錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

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ランプーさん、TRANS-AMさん、感想ありがとうございました!
UA20000を越えました。ありがとうございます!

装者側の回です。なお、ここからほぼほぼシーンを飛ばされる模様(悲しみ)

※セレナに関して、多分オリジナル設定が出てきます。


33 自分の周りを、見つめなおしてみよっか?

《3人称side(翼・奏)》

 

「ハアアアア!」

「オラァアア!」

【千ノ落涙】

【STARDUST∞FOTON】

 

翼と奏が大量に生成した刀と槍が、ノイズを刺し貫き掃討する。ノイズが周囲にいないことを確認した2人は、背後の瓦礫の陰に隠れていた女子生徒たちに駆け寄る。

 

「貴方たち、すぐにシェルターに避難を!」

「他の奴らが来ないうちに、早く行きな」

「は、はい!ありがとうございます!」

 

女子生徒は2人にお礼を言うと、シェルターに向かって避難する。その様子を見届けた翼は、気になっていたことを奏に問う。

 

「奏、LiNKERの残りは……」

「さっきの戦闘から、補充できてない」

「そんな!だったら奏は下がって!」

「そんなことできるか。またノイズは、あたしの大切なモノを壊そうとしてるんだぞ!そう簡単に引き下がれるか!」

「しかし……ッ!?新手か!」

 

言い争う2人は再び現れたノイズに気付くと、それぞれのアームドギアを構え、攻撃を開始する。

 

「たかがこれしき!」

【逆羅刹】

 

翼に群がるノイズが、翼の脚部ブレードによって切り刻まれる。彼女が言うとおり、この程度のノイズなら敵ではない。しかし、奏はLiNKERが無ければ戦えない。早くこのノイズを倒して、奏の援護にいかなければならない。

そして、巨人型のノイズを相手取っている奏は、窮地に追い込まれていた。

 

「くそっ!ギアが言うことを、聞かねえ……。ぐあああ!」

 

ノイズの太い腕が奏に叩きつけられ、奏は離れた地点まで吹き飛ばされる。

 

「ぐ、ああ……」

 

崩れたリディアンの校舎の壁に叩きつけられた奏は、自身のシンフォギア「ガングニール」も解除され呻き声を上げることしかできなかった。そんな奏に、先ほどのノイズが近づく。

 

「く、そ……。あたしは、こんなところで終わってられねえんだ。お前らのせいで、いろんなものを失った」

 

奏はノイズに家族を殺されている。2年前のコンサートでは、自身の歌手としての生き様すら奪われてしまった。そして今、相方と後輩が通い、つい最近まで自身も通っていたリディアンがノイズに襲われた。

 

「お前らを駆逐しない限り……なにも終われねえんだよぉおお!」

 

奏の正面に迫ったノイズは巨大な腕を振り上げ、奏は力のすべてを振り絞るかのように声を上げる。

しかし、現実は無情。奏に向かって腕が振り下ろされ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《バーニングレイン!》

《パンチングブラスト!》

 

――――ノイズの身体に大きな穴が開き、身体は切り刻まれた。

 

「はっ?」

「――ふん。随分と無様だな、天羽奏」

 

唐突に空いた穴からノイズは炭化。あまりの突然差に奏は呆然とする。そんな奏に声をかけたのは、キャロルとセレナだった。

 

「おまえ、ら…」

「ふん…。なるほど、LiNKERが切れかけているのか」

「間に合ってよかったです」

 

身体を動かすことのできない奏を見たキャロルは、奏の姿から追い詰められていた原因を言い当てる。しかし奏には、それよりも聞きたいことがあった。

 

「なんで……あたしを助けたんだ」

「…………」

「あたしは、あんたを傷つけたんだぞ……」

 

奏にそう問いかけられたセレナは、何も言わなかった。そのかわり、キャロルがショットライザーを奏に向けた。

 

「そう言えばそうだったな。貴様にはここらで、家族を傷つけられた借りを返しておくか」

「………」

 

キャロルは確かに、死にそうな人間を容赦なく見捨てる悪人ではない。しかしだからといって、どんな悪人だろうと死にそうなら助けようとするほど善人ではない。基本的に誰かを殺すことはしないが、あくまでもキャロルにとっての優先順位は、家族である七海たちが上なのだ。殺すべき時には殺すし、見捨てる時には見捨てる、家族と天秤にかければ迷うことなく家族を取る。それがキャロル・マールス・ディーンハイムという少女である。

そんなキャロルに銃口を向けられてなお、奏は言い訳も懇願も口にしない。LiNKERが切れダメージのせいで口が動かないからなのか、それとも、自分の仕出かしたことに対する罪悪感からなのだろうか。

その時、キャロルが向けていた銃口が、ゆっくりと下へと動いた。キャロルが奏を許したわけではない。いつの間にか変身を解除していたセレナがキャロルの腕を優しく掴み、そのまま下ろさせたのだ。

 

「……確かに私は、あの時貴方に叩きのめされました」

「……………」

 

セレナが静かに口を開く。そこに怒りや侮蔑といった感情は込められていなかった。あるのは、聖母のような慈悲のみ。

 

「これを……」

「こいつは…まさか!」

「はい、LiNKERです。といっても自分の為に作ったんですけど…」

 

セレナが奏に渡したのは、拳銃型の注射器。その中にはLiNKERがたっぷりと満ちていた。奏は勿論、キャロルにとっても寝耳に水な話だった。

 

「なんで、あんたがこいつを…」

「もしものための保険です。こういう用意は、いくつあっても足りませんから。奏さんが私を襲ったのって、ライダーシステムが欲しかったからじゃないんですか?…正確には、LiNKERといったものが必要なく、自身の力だけで扱える力が」

「……ッ!?」

 

自分の心の内を言い当てられ、奏は目を見開く。セレナは奏の目を見つめたまま、言葉を続ける。

 

「違いましたか?」

「……だったらなんだって言うんだよ。ああそうさ。あたしはあんたらのライダーシステムがあれば、体を蝕んでいくLiNKERがなくてもノイズをぶっ潰せる。あたしゃノイズが心の底から憎いんだ!」

「そうですか……。奏さんの気持ち、よく分かります」

 

セレナは奏の言葉に、目を伏せる。奏との会話の節々で感じるノイズへの憎しみ、LiNKERを使わなければ戦えないことによる自分への絶望。それを感じ取ったからこその表情だった。が、そのセレナの表情は、奏の心を刺激したらしい。

 

「なんだよ。同情なんかいらねえぞ!」

「……同情なんか、しませんよ。私も同じでしたから(・・・・・・・・・)

「……は?」

「私も、先生たちに出会うまでは、LiNKERを投与してシンフォギアを纏っていましたから。といっても、ほんの少し足りなかった適合率を上げるためだったので、ホント少量ですけど」

 

唐突に明かされたセレナの過去に、奏はポカンと呆ける。今のセレナの目は、奏にとっては見知ったものであった。

扱えるはずの力を振るう事の出来ない悲しみ。守りたいと思いながらも、自身の伸ばした手が届くことはない無力感。それは時々弦十郎が見せる、そして何より奏自身も何度もした目だった。

 

「私も昔は家族のための力が欲しくて、でも何もできなくて。全てを呪ったことがありました。でも今の私には、家族がいます。頼れる家族が」

「……じゃあ、家族のいない私にはどうしたらいいんだよ?みんな、ノイズに殺されて、一人ぼっちの私にはどうしたらいいんだよぉ……」

「貴方は一人ぼっちじゃありませんよ」

「え……?」

「奏ー!」

 

奏が呼ばれた方向を向くと、遠くから翼が走ってきているのが見えた。それを見たセレナも、奏から離れキャロルの元に戻る。

 

「それでは私たちは引き続き、ノイズを倒します。そのLiNKERを使うかは、貴方にお任せします。でも気をつけてください。そのLiNKERを使えば、とてつもない負担が貴方を襲います」

 

それだけ伝えると、セレナは再び変身しキャロルと共にノイズを探しに行く。そして入れ違いになる形で、翼が奏の元に駆け寄る。

 

「奏!大丈夫?」

「あ、ああ……」

「よかった…。それで彼女たちといたみたいだけど、一体何を…」

「ああ。助けて、くれたんだ。……なあ、翼」

「…?どうしたの、翼」

 

いつもよりどこか活力がない奏を、翼は訝しむ。やはりあの2人に何かされたのではないかと翼は考えるが、その考えを遮るように奏が話しかける。

 

「……その、さ…支えてくれちゃぁしねえか?」

「………………」

「翼?」

 

何も言わない翼に、奏は徐々に不安になる。何故何も答えてくれないのだろう?情けない自分を見下げ果てているのだろうか。普段なら浮かぶことのない不安が、次々と浮かんでは消える。

しかし、その不安を切り裂いたのは他ならぬ翼だった。

 

「当たり前だッ!」

 

「……ッ!?」

「奏はよく他の人を心配するくせに、自分のことは自分だけで抱え込んで、私には打ち明けようとしてくれない!それがどれだけ苦しかったか、分かっているのか!…奏。私は何をすればいい?どうすれば奏は自分を大切にしてくれる?何でも良い、言ってくれ!」

 

溜まりに溜まった心の内をぶちまける相方に、今日何度目か分からないが奏は呆けることとなった。しかし、奏の心はなぜだか温かくなり、セレナの言葉の意味を理解した。

 

(あたしには…こんなに心配してくれてる人がいる。……いや、違う。いたじゃないか!最初から、アタシのことを心配してくれている人たちが!)

 

家族をノイズに殺され、ノイズへ復讐するためにLiNKERを過剰に投与して装者となり、自分の歌で誰かに勇気を届けられるならと翼と共に歌手になった。その道のりには多くの人に助けられ、心配されていた。

だが奏は、無意識にその優しさから目を背けていた。完全適合者の翼と違い、LiNKERが無ければ戦えない出来損ないの装者。おそらく、心のどこかでそういった劣等感を持っていたのだろう。

だからこそ求めた。LiNKERなど必要ない、ライダーシステムを。その結果、ますます自分に向けられる優しさから、目を背けてしまった。

 

「ごめんな、翼」

「グスッ…。今更謝るなんて、ずるい」

「…参ったな。でも、支えてほしいんだ。これは、私自身でケリをつけるべきだけど。でも、私は翼に支えてほしいと思ってる」

「…そんな言い方は卑怯だぞ。奏は意地悪だ」

 

いつの間にか涙をこぼしていた相方の涙を拭い、奏は立ち上がる。こんなところで終わっていられない。

ノイズを駆逐するために、自分がたくさんの人から受けてきた恩を返すために。

 

(……ちゃんと、謝らないとな。あいつに)

 

そしてもう1つ、新たな理由ができた。

 

 

《3人称side(響・クリス)》

 

「でやあああ!」

「オラオラオラ!閻魔様のお通りだ!」

「……ふう。あらかたノイズは倒せたかな?」

「だろうな」

 

翼と奏と別の場所で戦っていた響とクリスは、ノイズを倒したことで一息つく。

その2人に第三者の声がかけられた。

 

「ああ、ノイズは倒せたぞ。ノイズはな」

「ッ!誰だ!…なっ!?」

「うそ……」

「フフフ…。どうした?」

 

声に素早く反応した2人の目に映ったのは、まだ崩れていないリディアンの屋上に立ち、身体から黒いオーラを放つネフシュタンの鎧を纏った了子…否、フィーネだった。

 

「なんで…何であんたがそこに居るんだよ。フィーネェエ!」

「フッ……。そんなことも分からないのか?クリス」

「どういう、ことですか?なんで、了子さんがネフシュタンの鎧を…」

 

2人は混乱の極みにあった。自分の正体を告げ仲間だったはずの了子が、何故フィーネの姿となり自分たちの前に現れたのか。しかもネフシュタンの鎧を纏ってである。ネフシュタンの鎧はアウラネルとは違い、その形状が変化していた。銀色から金色へと変わり、上半身を守っていた鎧は胸部から首までとなっている。

 

「このネフシュタンと私は融合を果たしている。後は私の目的を果たすだけだ」

「目的…?」

「そうだ、私はこの世界を破壊する!!”あのお方”に会うことが許されないのであれば、こんな世界など、滅ぼしてくれる!」

 

怒りに満ちた顔表情で、フィーネは自身の目的を語る。

 

「世界を…?そんなの、どうやってやるってんだ……」

「ふん、こいつさ」

 

フィーネが指を鳴らすと、どこからともなく飛来した一本の剣が、フィーネの前に突き刺さる。その剣の名前を、2人は知っていた。

 

「それはッ!?」

「サクリストD……デュランダルか!」

「そうだ!貴様らの歌によって目覚めたこいつを使い、この世界を焦土と返す!」

「そうは問屋が卸さないぜ!」

 

フィーネが高々とデュランダルを掲げていると、奏と翼が響たちに合流した。しかし、それを見てもフィーネの余裕の表情は崩れない。

 

「ふん。何も守れぬ剣と出来損ないの装者か」

「了子さん……。本当にアンタなんだな?」

「くどい。現実を直視できぬ貴様らが集まろうと、私の敵ではないな。所詮この世界(・・・・)の装者たちも、現実を見れない愚か者どもか

「―――なら、オレたちが相手してやる」

「…錬金術師か」

 

次に現れたのは、キャロルとセレナ。数々の聖遺物を見てきた2人は、フィーネが持っているデュランダルが危険なものだと分かっているため、フィーネの行動を警戒する。

 

「小賢しい……アウラネル、貴様は仮面ライダーの相手をしろ」

「はい、フィーネ様」

 

物陰から現れたアウラネルは、ネリとモネのモノと同じネビュラスチームガンに、白色のギアを装填する。

 

《ギアエンジン!》

《ファンキー!》

「…潤動」

《Engine running gear》

「その姿は…ッ!」

 

ネビュラスチームガンから噴き出た煙がアウラネルを包み、キャロルたちが戦ったカイザーリバースそっくりの姿を変える。赤色だった右半身の歯車は白色に変更されていた。

 

「すごいでしょう?エンジンブロスという姿です。ああ…そういえば、妹たちを退けたんでしたね。ならば、少しは楽しませてくださいよ!」

「こいつ、スマッシュをッ!?」

 

ネビュラスチームガンから3発の煙幕弾が放たれ、その煙幕弾はそれぞれスマッシュを形成する。

 

「さて、私たちも邪魔者を消すとするか」

 

そしてフィーネもまた、装者たちに牙をむく。

 




フィーネが初めから味方なら、カ・ディンギルが作られてるわけねえじゃん!と、この話を書いてる途中に思い至りました。(クソザコ)
そして考えた結果のデュランダル頼りという……。
それにセレナって原作でLiNKER使って無かったよね?(ガバガバ)

そういえば感想で言われてたんですが、オートスコアラー、そしてZENRAとかクソ爺の4期5期のキャラについては、どうしようか迷ってます。色々と他のシリーズの構想とか出てて、そっちも書きたいんですが、これ以上キャラを増やすと長くなりそうだし……。投稿間隔が少し長くなってもいいというなら、夏休み(コロ助騒動で休校になってはいましたが、結構夏休みあるみたい)に入ってから書き溜めして、投降しようとは思います。あ、F.I.S.組は出ますよ!

最後にもう1つ。活動報告にて、このシリーズで無印編が終わってからの番外編で書いてほしいことを募集したいと思います。今現在書こうと思っているのは、
・キャロルと七海のデート回
・○○と心火を燃やしてみよっか?(IF回)
・セレナの再会
・平行世界編(これについては無印編後の次章後に回すかも)
・黒夜の転生時の回
……といった感じですね。確か、これ以外にも考えていたはずだけど忘れまちゃいました。(鳥頭)
これ以外に、こういう感じのが見たい!という要望。この回のこの時のこれこれがどうだったのか、という掘り下げ回といったものでもOKです!
詳しくは活動報告の「心火を燃やす番外編アンケート」にて、ご確認ください。
皆様の意見、お待ちしております!

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なんか当てはまるものがある?

  • もうちょっと更新頻度を早くしてほしい
  • 戦闘描写をもっと濃く
  • キャロルと百合百合せえや
  • 早く話を進めてほしい
  • 特にないなぁ
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