とりあえず……奏さん、お誕生日おめでとう!
こういう回は書きなれてないから、時間かかった……。
錬金術師のドキドキデート
《七海side》
「服装よし。髪型よし。表情よし!忘れ物もしていないし、準備は万端。……それじゃあ、行きますか!」
姿見の前で、前髪をいじったりしていた私は、意気揚々と部屋を出る。
そう。今から私は一世一代の大勝負に臨むのだ。
「行ってきまーす…」
さほど大きくない声で、出かけることを伝える。
なぜなら
「ふぅ。丁度良い時間かな?……大丈夫かな?変な格好じゃないよね?一応立花響たちと買い物した時のワンピースにしてみたけど…」
今の私は、前に立花響と小日向未来に出会って買い物につき合わされた時に買った、淡い青色のワンピースを着て麦わら帽子をかぶっている。まだ5月なのだけど、最近は今くらいの時期でも十分熱い。冷房必須と言うわけではないが、例年の6月後半並らしい。だからこれくらいでちょうどいいのだ。
なんか周りの通行人が、私に温かい目を向けてる気もしなくはないけど、いいのだ、うん。
「な、ナナ姉え…」
かけられた声に心臓が跳ねるのを感じながら、後ろに振り向く。そこには美少女といって差し支えない
容姿に驚きはしたが、髪の色とか雰囲気、何より私の呼び方で誰かは分かった。
「その、遅れちゃったかな……?」
「い、いいや遅れてないよ!うん、大丈夫!」
「「………」」
気まずい雰囲気が広がる。
どうしよ、どうしたらいいんだ?こんな状況って、どういう風に声かけたらいいんだ!?
「と、とりあえず、行こうか。
「う、うん…」
お互い緊張しながら、目的地に向かうために歩き出す。あ、右手と右足が同時に出ちゃった……。
―――どうしてこうなったのか。そして隣にいる美少女は、いったい誰なのか。……事の発端は3日前だった。
~3日前~
「あ、キャロル……」
「な、ナナ姉え……」
フィーネとの決戦が終わり、私の周りではちょっとした変化が起きた。
「「…………」」
最近、キャロルが妙によそよそしいのだ。家の中でばったり出くわしても、顔を逸らしてそそくさと離れる。ご飯の時間になっても研究が忙しいと言って、自身の工房に食事を持って行って一人で食べたりするようになった。就寝の時には完全にセレナを間に挟み、抱き着いてすらくれなくなった……これが一番つらい。といった感じで、とにかくよそよそしい。
ついでに言えば、私もなんか変な感じがする。キャロルを見るとこう、胸と顔が熱くなって真っ直ぐキャロルの顔を見れない。そのせいで、さらにキャロルがよそよそしくなるという悪循環に陥っているのだ。
という事で、私は相談することにした。相談相手はセレナ。というかぶっちゃけセレナしかいない。
エルはさ、ほら、なんかこういうことに免疫なさそうじゃん?セレナはなんか、こういうことに耐性とかありそうじゃん、主に妄想とかで。
などと本人に聞かれたら、まず間違いなくお説教されそうな理由でセレナに相談してみたところ、セレナに呆れたような何とも言えないような表情を浮かべられ、こんなありがたいお言葉をもらった。
―――――「お二人とも、意識しすぎなんですよ。仕方ないとは思いますけど」
何が、とは言わない。薄々気づいてはいた。
バイカイザー戦の後、私はキャロルに、家族のそれとは違う感情を持っていることに気付いた。ただ、その後にフィーネのごちゃごちゃとかあって、結局うやむやになっていた。
この感情には、きちんと向き合う必要があるのだろう。
しかし、私は前世でそういった関係どころか友人もいなかったのだ。どういう風に向き合えばいいのか、まったくもって分からなかった。
そんな私を見かねたのか、セレナがこんなことを言いだしたのだ。
―――――「いっその事、デートでもしてみたらどうですか?」
頭が真っ白になった。デート?デートってあの、恋人がやるような?……無理無理ッ!ぜぇったい無理ッ!
いくら何でもキャロルとデートなんて……。
―――――「じゃあいいんですか?このままで」
……何も言い返せなかった。
それから、あれよあれよという間に、セレナの手によってセッティングが為されていった。
セレナめ、絶対他人事だと思って楽しんでるな……。
そして前日、デートなのだから外で待ち合わせをしろとセレナに言われ、私は眠りについた。
~現実~
「ここ……?」
「うん。最近できた水族館で、人気が出てるんだって」
電車に揺られること数十分。
私とキャロルはとある水族館に来ていた。デートプランについては任せると、セレナに言われていたので、デートとしては無難な水族館を選んだ。
入場料を払い、キャロルと一緒に中を進んでいく。
「うわ~!」
「すごい……」
少し進むと大きな円柱状の水槽で、小魚が大群で渦を形作るように泳いでいるのを見えた。
その圧倒的な光景に、キャロルは歓声を上げ私も小さな声で感嘆した。
「ふわッ!?膨らんだ!」
「いったいどこに隠れてるんだろ……。あ、いた……いやこれ海藻か」
その後も、水族館をコースに従って回った。
よくよく考えたら、私って前世でも水族館とか行ったことないな……。こんなにきれいなんだなぁ……。
ちらりと隣にいるキャロルを見る。
キャロルも初めて訪れる水族館に興奮しているのか、目を輝かせて周囲を見渡している。
…こうしてみると、どこにでもいる普通の少女の様だ。……いや、どこにでもいるは違うな。こんなに可愛いキャロルがいるのは、私の隣だけだ。
「これが、この水族館名物の水槽トンネルか」
「うわ〜すごいねナナ姉え」
水族館を回って、私たちがたどり着いたのは、この水族館の名物である水槽トンネル。
他の水族館にもあるようなスペースだけど、この水族館は他の水族館よりもすごいらしい。
「すごい…」
中に入った瞬間、私は目の前の光景に目を奪われた。
抑えめの照明を水が反射し、その光を水槽内の魚の鱗が反射する。沢山の魚が自由に水槽内を泳いでいる。
その光景は、さながら魚の楽園。この光景に思わず口元が緩んだ。
「綺麗だねキャロル。……キャロル?」
キャロルに声をかけるが、いつまでたっても返事が来ない。気になってキャロルを見てみると、顔を赤くしてポーッとしていた。
「キャロル?」
「ひやっ!?な、何かなナナ姉え!」
「いや、なんだか顔が赤いよ?大丈夫?」
「だ、だだだ大丈夫だから!」
いやでも顔赤いよ?
そう思ってキャロルのおでこに手を当てると、キャロルはますます顔を赤くした。
そうしてトンネルを通った私たちは、水族館のお土産コーナーに立ち寄った。
「ふぁ~!ぬいぐるみ可愛い!」
「もふもふしてる~。きもちい~」
お土産コーナーで買ったのは、ぬいぐるみとキーホルダー。ぬいぐるみは、私はイルカでキャロルは可愛くデフォルメされたサメ。
キーホルダーについては、ジンベエザメのキーホルダーをお揃いにした。
「えへへ……ナナ姉えとお揃い…えへへ」
「そんなに嬉しいの?」
「うん!ナナ姉えとお揃いだと、特別な気がする……から」
「ッ!?そ、そっか……」
今のはヤバかった。顔を赤らめて陶酔したような表情を浮かべるキャロルは、その…はっきり言ってすごく大人っぽかった。
うう……今までなら特に気にすることはなかったのに……キャロルへの気持ちを自覚してからは、こういうキャロルの仕草に反応してしまう。
私は顔の熱さを自覚しながら、次の場所へと向かう。
《キャロルside》
―――事の始まりは2日前。
「……というわけで先生。2日後にお姉ちゃんとデートに行ってくださいね♪」
「………は?」
セレナに突然言われたことに、私の頭は真っ白になった。
「―――という事ですので。当日の準備は私がお手伝いしますね」
「………はっ!?いや待てセレナァ…あ……」
気づけばなんか勝手にセッティングされていた。
そしてあっという間に日にちが過ぎていき、デート当日になった。
「さあ先生!お楽しみのデートですよ!」
「ほ、本当に行かないといけないのか…?」
「当たり前ですよ!この日の為に準備したんですから!ほら!布団から出てきてください~!」
「や、やめろーッ!」
この時、私はナナ姉えによそよそしい態度を取っていたから、ナナ姉えと顔を合わせづらかった。しかしセレナはそんなの関係ないと言わんばかりに、私が閉じこもっていた布団をひっぺがえす。
いやちょっと待て、今身体強化術式使って布団を抑えてたはずなんだけどッ!?
「は~い、お着替えしましょーねー」
「一人で着替えれるから!分かったから離せー!」
そうしてセレナの用意した服に腕を通し、用意されていた荷物を手に、セレナに見送られてナナ姉えとの待ち合わせ場所に向かった。
「えっと…ここで良いのかな?ナナ姉えは……いた。な、ナナ姉え…」
ナナ姉えらしき人物を見つけた私は、話しかけて……見惚れてしまった。って呆けてる場合じゃない!な、何か言わないと!
「その、遅れちゃったかな……?」
「い、いいや遅れてないよ!うん!大丈夫!」
「「…………」」
会話が続かない……。
それにしてもナナ姉え、よく私だって気づいたなぁ。セレナに言われて、錬金術で身長を少し伸ばしてたのに。…やっぱり私のことはなんでも分かってくれる…のかな。エへへ……はっ!?いけない、トリップしてた。
「と、とりあえず行こうか。キャロル」
「う、うん…」
どうなるんだろ、これ。
そして着いたのは水族館と言う建物。
何でも魚が展示されているらしい。よくよく考えたら、私は何百年と生きてきた割には、外のことをよく知らない。そんなに外にも出なかったし。
そして中に入った私は、年甲斐もなく興奮してしまった。
たかだか魚を見るだけ、そう思っていた私は魚たちが魅せる幻想的な世界に引き込まれてしまったのだ。
特にイルカのショーはすごかった。
「すごーい!あんなに高く飛ぶんだ!」
「ちょっ!?キャロル、そんなに乗り出したら危ないよ!ってうわっぷ!」
「キャッ!」
錬金術を使うわけでもない哺乳類が、どうしてあそこまで高く飛べるのか?そもそもイルカとはどういった生物なのか?
私の錬金術師として本能が騒ぎだし、思わず身を乗り出した瞬間、イルカが水に着水した衝撃で水が私の方に飛んできた。
「うう~。びちゃびちゃだよ。大丈夫キャロル?」
「な、なななななナナ姉え!」
「へ?……ッ!?」
「あ、あわわわわわ」
ナナ姉えにかかった水のせいで、その、下着が透けて見えたことに気付いたナナ姉えは、顔を真っ赤にしてしまいました。
因みに服はこの後、こっそり錬金術で乾かしました。
そして私たちが着いたのは、この水族館での名物の水槽トンネル。
「………」
すごかった。ずっと見ていたくなるくらいには、綺麗だと思った。
でも、私がもっときれいだと思ったのは……
「綺麗だねキャロル。……キャロル?」
光り輝く水槽をバックに、私の方を向いて微笑むナナ姉えだった。
ナナ姉えは元々とてもきれいだ。身内贔屓を差し引いても、百人中百人がきれいだと答えるだろう。
整った顔立ちにスタイル抜群の身体、青がかった銀髪が水が反射している光を受けて、キラキラと輝いてる。
「……ッ!」
ドクンッと心臓が跳ねた気がした。この感覚を、私は知っている。
胸が痛いくらいに動悸して、息遣いがほんの少し荒くなって、体中が熱くなる。…だけど、嫌な気持ちにはならない。不思議な感覚。
「キャロル?」
「ひやっ!?な、何かなナナ姉え!」
「いや、なんだか顔が赤いよ?大丈夫?」
「だ、だだだ大丈夫だから!」
ポーッとナナ姉えを見ていたら、ナナ姉えが私の顔を覗き込んでてビックリしてしまった。む~恥ずかしすぎる…。
その後はサメのぬいぐるみと、ナナ姉えとのお揃いのキーホルダーを買ってとても嬉しくかった。
今回はナナ姉えにエスコートされちゃったけど、今度は私がナナ姉えをエスコートしてあげたいな…。
出来どうでした?こういうの書いたことないから、どうなのか分かんないです。
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