錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

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一週間ほどお待たせしてすみません。


18 何がどうなったんだっけ?とりあえず朝ご飯食べよっか?

《黒夜side》

 

「く・・・」

 

光に覆われていた視力が回復し、最初に視界に飛び込んできたのは地面だった。起き上がり周囲を見渡すと、ひどい惨状だった。あたり一面の地面は、地表がはがれグチャグチャになっており、生えていた木に至っては根っこから消し飛んでる。わぉ、すっごい威力。

そして視線を向けた先には、棒立ちしている風鳴翼。その時派手にブレーキ音を響かせ、突っ込んできた一台の車が止まった。

 

「翼!」

「翼ちゃん!」

 

車から2人の男女が血相を変えて降りてくる。あ、フィーネじゃん。男の方は、確か弦十郎だったっけ?

 

「……私とて……人類守護の務めを果たす……防人……」

 

風鳴翼がこちらを向くと彼女の顔が見えた。壊れたように口角を歪ませ、穴という穴からおびただしいほどの量の血を垂れ流している。はっきり言ってその顔は醜い。……でも私は嫌いじゃない……かな?あ、倒れた。

……ふーむ。あのままじゃ確実に死ぬよね~。でも原作(・・)じゃぁ死ななかったけど……ん?……はぁ、見ちゃった(・・・・・)からには放っておくわけにはいかないか。ここら辺で信用でも得るかな。風鳴翼にもしものこともなくて一石二鳥だよね。

 

「フィーネ!」

「ちょっ!ちょっと何……?」

 

私が突然投げた物をフィーネが驚きつつ受け取る。その途端にフィーネの顔が、驚きから疑問の表情に変わる。それもそうだろう。だって私が投げたのは、落ちてたウォッチフルボトル(・・・・・・・・・・・・・・)と空のフルボトル(・・・・・・・・)なんだから。まあフィーネからしたら、グリスが持っているはずのフルボトルを、何で私が持っているのか気になったんだろうけど落ちてたからとしか言いようがない。

 

「とりあえず、それを風鳴翼に持たせて。絶対に離しちゃだめだよ」

「……分かったわ」

 

フィーネがボトルを握らせていると、風鳴弦十郎が私に近づいてきた。

 

「いきなりで申し訳ないが、正体を見せてくれると、こちらとしては安心できるんだがな。了子くんの知り合いと見受けするが」

「(フィーネって私が呼んでるのに、フィーネじゃなく了子くん、ね)それもそうだね」

 

それじゃ、そろそろ正体を明かしましょうかね。初対面だけど。私はビルドドライバーから、私が自作した擬似フルボトルと言うべきボトルを抜く。すると身にまとっていた装甲が粒子となって消え、私の姿が現れる。

 

「どうも。フィーネがまだ言ってなかったみたいだから自己紹介。宵姫黒夜(よいひめこくよ)っていうんだぁ」

 

 

《響side》

一体何が起こったんだろう……。

私の人生、というか運命が変わったのは先日、私がノイズから女の子を連れて逃げている時だった。なんだか歌が聞こえてきて、それを口ずさんだ時不思議な格好になった。その後、なぜか私の通っているリディアンの先輩である翼さんと奏さんがノイズを蹴散らして、気付いたら手錠をかけられてたのはびっくりした。

そしてリディアンの地下にある2課という場所で、シンフォギアというものについて教えてもらった。どうやらこれは、ノイズを倒せる力だって話だった。しかも、私のシンフォギアは形は違うけど、奏さんと同じものだというのだ。……この力が、私の力が誰かを守れるならそうしたいと思った。勿論私の憧れでもあるツヴァイウイングの、お2人と一緒に戦えるのが楽しみだったというのもあった。……きっと、それが間違いだったのかな。

ノイズが現れ、翼さんと奏さんが向かう中、私もついて行った。ノイズを無事に倒して、翼さんにこう言ったんだ。「私も、お二人と肩を並べて、戦えるようになります!」って。そしたら、翼さんに攻撃されちゃった。私は反応できなかったけど、ギリギリで弦十郎さんが間に入って拳1つで翼さんの攻撃を弾いた。それでね、その後の私はこうも言っちゃったんだ。「私、今は足手纏いかもしれないけど、もっともっと強くなります!お二人を助けられるように―――」なりますって言いきろうとしたら、涙を流した翼さんにはたかれちゃった。そしてこう言われた。「なんの覚悟もない人間が、気軽に戦場に立つな!ここはゲームじゃないんだ!」ってね。その時の私は、叩かれた頬の熱さがよく分からなくて、ただただ呆然としていた。

その後、奏さんと話をした。

 

「悪いな響、あの時助けに入ってやれないで」

「翼はな、お前に負い目があるんだよ。2年前のコンサートでのノイズ襲撃。お前にとっちゃ思い出したくないことだろうけど、翼にとってもそうなんだ。あの時の死人の数は、私たちが戦ってきた中でも特にひどくてな。その上、生き残ったやつらに対する強烈な世間からの迫害もあったからな」

「お前に伝えるのは酷かもしれないが、実はあの時匿名で情報が入ってな。それで迫害の件を知ったんだ。きっと、その情報がなければ私たちは見逃していたはずだ」

「翼はそのことをとても悩んでいた。だからお前を命の危機なんかに晒したくないんだよ。さっきあいつがお前を攻撃したのも、お前を戦いから遠ざけるためなんだろうな。まあ、やり過ぎだとは思ったけど」

「あ、言っとくけどあたしだって気にしてたんだからな?あの事件から、思うように歌えなくなって、歌手もやめちまったし。了子さんは心身のストレスによるものじゃないかって、言ってたけど」

 

奏さんの話を聞いて私は、なんて馬鹿なことを言ったんだろうって思った。翼さんの気持ちも知らず、身勝手なことばかり言っていた。……でも、やっぱり見て見ぬふりは出来ない。私の力で誰かを守れるなら、やっぱり守りたいのだ。それを奏さんに伝えたら、苦笑いされちゃったけど。

そして数日たって、またノイズが現れたという連絡が入った。奇しくもその日は、親友の未来と流星群を見に行こうと、約束していた日で……そこからはよく覚えていない。たしか、未来に連絡を送って、シンフォギアを纏って……気づいたら地下鉄の天井に空いた穴から、空を駆ける一筋の光を眺めていた。

どうやら翼さんが、私が取り逃がしたノイズを倒したらしく、地下鉄から出ると翼さん一人だった。どう声をかけていいか分からず、翼さんの背中を見つめていると、唐突に女性の声が聞こえた。真っ先に翼さんが周囲を警戒すると木々の間から、白い鎧を纏った大人の女性が出てきた。

 

「貴様……何者だ。何故それを持っている!」

「ふふっ。怖い怖い。ひとまずはこんばんは。そして……さようなら」

 

何故か怒っている様子の翼さんだったけど、相手は同じ人間。慌てて止めようとしたら翼さんと女性の人に、いっしょに怒鳴られた。どうすればいいのか分からずにいたその時、何かが空から降ってきて粉塵が舞い上がった。そこに目を向けると、全身に金色の鎧を纏った人がいた。どうやらその人の狙いも謎の女性らしかったけど、女性が操ってると思われる怪物が襲い掛かり応戦した。

そこからは、もう訳が分からなかった。怪物は思ったよりも強くて、なんだかまた別の人が出てきたり金色の鎧の人と、赤と青の鎧の人が戦い始めたり。挙句の果てには小さい女の子が銃を撃って、何故か女の子に向かっていった銃弾から守ろうとすれば銃弾に避けられたり、女の子もなんか鎧を纏ったり。というかなんか身長違うし。

そして翼さんの歌が聞こえたと思ったら、私の体をとてつもない衝撃が襲った。

 

「どうも。フィーネがまだ言ってなかったみたいだから自己紹介。宵姫黒夜(よいひめこくよ)っていうんだぁ」

 

気がついたら、弦十郎さんと良子さんが翼さんの下におり、黒髪の綺麗な女の子がいた。黒夜ちゃんって言うんだ。綺麗だなぁ……。

 

「響くん!無事だったか!……響くん!」

「響ちゃん!」

 

弦十郎さんが駆け寄ってくる。あれ?なんで…みんな…横向、き…に……―――。

 

 

 

《七海side》

重たい瞼を開ける。飛び込んできたのはいつもの寝室の天井…ではなく、違う天井だった。痛みを発する体を何とか起こし、周りを見渡す。ここは確か、病気になった時やけがをして、一緒に寝ることができない時用のベッドを置いてる部屋だ。傍らに置いてあった時計を見ると、朝7時だった。何でここで寝てたんだっけ?

……そうだ。たしかネフシュタンの鎧を着てる女が現れて、かと思ったらスマッシュが出てきて、そしたら今度は仮面ライダービルドが出てきて、これ以上ないだろうと思ってたら、なんかキャロルが仮面ライダーバルカンに変身して………うん、もうない。……ないよね?

 

トン、トン、トン

「? はい」

「え……!?し、失礼します!……ああ、お姉ちゃん!」

 

ノックの音に返事をすると、セレナが入ってきて私を見た途端、抱き着いてきた。きっと心配かけちゃったんだろぉなぁと思いながら、セレナの頭を撫でてやる。しばらく撫でていると、気持ちが落ち着いたのかセレナが離れる。

 

「そ、その、ごめんなさい」

「ううん。心配をかけたのは私だから」

「そんなことないです!私があの時、いっしょについて行けば……」

「ストップ。これ以上は平行線だよ。それより、お腹がすいちゃった。朝ご飯食べたいかな」

 

開けっ放しの扉から、すごくいい匂いがする。きっと朝ご飯を作ってたんだろう。そう考えたら、すごくお腹が減ってきた。

 

「分かりました。ただ、お姉ちゃんは病み上がりなので食べやすいモノの方が良いですね。少しだけ時間をください」

「うん。ごめんね。忙しくさせちゃって」

「いえ!そんなことないです!それではリビングに来てくださいね!」

 

そう言ってセレナが部屋から出ていく。さて、私も行こう。まだ疲労が残っているのか、おぼつかない足取りになりながらリビングに向かう。扉を開けると、テーブルにはキャロルとエルが座っていた。

 

「「ナナ姉え!」」

 

案の定というか、私に気付いた2人はやっぱり駆け寄ってきて抱き着いてくる。セレナもだけど、迷惑じゃないんだよね。ただ今回は心配をかけさせちゃったからなぁ……。

 

「ほら、2人とも。色々と積もる話はあるけど……まずは朝ご飯を食べよう?」

 

テーブルでは、お粥を作ってくれたセレナが運んでくれていた。とりあえず朝ご飯を食べよう。その後に状況を整理しないと……。

因みにセレナのお粥は絶品だった。

 

 

 

 

 




いろんな部分が原作とは違う方向に、少しずつ進み始めます。

そういえば、感想で黒夜のことをすっごく言われた方がいましたw とは言っても、あのように書いたのは自分ですし、仮面ライダービルドが好きなんだなというのがひしひしと伝わってきました。
しかし、黒夜の設定は個人的に私が好きな設定にしています。なので、黒夜の過去編的な話は必ず出します。
それと黒夜が渡したボトルについても結構考えました。ドクターボトルや、フェニックスボトルでも良かったんですが、他の方が結構やられてるのでウォッチボトルにしました。理由は次か、次の次の話で明かします。

あと出来れば明日と明後日に投稿します。

無印編が終わったら番外編を入れる予定ですが、どんなのが良いですか?※あくまで参考です。必ずアンケの結果通りとは行かないのであしからず。

  • イザーク存命の頃の七海とキャロルの過去話
  • イザーク死後の七海とキャロルの過去話
  • 装者たちとの絡み
  • キャロル以外とのカップリングの短編
  • その他意見(感想などで教えてください)
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