錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

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ランプーさん、感想ありがとうございました!

無印編についてですが、無印編で全てに決着がつくわけではありません。



34 本気の決着、つけてみよっか?

《3人称side》

 

「グハァ!」

 

ドラム缶や木箱をなぎ倒しながら、人気のない工場に七海が吹き飛ばされる。

その後から悠然と歩いてくるのは、仮面ライダービルドゴリラモンドフォームにフォームチェンジした黒夜だった。

 

「このッ……!(ハザードトリガーを使ってくる様子は……まだないか)」

《ラビットゼェリィィ!》

《ラァビットォイングリスチャァァアアジ!》

「ハアア!」

 

ラビットチャージにフォームチェンジした七海は、足に力を込め「スプリントキャプチャー」による加速で、黒夜を攻撃する。

パワーが売りのゴリラモンドでは、その速さについて行けない。

 

「く…。ラビットチャージか。それはもう対策済み!」

《クジラ!ヘリコプター!》

《Are You Ready?》

「ビルドアップ」

 

黒夜の声で、前後に形成されていた装甲が黒夜を挟み込む。珍しいことに普段は色違いなその2つの装甲は、どちらも似た青色だった。

このフォームの名はトライアルフォーム。ベストマッチではない故に、スペックはベストマッチフォームに劣るものの、このトライアルフォームこそビルドの真骨頂である。

 

「それでも…!」

「言ったでしょ。対策済みだって!」

 

七海が再び高速で動き黒夜を攻撃しようとする。

それに対し黒夜は、背中に装備されている「バトローターブレード」と呼ばれるプロペラ状のブレードを取り外し、地面に突き立てる。

 

「ハッ!」

「なッ!?水を…!キャア!」

 

黒夜の周囲から水が吹きだし、黒夜に接近した七海は打ち上げられる。

そして重力に従い落ちてきた七海を、黒夜はバトローターブレードでぶっ飛ばす。

 

「ガハッ!」

「ボトルの組み合わせによる多彩なフォームこそ、ビルドの真骨頂」

「それくらい知ってるっての!」

《スプリングフィニッシュ!》

 

七海はレバーを下ろし、ヴァリアブルゼリーを纏った後ろ回し蹴りを放つ。

しかし黒夜も、必殺技の準備を終えていた。

 

《Ready Go!ボルテックアタック!》

「ふん!」

 

バトローターブレードの両端から、水で形成された刃が伸びる。

黒夜がバトローターブレードを振り回すと、鞭のように伸縮する水の刃は、縦横無尽な動きで七海を叩き落とした。

 

「ガッ…!くそ!次はこれだ!」

《タンクゼェリィィ!》

《タァンクイングリスチャァァアアジ!》

「ならこれだね」

《ライオン!マグネット!》

《Aer You Ready!》

「ビルドアップ」

 

七海はタンクチャージに、黒夜はライオンとマグネットのトライアルフォームへとフォームチェンジする。

 

「これでも…くらえ!」

 

七海が両肩のブレイクゲイザーから、光弾を発射する。

しかし黒夜が左手を掲げると、光弾が途中で停止し七海に向かって放たれる。

 

「なッ!?ぐあ!」

《Ready Go!》

「…ッ!しまっ――!」

《ボルテックアタック!》

「ハアアア!」

「ああああッ!」

 

マグネットの特性である磁力に捕まった七海に、右腕の「ゴルドライオガントレット」からライオン型のエネルギー弾が放たれ、七海を吹き飛ばす。

 

「ガ、ハ…」

「今までの戦闘データから、貴方のフォームは全て対策済み。これが私の本気だよ…なーちゃん」

「だから……どうしたぁ!」

《バースティングフィニッシュ!》

「……ッ!」

 

隙を見て起き上がった七海は、対反動用のアンカーを地面に打ち込み、ブレイクゲイザーから高威力の光弾を黒夜がいる場所の天井に向かって(・・・・・・・・・・・・・・・)発射する。

 

「…?どこに向かって……まさか!?」

「今だ!」

 

七海はアンカーを外し、バースティングフィニッシュの反動に逆らうことなく後ろに吹き飛ばされる。

次の瞬間、黒夜がいたあたりに、崩れた天井の瓦礫が降り注いだ―――。

 

「くッ!作戦、成功…」

 

工場から脱出した七海は、地面に背中から叩きつけられる。ダメージ超過のせいか、タンクチャージから通常状態のグリスへと姿が変わる。

痛みに呻きながら体を起こすと、目の前には崩壊した工場があった。

 

「これで、倒せれば御の字。ダメでもせめてハザードトリガーを使って……」

 

確認、というよりも望みを込めて呟いた言葉は、すぐに裏切られた。

 

 

 

 

 

 

―――――《マックスハザードオン!》

 

「……だよね(ハザードが来た!あの方法(・・・・)はタイミングが重要。しっかり見極めろ!)」

 

建物の瓦礫を吹き飛ばし、飛び出てきたのはハザードフォームの黒夜。

 

「まだまだぁああ!」

《ハザードフィニッシュ!》

「……上等。心火を燃やして―――」

《スクラップフィニッシュ!》

「―――ぶっ潰す!」

 

七海を跳躍し必殺技で黒夜のキックを迎え撃つ。互いの必殺技は拮抗し、爆発が起こったことにより2人は吹き飛ばされる。

 

「がぁ!」

「くあ!……く、う、ああ…」

 

よろめきながらも2人は立ち上がり、荒い息をつきながら向かい合う。

 

「はあ、はあ、はあ…。やっぱりすごいや。なーちゃんは」

「はあ…はあ…はあ…。強い…。これが本気の姉さん」

「そーゆーこと。この時の為に、はぁ、はぁ…ハザードトリガーによる暴走も、完全に除去したんだ。でもって、私には奥の手があるの」

「ハザードトリガーの暴走を除去した…?それに奥の手?」

 

黒夜が取り出したのは、2本のフルボトル。しかしその2本は、七海が作ったものではなかった。

 

「これはシンフォギアボトルとソングボトル。風鳴翼が絶唱を使った際、貴方が置いてったウォッチフルボトルと一緒に落ちてた空のボトルに溜まった成分を元に、私が制作したフルボトル」

 

翼が絶唱を使った時、黒夜はウォッチフルボトルと一緒に空のボトルも持たせるように言い、了子に2本のボトルを渡した。

ウォッチフルボトルは翼の怪我の悪化を止めた。では、空のフルボトルは?

 

「翼ちゃんが絶唱を使ったことで、空のボトルにシンフォギアの成分と呼ぶべきエネルギーが収集された。そしてそれ以降も持っていたことで、ボトルの成分は徐々に満たされた。あとは、頃合いを見てそれを回収して、解析したの」

「そして生まれたのが、その2本のボトル……」

「正確には、作ったのは3本なんだけど。それより、これ結構面白くてね」

 

黒夜はシンフォギアボトルとソングボトルを振り、キャップを捻ってビルドドライバーにセットする。

 

《ソング!シンフォギア!》

スーパーベストマッチ!(・・・・・・・・・・・)!》

 

「なッ!?」

「これ、ベストマッチらしいんだ~」

 

《ガタガタゴットン! ズッダンズッダン! ガタガタゴットン! ズッダンズッダン!》

《Aer You Ready?》

「……ビルドアップ」

《アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!》

 

ハザードライドビルダーが黒夜を挟み込む。そして中から現れた姿は通常のハザードと特に変わらないが、右の複眼が細長い突起が突き出ており、左は音符のような形をしている。

 

「さあ…戦いはまだまだだよ!」

 

四コマ忍法刀とカイゾクハッシャーを持ち、黒夜は七海に斬りかかる。

七海は次々と振るわれる武器を回避しようとするも、先ほどまでのダメージで体が思うように動かない。そして黒夜の斬撃が七海を捉える。

 

「ぐッ!」

「ハァ!」

 

続いて黒夜は、ホークガトリンガーとドリルクラッシャー ガンモードを取り出し、七海に向けて連射する。

 

「ああああッ!」

 

立て続けに攻撃を食らった七海は、膝をついてしまう。

黒夜は七海に近づき、ドリルクラッシャーを振り上げる。

 

「残念だよ、なーちゃん。もっと頑張ってくれると思ってたのに」

「…………」

 

黒夜の言葉に、七海は何も答えない。

 

「でも、私の…勝ち……!」

 

ドリルクラッシャーは七海目がけて振り下ろされ―――

 

「(この時を―――)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(―――待ってた!)」

 

―――七海の掲げた右腕に阻まれた。

 

「なッ!?」

「うあああああ!!」

「ぐあ!」

 

もう動けないだろうと油断していた黒夜は、七海の防御に一瞬動揺し、七海がその隙をつき拳をハザードトリガー(・・・・・・・・)に叩きつけて、黒夜を下がらせる。

 

「なんで、動きが……」

「……姉さん。確かに今までの、前世のままの私なら、きっと今ので諦めてたと思う」

《チャージ!》

《オーバーグリスゥ!》

「うぐ、ああ……」

 

先ほどの七海の一撃は、ただ単に黒夜を下がらせる目的だけではない。

七海は黒夜の性格をよく理解していた。黒夜は良くも悪くも天才だ。しかしそれ故に、何かをモチーフにしようとすると、まずは必ずオリジナルと同じ物を無意識(・・・)に作りあげる。

ビルドの変身する際の装置や、ビルドドライバー、武器、挙句の果てには変身音声もだ。黒夜ほどの天才なら、これらをさらに改善したものを、最初から作れたはずなのだ。分かりやすく説明するならハザードトリガーの暴走も、わざわざ今回の為に取り除くんじゃなくて、最初から暴走しないようにすることもできたはずなのだ。

 

「……だけど、この世界で私は、大切なモノができた」

《オーバーチャージィ!》

「姉さんに追いつくことだけが全てだった私は、新しい生きる理由が見つかった」

 

しかし実際は、初めてハザードを使用した時も、理性はあったものの体は動かせない実質暴走状態だった。

だからこそ、七海はここに賭けた。初めはオリジナルと同じものを作ろうとする黒夜の性格ならば、あれ(・・)もそのまま作っているはずだ。

 

《限界ブレイクゥ!激熱突破!オーバーグリス!》

《ウラアアァァアアアア!》

 

……そう、ハザードトリガーがダメージを受けると、使用者の動きを鈍らせるという弱点を―――。

 

「私は、今日ここで、過去の因縁を断ち切る!」

《ブースト!バースト!》

《オーバーバースト!》

「ハッ!」

 

オーバーグリスにフォームチェンジした七海は跳びあがり、背中から蒸気を吹きだして勢いを増したキックを放つ。

 

《バーストフィニッシュ!》

「ハアアア!」

「ぐ、あ、アアアアアアッ!」

 

黒夜はハザードトリガーを攻撃されたせいで動きが鈍く、七海の必殺技を真正面からくらってしまう。吹っ飛んだ黒夜は地面を転がる。

 

「はあ、はあ、はあ…」

 

……賭けに勝ったといっても、実際危なかった。ハザードトリガーの暴走機構を解除したと聞いた時は、ハザードトリガーの弱点も改善されたのではないかと考えもした。

しかし、七海はその賭けに打ち勝ち、チャンスをもぎ取ったのだ。

 

「ッ!?今の音は……?」

 

着地した七海が息を整えていると、リディアンがある方向から轟音が響いた。

リディアンがある方向を見てみると、リディアン女学院があると思われる場所で、巨大な光弾が空に向かって撃ちだされているのが確認できた。

その光弾はある程度まで上がっていくと、その先の場所から何かによって放たれたビームと拮抗、やがて大爆発を起こした。

 

「あれは……(間違いない。カ・ディンギルは出てきてないけど、あれは多分原作でフィーネが最初に月を撃ったシーン。ということは、あのビームはクリスが?)」

「………まだだ」

「……まだ、立ち上がるの?」

 

七海が視線を戻すと、黒夜が手足を震わせながら立っていた。

あくまでも決着をつけようとする黒夜に、七海は呆れた視線を向ける。

 

「当たり前だよ。この一瞬を楽しみにしてたんだから。ふ、ふふふ…。ああ…やっぱりなーちゃんは、私を越えてくれる。そしてそれを越えた時、私は初めて勝利(・・)を体験することができる!」

「じゃあ、終わらせよう、全てを……」

 

黒夜はビルドドライバーのレバーを回し、七海はロボットスクラッシュゼリーをスチームパンツァーにセットする。

もう、交わす言葉はない。

 

《Ready Go!》

「「オオオオオオオオオ!!」」

 

2人は同時に走り出す。この攻撃ですべてが決まる。それを確信している2人は、この拳にすべてを込める。

 

《パンツァーブレイク!》

《ハザードフィニッシュ!》

 

「「はあああああ!!」」

 

2人の拳が交わり、そして―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒夜の拳は七海の顔のすぐ横を通り、七海の拳は

「「………………」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……私の、勝ちだ」

 

七海の拳は、黒夜の胸部に命中していた。

変身が解除され、グラリと黒夜の身体が七海に寄りかかる。

 

「………や~っと、終われたよ」

「……姉さん」

「おおっと、何も言わないでよ」

 

前世で黒夜は、天才であるが故に、同世代には一番であることを求められていた。

姉さんは負けたかったのだろうか?自分を超える誰かに負けて、前世から続く呪縛から抜け出したかったのではないか?前世の呪縛に縛られていたのは、姉さんもなのか?

そういった考えが頭の中に浮かんでくるが、本人から何も言うなと言われた以上、聞くことは出来ない。

 

「ねえ…。なーちゃん」

「どうしたの?」

「参考までにさ……。なーんで私は負けたんだろう?」

 

ダメージがひどいのか、黒夜がか細い声で七海に尋ねる。

偉そうなことが言えるわけではないが、七海に持ち合わせている答えは、これしかない。

 

「…私は大切な人の為に戦って、貴方は自分の為に戦った……。ただ、それだけだよ」

「そっか……。なーちゃんの大切な人って、あのキャロル?」

「うん。最近喧嘩してたんだけど、仲直りしたんだ。だから、そんなときに負けたくなかった。あの子の義姉として、ね」

「なーんか知らぬ内に妹出来てた~」

「変なことしたら許さないから」

「あはは。厳しーなー。………なーちゃん、これ。持って行きなよ」

「これは……。とりあえず移動させるよ」

 

七海は黒夜を、近くの崩れる可能性の少ない瓦礫まで連れて行き寄りかからせる。

 

「リディアンに行くなら、気をつけて。私たちが介入しまくったせいで、いろいろとおかしくなってる」

「知ってる。それじゃ、行ってくる」

 

七海がリディアンに転移するのを見届けた黒夜は、再び瓦礫に寄りかかりため息をつく。

 

「はあ~。これで私の戦いは終わりか~」

 

リディアンに目を向けると、七海が到着して戦闘に参戦したのか、爆発が所々起きている。

 

「………………はぁ」

 

今度は小さくため息をつくと、ゆっくりと立ち上がり、リディアンへの道を歩き始める。

その理由は、未だに前世の呪縛が彼女を縛っているからか、それとも………。

 

 

 

 




仮面ライダービルド シンフォギアフォーム/シンフォギアハザード
概要
仮面ライダービルド/宵姫黒夜が自身で製作したフルボトルである、ソングボトルとシンフォギアボトルで変身するオリジナルフォーム。
作中では、ハザードフォームで使用している。
ベストマッチフォームではあるが、名称がシンフォギアフォームとなっており、これはもう片方のボトルによってその特性が変わるからである。

シンフォギアボトル
風鳴翼が絶唱を使った際、黒夜が拾った空のボトルにシンフォギア由来のエネルギーが溜まり、それを解析した結果誕生したボトル。
シンフォギアボトルとのベストマッチに対応するボトルは、全部で8種類。その内黒夜が開発したのは2種類。
ベストマッチに対応するボトルと一緒に使用すると、そのボトルの特性を反映した姿になる。

ソングボトル
シンフォギアボトルから派生して作られたボトル。
シンフォギアボトルと使用することで、ベストマッチフォームになる。
ソングボトルはシンフォギアボトルを使用した組み合わせの中で、基本的な組み合わせであり、それ故に他のベストマッチフォームの武器が使用可能なため、オールマイティな戦い方ができる。


容姿
シンフォギアフォーム時では、黒をベースとした配色になっており、ソングボトルを使用している時は赤と青の装甲が追加される。
また、シンフォギアボトルとベストマッチする8種類の組み合わせそれぞれで、装甲の形、色は変化する。
右の複眼は待機状態のシンフォギアであるペンダントを模しており、左の複眼は音符を模している。
ハザードフォーム時では、複眼のみが変わりそれ以外の普段のハザードと変わりない。

黒夜ちゃんのオリジナルフォーム、シンフォギアフォームの紹介でした。
シンフォギアボトルとベストマッチする残りの7種類のボトルについても、どこかで出そうと思います。察しの良い人は、とっくに分かってると思いますが……。

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なんか当てはまるものがある?

  • もうちょっと更新頻度を早くしてほしい
  • 戦闘描写をもっと濃く
  • キャロルと百合百合せえや
  • 早く話を進めてほしい
  • 特にないなぁ
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