錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

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前回までのあらすじ

救援者たちにスピリットスマッシュを任せ、塔に突入した七海たち。

最上階で待ち構えていたフィーネと園神凛祢との決戦に臨む。

フィーネの思想が、すでに歪みきったことを悟った七海とキャロルは、フィーネを見事撃破する。

しかし勝利の歓喜も束の間、勇と和解しかけていた凛祢が刺し貫かれてしまい……


シアワセの居場所

 

――――園神凛祢が刺し貫かれた。

 

まさかの事態に動揺した私たちは、彼女がいつの間にかフィーネの元に引き寄せられるのを、呆然と見ているだけだった。

よく見れば、園神凛祢を貫いているのは、フィーネの触手だということが分かる。

 

「まだだ……まだ終わらん!」

「フィーネッ!」

「貴様、諦めが悪すぎるぞ!」

「凛祢ぇ!」

「私の理想は……まだ終わらないッ!」

 

フィーネがそう叫ぶと、彼女の身体が赤黒いスライムのような物に変わり、凛祢を覆い尽くす。

すると、スライムは躍動し辺り一帯に衝撃波をまき散らす。

 

「うわぁ!」

「ぐぁ!」

 

私たちはその衝撃波に吹き飛ばされ、私とキャロルは変身が解除されてしまう。

 

「七海さん!」

「おいお前たち、大丈夫か!?」

「ぐ……なんとか」

「くそ……」

 

どうにかして立ち上がると、目の前には巨大なスマッシュがいた。

塔から突き出るほどの巨体に、無機質な身体と顔のない頭。さらに神々しくも禍々しいローブ、頭部には歯車のようなエンブレムが付けられている。

そして特徴的なのは、髪と思われる部分が巨大な蛇になっており、体中にも蛇が絡みついているような装飾が散見される。

 

「ハハハハハハッ!素晴らしい!このスピリチュアルスマッシュの力があれば……全ての平行世界を理想の荒波に沈め、完全な支配すら可能だ!ハハハハハッ!」

 

興奮したフィーネは高笑いを上げて、自らが得た力に酔いしれる。

そして、その足元にいる4人は、その姿に唖然とする。

 

「なんだこの姿……まるで凛祢とそっくりだ」

「なんと巨大で禍々しい力……これが、精霊を取り込んだスマッシュ」

「どうする!?このままだと、何もかもヤツの思い通りだぞ!」

 

その時、ひとしきり笑い声をあげたフィーネが、私たちに視線を向けた。

視線を表す眼がないが、私たちは蛇に睨まれた蛙のように動けなかった。

 

「礼を言うぞ……貴様らの力が、私にこの神にも等しい力を得るに至らせた。ふん……凛祢も馬鹿な奴だ。自らが課せられた使命を、一時の情で放棄するとはな。大人しく使命とやらに殉じていれば、いい夢を見せてやろうとしたものを。まあアイツも、所詮は中途半端な出来損ない。ならばそのような役立たずは、私が利用してやろう」

「―――ちがうッ!」

 

その物言いに、真っ先に声を張り上げた者がいた。

 

「勇……?」

「凛祢は…彼女は決して、出来損ないなんかじゃない!」

 

そう言って勇君はフィーネに向かって、はたから見ても分かるほどの怒気と共に言葉をぶつける。

 

「彼女だって……苦しんでいたんだッ!望んで生まれたわけでもない彼女が、生まれた時から抱える使命に悩み!苦しみ!必死に足掻いてきた!そんな彼女を、出来損ないだなんて言うな!」

「フィーネ。お前は言ったな。凛祢の感情を、一時の情だと」

「シャナ……」

 

気づけば、キャロルの身体からシャナが分離しており、フィーネを見上げていた。

 

「オレと園神凛祢は違う。生まれも、元となった感情も、そして今の立場だって……だけど、それでも同じこともある。過去のオレも、アイツも、ただ求めていたんだ。他人からの優しさ…いや、”愛”という世界で一番素敵な感情を」

「それがどうしたぁ!」

「まだ分からないか?例え生まれが何だろうが、使命を抱えていようが、()はその鎖に雁字搦めにされているだけではない!他者と繋がり、その鎖を必ず外して飛び立つんだッ!」

 

珍しく語気を荒げたシャナがそう言うと、勇君はフィーネに人差し指を突きつける。

 

「フィーネッ!貴女は憐れな人だ。人と人を繋ぐ絆を、痛みだけだと勘違いしていたあの時の貴方の方が、まだ人と分かり合う努力を出来ていただろうに……貴女はそれすら放棄したッ!だから僕たちは貴方を倒す!覚悟しろ、()()()()()()()()()

「貴様ァアアアアッ!黙って聞いておればいい気になりよってぇえええええッ!」

 

勇君の最後の一言……かはわからないけど、激怒したフィーネは私たちに向かって触手を伸ばしてくる。

だけど……さっきの間に準備はすでにできた。

 

「何ッ!?」

 

フィーネの声に驚愕の色が混ざった。

それもそうだろう。彼女が伸ばした触手が、何かに弾かれたんだから。

 

「これは…!?」

「―――勇君ってさ、結構毒舌だったりするのかな?」

「七海さん…もしかしてこれって」

 

勇君の質問に、肯定の意味の頷きを持って返す。

私の左手にはシンフォニーフルボトルがある。これを使って、フルボトルやプログライズキーでフィーネの触手を弾いたのだ。

 

「やれやれ……さっきからいい場面を取られっぱなしだよ」

「仮面ライダー……貴様らも私の邪魔をぉおお!なぜ理想郷を望まないッ!」

「―――理想郷は既に存在している」

「……バカなッ!?何を言っている!」

「帰る場所があって、仲間がいて、友人がいて、家族がいて……愛する人が隣にいる。そこが私の理想郷だ。わざわざ貴女なんかに作ってもらう必要はないッ!」

「そういう事だ。勘違いの輩にはご退場願おう」

《ハーモニー!オールセット!》

《マボロシ!Evolution!》

 

私はシンフォニーフルボトルの起動スイッチ『ミックススターター』を押し、器用に左手でひっくり返して右手に持ち替え、ビルドドライバーにセットする。

キャロルはサウザンドライバーの右側にビギニングドラゴンムゲンライズキーをセットする。

さらに、エンディングアルケミストプログライズキーを、キー状態へと展開し天へと掲げて、ライダモデルとファントムモデルを呼び出す魔方陣を展開した。

 

《シンフォニー!》

《ブレイク!ホープ!》

「オレもキャロルの中にもど…ッ?」

 

キャロルの中に戻ろうとしたシャナの手を、当のキャロルに掴まれて困惑するシャナ。

そんなシャナに、キャロルは気恥ずかしさからか、薄っすらと赤くなった顔で呟く。

 

「お前は一人じゃない……」

「は?」

「お前は!……”愛”を知っているんだろう?」

「ッ!……ふ…そうだな」

 

2人の様子を横目で見ながら、私はビルドドライバーのレバーを掴んで回す。

『ケミカライドファクトリーステージ』が展開され、周囲を飛んでいたフルボトルやプログライズキーも、近くに寄ってくる。

キャロルの方も、錬金術師型のライダモデルとドラゴン型のファントムモデルが召喚され、キャロルはプログライズキーを、サウザンドライバーの左側に差し込む。

 

《オラァ!〈ラァ!〉オラァ!〈ラァ!〉オラァ!〈ラァ!〉》

《Are you ready?》

「「……変身ッ!」」

《コンプリートライズ!》

 

正面に伸ばしていた右腕を振り下ろした私を、フルボトルやプログライズキーが融合したスーツが覆い、更にシンフォギアのアームドギアが分解、再構成された装甲が装着されていく。

そして希望を知らせる音色へと、その姿を変えた。

 

《完全調和のゼリーヤロー!》

《グリスシンフォニー!》

《オラオラオラオラオラァッ!》

 

キャロルの前後に降り立ったライダモデルとファントムモデルが、装甲としてキャロルの身体を包んでいく。

その過程でシャナもキャロルの身体に戻り、ここに絶望にとっての災厄が生まれた。

 

《Thouzer,the ruler of destruction and rebirth,reigns here》

「『仮面ライダーカラミティサウザー……絶望よ、恐れ震えよッ!』」

 

決着をつけるべく、仮面ライダーに変身した私たちの隣に、横にやってきた勇君とキャロルちゃんも並ぶ。

 

「……これが、仮面ライダー」

「オレたちも負けてられん。勇、ここは一気に決めてやろう!」

「ああ、キャロル!」

 

キャロルちゃんはダウルダブラを纏い、勇君も複数の天使を顕現させる。

フィーネはどこか恐れるように、そしてその自分が許せないとばかりに吠える。

 

「どこまでもコケにしおって……ここで潰してくれるわぁああああ!!」

「享楽の巫女フィーネ!貴女は私たちが倒すッ!」

「凛祢も返してもらうぞッ!」

 

 

「「さあ……心火を燃やして、戦争(デート)を始めよう!」」

 

 

 




勇君視点もこちらから!

タク-Fさん投稿「マジで……この世界!?」
https://syosetu.org/novel/234619/

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次回予告

凛祢を取り込み、スピリチュアルスマッシュへと変貌したフィーネ。

取り込まれてしまった凛祢を救うため、そして望む幸せを掴むため。

世界を越えた5人の、最後の戦いが幕を開ける。

次回もお楽しみに!

何も言わずに選んでください

  • ゲーマーキャロルちゃん
  • 原作開始前に命題に気づいたキャロルちゃん
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