お詫びに今回は少し長め。
《三人称side》
装者2人が戦っている場所から離れた場所では、自衛隊員たちは未だ気を緩めずにいた。ノイズに対抗できるとはいえ、近くには街がある。最悪の場合、抜けてきたノイズを命を懸けて足止めをしなければならなかった。
そんな中、この場を任されている指揮官とその副官が、急遽設置されたテントで言葉を交わしていた。
「・・・あれが、例の対ノイズ兵装ですか」
「ああ、だが気を抜くなよ。もし突破されたら、我々が戦わなければならないのだからな」
「はい・・・。しかし、あの声どこかで聞いたような・・・?」
「おっと、それ以上考えるのはやめとけよ。お前にはまだまだ働いてもらいたいからな。心の内にしまっておけ」
「は、はっ!」
指揮官の言葉に、副官は狼狽する。その時テントの外、しかもかなり近くで爆発が起きた。
「ぬお!一体どうしたぁ!」
「大変です!先ほどとは別方向からノイズが出現しました!」
「なんだと!急いで2課に連絡を!」
突然のノイズの出現に、指揮官は驚きはするもすぐに命令を出す。再び、阿鼻叫喚の地獄が始まろうとしていた。
そしてこのことは特異災害対策機動部2課でも把握していた。
「自衛隊の近くにノイズ反応!」
「なんだとぉ!くっ。奏、翼、緊急事態だ!」
『知ってる!でもこっちもきつい!』
『今すぐには・・・』
「弦十郎くん・・・」
装者2人ともを動かすことは出来ない。選択肢は2つ。奏者のどちらかを無理矢理向かわせるか、それとも自衛隊員を見捨てるか。
2課の司令である風鳴弦十郎は、そばにいる櫻井了子の視線を受けながら歯噛みする。結果選んだのは後者。奏はシンフォギアを使うためにLINKERに頼っているので、LINKERが切れたらどうしようもなくなる。そんな彼女を一人にはできない。ノイズに対抗できるシンフォギアを扱える人間は、そう多くない。だからこそ前者は選べない。
「……奏者2人はこのまま―――」
「っ!?自衛隊周辺に現れたノイズ、数を減らしています!」
「何っ!?どういうことだ!」
「この反応は……弦十郎くん、どうやら彼女たちみたいよ」
オペレーターの報告に、了子が手元のコンソールを使って調べる。そして急に現れた反応の正体を弦十郎に告げる。
「・・・仮面ライダーよ」
《七海side》
《インフェルノウィング!バーニングレイン!》
バ ー ニ ン グ
レ
イ
ン
セレナがその場で一回転し、同時に振るったスラッシュライザーが炎の斬撃を生み出し、周囲のノイズを一掃する。やっぱり強くなってきたねセレナは。お姉ちゃんと呼ばれる身としては嬉しく思うよ。私も一応ついてきたけど成長を見るために、戦闘はほとんどセレナに任せていた。そしたらほぼすべてのノイズを倒したのだ。
まあ私を超えるのはまだ先だろうけどね!なんたって”お姉ちゃん”なんだから!
「お姉ちゃん、やりました!」
「うん。すごいね。確かに強くなってるよ」
「……えへへ!」
それじゃあ、帰りましょうかね……ん?
「おいあんたら!」
「天羽奏と風鳴翼か」
私たちの目の前に現れたのは、天羽奏と風鳴翼。さすがに向こうにも私たちが来てるのは知られてるか。「何かな?私たち帰りたいんだけど」
「そう言うわけにもいかねえな。大人しく私たちについてきてもらうぞ」
「奏…?」
急に現れたと思ったら、天羽奏が槍を向けて上から目線で命令してきた。なにあれ?彼女あんなに刺々しかったっけ?
「嫌だよ」
「そうかよ。じゃあ、大人しくしてもらうぞ!」
「奏!?」
断ったら私たちに向けて槍を振るってきた。私たちは左右に分かれその攻撃を避ける。まさかこんな強硬手段に出てくるとは思わなかった。
「奏!何をしてるの!」
「翼!お前も手伝え!こいつらを大人しくさせるぞ!」
「え・・・。う、うん」
えっちょっと翼さん!?あの原作一話の凛々しいあなたはどうしたんですか!?ってそういえば、天羽奏が亡くなったからああなったんだっけ。まさかこんなところで弊害が出てくるとは!
「と、とりあえず大人しくしてもらいます。はっ!」
「くっ。襲い掛かってきたのはそっちなんだけど、ね!」
くそっ!こっちはまだ彼女に躊躇があるからまだマシだけど、セレナの方はヤバい。あの天羽奏は私たちに攻撃することに躊躇いがない。セレナはまだ人間相手が慣れないはず。
「おらぁ!」
「あう。な、何で攻撃するんですか…」
「ああ?お前女か?なんで戦ってんだよ?」
「貴方だって女性ですよね。人のこと言えないじゃないですか。ぐぅ…」
「うるせぇ!私は、ノイズをぶっ潰すんだ!そのためにも、あんたらにはいろいろと話を聞かせてもらうぞ!」
「無茶苦茶です!だからって襲ってくるなんて!」
「あんたら、自分たちの力が私たちにとってどれだけ危険か分かるのかよ!」
「きゃあ!」
ほらやっぱり!セレナは防戦一方だし、反撃しようにも躊躇ってしまってる。
私は焦りながらも、風鳴つばさの振るう刀をツインブレイカ―で受け止め押し込む。
「貴方の相方ほっといていいの?」
「確かに今の奏は危険だと思う。だが敵かどうかも分からないお前たちの存在も、確かに危険だ!」
「だから力づくっていう事か!」
風鳴翼はバックステップで後ろに下がり、刀を大剣へと変形させ思い切り振りおろす。
【蒼ノ一閃】
「うわっ!」
放たれた斬撃を食らい、私は地面を転がる。しかし寝転がってはいられない。何とか両手をついて起き上がる。
『七海!大丈夫か!』
「何とかね……」
「キャァッ!」
「セレナ…!?」
その時、セレナが短い悲鳴を上げながら転がるのを見て、私は心の底から暗い何かが込み上げるのを感じた。
「こいつは預からせてもらうぞ」
「あ……だめ。それだけは…やめて。お願い、します。返してぇ……」
天羽奏が転がったスラッシュライザーを手に取り、セレナは返して欲しいと泣きそうな声で懇願する。その声を聞いた時――――
――――私の理性が焼き切れる音が聞こえた。
≪三人称side≫
「はああああ!」
翼が棒立ちの七海に刀を振るう。翼は奏と違い、七海たちを危険な存在と思いはすれど、積極的に叩き潰そうとはしない。ただ話を聞きたいのは確かなので、気絶させるぐらいにしか考えていなかった。
それが、七海の
「
「なにっ!?」
翼が振るった刀をノールック、しかも
翼が殴り飛ばされた時に手を離した刀を投げ捨て、ツインブレイカーをビームモードにして奏に向けて撃つ。
奏はその場から飛び退いて避け、その間に未だ倒れ伏しているセレナの前に立つ。
「っと。次はあんたってか?」
「……それを返してもらおうか」
「そいつは出来ねえな。これはどういう訳かノイズを倒せる。やっぱあんたらには話を聞かせてもらわないとな」
「………」
「お姉ちゃん?」
「あんたらが大人しくついてきてくれるなら、返してやるけど?」
「あっそ」
七海の雰囲気が普段と違うことにセレナは気付くが、奏は気付く様子もなく挑発気味に言葉を投げかける。
しかし当の七海はただ短く返し、ラビットスクラッシュゼリーのボトルキャップを捻る。
《ラビットゼェリィィ!》
「ぶっ潰す……」
《走るぅ! 跳ねるぅ! 駆け回るぅ!》
《ラァビットォイングゥリスチャァァァジ!》
《オラァァァァァ!!》
ただただ無言でレバーを下ろし、ラビットチャージへと変身する。そして右手の握り拳を胸に当て、前に突き出す。
「……心火を燃やして、駆け抜ける……!うらぁああ!」
「ぐはぁ!」
瞬間、加速。スプリントキャプチャーによる加速したスピードで、奏に接近し上飛び蹴りを叩き込む。奏は槍で何とか防ぐも、その衝撃で後ろに飛ばされる。
「この…何しやがる…」
(なんだ、こいつ。さっきとまで雰囲気が全然違う)
「奏!」
「翼、合わせろ!」
七海に向かっていく翼を見て、奏も槍を振り上げる。
LAST 蒼
∞ ノ
METEOR 一閃
対する七海もスクラッシュドライバーにウルフフルボトルを装填する。
《チャァァジボトル!潰れなぁぁい》
《チャァァジクラッシュ!》
「ハアアア!」
「なんだと!?ぐああ!」
「こんな、ぐう!」
「まだだ!」
《タンクゼェリィィ!》
両足のジャンプパックスパイクから噴出されたヴァリアブルゼリーが、鋭い爪をもったオオカミの足の形を形成。その足を二度振り上げ、飛んできた斬撃と竜巻を切り裂く。さらに後ろ回し蹴りを放ち、翼と奏に半円状の斬撃を飛ばす。
更にタンクスクラッシュゼリーを装填しレバーを下ろす。2台のマウントキャタピライザーがどこからともなく現れ、翼と奏に砲撃する。
《注ぐぅ!狙うぅ!撃ち放つぅ!》
《タンクゥイングゥリスチャァァァジ!》
《ドォッガアアアンン!!》
タンクチャージへと変身した七海はもう一度レバーを下ろす。七海の足元、砲塔「ブレイクゲイザー」の後方部分からヴァリアブルゼリーが噴出され、アンカーとして設置される。
《バァァスティングフィニッシュ!》
ブレイクゲイザーにエネルギーが溜まっていき、とてつもない反動と共に超高威力の光弾が撃たれる。
「ハア!」
バ ー ス テ ィ ン グ
フィ ニ ッ シュ
さっきの攻撃のダメージが残っている2人は、躱すこともできずに命中する。………ことはなかった。
「ぬん!!」
「なっ!?」
「旦那!?」
「叔父様!?」
突如として装者2人の前に立ちふさがった熊のような男が、気合のこもった声と同時に掌底を放ち光弾を弾く。弾かれ奏たちの後方に着弾した光弾は、爆音と共に熱風をまき散らしながら大爆発した。
奏と翼は目の前にいる人物、風鳴弦十郎に問いかける。
「な、何で旦那がここにいるんだよ」
「決まってるだろう。こっちの命令を聞かないやつらの尻拭いをするためだよ」
弦十郎の言葉を聞き、2人は仮面ライダーと戦うのかと考え心の底から安堵した。彼女たちのようにシンフォギアと言った装備が無いものの、素手でさっきの攻撃を弾いたのだ。期待するのも無理はない。
しかし、弦十郎が取ったのは全く別の、それこそ七海ですら予想していなかった行動だった。
「俺は風鳴弦十郎。彼女らの上司だ。君が白黄七海でいいか?」
「………」
「申し訳なかった」
「……は?」
「「ええっ!?」」
頭を下げた。今攻撃すれば、防御が間に合わないほど無防備な状態で。
「今更言っても信用はないだろうが、こちらに君たちと交戦する意思はない」
「………」
「君たちもノイズと戦っていることは知っている。そして、対話による話し合いが可能であることも。だが今回はこんなことがあったばかりだ。対話をしたいなどとは言わない。ここら辺で手打ちにしてくれないか?もちろん奏が奪ったこいつは返却するし、アイツらにもしっかり言いつけておく。」
そう言うと、弦十郎は頭を上げ転がっていたスラッシュライザーを投げ渡す。それを受け取った七海は、未だに信用しきれていないのか弦十郎を注視したままでいる。その時、七海に声をかける人物がいた。
「彼の頼みでは聞けないかしら?私からもお願い」
「貴方は……」
「ああ。この姿じゃわからないか。……この姿ならわかるだろう」
そう言って現れた女性、櫻井了子がメガネを外すとその姿が変わる。七海は勿論原作でその正体を知っていたが、彼女がここに現れたことが驚きだった。七海からしてみれば、
「フィーネか」
「憶えていたか。ここは私の顔を立てて、下がってもらえると嬉しいのだが?」
「分かった。何であなたがそこに居て、もう正体をばらしているのかは分からないけど」
フィーネの提案を了承した七海は、テレポートジェムを取り出し地面に叩きつける。立ち上がったセレナと七海の足元に魔方陣が現れる。
「最後に2つだけ。2年前のコンサート会場でノイズが現れた事件。あの時貴方は正体を既にばらしていたの?」
「ああ。なんだ、私がやったと考えていたのか?だが残念ながら、私ではないな」
「そう。それと、まだ未練はある?貴方が愛したという”あの方”への」
「…完全にないと言えば、そう言うわけではない。だがお前と出会ってから、少なくとも昔のような考えはないな。」
フィーネが答えたと同時に、魔方陣から光が放たれ2人の姿が消える。静寂が場を包み込んだ。
何か奏さんが悪い感じになってるけど、これ一応書き直したんですよ?最初のやつはセレナを必要以上に痛めつけたりして、もっと酷かったんで書き直しました。まあ、これも後々の為に必要なフラグなんですが。
それと弦十郎さんがスラッシュライザーを投げ渡したのは、不用意に近づいて七海を刺激しないようにするためです。態度が悪いわけじゃないですよ?ちゃんと謝ってるし。
弦十郎さんが上司だったら、仕事しやすいでしょうね。
Koroking様 風鳴弦十郎のメンバーへの呼称を教えてくださりありがとうございました。さっそく役に立ちました。
それ以外にも感想お待ちしております。
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無印編が終わったら番外編を入れる予定ですが、どんなのが良いですか?※あくまで参考です。必ずアンケの結果通りとは行かないのであしからず。
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