プロブライズストームブラスト
プログライズダストとマグネティックストームブラストの同時発射。
作中では、オーソライズバスターにシューティングウルフプログライズキーを使用。
ショットライザーから発射されたオオカミ型のエネルギー弾が、オーソライズバスターから放たれた光弾を咥え、敵目がけて飛んでいく。
モデルは、ビルド本編25話でクローズチャージが放った必殺技。
バーニングレインストラッシュ
バーニングレインとバーニングストラッシュの同時使用技。
バーニングレイン発動後、外したバーニングファルコンプログライズキーを、アタッシュカリバーに装填という、結構メンドクサイ手順を踏んでいる。
攻撃方法としては、スラッシュライザーとアタッシュカリバーでの2刀流で攻撃、空中に打ち上げ羽根型パーツ「バーニングフライヤー」で追撃を掛け、止めに2つの斬撃を飛ばすというもの。
解説終わり
ランプーさん、感想ありがとうございました!
お気に入り登録100件行きました!ありがとうございます!
今回の話は、個人的に結構力作。
《3人称side》
「限定解除……だと……」
フィーネは空を見上げ、天使のような白いシンフォギアを纏った4人を見つめる。
「…みんなの歌声がくれたギアが、私に負けない力を与えてくれる。クリスちゃんたちに、もう一度立ち上がる力を与えてくれる」
希望を感じさせる黄色の翼を広げ、純白のギアを纏った響が言う。
「歌は戦う力だけじゃない。……命なんだ!」
「高レベルのフォニックゲイン。……力も持たぬ者たちに、何故ここまでのフォニックゲインが生み出せる……?」
「(んなこたぁ、どうでも良いんだよッ!)」
燃えるような赤色と輝く純白のギアを纏ったクリスの声が、フィーネの頭に響く。
「念話までもッ!限定解除されたギアを纏って、すっかりその気かッ!」
フィーネが手を掲げると、その手に特徴的な形の杖「ソロモンの杖」が現れる。それと同時に、次々とノイズが現れる。
「ノイズを生み出した!ということは、あれも聖遺物か!」
「そして今までのことから考えるに、あれはノイズを操ることもできるかもしれないぞ」
信念を表しているような朱色と、何者にも染まることのない純白のギアを纏う奏は、フィーネの杖が聖遺物であることを見抜く。
研ぎ澄まされた青色と、煌めく純白のギアを纏う翼は、ノイズを操っているのは、あの杖だと確信する。
「だとしても関係ねえ!ここでノイズなんざぁ、芸が乏しいんだよッ!」
「各自、ノイズを迎え撃つぞ!」
「はいッ!」
「こいつでも、持ってけぇ!」
【MEGA DETH PARTY】
クリスの飛行ユニットが巨大化、変形し、複数の砲身からレーザーが放たれる。それらはノイズを焼き払っていく。
「奏!」
「ああ、行くぞ翼!」
【蒼ノ一閃 滅破】
【LAST∞METEOR 烈火】
クリスの放つレーザーを掻い潜りながら、翼と奏の放った斬撃と竜巻が、ノイズを次々と刈り取っていく。
響は高度を上げ、上昇していく。そしてある程度の高度で止まり、視線を下に向けるそこには飛行がノイズを出撃させる、巨大なノイズの姿があった。
「でやああああああ!」
そのノイズ目がけ、響は一直線に降下。自身を弾丸とした響の拳はノイズを貫通し、爆散させる。その爆発に巻き込まれ、周囲のノイズも消し飛んだ。
「よしっ!」
「へっ!ノイズなんか相手じゃないぜ!」
「櫻井女史、世界に尽きぬノイズの災禍は、全て貴方の仕業なのか?」
翼がフィーネに尋ねる。フィーネは表情を変えることなく、言葉を紡ぐ。
「ノイズとは、『バラルの呪詛』にて相互理解を失った人類が、同じ人類の身を殺戮する為に造り上げた自立兵器……」
「人が、人を殺すために……」
「バビロニアの宝物庫は扉が開け放てたままでな。この、ソロモンの杖がなかろうと、ノイズはまた現れるのさ。私は10年に一度の偶然を、必然と見なし純粋な力として使役しているだけさ」
「まったわけのわかんねぇことを!……あいつ、何をする気だッ!」
「……怖じろぉッ!…あ……う……ッ!」
フィーネはソロモンの杖の切っ先を自身へと向け、腹に突き立てる。その瞬間、残っていたノイズが、フィーネを覆い尽くさんとばかりに群がる。
「何が起こっている!?」
「ノイズに取り込まれてる……?」
「そうじゃねえッ!あいつがノイズを取り込んでんだッ!」
「なんだとッ!」
フィーネの足が、腕が、身体が、顔がノイズに埋め尽くされていく。
「来たれ……。デュランダルッ!」
フィーネの呼びかけに応じるように、瓦礫から飛び出したデュランダルが、もはやフィーネの姿も見えなくなったノイズの塊に埋もれていく。
やがて、その姿は巨大な龍のような形を形成していく。
「『黙示録の赤き龍』…。この世界に滅びをもたらすものだ!」
「くっそ!まだこんな隠し玉を用意してたとはな!」
「それでもやることは変わらない。いくぞ、ここで決着をつける!」
「はいッ!」
「はあ!」
「こいつでも食らいな!」
翼と奏が生成した大量の剣と槍が、龍の体を傷つける。だが、その傷もすぐに修復されている。
「傷が修復されてんぞ!」
「ネフシュタンの特性を持っているのか!?」
「ふん。貴様らの攻撃で、私を倒せるものか!……ッ!?」
「私を忘れるなってのッ!」
「七海ちゃん」
タンクチャージにフォームチェンジした七海が、ブレイクゲイザーで砲撃する。龍はそれに構うことなく、無造作に手を振り瓦礫が猛スピードで撃ちだされる。
七海は脚部のハードキャタピラで走行しながら、砲撃で瓦礫を撃ち落としクリスに声をかける。
「クリス!合わせて!」
「分かったッ!」
ツインブレイカービームモードに、ガトリングフルボトルとハチフルボトルを装填。さらにスクラッシュドライバーのレバーを下ろす。
《シングルゥ!ツゥイン!》
「「はああああ!」」
《バースティングフィニッシュ!》
《ツインフィニッシュ!》
ブレイクゲイザーからビームが発射され、ツインブレイカ―からは蜂型の弾幕がばら撒かれる。
それと合わせて、クリスの飛行ユニットからもレーザーやミサイル、ガトリングが火を噴く。
その全てが龍に命中し、爆発が起こる。
「す、すごい」
「これならダメージだって通ったはず……」
その迫力に響は思わず感嘆し、奏はダメージが通っていることを祈る。
しかし、煙が晴れると無傷の龍が現れる。
「まじかよ……」
「回復速度が速すぎる……」
「ハハハハハ!これが完全聖遺物の力の最高峰!ハハハハ!」
『ナナ姉え!あの龍の解析が完了しました!』
七海にエルフナインから通信が届く。七海はあらかじめエルフナインの、黙示録の赤き龍について解析を頼んでいたのだ。
『あの龍の体組織はノイズで構成されています。ですが、本来ノイズにあの質量の形成、保持、そしていくらネフシュタンがあろうと、あの速度の自動修復できるほどのエネルギーはありません』
「つまりあの龍は、他からエネルギーを供給している……?」
『はいッ!そしてその供給源が……』
「3つの完全聖遺物……ソロモンの杖とネフシュタン、デュランダルか!」
『おそらく。現状でもその3つによる供給でギリギリのはずです。なのでどれかさえ破壊、もしくは奪取できれば……』
「エネルギーの供給は足りなくなって、自動修復も不可能になり弱体化する」
しかしそれは言うほど簡単ではない。なんせどこにあるかもわからない完全聖遺物を見つけ、更にはそれを取り出さないといけないのだ。
「狙うなら持っているエネルギーが多く、なおかつ取り出しやすいと思われるデュランダルか……。エル、どこにあるか分かる?」
『龍の胴体部分にあると思いますが……反応から、おそらくフィーネが持っているかと思います』
「やっぱそうだよなぁ」
体組織となっているノイズを操るためのソロモンの杖。そしてフィーネの身体と融合したネフシュタン、そして無尽蔵ともいえるエネルギーを持つデュランダル。
前者2つは、そもそも体を構成するために融合しているために無理。だとすればデュランダルのみとなる。
しかしそのデュランダルはフィーネが持っているという。
それもそうだ。役割としては3つの完全聖遺物の中では優先度は低いが、それでも必要ないわけではないのだ。
「分かった。何とかやってみるよ」
「七海!」
「お姉ちゃん!」
エルフナインとの通信を切ると、キャロルとセレナが合流する。
「2人とも、エルから聞いてるね?」
「ああ。それで、あれはどうするんだ?」
「手短に話すね。あの龍の体内にある完全聖遺物デュランダルを奪取もしく破壊する」
七海は作戦内容を話す。作戦を聞いた2人は頷くと、行動を開始する。
「さて…頼むよ、ヒーロー」
七海は龍が放つビームを回避している響を見て、自身もまた、行動を開始する。
「くそぉ!このままじゃジリ貧だぞ!」
「奏!危ない!」
「なっ!?」
ビームを回避した奏に、次のビームが飛んでくる。奏は焼石に水だとは分かっていても、回避は出来ないと判断し槍を掲げる。
その時、奏を横から飛んできたセレナが、直前で抱きかかえてビームの進行方向から回避する。
「大丈夫ですか!」
「あ、ああ……」
「貴方は……」
「風鳴翼さん、天羽奏さん。お願いがあります」
そしてセレナは、2人に七海の作戦を伝える。
「……おい、それ本気か?前半は良いとしてもよ……」
「……
「分かりません……。ですが、私は信じます。お姉ちゃんを、立花響さんを」
「……分かった。信じることにする」
「私も、貴方の言葉を信じることにする」
「あ……。ありがとうございます!」
セレナは2人に礼を言い頭を下げる。2人は頭を上げたセレナの両隣に並ぶ。
「そんじゃ、いっちょやってみますか!」
「ああ……!」
「はいッ!」
そしてクリスと響の方でも……。
「近づけないッ!」
「バカっ!接近戦オンリーのお前じゃ、このビームの嵐は抜けられねえ!無茶すんな!」
「でも…ッ!瓦礫!?」
「マズッ!」
《バスターダスト!》
「ボーっとするな!」
響とクリスを襲った巨大な瓦礫が、拳の形をしたエネルギー弾によって砕かれる。
2人を救ったのはキャロルだった。
「お前……なんで」
「そんなことはどうでも良い。とりあえず話を聞け」
クリスの疑問を無視し、キャロルは七海の作戦を伝える。
「私が、デュランダルを……」
「おい、どういうことだよ」
「七海は詳しくは言わなかったが……貴様らが使うアームドギアとやらは、使用者の思いによって形を成す。そうだな?」
「あ?なんだよ急に…まあそうだけど」
「というか、何でそのこと知ってるの?」
「貴様が風鳴翼に攻撃された時があっただろ。その時に言われていたではないか」
「えっ!?いたの!?」
「ああ」
ゴホンッと、キャロルは咳払いをし、脱線した話を元に戻す。
「おそらく立花響のアームドギアは武器ではない」
「え?それってどういう……」
「つまりあれだろ?誰とでも手を繋ごうとするお前が握るのは、武器じゃないってこった」
「あ……」
「雪音クリスの考えは間違っていないだろう。その結果、立花響のガングニールが持ったアームドギアとその特性は、おそらく『結び繋ぐ力』。それを応用すれば、デュランダルを使用することもできるはずだ」
「それが私のアームドギア……分かった。それが私にしかできないなら、私がやる。そして、フィーネさんとも手を繋いでみせる!」
「よし、ならばさっさとやるぞ」
2人を説得できたキャロルは、龍に顔を向ける。そのキャロルを響が呼びとめる。
「あ、待って!」
「なんだ、余計な話をしている暇は……」
「名前を教えて!」
「……は?」
「名前、ちゃんと教えてもらってなかったから」
「知っているはずだが」
「それでもだよ。貴方の口から聞きたいの!」
「諦めな。こいつはこういうやつだ」
「……キャロル。今はそれだけだ」
「キャロル……キャロルちゃんか!キャロルちゃん、さっきは助けてくれてありがとう!」
「………ふん」
響のお礼にキャロルは適当にあしらうが、キャロルに悪い気分はしなかった。
………キャロルのショットライザーに装填されているアサルトウルフプログライズキーが小さく、されども確かに光を放っていることに、誰も気づくことはなかった。
『七海、こっちは説得できたぞ』
『こちらも協力してくれるそうです!』
「分かった。じゃあ、さっそく始めようか」
《限界ブレイク!激熱突破!オーバーグリス!》
「心火を燃やして、ぶっ潰す」
オーバーグリスにフォームチェンジした七海は、スクラッシュドライバーのレバーを下ろし、スチームパンツァーに黒夜から渡されていたシンフォギアボトルを装填する。
《ブースト!バースト!》
《オーバーバースト!》
《フルボトル!》
「奮起…再起……奇跡!これが私の戦いだぁぁああああ!」
マシンパックブースターから蒸気を噴出し、龍の胴体へと突貫する七海。
それに気づいたフィーネは、次々とビームを放ち撃ち落とそうとする。
「貴様、何をするつもりだ!」
「決まってるでしょ…!明日を、未来を、守るためだぁあああ!」
《パンツァーブレイク!》
七海がスチームパンツァーを叩きつけた胴体に、大きな穴が開きフィーネの姿が見える。
中は空洞となっておりその中心に、腰から下が龍と一体化しているフィーネが鎮座している。
「くっ……なんという威力。だが、これしきの損傷、すぐに修復できる!」
「今だぁあああ!」
七海の合図と共に龍の体内に侵入した3つの人影。
「よお、フィーネ!」
「雪音クリス!」
フィーネはすぐさま龍に命じ、内部を変化させてクリスたちを始末しようとするが、それより早くクリスの飛行ユニットが変形する。
「周り全部が敵なら、狙いをつける必要はねえ!ぶっ放せぇぇええええ!!」
「こいつ、でたらめに!」
全方位に向けられた砲門が、一斉に火を噴き、内部を無茶苦茶にする。
一歩間違えれば自爆覚悟のその攻撃に動揺したフィーネの隙をつくように、2人の人影がフィーネに接近する。
「おらあ!」
「出来損ないか!貴様などにッ!」
「もらったぞ!」
「なんだとッ!背後からッ!」
奏がフィーネに向けて槍を上段から叩きつける。フィーネは手に持っているデュランダルで槍を防ぐ。
だが奏の背中から現れた翼が、刀を振り上げてデュランダルを弾き飛ばす。
目的を達した2人はすぐにフィーネから距離を取る。
「貴様らの狙いはデュランダルかッ!そうはさせん!」
「そいつはこっちのセリフだっての!ちょせぇッ」
フィーネは体組織を触手にさせ、デュランダルを取り返そうとする。
しかしアームドギアをハンドガンに変形させたクリスは、2丁のハンドガンで器用にデュランダルを撃ち、先ほどの一斉射で空いた穴から外へと弾きだす。
そして3人は別の穴から、外へと脱出する。
「出てきたッ!」
「あれを掴め!立花響ッ!」
「うん…ってうわぁ!」
デュランダルが出てきたのを確認した響は、デュランダルを掴もうとするが、龍の咆哮によって飛行を阻害される。
その隙を狙って龍の身体から触手が飛び出し、デュランダルを回収しようとする。
「そんなッ!」
「やらせん!こいつに乗れ!」
「サポートします!」
《マグネティックストームブラスト!》
キャロルは必殺技を発動し、オオカミ型のエネルギー弾を撃つ。
通常なら狼の顔だけを模しているのだが、キャロルが放ったエネルギー弾は、オオカミの身体も模しており、その様子はあたかも空を駆ける狼だった。
「ありがとう、キャロルちゃん!オオカミさん、お願い!私をデュランダルまで連れてって!」
「ウォォォオオオン!」
響はオオカミのエネルギー弾の背中に乗る。
響のお願いに任せろとでも言っているかのように、オオカミは本物の狼のように遠吠えを吠える。
気づけばスピードが速くなりその身体には紫電が弾け、オオカミ型のエネルギー弾は強化されていた。
「なんだあれはッ!?立花響のアームドギアの特性は、あんな現象も引き起こすというのか!?」
その現象にキャロルは驚愕していた。幾ら狼の形を模していようと、所詮はエネルギー弾、エネルギーの塊である。
しかし、響が乗っただけでその姿はまさしく生き物らしくなり、更には強化までされたのだ。
キャロルからすれば、埒外の事象。錬金術師としての性か、調べたい欲求が湧きあがるが、今はそんな場合ではないと押さえつけショットライザーで響を援護する。
「くっ!触手が……」
「はあ!」
「セレナちゃん!」
触手が響たちの邪魔をしようとするが、その触手はセレナが飛ばしたバーニングフライヤーが切り刻む。
「響さん!お願いします!皆の希望を、夢を、貴方に託します!」
「……うん!任せて!」
響を乗せたオオカミはグングンとスピードを増し、あと少しの距離までデュランダルに迫る。しかしその行く手を阻むように、多数の触手が前方から迫る。
「あとちょっとなのにッ!」
「ガウ!」
「……え?でもそれじゃあ、君が」
「ガウ!グウウ…」
「………分かった。ありがとう、君のことは絶対に忘れないから!」
「ガウ!」
オオカミが何を言っているのかを察した響は、しかしオオカミの決意を感じ取り、礼を述べる。
エネルギー体のオオカミと人間の言葉。普通なら通じることのない言葉による会話は、確かに通じていた。それは響が目指す”夢”そのものだった。
「ウウウ…ガウッ!」
「うぉりゃああああ!」
オオカミは響が乗っている背中をデュランダルに向ける。響はその背中からデュランダルに向かって、飛行と合わせて思いっきり跳ぶ。
勿論前方から迫る触手がその動きを見逃すはずもなく、響に向かって伸びていく。
しかし響は構うことなくデュランダルへと向かう。
「ウォォオオオオン!」
オオカミが響を追う触手の前に立ちふさがり、触手の群れに突っ込む。傷つきながらも、身体に纏う紫電で触手を蹴散らし、その身体を触手が突き出ていた龍の身体にぶつける。
一際大きな爆発が龍の身体で起こる。龍自体にダメージはない。しかしその特攻は、触手が生み出していた龍の胴を破壊し、触手による妨害を封じることなった。
その命を散らした攻撃は、戦いに出ていた装者たちに、シェルターで戦況を見ていた者たちの心に”何か”をもたらした。
そしてキャロルは見た。オオカミの、文字通り命を懸けた最後の煌めきを。そして俯き静かに、拳を握りしめた。
そして七海は見た。爆発で空いたエネルギー不足で修復が遅い穴から見えたフィーネの顔が、憤怒の表情を浮かべているのを。
「オオカミさん……!」
一瞬だったとしても、実体を持っていなくても、心が通じ合ったオオカミの死に、響は分かっていても振り向きそうになる。
しかし、2つの声が響きを押しとどめた。
「「振り返るなぁ!そのまま、前に向かって飛べぇえええええ!!」」
「ッ!………ッ!うおおおお!!届けええええええええええええ!!」
七海とキャロルの声に、響は歯を食いしばりデュランダルに手を伸ばす。
そしてその手は、デュランダルを掴んだ。
――――ドクンッ
「ぐッ!?うあああああ!?」
「立花ッ!」
「何が起こってるってんだ!」
「ハハハハッ!馬鹿め!そいつは身体の埋め込まれているガングニールの欠片で、シンフォギアを纏っている。言うなればそいつは融合症例、聖遺物と融合しているのだ。そのため負の感情を増大されやすい」
「まさか、あのオオカミがキッカケだというのか!」
フィーネの言葉に、翼は原因を察する。
エネルギー体と言えど、心を通わせたあのオオカミの死は、響の深層心理に負の感情を生み出した。そして、デュランダルを握った瞬間に、その負の感情を増大されたのだ。
「間もなくそいつは、破壊衝動に呑み込まれ、暴走する獣となる!ハハハッ!心を通わせようとするからそうなるのだ!やはり、痛みだけが他者との唯一の繋がりなのだ!」
フィーネが高笑いを上げ、その間にも響が黒く染まっていく。
その時、戦場に大きな声が響いた。
「正念場だッ!踏ん張りどころだろうがッ!」
声が聞こえた場所を見ると、そこには弦十郎が立っていた。
「強く自分を意識してくださいッ!」
「昨日までの自分をッ!」
「これからなりたい自分をッ!」
「……ッ!みんな……」
弦十郎だけではない。緒川や朔也、あおいも弦十郎の隣に立っていた。
「屈するな立花。お前が構えた胸の覚悟、私に見せてくれッ!」
「お前を信じ、お前に全部賭けてんだッ!お前が自分を信じなくてどうすんだよッ!」
「あたしたちはお前に託した。だからって、お前一人に全部は背負わせたりしないッ!あたしたちがいる。だから、踏ん張れ響ッ!」
「守りたい人たちを思い出してッ!貴方が握るその剣は、傷つけるためではないはずですッ!」
「お前の覚悟はその程度かッ!破壊衝動などねじ伏せろッ!」
「前に聞いたよね!貴方の夢は何!戦う理由はなんだッ!その信念は、貴方を貫き通すための力だッ!」
装者たち、七海たちも響に声をかける。徐々に黒く染まった響から、”黒”が抜け落ちていく。
「貴方のお節介をッ!」
「あんたの人助けをッ!」
「今日は、私たちがッ!」
響の友人の少女たちも、響に声を届ける。響の”黒”はさらに剥がれ落ちていく。
(――――かしましいッ!黙らせてやるッ!)
フィーネは響に向かってビームを放つ!
しかしエネルギー不足により、先ほどまでの威力はない。それでも十分脅威な威力である。
「立花ッ!」
「気をしっかり持てバカッ!」
「響ッ!」
「響さんッ!」
「立花響ッ!」
「立花響!破壊衝動なんて……」
「「「「「「「ぶちやぶれぇぇえええええ!」」」」」」」
「ゥゥゥうぁアアアアアア―――」
「響ぃぃいいいいいいッ!!」
(―――はっ)
響がはっと、目を見開く。
(……そうだ。今の私は、私だけの力じゃない……ッ!)
響の意識が覚醒していく。”黒”が次々と落ちていくのを感じる。
(そうだッ!この衝動に塗りつぶされてなるものかッ!)
その瞬間、真っ暗だった響の視界を光が照らした。
《七海side》
奇跡、ってものは、存在していると思っていた。だって神様にあったしね。
(だけど、この奇跡はそんな安っぽいモノじゃない。まさしく、本物だ)
「…………」
私が見上げる先には、光を放つ立花響がいる。全ての闇を払ってしまいそうな光だと思った。
「その力……『何』を束ねたッ!?いいや『その力』ッ!振るわせてなるものかぁッ!」
「………ッ」
立花響がデュランダルを振り上げようとした時、その顔が一瞬わずかに歪んだ。
どことなく、左手を庇っているように見える。多分フィーネに踏みつけられたところに、無理が来たんだろう。
……仕方ない。
私はマシンパックブースターを起動させ、立花響の横に移動しその左腕の代わりに、デュランダルの柄を握る。立花響が『繋いだ』おかげか、破壊衝動が湧きあがることはなかった。
見れば他の3人の装者も、響の背中を支えている。
「行くぞッ!これが最後……今度こそ決着をつけてやらぁッ!」
「クリスちゃん……」
「ああッ!」
「翼さん……」
「これで決めちまおうぜッ!」
「奏さん……」
「…まっ、左腕くらい、変わってあげるよ」
「七海ちゃん……はいッ!」
私と立花響が振り上げたデュランダルから、光の刃が伸びる。
「―――響き合うみんなの歌声がくれたッ!」
「シンフォギアでええええッ!」
【Synchrogazer】
振り下ろされたデュランダルの光の刃は、黙示録の赤き龍を容易く切り裂いていく。
その理由を私は知っていた。
「……完全聖遺物同士の対消滅。……どうしたネフシュタン。……再生だ……再生だッ!」
理由を分かっているはずのフィーネがそれでも叫ぶ。しかし、龍の身体は再生しない。
「この身砕けて、なるものかぁッ!!」
――――――光が、全てを包んだ
というわけで、決着つきました。朝から書き始めてすんごい時間かかった……。
でも自分的には、結構よく書けたと思うんです。
奏のエクスドライブ時の技が、調べても分かんなかったのでオリジナルです。
次回で無印編は終わりです。でも今日中はちょっときつい、かも。投稿されなかったら察してください。
気に入っていただけたら感想、お気に入り登録、高評価お願いします!
無印編の感想
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すごく良かった
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まあ良かった
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普通かな?
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ちょっとだめ
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う~ん、ノーコメント