いた彼女に目もくれずまだある確認を続けながら返答する。

 

想定通り大部分飲み込まれているのは制御装置の部品ですね・・・今行っているのはゲートを再度発生させるためです」

「再度発生ですか?」

「はい。」

「発生させたら二つの暴走状態のゲートが生まれるだけだと思うんですけど」

「そうですね」

と頷くと腑に落ちていないような表情の彼女が議長をみる

「これは知っての通り次元同士をつなぐものです。ですから一つのポータルには原則一つの出口にしかつながりません。そのポータルの近くにもう一つのポータルを作ってぶつけたらどうなるでしょうか」

「形を保てなくなって消滅すると?」

「その通りです」

説明を終えて黒峰をみるとまだ少し納得していないような釈然としない表情の彼女がこちらを見ていた。

 

「・・・議長はやったことあるんですか?」

「いえ、おかげさまでこんな問題が発生することはなかったですから。端的に言うと希望的観測です」

原理的にはこれでなんとかなると思います、そういう彼の手元には確認が終わりポータル生成準備段階に入った機械があった。

 

「失敗したときのためにこの部屋から出た方がいいですよ」

「嫌です。議長が中にいるのに秘書の私だけ部屋の外にいるわけにはいかないじゃないですか」

機械を設置している間黒峰はずっと機械の操縦を望んでいたが自分が提案した以上自分がやるべきだと議長はそれをはねのけ続けていた。

「別にいいですが壁から離れないで下さいよ。飲み込まれたらどこに連れて行かれるかわかりませんから」

「わかってますよ」

返答を聞くと議長は機械を起動する。完全には無事でないのか少し耳障りの音を立てながらポータルを生成し始める。

できたポータルは現在浸食し拡大し続けているポータルよりもずっと小さいものだが彼の考えではこの規模でも崩壊させることができた。

ポータルは想定通り小さい別の次元につながるポータルを完全に飲み込み・・・そして自壊を始めた。

ここまでは想定通りだった。

 

しかし、彼の想定外が一つだけ存在した。それはあまりにも拡大し続けた結果自壊する際に周囲の全てを飲み込みはじめるといったものだった。

「議長!」

幸い彼女がいる場所では影響を受けなかったのか黒峰の声が聞こえる。

彼女に向かって「近づくな」という忠告をしたいのだが近くのものを吸い込み飛んでくるものをよける事とその範囲のみが真空状態になっているためそれどころではない。さらに悪いことに白く変化しながら大きくなってきていた。範囲は広がってはいないものの吸い込む力は大きくなってきているようだ。

 

 

彼は自責の念に駆られ黒峰の安否を思いながら視界が白く染まっていくのだった。

 


 

SCP財団一定期間保持記録

 

 

ログイン認証中.....

 

 

.

 

 

ようこそ、████様

 

注意

ここにある記録は一定期間保持されたのち削除されます

 

アイテム名:接触する平行世界

最終使用日: ██-██-20██

最終使用場所: 日本、███番汎用試験室

これは製造部門が科学部門と連携して作成した最初の実用的な次元間移動発生装置です。「ゲート」という次元間を移動する事ができる時空間異常を発生させる発生装置と緊急時に規模を強制的に制御する制御装置という二つの装置から成っています。制御装置がある理由は発生装置にも規模は設定できますが生成後の規模の調整を受け付けない場合が見られたためです。それ以外の異常は現在確認されていません。異常が確認されました。詳細は事件報告-724615-1を参照してください。




臨場感あふれるような表現ってどうしたらいいんだろうか・・・

議長がLobotomyの世界に転送された時、世界の時期は?

  • L社結成初期(カルメン登場)
  • Lobotomy社設立期
  • 本編開始期
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