錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

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16 なんか見覚えある…思い出してみよっか?

《七海side》

 

『あれが立花響なのか……?』

 

耳に付けている通信機からキャロルの声が聞こえる。私がいるのはとあるビルの屋上。太陽はすでに沈み、あたり一面を夜が支配している。だが私が見下ろす先では、そんなのは関係ないとばかりに爆発が光を放つ。

その時立ち込める煙から、1人の少女が飛び出てきた。黄色のアーマーを身にまとい、まるで獣のように荒々しくノイズを掴み、破り、打ち砕いていく。

 

『なんだあの動き…?前見た時とは違う、理性の欠片も見られない動きだ』

 

そう呟くキャロルの声には、いくばくかの恐れが混じっているように思えた。きっと本人からしたら無意識なんだろう。でもそう思うのも無理はない。”前”に見た時とは全然違うもんね。

”前”というのは彼女がシンフォギアを覚醒した時と、風鳴翼と衝突一歩前までいった時。

実は今から数日前、私は彼女がシンフォギアの力に覚醒した時の様子を見ていた。原作通り女の子を抱えてノイズから逃げていた彼女を、私は何もせずに見ているだけだった。勿論もしもの場合は介入して助けるつもりだったけど、無事原作通りになったから手を出さずに帰った。そのせいかキャロルから少し問い詰められたけど、適当にごまかした。

後者の方もばっちり見ていた。風鳴弦十郎が風鳴翼の技を生身で砕いたのは、キャロルを含め唖然とした。さすがはOTONA……。

 

『…い……み……おい七海!』

「っ!?ごめん…」

『まったくしっかりしろ!それで、どうする?』

「ん。今回も何もないみたいだし、このまま帰るかな?」

『シンフォギアは回収しないのか?あれには聖遺物が使われているんだろ?』

「そうだけど、あれは欠片だけだからね。そこまで必死に狙う必要はないよ」

『……そうか。分かった』

「それじゃあこのままかえっ!?」

 

キャロルと会話しながら下に目を向けると、驚きのあまり硬直した。木々に囲われた場所にいるのは立花響と風鳴翼。おそらく立花響が逃したノイズを、風鳴翼が仕留めたところだと思う。天羽奏がいないのが気になるけど、原作通りな場面。

それは変じゃない。おかしいのは、ネフシュタンの鎧を着こんでいる(・・・・・・・・・・・・・・・)女性がいること(・・・・・・・)

おかしい。本来あれを着こんで現れるのは雪音クリスという少女のはずだ。だがあそこにいるのは雪音クリスじゃない。そもそもの前提として、フィーネは2課と敵対していないはずだ。本人に確認したわけではないが、私はこの前遭遇した際に風鳴弦十郎の前でフィーネと話した。姿を隠していたとしても、わざわざ敵対する存在に、正体をばらしてまで助けようとは思わないはずだ。

そしてもしそうならば、彼女はネフシュタンの鎧を持っているはずがない。2年前のコンサートで原作通り盗んだとしても、和解しているなら返すはずだし何より雪音クリスはすでに味方になっている。という事は、2年前のあの事件はフィーネの仕業ではない・・・?

 

「貴様……何者だ。何故それを持っている!」

「ふふっ。怖い怖い。ひとまずはこんばんは。そして……さようなら」

「っ!?」

 

私が頭を巡らせていると、ネフシュタンの鎧の女が鞭を振るい、風鳴翼も応戦し始めたことで戦闘が開始された。

……これはさすがに放っておくわけにはいかない。私はスクラッシュドライバーを装着しながら、キャロルに連絡を入れる。

 

「キャロル」

『分かっている。セレナは……』

「セレナはいい。サポートよろしく」

 

「翼さんやめてください!相手は人です!同じ人間です!」

「「戦場で何を馬鹿なことを!」」

 

おお、まさかあのハモリを聞くことができるとは。相手クリスじゃないけど。そして彼女は原作通りか。……はぁ。ちょっとは期待してみたんだけど(・・・・・・・・・・・・・・・)。やっぱりこうなってるよね。

 

《ロボットゼェリィィ!》

「変身」

 

ロボットスクラッシュゼリーをセットした私は、ビルから飛び降りレバーを下ろす。

 

《潰れるぅ! 流れるぅ! 溢れ出るぅ!》

《ロボッットォイングゥゥリスゥゥゥ!》

《ブルァァァァァ!》

 

「うわっ!」

「なんだっ!?」

「へぇ……」

 

落下しながら変身した私がとてつもない勢いで地面に着地すると、轟音と共に砂埃が舞い上がる。さすがにこれには3人の注意が私に向かう。

 

「ふぅ……。結構スリリングだった……」

「貴様は、白黄七海!」

「あれが、白黄七海さん……」

 

さすがに装者の2人は私のことをフィーネから聞いてるみたい。まあ今は……。

 

「はいはい。そっちは後ね。……で、私も聞きたいな。何であんたがその完全聖遺物を持っているのか」

「ふふ……。そうは言うけど、貴方はお呼びじゃないの。この子たちと遊んでなさい」

 

女がそう言った途端、女の背後の木々から2体の化け物が飛び出てきて、奇襲を食らう。

 

「なっ!?ぐっ……!」

 

私はその見た目に見覚えがあった。仮面ライダービルドに出てきたスマッシュと呼ばれる怪人だ。今現れたのはニードルスマッシュとストロングスマッシュ。それぞれの成分から、ハリネズミボトルとゴリラボトルが作れたはずだ。

しかし私はそのどちらも、すでに入手している。とはいえ、錬金術で作り上げた物なのでおそらく別の方法なのだろう。とにかく、見過ごすことは出来ない。

 

「心火を燃やして、一気に倒す!」

 

え?なんか違うって?私女の子なんだよ?「ぶっ潰す」なんて言わないよちょっと待って百歳超えてるだろって言わないで。

 

「ハアアア!」

 

ニードルスマッシュが腕部の刃で斬りつけてくるが、それをツインブレイカ―で弾いてそらす。そのまま反撃しようとしたら、ストロングスマッシュに邪魔をされたからバックステップで回避する。

それなりに動けるニードルスマッシュが私を足止め、隙をついてストロングスマッシュが重たい一撃を叩き込む、か。連携が取れすぎてる気がする。理由が分からないにせよ、気をつけた方が良いね。

私は試しにスマッシュを挑発するように、右手を動かす。すると挑発が効いたのか、ニードルスマッシュが攻撃を仕掛けてくる。

 

『七海!分かってるな!』

「うん!ほら甘いよ!ふっ、おりゃぁ!」

 

連携を取ってきてるにしてもやりようはある。ニードルスマッシュの攻撃を防ぎながら、ストロングスマッシュと私の間にニードルスマッシュを挟むように位置取りをする。これで連携を少しは妨害できる。

しばらく打ち合ってい、私のツインブレイカ―がニードルスマッシュの刃を砕く。

 

「……!?」

「逃がすかぁ!」

 

慌てて下がろうとしたニードルスマッシュを左手で掴み、右手でレバーを下ろす。

 

《スクラップフィニッシュ!!》

 

「オラァアア!!」

 

右腕から噴出されたヴァリアブルゼリーによって、ロボットのような巨大なアームが形成され、離れようともがくニードルスマッシュを思いっきりぶん殴る。吹き飛ばされたニードルスマッシュはあえなく爆発した。

よし、後はストロングスマッシュを「私も手伝います」っ!?

なんか立花響が急に現れたと思ったら、ストロングスマッシュに向かっていった。まあ、あっちよりは相手が人間じゃない方がやりやすいんだろう。

 

「でやあああ!」

 

ストロングスマッシュに向かって立花響が拳を放つが、全然なってない。シンフォギアの力に振り回されてる。正直セレナの方がもっと強い。

その証拠にストロングスマッシュには全然効いてない。

 

「きゃあ!」

 

おまけに反撃まで食らってるし……。仕方ない。私が行くかぁ……。

そう思って踏み出した時―――

 

《Ready Go!》

 

「……え?」

「なっ……」

 

《ボルテックフィニッシュ!!》

 

突然現れたグラフに挟まれるストロングスマッシュ。そしてそれをキックで貫く人影。その姿は私には、またもや見たことのある姿……いや、憧れていた姿だった。

 

「ふぅ~。やっと会えたね……って言っても、私が勝手に会いたがってただけなんだけど」

「その姿……」

「初めまして?仮面ライダーグリスさん?」

 




スクラップフィニッシュ、まさかの初披露。

そして新たに現れたのは!次回もお楽しみに!

無印編が終わったら番外編を入れる予定ですが、どんなのが良いですか?※あくまで参考です。必ずアンケの結果通りとは行かないのであしからず。

  • イザーク存命の頃の七海とキャロルの過去話
  • イザーク死後の七海とキャロルの過去話
  • 装者たちとの絡み
  • キャロル以外とのカップリングの短編
  • その他意見(感想などで教えてください)
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