熱気が会場を包む。
その熱気をものともせずに、声を上げる2人の歌姫に会場のボルテージはさらに高まる。
彼女たちは「ツヴァイウィング」。その歌唱力、カリスマ性を持って今を羽ばたくボーカルユニット。今夜はツヴァイウィングの大型コンサート。デビューしてから、月日も経たずにこのコンサートを開くことが、彼女たちの実力を示していた。今宵歌姫たちは奏でる。人々を魅了する歌を。そして、1人の少女を滅びへと送るレクイエムを。
その様子を
《七海side》
「ほぉ〜。あれがツヴァイウィングかー。生で見るのは初めてだけど、ホント綺麗だねぇ」
『……確かにコンサート会場の地下から、聖遺物の反応がある。七海の調べた通りだったな』
「あんなに人が大勢いる場所で、聖遺物の起動実験だなんて…。一体何を考えているの…」
私の隣にいるセレナの体が軽く震える。それも仕方ないよね。なんせネフィリムの起動実験の際、死にかけたんだもんね。
私はセレナを優しく抱きしめる。背中をポンポンってしてあげると、セレナの震えも治まった。
「ごめんなさいお姉ちゃん。こんな時に甘えてしまって」
「良いんだよ。貴方は私の"妹"なんだから」
そう、妹なのだ。といってもマリア・カデンツァヴナ・イブが亡くなった訳ではない。彼女が私を「お姉ちゃん」と慕ってくれるから、私もセレナを妹として接しているのである。でもちょっとどころか、かなり可愛い…。
『おい!少しは緊張感を持たんか!』
セレナとイチャイチャしてたら、キャロルに怒られてしまった。帰ったらエルと一緒に、イチャイチャしよーっと。
そんなことを考えていた時、コンサートで爆発が起こった。
「っ!?一体何が…」
「キャロル」
『調べている!……これは』
「どうしたの?」
『…爆発元はコンサート会場の地下。しかも、ただの爆発じゃないな。……くそっ!実験中の聖遺物を暴走させたのか!』
…遂に来たか…。そして原作通りならここからやつらが現れる。
『新たな反応!?』
「…どうしたのキャロル?」
『最悪な知らせだ。どうやらノイズが現れたらしい』
やっぱりか。ノイズ。それは生きた災害。特異災害として認定されており、触れたモノを瞬く間に灰にしてしまう。だが最も恐ろしいのは、灰化するのは人間のみで、ノイズもそれを分かっているかのように、人間しか狙わないこと。まるで人間を殺戮するためだけの兵器。それがさらに恐怖を根付かせる。
ノイズが本格的に姿を現し始めたのが13年前。それからは私も交戦することはあったけど、自分から戦いに向かっていったことはない。
まだ姿を現すわけにはいかなかったため、色々と隠蔽工作とかしないといけなかった。でもノイズは時間がたつと自壊するから、そんなことしてる間に灰になって出る暇ないんだよね。
「お姉ちゃん!」
「…うん。分かってるよ」
とりあえずは向かわないとね。私は知らず知らずのうちに緊張しながら、セレナと共にそれぞれのベルトを巻く。
《奏side》
「何でこんな数が…」
「奏!大丈夫!?」
「ああ!にしても、ホントに何だよこの数は。くそぉ!時限式じゃここまでかよ!」
今日は私たちにとって最高の日になるはずだった。ツヴァイウィングとしての大型コンサート。おっさんたちは聖遺物の起動実験なんてやってたけど、私たちにとっては自分たちの歌をたくさんの人に聞いてもらえる日だった。でも、そこにノイズどもが現れやがった。私と相方の翼でなんとか食い止めているけれど、私は結構ヤバい。
対ノイズの兵装「シンフォギア」。今もシンフォギアがあるから対抗できてるけど、私はシンフォギアとの適合係数が低い。それを補うために「LiNKER」なんて薬を打ってんのに、急なことだったからLiNKERを補充してない。…くそ。ギアが重く感じる。限界が近い。
「キャアアア!」
「なっ!?まだ逃げ遅れやつがいるのか!」
悲鳴が聞こえた方向を見ると、女の子が足を抑えていた。観客席の崩落に巻き込まれたんだろう。だが一番の問題はその女の子にノイズが向かっていることだった。
纏わりついてくるノイズを蹴散らせながら、どうにか女の子の元にたどり着く。
「うっ!足が…」
「おい!大丈夫か!…っ!?こんにゃろ…!」
女の子は足を怪我してるみたいだったが、歩けないほどではないらしい。時間を稼ぐために、ノイズが一斉に飛びかかってくるのを、槍を回して防ぐが……これ、きつ、い。
ガキンッ!!
「くぁ!」
「え………あ」
「嘘、だろ……」
私の槍が攻撃に耐えきれず穂先が砕け、その破片が……逃げていた少女を貫いた。飛び散る血、倒れる女の子。私はすぐに女の子の元に向かう。
「おい!しっかりしろ!目を開けてくれ!生きるのを諦めるな!」
頼む、頼む、頼む頼むタノムたのむたのむ!死なないでくれ!お前はこんなところで死んじゃいけない!もっと、もっとお前には未来があるだろ!
………どうやらまだ息はあるみたいだった。でも幾ら呼びかけても、願っても、揺すっても、女の子は目を開けてくれなかった。
私は拳を握りしめ、ノイズどもに目を向ける。やっぱりそうだ。あいつらは私から大切な者を奪っていく。あの時も、私から家族を奪い、そして今!私たちの歌を聞きに来てくれただけの人達をを殺し、この女の子も殺そうとした。
私は立ち上がり、穂先の掛けた槍を掲げる。ノイズの数はまだまだいる。こいつらをいちいち倒していたら、女の子は助からない。思い浮かべるのは、シンフォギア最大の力。使えばおそらく私は死ぬだろう。だけど私は死なない。あいつらを、ノイズを、潰し尽くすまではぁ!
意を決して、口を開く。その私に被る影。
「あ………」
私の目の前にノイズが迫り、気付いた時には遅かった。私の目の端に紅い何かが見え―――――
2羽の紅く燃え上がった鳥が、周囲のノイズを焼き払った。
ちょっとした裏話
セレナは最初仮面ライダーバルキリーにしようと思っていました。ただ、シンフォギアでの使用武器が短剣なら、バーニングファルコンの方が似合うなと思い、急遽変更しました。
ただこの話を書いてる時に、奏にも似合ってるなと思ってちょっと悩んだ。
それと、前話でのセレナの訓練シーンでの攻撃方法が、オリジナルで考えたと思ってたんですけど、諸々の事情で10日に録画したゼロワンを今日見た時、なんか同じ攻撃やってて、えーとなってしまった。
さて、奏の方もフラグが立ちましたね。察しの良い方は、何のフラグか分かるはず。
奏者たちの技を、ゼロワンライダー風にしてほしい?特殊タグ付けるのメンド・・大変だけど(参考程度です。)
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やってほしい!
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別にやらなくてもいいよ?
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作者の苦労など知らん。
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文字に色つけないの?