ランプーさん、感想ありがとうございました!
39 爺バカとの会合
《???side》
暗い……くらい……クライ……。
憎い……にくい……ニクイ……。
この世界は愚かさで満ちている。満ち過ぎている。
だから壊すのだ。他ならない、世界に壊された私が……。
奇跡なんてくだらない偶然に縋らない。
奇跡は全てねじ伏せる。奇跡はすべて破壊する。
私は……オレは……
《七海side》
ジューッジューッと、油を滲ませながらベーコンが音を立てる。
丁度良い感じに焼けたら皿に盛り、次に卵を2つフライパンに投入する。
「ふぁぁああ……おはよ、ナナ姉え」
「おはようキャロル。もうすぐ朝ご飯できるよ」
「うん……分かった…」
眼をショボショボさせたキャロルは、寝ぼけたままリビングの椅子に座る。よく見れば頭のてっぺんにピョコッとアホ毛が立っている。
それを微笑ましい気持で眺めながら、慣れた手つきで綺麗に焼けた目玉焼きを皿に盛り付け、再び目玉焼きを2つ作る。
「おはようございます!」
「おはよーございあす……」
次に顔を見せたのは、すでに眠気から覚めているセレナと、そのセレナに手を引かれてきた寝ぼけ眼のエルだった。
セレナは朝に強いらしいのでいつも通り、エルはキャロルと同じように朝が弱いのだ。
私とキャロル、セレナとエルで部屋を分けてからは、この光景を目にすることが増えた。こうしてみると、セレナが姉でエルが妹の様だ。
「おはよう2人とも。セレナ、食パンが焼けそうだから取り出しておいて」
「はーい!」
セレナが食パンを取り分けている中、エルはキャロルの目の前の席に座る。
「おはようございますキャロル…」
「うん……おはよー、エルフナイン…」
「「ふぁあ…」」
おお……2人のあくびがシンクロしている…。可愛い。
そして新たに焼いていた目玉焼きも完成したので、お皿に盛り付けて運ぶ。
「「「「いただきます」」」」
「姉さん、今日は何かありますか?」
「私は今日は外に出かけるよ。3人は何かある?」
私の質問に、全員首を横に振り特に用事はないことを告げる。
そのまま朝ご飯を完食し、後片付けをセレナがしてくれるというので素直に甘え、私は外に行く準備をする。
ささっと準備を終えた私は、リビングにいたセレナとエルに出かけることを伝える。
「それじゃあ、行ってくる」
「はい、気をつけて」
「行ってらっしゃい、お姉ちゃん」
そのまま廊下を歩いていると、向かいからキャロルがやってきた。
「出かけるの?」
「うん。お昼前には戻ってくるよ」
「そう……気をつけてね?」
「分かってる…ん、チュ…」
「ん…」
キャロルと行ってきますのキスを交わし、私は家を出る。
外は日差しが強く、夏の訪れを予感させた。十分ほど歩くと、大きな木造の門が見える。そこが私の目的地だ。
呼び鈴を押して少し待つと、門が開かれ着物を着た女性が出迎えてくれた。
「お待ちしておりました、白黄七海様。ようこそおいで下さりました、
誘われるままに、門の内側に足を踏み入れる。まず目に映ったのは、とてもきれいに整えられた庭園だった。
私はその幻想的な光景を目に焼き付けながら、女性の後を歩く。女性も気を使ってくれたのか、その歩調はゆっくりだった。
やがて屋敷に上がった私たちは、ある部屋の前で止まり、閉じている障子の中央より少し右側に正座した。それを見た私も、閉じている障子の中央あたりに正座する。
「…白黄七海様を、お連れ致しました」
「………入れ」
「失礼いたします」
女性が障子を開けると、だだっ広い和室が見える。そしてその正面に見えるのは、着物に身を包んだ一人の老人。
「来たか。待っていたぞ、入ると良い」
「失礼します」
老人に促され、室内に入る。井草の香りがほんのりと香る室内に入り、老人の正面に用意されていた座布団に正座で座る。
「お久しぶりです。
「うむ。早速だが、本題に入らせてもらう。今回おぬしを呼んだのは、ちかじかS.O.N.G.に下されるであろう任務のことだ」
「バルベルデ…のことですか?」
「そうだ。やはりおぬしの方でも調べていたか」
そう。今回私がこの風鳴邸に来たのは、目の前にいる人物――風鳴訃堂に呼ばれたからだ。原作第3期で風鳴翼とは少なからず因縁があることが分かったけど……4期と5期も見ときゃよかった。たしか風鳴八紘って人の奥さん寝取ったんだよね?ただ、調べてみた限りその様子はないらしい。
話は戻り、訃堂のお爺さんの言葉に、今回呼ばれた理由を察する。
バルベルデ共和国。ここは未だに紛争が続く地域として有名であり、私も少しばかり調べている地でもある。
「国連も軍を派遣しているが、どうやら押され気味らしい」
「……理由は?」
「どうやら、正体不明の部隊が関わっているらしい」
「正体不明?」
「そうだ。一か月前、国連がバルベルデの紛争に介入する為に、さらなる軍を派遣した。……そして3日で壊滅した」
「なッ!?………その下手人が、正体不明の部隊と?」
「生き残っていた軍人の話では、夜に暗闇の中から奇襲を食らったらしい。直前で気づきはしたが、いかんせん発見時の距離が近すぎたために、対応が遅れた。そして、どれだけ撃っても、その部隊は怯むことはなく弾丸は途切れなかったらしい。もっとも、その軍人は錯乱状態に近かったため、確実とは言えんがな」
おかしな話である。だが、国連の軍が3日で壊滅するというのは、明らかに何かあるとしか思えない。
しかし、これでS.O.N.G.の任務とやらが分かった気がする。
「つまりその任務とやらは、バルベルデで暗躍する何かを暴きその捕縛、というわけですか?」
「うむ。反乱軍は国連に構っている暇はないはず。……となれば、おそらく国連の軍を襲ったのはバルベルデの現政権だろう」
「中々めんどくさそうですねぇ。……分かりました。私たちも最善を尽くしましょう。………それで、本題はなんですか?」
バルベルデについては、また後で考えるとして、私は訃堂のお爺さんに今日の本当の要件を聞く。
「……なんのことだ?」
「こんな後でも分かりそうなことを伝えるために、わざわざ呼び出す必要ないでしょう?…大方、翼の様子が聞きたいのでしょう。だったらもっと適任がいるじゃないですか。もしくは部下に調べさせるとか」
「むぐ……」
私の呆れた声に、訃堂のお爺さんは口ごもる。
ちなみに翼をフルネームではなく下の名前で呼んでいるのは、本人からそう言われたからだ。特に断る必要もないし、そう呼ぶことにしてる。
そして訃堂のお爺さんは、口を開いたかと思えば、子供の様な言い訳を並べだす。
「し、仕方ないではないか!部下に聞こうものなら、わしの威厳が崩れ去ること間違いないであろう」
「息子さんたちは?」
「八紘たちにすら厳しく接してしまっているというのに、翼の様子を聞こうものなら、あやつを贔屓しているようなものだぞ!」
「じゃあ、自業自得じゃないですか!?」
「だからおぬしに聞いておるのだ!」
……これが風鳴家現当主 風鳴訃堂の本性である。原作での外道さはまるで見当たらず、厳しながらも身内を愛しているという『真っ白』さである。
おまけに翼に関してはかなり溺愛している様子で、前に訪れた際、彼の着物から風鳴翼の初回限定完全予約生産のアルバムCDが転がり落ちた時は、空気が完璧に凍りついた。
そのことで完全に吹っ切れたのか、私に翼の様子を教えろと言ってくるようになった。それだけ孫を溺愛しているのだろう。
「ええい!いいから話さんか!翼の様子を!」
「貴方部下から報告受けてるでしょ!それで我慢してよ!」
「ばかもん!それでは装者としての活動しか分からんではないか!」
「だったらいっその事、ちゃんと事情を話せばいいのでは?」
「そんなことができると思うのか!?」
「ええ……」
しかし実際はどうだろう。訃堂のお爺さんとその息子たち、翼の間には酷い軋轢は無いものの、その厳しさが災いして、そこまで仲は良くないらしい。
しかも、息子や孫とどう接すればいいのか分からず、結果的に厳しめな態度を取ってしまったという、果てしなく誰得なツンデレなので何も言えない。このことを知ってるのは、私と訃堂のお爺さんの奥さん、それから風鳴八紘さんの奥さん、そして先ほど私を出迎えてくれた侍女の早苗さんだ。
その後も、翼の様子を教えろと迫ってくる訃堂のお爺さんを押しとどめ、最後に彼の頼みごとを引き受けた私は風鳴邸を後にするのだった。
《訃堂side》
それは、遠い昔の記憶。
「翼…我ら風鳴の一族は、代々この国を守り支えてきた。この国を守護するもの、それを防人と呼ぶ」
「さきもり……?」
「そうだ。民を守り、国を守らんと戦ってきた偉大な先逹のように、強くなれ。翼」
「うん!分かった…!」
わしは書斎で、弦十郎からの報告書を読んでいた。報告書を読み終えると、わしの秘書でもある侍女の早苗が声をかけてくる。
「……ふむ。錬金術師、仮面ライダー、か」
「はい。2課の報告では、敵対的な行動はとっていないとのことです。また、彼女たちの正体については、櫻井様…フィーネ様からの情報だと」
「そうか……(敵かどうかはハッキリしないが、ノイズを倒し尚且つこちらの装者を救ったとなれば……よし)」
「早苗、準備を頼む」
「実際にお会いになるのですか?」
「そうだ」
「危険です」
「仮に俺に何かあっても、優秀な息子たちがどうにかする」
「………準備を整えておきます」
そう言うと早苗は部屋を出て行った。優秀な秘書である早苗ならば、そう時間はかからんだろう。
「おぬしが錬金術師、白黄七海とやらか?」
「そう言うあなたは?」
それから数日後、ノイズが複数の箇所に出現し、例の錬金術師も装者と別地点で戦闘していると聞いたわしは、白黄七海と接触した。
「私は風鳴家当主 風鳴訃堂。おぬしと話をしてみたくな。こうして参上した次第だ。因みにここでのことは二課には伝わっていない」
「話、ねぇ……。何が聞きたいの?」
「……おぬしは、何が為に戦う。その力、誰が為に振るう」
「家族」
「…そうか。ならば、こちらから提案がある」
彼女の答えは、一切の取り繕いがなく、スッと心にしみわたった。
信用できる。そう考えたわしは、彼女に提案した。
今の所、二課と手を組むつもりがない彼女を裏から支援すること、それが彼女に提案したことだ。もちろん素直にうなずくことはなく、裏があるのではないかと疑われたが、彼女が民を守っているのに変わりない、だからその支援をしたいと伝えると納得してくれた。おそらく、私が本心からそう言ったのを悟ってくれたのだろう。
しかし、彼女からも条件を出された。それは彼女が良いというまで、今回のことを二課に伝えないこと。手を組むつもりがないと言っていたため、わしはこの条件に頷いた。
そしてわしらは、裏で手を取り合い、時には彼女を家に招いたこともあった。
だが、懐に持っている翼のCDを見られてしまった時は、一生の恥だった。
「……ええっと」
「おぬしは何も見ておらん。いいな?」
「いや、あの……別にいいと思いますよ?」
今思い出しても羞恥心で切腹しそうになる……!
だがそのおかげで、翼の普段の様子を聞けるようになったのは不幸中の幸いだった。報告書では戦闘のことしか分からんからな。
そんなこともあってか、彼女とは信頼関係を築くことができ、たまには口調を崩して話し合うぐらいの仲になった。
「バルベルデ……波乱の予兆でなければいいが……」
「あら、七海ちゃんは帰られたのかしら…?」
外の庭園を眺めていると、妻がやってきた。
妻は七海を好ましく思っているようで、毎回会えるわけではないが、たまに会った際は抱擁したりしている。今回も会えなくて残念がっている。
「(何とも不思議な者だ。翼を、装者たちを頼むぞ。そして翼、必ず生きて戻ってこい……)」
再び庭園に向き直り、そう願わずにはいられなかった。
4期、5期が消えちゃったから仕方ないね。詳しくは「1 異世界行ってみよっか?」を読み返してね!
因みに寝取ってないから、ちゃんと奥さんいるよ!
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キャラクター紹介
白黄七海/仮面ライダーグリス
姿は19歳程度で、青みがかった銀髪が特徴。天才の姉を持つ。
両親からの過度な期待や学校でのいじめなどを苦に自殺、神様の手によって、戦姫絶唱シンフォギアの世界に転生する。
原作は3期まで視聴済み。キャロルに惚れ、キャロルに違う未来(幸せな未来)を歩ませることが目的。
神様にお願いして仮面ライダーグリスに変身できるようにしてもらった。グリスにした理由は、家族や仲間と言った繋がりを大事にしていたグリスに、憧れを持っていたから。
変身ポーズは、某ドルオタと同じか某ヒゲと同じ。
仮面ライダービルドのみ視聴済みだが、神様にランダムで他の仮面ライダーの知識が欲しいと言ったことで、ゼロワンの知識を得る。
セレナと奏といった原作死亡キャラを救っており、セレナに関しては家族として迎え入れ、彼女の信念、夢を叶えるための力を与えている。
神様に頼んで学習能力、記憶能力が上がっており、錬金術を修めている。
キャロルとは、恋人関係。
家族であるキャロルたちを優先するが、それでも他人を平気で見捨てることはしない、根は優しい人物。
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