錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

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少し間が空いてしまいました。すいません。
お詫びに今回は少し長め。


14 少しだけ、本気を出してみよっか?

《三人称side》

装者2人が戦っている場所から離れた場所では、自衛隊員たちは未だ気を緩めずにいた。ノイズに対抗できるとはいえ、近くには街がある。最悪の場合、抜けてきたノイズを命を懸けて足止めをしなければならなかった。

そんな中、この場を任されている指揮官とその副官が、急遽設置されたテントで言葉を交わしていた。

 

「・・・あれが、例の対ノイズ兵装ですか」

「ああ、だが気を抜くなよ。もし突破されたら、我々が戦わなければならないのだからな」

「はい・・・。しかし、あの声どこかで聞いたような・・・?」

「おっと、それ以上考えるのはやめとけよ。お前にはまだまだ働いてもらいたいからな。心の内にしまっておけ」

「は、はっ!」

 

指揮官の言葉に、副官は狼狽する。その時テントの外、しかもかなり近くで爆発が起きた。

 

「ぬお!一体どうしたぁ!」

「大変です!先ほどとは別方向からノイズが出現しました!」

「なんだと!急いで2課に連絡を!」

 

突然のノイズの出現に、指揮官は驚きはするもすぐに命令を出す。再び、阿鼻叫喚の地獄が始まろうとしていた。

 

 

そしてこのことは特異災害対策機動部2課でも把握していた。

 

「自衛隊の近くにノイズ反応!」

「なんだとぉ!くっ。奏、翼、緊急事態だ!」

『知ってる!でもこっちもきつい!』

『今すぐには・・・』

「弦十郎くん・・・」

 

装者2人ともを動かすことは出来ない。選択肢は2つ。奏者のどちらかを無理矢理向かわせるか、それとも自衛隊員を見捨てるか。

2課の司令である風鳴弦十郎は、そばにいる櫻井了子の視線を受けながら歯噛みする。結果選んだのは後者。奏はシンフォギアを使うためにLINKERに頼っているので、LINKERが切れたらどうしようもなくなる。そんな彼女を一人にはできない。ノイズに対抗できるシンフォギアを扱える人間は、そう多くない。だからこそ前者は選べない。

 

「……奏者2人はこのまま―――」

「っ!?自衛隊周辺に現れたノイズ、数を減らしています!」

「何っ!?どういうことだ!」

「この反応は……弦十郎くん、どうやら彼女たちみたいよ」

 

オペレーターの報告に、了子が手元のコンソールを使って調べる。そして急に現れた反応の正体を弦十郎に告げる。

 

「・・・仮面ライダーよ」

 

《七海side》

 

《インフェルノウィング!バーニングレイン!》

      

 バ ー ニ ン グ

             

              

             

 

セレナがその場で一回転し、同時に振るったスラッシュライザーが炎の斬撃を生み出し、周囲のノイズを一掃する。やっぱり強くなってきたねセレナは。お姉ちゃんと呼ばれる身としては嬉しく思うよ。私も一応ついてきたけど成長を見るために、戦闘はほとんどセレナに任せていた。そしたらほぼすべてのノイズを倒したのだ。

まあ私を超えるのはまだ先だろうけどね!なんたって”お姉ちゃん”なんだから!

 

「お姉ちゃん、やりました!」  

「うん。すごいね。確かに強くなってるよ」 

「……えへへ!」

 

それじゃあ、帰りましょうかね……ん?

 

「おいあんたら!」

「天羽奏と風鳴翼か」

 

私たちの目の前に現れたのは、天羽奏と風鳴翼。さすがに向こうにも私たちが来てるのは知られてるか。「何かな?私たち帰りたいんだけど」

 

「そう言うわけにもいかねえな。大人しく私たちについてきてもらうぞ」

「奏…?」

 

急に現れたと思ったら、天羽奏が槍を向けて上から目線で命令してきた。なにあれ?彼女あんなに刺々しかったっけ?

 

「嫌だよ」

「そうかよ。じゃあ、大人しくしてもらうぞ!」

「奏!?」

 

断ったら私たちに向けて槍を振るってきた。私たちは左右に分かれその攻撃を避ける。まさかこんな強硬手段に出てくるとは思わなかった。

 

「奏!何をしてるの!」

「翼!お前も手伝え!こいつらを大人しくさせるぞ!」

「え・・・。う、うん」

 

えっちょっと翼さん!?あの原作一話の凛々しいあなたはどうしたんですか!?ってそういえば、天羽奏が亡くなったからああなったんだっけ。まさかこんなところで弊害が出てくるとは!

 

「と、とりあえず大人しくしてもらいます。はっ!」

「くっ。襲い掛かってきたのはそっちなんだけど、ね!」

 

くそっ!こっちはまだ彼女に躊躇があるからまだマシだけど、セレナの方はヤバい。あの天羽奏は私たちに攻撃することに躊躇いがない。セレナはまだ人間相手が慣れないはず。

 

「おらぁ!」

「あう。な、何で攻撃するんですか…」

「ああ?お前女か?なんで戦ってんだよ?」

「貴方だって女性ですよね。人のこと言えないじゃないですか。ぐぅ…」

「うるせぇ!私は、ノイズをぶっ潰すんだ!そのためにも、あんたらにはいろいろと話を聞かせてもらうぞ!」

「無茶苦茶です!だからって襲ってくるなんて!」

「あんたら、自分たちの力が私たちにとってどれだけ危険か分かるのかよ!」

「きゃあ!」

 

ほらやっぱり!セレナは防戦一方だし、反撃しようにも躊躇ってしまってる。

私は焦りながらも、風鳴つばさの振るう刀をツインブレイカ―で受け止め押し込む。

 

「貴方の相方ほっといていいの?」

「確かに今の奏は危険だと思う。だが敵かどうかも分からないお前たちの存在も、確かに危険だ!」

「だから力づくっていう事か!」

 

風鳴翼はバックステップで後ろに下がり、刀を大剣へと変形させ思い切り振りおろす。

 

【蒼ノ一閃】

「うわっ!」

 

放たれた斬撃を食らい、私は地面を転がる。しかし寝転がってはいられない。何とか両手をついて起き上がる。

 

『七海!大丈夫か!』

「何とかね……」

「キャァッ!」

「セレナ…!?」

 

その時、セレナが短い悲鳴を上げながら転がるのを見て、私は心の底から暗い何かが込み上げるのを感じた。

 

「こいつは預からせてもらうぞ」

「あ……だめ。それだけは…やめて。お願い、します。返してぇ……」

 

天羽奏が転がったスラッシュライザーを手に取り、セレナは返して欲しいと泣きそうな声で懇願する。その声を聞いた時――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――私の理性が焼き切れる音が聞こえた。

 

 

≪三人称side≫

 

「はああああ!」

 

翼が棒立ちの七海に刀を振るう。翼は奏と違い、七海たちを危険な存在と思いはすれど、積極的に叩き潰そうとはしない。ただ話を聞きたいのは確かなので、気絶させるぐらいにしか考えていなかった。

それが、七海の怒り(・・)に気づくのを遅らせる原因となった。

 

黙れ。邪魔だ(・・・・・・・)

「なにっ!?」

 

翼が振るった刀をノールック、しかも片手で掴む(・・・・・)。その人間離れした神業に、翼の動きが止まる。その隙を狙い翼を殴り飛ばす。

翼が殴り飛ばされた時に手を離した刀を投げ捨て、ツインブレイカーをビームモードにして奏に向けて撃つ。

奏はその場から飛び退いて避け、その間に未だ倒れ伏しているセレナの前に立つ。

 

「っと。次はあんたってか?」

「……それを返してもらおうか」

「そいつは出来ねえな。これはどういう訳かノイズを倒せる。やっぱあんたらには話を聞かせてもらわないとな」

「………」

「お姉ちゃん?」

「あんたらが大人しくついてきてくれるなら、返してやるけど?」

「あっそ」

 

七海の雰囲気が普段と違うことにセレナは気付くが、奏は気付く様子もなく挑発気味に言葉を投げかける。

しかし当の七海はただ短く返し、ラビットスクラッシュゼリーのボトルキャップを捻る。

 

《ラビットゼェリィィ!》

 

「ぶっ潰す……」

 

《走るぅ! 跳ねるぅ! 駆け回るぅ!》

《ラァビットォイングゥリスチャァァァジ!》

《オラァァァァァ!!》

 

ただただ無言でレバーを下ろし、ラビットチャージへと変身する。そして右手の握り拳を胸に当て、前に突き出す。

 

「……心火を燃やして、駆け抜ける……!うらぁああ!」

「ぐはぁ!」

 

瞬間、加速。スプリントキャプチャーによる加速したスピードで、奏に接近し上飛び蹴りを叩き込む。奏は槍で何とか防ぐも、その衝撃で後ろに飛ばされる。

 

「この…何しやがる…」

(なんだ、こいつ。さっきとまで雰囲気が全然違う)

「奏!」

「翼、合わせろ!」

 

七海に向かっていく翼を見て、奏も槍を振り上げる。

 

 LAST    

     

METEOR  一閃 

 

対する七海もスクラッシュドライバーにウルフフルボトルを装填する。

 

《チャァァジボトル!潰れなぁぁい》

《チャァァジクラッシュ!》

 

「ハアアア!」

「なんだと!?ぐああ!」

「こんな、ぐう!」

「まだだ!」

 

《タンクゼェリィィ!》

 

両足のジャンプパックスパイクから噴出されたヴァリアブルゼリーが、鋭い爪をもったオオカミの足の形を形成。その足を二度振り上げ、飛んできた斬撃と竜巻を切り裂く。さらに後ろ回し蹴りを放ち、翼と奏に半円状の斬撃を飛ばす。

更にタンクスクラッシュゼリーを装填しレバーを下ろす。2台のマウントキャタピライザーがどこからともなく現れ、翼と奏に砲撃する。

 

《注ぐぅ!狙うぅ!撃ち放つぅ!》

《タンクゥイングゥリスチャァァァジ!》

《ドォッガアアアンン!!》

 

タンクチャージへと変身した七海はもう一度レバーを下ろす。七海の足元、砲塔「ブレイクゲイザー」の後方部分からヴァリアブルゼリーが噴出され、アンカーとして設置される。

 

《バァァスティングフィニッシュ!》

 

ブレイクゲイザーにエネルギーが溜まっていき、とてつもない反動と共に超高威力の光弾が撃たれる。

 

「ハア!」

 

バ ー ス テ ィ ン グ 

         フィ ニ ッ シュ

さっきの攻撃のダメージが残っている2人は、躱すこともできずに命中する。………ことはなかった。

 

「ぬん!!」

「なっ!?」

「旦那!?」

「叔父様!?」

 

突如として装者2人の前に立ちふさがった熊のような男が、気合のこもった声と同時に掌底を放ち光弾を弾く。弾かれ奏たちの後方に着弾した光弾は、爆音と共に熱風をまき散らしながら大爆発した。

奏と翼は目の前にいる人物、風鳴弦十郎に問いかける。

 

「な、何で旦那がここにいるんだよ」

「決まってるだろう。こっちの命令を聞かないやつらの尻拭いをするためだよ」

 

弦十郎の言葉を聞き、2人は仮面ライダーと戦うのかと考え心の底から安堵した。彼女たちのようにシンフォギアと言った装備が無いものの、素手でさっきの攻撃を弾いたのだ。期待するのも無理はない。

しかし、弦十郎が取ったのは全く別の、それこそ七海ですら予想していなかった行動だった。

 

「俺は風鳴弦十郎。彼女らの上司だ。君が白黄七海でいいか?」

「………」

「申し訳なかった」

「……は?」

「「ええっ!?」」

 

頭を下げた。今攻撃すれば、防御が間に合わないほど無防備な状態で。

 

「今更言っても信用はないだろうが、こちらに君たちと交戦する意思はない」

「………」

「君たちもノイズと戦っていることは知っている。そして、対話による話し合いが可能であることも。だが今回はこんなことがあったばかりだ。対話をしたいなどとは言わない。ここら辺で手打ちにしてくれないか?もちろん奏が奪ったこいつは返却するし、アイツらにもしっかり言いつけておく。」

 

そう言うと、弦十郎は頭を上げ転がっていたスラッシュライザーを投げ渡す。それを受け取った七海は、未だに信用しきれていないのか弦十郎を注視したままでいる。その時、七海に声をかける人物がいた。

 

「彼の頼みでは聞けないかしら?私からもお願い」

「貴方は……」

「ああ。この姿じゃわからないか。……この姿ならわかるだろう」

 

そう言って現れた女性、櫻井了子がメガネを外すとその姿が変わる。七海は勿論原作でその正体を知っていたが、彼女がここに現れたことが驚きだった。七海からしてみれば、ちょっとした昔馴染みだったからだ(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「フィーネか」

「憶えていたか。ここは私の顔を立てて、下がってもらえると嬉しいのだが?」

「分かった。何であなたがそこに居て、もう正体をばらしているのかは分からないけど」

 

フィーネの提案を了承した七海は、テレポートジェムを取り出し地面に叩きつける。立ち上がったセレナと七海の足元に魔方陣が現れる。

 

「最後に2つだけ。2年前のコンサート会場でノイズが現れた事件。あの時貴方は正体を既にばらしていたの?」

「ああ。なんだ、私がやったと考えていたのか?だが残念ながら、私ではないな」

「そう。それと、まだ未練はある?貴方が愛したという”あの方”への」

「…完全にないと言えば、そう言うわけではない。だがお前と出会ってから、少なくとも昔のような考えはないな。」

 

フィーネが答えたと同時に、魔方陣から光が放たれ2人の姿が消える。静寂が場を包み込んだ。

 

 

 

 




何か奏さんが悪い感じになってるけど、これ一応書き直したんですよ?最初のやつはセレナを必要以上に痛めつけたりして、もっと酷かったんで書き直しました。まあ、これも後々の為に必要なフラグなんですが。
それと弦十郎さんがスラッシュライザーを投げ渡したのは、不用意に近づいて七海を刺激しないようにするためです。態度が悪いわけじゃないですよ?ちゃんと謝ってるし。
弦十郎さんが上司だったら、仕事しやすいでしょうね。

Koroking様 風鳴弦十郎のメンバーへの呼称を教えてくださりありがとうございました。さっそく役に立ちました。

それ以外にも感想お待ちしております。
気に入っていただけたらお気に入り登録、高評価お願いします。

無印編が終わったら番外編を入れる予定ですが、どんなのが良いですか?※あくまで参考です。必ずアンケの結果通りとは行かないのであしからず。

  • イザーク存命の頃の七海とキャロルの過去話
  • イザーク死後の七海とキャロルの過去話
  • 装者たちとの絡み
  • キャロル以外とのカップリングの短編
  • その他意見(感想などで教えてください)
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