《3人称side》
薄暗い廊下を、1人の女性が歩いていた。ヒールを履いているのか、歩くたびにコツコツコツと誰もいない廊下に鳴り響く。
「どこへ行くつもりだ?」
否、女性の他に一人だけいた。突如として立ちはだかった人影に、女性は足を止める。
「あ~ら。どうしてばれちゃったのかしら?色々と仕込んでいたはずなのに」
「あまり彼らを甘く見るなよ。あそこは紛れもなく実力主義だ。手こずりはしたが、確かに彼らは彼らの仕事を果たしてくれた。ならば、今度は我々の番だ」
「貴方に私を倒せるのかしら?
「女に手を上げたくはない。だから降伏してもらえると助かるな、
そう言って、弦十郎は構えを取る。女に手を上げたくないと言いながらも、弦十郎が臨戦態勢を取る理由。それは笑みを浮かべる了子から、黒い靄が立ち上っているからだった。
《3人称side》
「はあ、はあ、はあ…。いた、ノイズの群れ!セレナ!」
「はい!」
《ロボットゼェリィィ!》
《インフェルノウィング!》
《バーンライズ!》
《Kamen Rider…Kamen Rider…》
「「変身!」」
《潰れるぅ! 流れるぅ! 溢れ出るぅ!》
《ロボッットォイングゥゥリスゥゥゥ!》
《ブルァァァァァ!》
《スラッシュライズ》
《バーニングファルコン!》
《The strongest wings bearing the fire of hell》
仮面ライダーグリスと仮面ライダー迅に変身した七海とセレナは、目の前にいるノイズの群れと交戦を開始する。
「ハアアア!」
七海は次々と襲い来るノイズを殴り倒し、スクラッシュドライバーにカブトムシボトルをセットする。
《チャァァジボトル!》
《チャァァジクラッシュ!》
「つらぬけぇ!」
左腕を地面に叩きつけると、ノイズらの足元からカブトムシの角を模したヴァリアブルゼリーが突き出て、多くのノイズを串刺しにする。
セレナもスラッシュライザーを振るいノイズを切り捨てる。しかしノイズもやられっぱなしではなく、身体を鋭い槍の形に変え、突撃する。
「その程度の攻撃でッ!」
セレナは主翼「バーニングスクランブラ―」で自身を覆い、ノイズの攻撃から身を守る。翼にぶつかったノイズは、翼を保護する炎に焼かれ哀れに炭化していく。
「今こそあの武器の使い時です!」
そう言ってセレナが錬金術で取り出したのは、アタッシュケースのような物。セレナはその下部を持って開くと、剣の形状に変形する。そのまま剣を振り回し、次々とノイズを撃破していく。
「セレナ。それって……」
「エルさんと一緒に作っていたものです。その名もアタッシュウェポン!これはその中の一つ、アタッシュカリバーです!」
自信満々に説明するセレナだったが、そもそもライダーシステムに関する初期案をエルフナインに出していたのは七海であり、アタッシュウェポンもそのうちの一つであるため七海は知っているのだが、自分のおもちゃを自慢する子供の様な姿を見て、それは言わないでおこうと七海は黙っておくことにした。
そんな七海の心の内もつゆ知らず、セレナはアタッシュカリバーにバーニングファルコンプログライズキーを装填する。
《Progrise key comfirmed. Ready to utilize》
《バーニングカバンストラッシュ!》
「ハアアアア!」
バ ー ニ ン グ カ バ ン
ス
ト
ラ
ッ
シ
ュ
セレナがアタッシュカリバーを一閃させると、斬撃は火の鳥へと姿を変え、セレナの間の前にいたノイズをすべて焼き払う。一通りノイズを倒したことを確認すると、セレナは七海の元に向かう。
「お姉ちゃん、ここら辺のノイズは全て片付いたみたいです」
「……うん」
「お姉ちゃん?どうしましたか?」
「おかしい。なんで
確かに警報が鳴ってからかなり早めに到着したとはいえ、私たちと同じ場所におり尚且つ先に向かっていたはずの雪音クリスがいないのはおかしい。つまり、
「ッ!セレナ避けて!」
「なっ!くぅ!」
七海が考えを巡らせていると、突然2人に向かって銃撃が放たれた。直前で七海が気付き、避けることは出来たが、奇襲を食らってしまったことに2人は怯む。その2人に笑い声と共に声がかけられる。
「アハハハ!残念残念!」
「ウフフフ…。避けないで頂けたらすぐに終わるのに」
「貴方たちは誰ですか!」
「アハハハ!私たちはね、ネリとネモっていうんだ!」
「ウフフフ…。私がモネでこっちがネリと言うんですよ」
「それで、何か用かな?」
高らかな笑い声を上げるネリと、お淑やかにしかし見下すように笑うモネ。この2人の存在は明らかに異質であり、七海とセレナに警戒心を滲ませるのに十分だった。その時、七海とセレナに通信が入る。その相手はエルフナインだった。
『お2人とも大丈夫ですか!』
「まあ、今はね」
『気をつけてください!ネリ、モネと名乗った者たちは生命反応がありません!』
「つまりはアンドロイド。アウラネルと一緒か」
「あら。お姉さまのことも、やっぱ知ってたのね!」
アウラネルが生体反応が一切ないアンドロイドというのは、前から分かっていた。そして目の前にいる2体もアンドロイド。アウラネルをお姉さまと呼んでいたことからも間違いない。一方ネリとモネは先ほど七海たちへの攻撃に使ったのであろう紫色の拳銃を取り出す。
「アハハハ!どうせだから見せてあげる!」
「ウフフフ…。我らがマスターから頂いたネビュラスチームガンとギアの力を……あら?マス、ター…?」
(? どうしたんだ?あの反応)
「モネ?私たちがこれを貰ったのは、お姉さまからじゃない」
「え、ええ。そうですわね……」
急に戸惑う様子を見せる2体に、七海とセレナはその様子を不思議に思うが、2体は気を取り直し、それぞれギアと呼んだフルボトルに似たアイテムをネビュラスチームガンのスロットに装填する。
《ギアリモコン!》
《ギアエンジン!》
「「カイザー」」
《 《ファンキー!》 》
2丁のネビュラスチームガンから出てきた煙が2体を包み、火花を散らしながらその姿を変える。共通しているのは機械的なフォルム。しかしモネは左半身が青い歯車のようなパーツに包まれており、逆にネリは右半身が赤い歯車のようなパーツに包まれている。
「アハハハ!すごい!すごい!これがカイザーリバース…」
「ウフフフ…。ああ…力が溢れてくる。これがカイザー…」
『そんな……。ナナ姉え達以外の仮面ライダーが……』
「仮面ライダー…とは言えないとは思うけどね。セレナ、気をつけて」
「はい……」
「さあ、壊してあげる!」
カイザーとカイザーリバース、七海とセレナの戦いが切って落とされた。
《装者side》
「でやぁあああああ!」
「こいつはおまけだぁ!」
【CUT IN CUT OUT】
響の拳がストロングスマッシュの外骨格を砕き、吹き飛んだストロングスマッシュにクリスが放った追撃のミサイルによって爆発する。
「こいつで終わりだ―!」
【LAST∞METEOR】
「ハアアア!」
【天ノ逆鱗】
少し離れた地点でも奏がアームドギアである大槍から発生させた竜巻でニードルスマッシュを打ち上げ、翼が巨大化させたアームドギアである刀を蹴り飛ばし貫く。ニードルスマッシュは空中で爆発、影も形も残らなかった。
それを見届けたクリスが、舌打ちと共に愚痴る。
「ちっ。一体どんだけ出てきやがったんだ!」
「まだまだノイズは残っていやがんな」
そう言って奏が空を見上げると、そこには巨大な空中要塞型ノイズが飛行型ノイズを、次々と出撃させているのが目に映った。それだけでなく、地上にもあらかた殲滅したはずのノイズが出現し始めていた。
「上を取られることが、こんなにも戦いにくいとは…」
「私たちが乗ってきたヘリも、落とされてしまいましたし……どうすれば…」
上空を飛行するノイズをどうするか、響たちが頭を悩ませているとクリスが声を上げる。
「……おい」
「ん?どうしたの、クリスちゃん?」
「空のやつはあたしに考えがある」
「ほんと!?」
「まさか、絶唱ってんじゃねえだろうな!」
「大丈夫だって奏先輩。アタシの命はそこまで安くねえよ」
「なら、どうするというのだ?」
クリスが絶唱を使うのではないのかと考えた奏は、クリスを止めようとするが。翼が絶唱を前に使い死にかけたのを思い出したゆえの奏の行動であり、その時傍にいなかったことを奏は後悔していた。が当の本人に否定され、ならばと翼が問いかけると、クリスは顔を少しだけ赤らめながら方法を伝える。
「私の大技で一気に殲滅する。ただ、準備をしている間は無防備になる。だから―――」
「分かった!その間、私たちがクリスちゃんを守ればいいんだね!」
「なるほど!なら任せな!しっかり守ってやるからよ」
「ええ、貴方に託すわ」
「……まったく。こっちは何も言ってないってのに…。(そんな風に言われちまったら、期待を裏切れねえだろうが…!)」
雪音は自分の言おうとしていたことを先に言われ、ぶっきらぼうな言葉で返すも、その顔には笑みが浮かんでいた。気合を入れるように頬を叩き、空中要塞型のノイズを向いたクリスは背中越しに返事をする。
「へっ!ご期待通り、デカイのぶっ放してやるよ。だから……背中は任せるからな!」
「うん!」
「ああ!」
「ええ!」
クリスの言葉に3人の装者は頷き、クリスを守るために迫りくるノイズを次々と撃破する。しかし、襲ってくるノイズの中にはスマッシュも混ざっていた。
「スマッシュ!?」
「また出てきやがったか!」
「私が出ます!」
「立花!?」
現れたスマッシュに響が向かっていく。スマッシュも勿論攻撃してくるが、響はそれらを躱し、弾き、スマッシュに拳打を浴びせる。
(ごめんね。君たちは作った人の言う事を聞いているだけなんだよね)
スマッシュに声を掛けようと返事はない。というか声を発せないので、意味がないと知っている響はそれでも心で語りかける。
(本当は、心を通わせることもできるかもしれない。でも、私にも守りたい人たちがいるんだ)
本当は戦いたくない。だけど戦わなければ、誰も守れない。矛盾した思いを持つがゆえに、その拳を握る。相容れない考えでも良い。ならばまずは戦って、その後に拳を開いて手を握る。その間にどんな壁があろうと、”へいき、へっちゃら”なのだ。……実はこの覚悟を最初から決めていた訳ではない。きっかけは偶然遭遇した七海と、買い物をした時だった。
『ねえねえ。七海ちゃん』
『何?』
『さっき、守りたいものがあるって言ってたよね。それってさ、辛かったりしないの?戦わなくてもいい人と戦う事とか…』
『………あなたが敵対者、とくにある程度知性を持っているか、人に近い姿形をしている相手と戦うことを忌避しているのは知ってる。現にノイズとかは迷わず倒してるしね』
『…………』
『別に私はそれを否定しない』
『ええ!?』
『答えが両極端なんて、一番つまらないでしょ?でも、貴方のは戦いから逃げているのと変わらない。それじゃあ、守りたいものは守れない。…逃げるなとは言わない。その代わり、自分が戦う理由というのを、しっかり見つめなおしてみて』
この会話のおかげで、響は自分が戦う理由を見つめなおすことができた。スマッシュとは話すことができない。そして彼らが人を襲う以上、自分たちは倒さないといけない。だからこそ、今の響に出来ることはこれ以上彼らを暴れさせず、スマッシュを作った製作者からの支配から解放してやるだけだった。たとえ偽善と言われようと、それが「敵とも味方とも手を繋ぐ」ことを胸に抱く立花響のやり方なのだ。
その決意を胸に、響は拳を握り”戦い”に臨む。
G編での響の鬱ポイントを克服しちゃった……。
七海の原作破壊という名の介入により、響にとっての戦いとは「手を繋ぐために、相手が握る拳を開かせること」になっています。当作品では、響はそれが独善的、偽善的だと理解していながらも、そのために戦うことになります。ただ七海陣営視点が多いし、協力関係というわけでもないから奏者たちの活躍が少ない……。
そして七海側に新キャラ登場!アウラネル陣営のネリとモネは、カイザーとカイザーリバースに変身するぞ!因みにカイザーとカイザーリバースを知らない人の為に説明すると、「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL」に登場した敵キャラだ!気になる人は自分で調べてね。
快活系なネリと、静かに人を蔑む系のモネのような敵キャラって、個人的に好きなんだけど分かる人いる?
気に入っていただけたら感想、お気に入り登録、高評価お願いします!
なんか当てはまるものがある?
-
もうちょっと更新頻度を早くしてほしい
-
戦闘描写をもっと濃く
-
キャロルと百合百合せえや
-
早く話を進めてほしい
-
特にないなぁ