《3人称side》
「それでは、これより任務について説明を行う」
S.O.N.G.の拠点である潜水艦の司令室では、響を始めとしたシンフォギア装者たち、そして七海陣営のキャロルたちが集まり、作戦会議が始まろうとしていた。
「それよりおっさん」
「どうした?」
「なんで七海がそっち側なんだよ?」
そっち側というのは、七海が弦十郎の隣にいることだ。その立ち位置はあたかも装者たちよりも、高い地位にいることを表しているようである。
「知ってのとおり、俺たちと七海くんたちは協力関係にある。そして七海くんは、彼女の陣営の代表となっているからだ。知ってのとおり、七海くんたちとは協力関係であり、そこに上下関係がない。もっとも、各国を刺激しないようにするための方便だがな……」
「ふーん。でもよ、七海にそういう、おっさんみたいなことできんのか?」
「私これでも貴女たちより年上だよ?」
七海がジトーッとクリスを見つめる。その圧に負けたクリスは、思わず顔を背ける。
「わ、悪い……」
「……まあいいよ。それより今回の任務についてだね」
「これを見てくれ」
正面の巨大なモニターに、様々なデータが映し出される。
「バルベルデ共和国。この国では現政権の圧政が敷かれていたのだが、反乱軍が決起したことで紛争地帯となっている」
「バルベルデ……ッ!」
「大丈夫クリスちゃん?」
「ああ……問題ねえ」
バルベルデ共和国は、クリスにとってトラウマともいえる地域である。彼女がテロによって天涯孤独になった後、人身売買を行っている組織に捕り地獄を見た場所でもある。
そのトラウマに震える体を、両腕で抱きしめて無理矢理落ち着けようとする。それを見た響が声をかけたことで、なんとか気分が落ち着いた。
それを見ていた七海は、しかしあえて見て見ぬふりをする。
「質問、いいかしら?」
「なんですか翼?」
「バルベルデ共和国で起きている紛争が、放っておける問題ではないことは分かる。しかし、私たちの立場で介入をしても大丈夫なのか?」
当然の質問である。S.O.N.G.が専門とするのは、主に救助活動、そして超常的な事象への対応である。
紛争という見逃すべきではない問題とはいえ、彼女たちが介入することは難しい。
だが逆に言えば、超常的な問題があれば話は別である。
「翼の疑問はもっともだ。故に、今回の俺たちの介入には、それなりの理由がある。これを見てほしい……見るのが辛ければ、耳を塞いで目を逸らしてくれ」
そう言ってモニターに流れたのは、暗闇の中で響く怒声、それに重なるように鳴り響く銃声、さらに薄っすらと国連の軍人らしき人物も映ってる。幸いというべきか、暗闇のおかげで具体的なことまでは分からないが、何が起こっているのかは薄々察することができる。
「これって……」
「今から一ヶ月前、国連の軍がバルベルデ共和国に軍を送り、3日で壊滅したという。これは、その時の映像だ」
「なッ!?」
弦十郎の言葉に、装者たちは驚愕する。キャロル、エルフナインは表情に出すことはなかったが、それでも驚いてる様子だった。
「……七海、壊滅した原因はなんだ」
「数少ない生き残りの話だと、どうやら夜、暗闇に乗じた奇襲をかけられたらしい」
「なるほど……これは確かに妙だな」
「そうか……?言っちゃ悪いが、奇襲をかけられたってなら別に人間でもできるだろ?」
未だに驚きから戻ってこない装者たちの代わりに、キャロルが話を聞き出す。
七海の話からキャロルは何かに思い当たるが、奏は特におかしい話ではないと否定する。
しかしキャロルが気になったのは、そこではないと言う。
「そこではない。オレが気になったのは、3日で壊滅したという事だ。たった一度の奇襲で、軍のほとんどが皆殺しにされることがあるか?」
「それは…たしかに……」
「いくら奇襲をかけられたとしても、相手が普通の人間なら損害もでるはずだ。反乱軍は国連の軍を攻撃するメリットはないはずだし、その反乱軍と交戦しているバルベルデ共和国の現政権に、そこまでの戦力があるとは思えん。……考えられるとすれば」
「何らかの聖遺物、または、それらを扱う現政権の協力者がいるということ、ですか……」
キャロルの考えを引き継ぐように、エルフナインが答える。七海はその回答に満足し、自身の考えを述べる。
「さすがだね。2人の言うとおり、国連もそう睨んでいるようでね。国連の調査によると、軍が反撃したにも関わらずなぜか襲ってきたやつらの死体はなかった。わざわざ持って帰るとは思えないし、ということは相手側に死者は出なかったことになる。でも、キャロルが言ったように相手が人間ならば、軍の反撃で死者が出ないと言うのもおかしな話」
「俺たちの任務は、このことを調査し、聖遺物があればそれの確保、裏側に潜む者がいれば捕縛だ。とはいえ、現地ではバルベルデ共和国の軍による反撃が予想される。その際は出来る限り無力化することも、任務の内に入っている。」
任務の内容について、弦十郎が説明するが、装者たちは最後の内容に違和感を持ったようで首を傾げる。
「最後の内容に疑問を持ったみたいだけど、それも当然の話だよ。国連からすれば、私たちが調査の一環でバルベルデ軍を無力化することを期待しているの」
「じゃあ、私たちの任務って……」
「武力干渉の正当化、奇襲が超常的なものであろうとなかろうと、それができるキッカケになったってところだね。がっかりした?響ちゃん?」
「……それでも、紛争で悲しむ人が減るんだよね?だったら、私やります!」
「他のみんなも……覚悟は決まってるね」
周りを見渡した七海は、装者たちの顔つきを見て、満足そうにうなずく。
弦十郎が話を引き継ぎ、最終確認が行われる。
「それでは、作戦を確認する。と言っても、七海くんが言った通り国連は軍の無力化も狙っており、それによって巻き込まれる人間が減ることは、俺たちも望むところでもある。よって、先行している住民保護のための部隊と合流後、軍の無力化を開始する。だがこれは陽動であり、その隙に本来の任務を遂行することになる」
「もちろん住民保護の為に何人か残しておくことになるから、部隊は3部隊になる。バルベルデ軍の無力化には、立花響、風鳴翼、雪音クリスが。リーダーは翼を」
「はいッ!」
「承知した」
「ああ」
「次に奇襲部隊の調査は、私とキャロル、セレナで行う」
「ああ」
「分かりました!」
呼ばれた者が次々と返事をしていく中、住民の防衛のメンバーの言っていく。…のだが、その人員に装者たちから疑問の声が上がる。
「最後に住民のいる村を防衛するメンバーを。暁切歌、月読調……そして、マリア・カデンツァヴナ・イヴ」
「ええッ!?マリアさんも戦うんですか!?」
「でも、マリアはシンフォギアないデスよ!」
「…危険すぎる」
「大丈夫よ。これがあるもの」
そう言ってマリアが取り出したのは、シンフォギアの待機状態である紅いペンダント。
「デデス!?新しいシンフォギアデス!?」
「それはちょっと違うわね。これはアガートラーム。セレナが持っていたシンフォギアよ」
「今回の任務は人手がいる。だから、セレナが持っていたアガートラームを、彼女に合わせて調整して、装者になってもらったの。もちろん、それなりの訓練はしてもらったよ」
「……ハハハ…ええ、それはもう、本当にきつかったわ……ハ、ハハハ……」
「だ、大丈夫か、マリア……」
まるで魂が抜けたかのように笑うマリアに、周りの装者たちは軽く引いてしまう。翼が声をかけるも、マリアは乾いた笑いしか零さない。
皆が知る由もないが、マリアは受けた訓練は他でもない弦十郎考案の、超強化特別訓練メニューなのだ。通常の訓練と何がどう違うのかというと、その全てが弦十郎を基準に作られていると言うところにある。「憲法に抵触しかねない男」「歩く戦闘兵器」といった不名誉な称号を、あちこちで授かっている(なお本人は知らない様子)ほどの戦闘能力を持つ弦十郎が、自分基準で考えた訓練メニューなど地獄以外の何物でもない。因みに弦十郎を基準にするように言ったのは、七海であることは秘密である。
もちろんマリアは、その厳しさに根を上げそうになったが、切歌たちに守られるだけでは嫌だと修行に食らいついた結果、立派に戦えるほどに成長した。ちなみに訓練メニューは走り込みや打ち込みといった、基礎力を上げるものから始まり、最後は弦十郎が認めるまで、彼との模擬戦という地獄である。
その間、S.O.N.G.の仕事はどうしたと言いたいが、マリアの訓練が終わると、櫻井了子やオペレーターの藤尭朔也、友里あおいらが、一斉に解放された表情をしていたことから察してほしい。
「……以上が詳細だ。今はバルベルデに向け航行中であり、到着と共に作戦を―――」
「―――ッ!?司令!」
弦十郎が話を閉めようとした瞬間、朔也の声が司令室に響く。
「バルベルデに先行していた軍より救援要請!住民がいる村を護衛していた軍が、襲撃を受けているようです!」
「なんだとぉッ!?」
司令の訓練=超強化 の方程式、あると思います。
まあマリアさんはそういう戦闘訓練を受けていなかったので、戦闘力的には原作とほとんど変わりません。
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キャラクター紹介
キャロル・マールス・ディーンハイム/仮面ライダーバルカン
本作のヒロイン。
転生した七海によって、その運命が変わった幼女。
原作と違い、父であるイザーク・マールス・ディーンハイムの最後の言葉(命題)を聞いたため、その命題を行動の糧として、原作同様の方法を使い数百年の時を生きる。
なお、火刑に処されなかったために父親の命題は、原作でエルフナインが悟った内容と違う。
性格は、基本的には原作同様の口調、性格だが、家族の前(気が緩んでいる時)や七海と接する時は、無邪気で過去の口調、性格になる。七海は前者をお仕事モード、後者を甘々モードと呼んでいる。
家族を何より大切に思っており、家族の為ならば他を切り捨てる覚悟を決めている。それでも、簡単に見捨てることはしないため、心優しい女の子であることに変わりない。
原作同様に、その天才的な才能で錬金術を修め、七海が書き起こしていた設計図から、「ショットライザー」と「シューティングウルフプログライズキー」を制作。家族を守るための力として使用していく。
変身ポーズは銃口を上に向けて引き金を引く。
シューティングウルフは銃弾を体で受ける。パンチングコングは銃を持った手で裏拳。アサルトウルフはオオカミの幻影がキャロルに噛みつく。
その戦闘技術にも天賦の才を持っており、仮面ライダーバルカンとして戦う際は、その射撃能力、戦闘技術をいかんなく発揮し、遠近両方の戦闘に対応する。
七海とは恋人関係であり、七海とのスキンシップを恥ずかしがるが、それでも拒むことはない様子。
最近は、何やら頭痛に悩まされているようだが……?
好きな戦闘シーンはどれ?(作者が個人的に好きなシーンの中で)
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オーバーグリスのデビュー戦
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バイカイザー戦
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七海と黒夜の決着
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フィーネとの決戦
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他のシーンが良かった