錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

54 / 103
珍しくゼロワンをリアタイで見れたぜ!
来週が気になりすぎる!


44 哲学兵装

《七海side》

 

アウラネルとの戦闘から一週間後。私たちは日本に戻ってきていた。

私がアウラネルを撃退し村に戻ったあたりから、バルベルデ軍の方に戸惑いが広がっていったという。

また、この間に国連の別動隊がバルベルデ共和国の政府と交渉して、戦闘を停止することを受け入れ、反乱軍との話し合いの席を作ることを約束したらしい。反乱軍の方も、国連の仲介によって話し合いの場に応じることになった。

あまりにもうまくいきすぎだとは思うが、どうやら現政権の中にも今の状況をよく思わない人物がいたらしい。その人物の一派によって、圧政を強いていた幹部らを取り押さえたという。結局は、バルベルデ現政権も一枚岩ではなかったという事だろう。

ただどーしても納得できないことがある。

国連の別動隊の件、風鳴弦十郎にしか伝えられていないというのだ。

 

 

―――というわけで、事情を聴きに風鳴邸に来たのだが……。

 

「どういうことですか?あなた?」

「………いや、そのじゃな……」

「なんですか?もっとはっきり言ってくださらなければ、聞こえませんよ?」

「……ハイ……」

 

座布団に正座している私は、目の前の夫婦喧嘩…いや、奥方による家庭内裁判が行われていた。2人しかいないけど……。

 

「それで、申し開きはあるのですか?」

「あの…その……」

 

訃堂のお爺さんが、私に助けを求める視線を投げかけてくる。

なぜこうなったのかと言うと、私が風鳴邸にお邪魔してすぐに、訃堂のお爺さんの奥さん―――華夜さんと出会った。

華夜さんは私のことを好意的に思ってくれているらしく、会うたびに抱き締めてくるほどなのだけど、今回の要件をついうっかり話してしまったのだ。

別に一から十まで全てを言ったわけではない。ただ少し困らされたことがあったから、話を聞きに来たと言っただけだ。

そしたら、まさかの華夜さん大激怒。家庭内裁判の始まりである。

 

「あの、華夜さん。お気持ちは嬉しいのですけど、話が進まないのでそろそろ……」

「あらやだ。ごめんなさいね~」

 

これだけ好意的に思ってくださるのは嬉しいのだが、私としても目的の方をさっさと果たしてしまいたいので、どうにか家庭内裁判を止めてもらう。

 

「大丈夫ですか……?」

「ああ……」

 

かなり精神的に参ってるみたいだけど、私の気になることを聞かせてもらうとしよう。

 

「それで……」

「分かっておる。バルベルデ共和国の革新派のことじゃろ?」

「革新派…?」

「そうじゃ。バルベルデ政府には、革新派と保守派がおってな。保守派は反乱軍との紛争が続くことをよく思わず、制圧後のバルベルデを保守派に任せることを条件に、国連と話をつけていたのだ」

 

私が聞きたいのはそこではない。私が聞きたいのは、どうしてその事を伝えなかったのかだ。

それを言うと、訃堂のお爺さんは渋い顔をした。

 

「無茶を言うではない。国連の上層部のほとんどは、おぬしを味方にすることの利益を分かっておる。しかし、おぬしたちを危険視する者がいないわけではない」

「つまり、荒波を立てないようにするために、私に作戦のことを伝えなかったというわけか」

「そういうことだ。おぬし達にバルベルデ軍を抑えてもらい、その間に米国の特殊部隊隊長アーサー殿率いる別動隊が保守派と合流。戦闘行為を停止するように呼びかける。それが本当の作戦じゃ」

「言いたいことはいくつかあるけど、とりあえず私のことを考えてくれていたことでチャラにするよ」

 

聞きたいことは聞けたので、とりあえずお暇するとしよう。

 

「それじゃあ、お邪魔しました」

「うむ。……バルベルデでの例の部隊の話は聞いている。気をつけておけ」

「分かってる」

 

風鳴邸を出て、家に戻る。その後にキャロルの工房に向かう。

 

「キャロル」

「ナナ姉え……頼まれてた物、調べ終わったよ」

「さすがキャロル。それじゃあ、2人も呼んで行こうか」

 

キャロルとセレナ、エルを伴い、S.O.N.G.の拠点に向かう。

司令室に着くと、すでに装者たちもそろっていた。

 

「よし!七海くんたちも来たことだし、そろそろ報告を始めるとしよう!」

「それじゃあ、まずはキャロルちゃんの報告からお願いしようかしら?」

「分かった」

 

そう言ってキャロルは、S.O.N.G.のモニターにいろんな写真やデータを映す。

 

「1週間前、オレ達調査班が手に入れた欠片のことだが……調べてみたところ聖遺物の欠片だという事が分かった」

「確かに、あれを私たちが持ちだしてから、バルベルデ軍の兵士が正気に戻った。兵士の正気を失わせるなど、聖遺物ぐらいしか思いつかない」

「なんの聖遺物の欠片か、分かったのかしら?」

「当たり前だ、櫻井了子。しっかりと解析結果が出た」

 

手元のリモコンを操作し、新たなデータを映す。

 

「解析した結果、私たちが奪取した欠片は完全聖遺物「エクスカリバー」の欠片だという事が判明した」

 

キャロルの言葉に、その場の全員がザワザワとどよめき始める。キャロルが大きめの咳払いをし、再び報告を始める。

 

「ん、んんッ!それでは、報告を続けるが…」

「はい!キャロルちゃん質問!」

「……なんだ?」

「エクスカリバーって、あの有名な剣のことだよね?」

「そうだな。かの有名なアーサー王が授かったと言われる、俗にいう聖剣の類だな」

 

聖剣エクスカリバー。

『アーサー王伝説』に登場する聖剣。ブリテンの王であるアーサー王が、魔術師マーリンの弟子である湖の貴婦人から授かったとされる剣。

しかし、それがどうして兵士の異常と関係があるのか。

 

「はいはい!その欠片がすごい物ってのは分かったデスけど、それでもどうして兵士さんたちがおかしくなったデスか?」

「確かに、聖剣の欠片でおかしくなったっていうのは……」

「それなんだが、どうやらこの欠片に手が加えられているようでな」

「手が加えられている?」

「エクスカリバーの特性は、決して折れず壊れず、千の松明を集めた様な輝きを放ち、あらゆるものを両断するというものだ。しかしこれは確実なものではなく、所謂『そう伝えられているからそういうもの』だ」

「ああ?どういうことだよ」

「つまりね。皆がそう思っていることが特性になるのよ。エクスカリバーで言えば、『本当にそう言う能力か分からない物は、現代に伝えられている伝承が特性になる』のよ」

 

キャロルの説明に頭を捻る人たちに、フィーネが説明する。

これについては、シンフォギア原作で言う哲学兵装を思い浮かべてほしい。

剣と定義する物をすべて破壊する「剣殺し(ソードブレイカー)」と言う物が原作で出てくるのだが、翼にとっては天敵と言える兵装である。

しかし、これについては剣と定義されなければ発動せず、翼は原作で自らを剣ではなく翼と認識したことで破っている。このことからソードブレイカーは、一定の範囲内の人間の全員が剣と定義することが条件だと思われる。

エクスカリバーは、この範囲を広げた哲学兵装と言うべきだろう。

 

「それで話を戻すが、この欠片はどうやら、その特性を捻じ曲げられているようだ」

「特性を、捻じ曲げる……?」

「ああ、この欠片の元はエクスカリバーで間違いない。しかし、この欠片の特性がどうも捻じ曲げられているようでな」

「その特性は……?」

「……『王としての支配』だ。全く関係のない特性は持つことはありえない。おそらくこれは、使用者であるアーサー王になぞられたものだろう。王として、などと言ったがその実態はただの洗脳とほとんど変わらん」

「そしてそれを仕掛けたのは……」

「アウラネルどもだろうな。とりあえず、俺からの報告は以上だ」

 

キャロルからの報告が終わり、次に弦十郎からの報告がされる。

 

「次は俺からだな。バルベルデ共和国については、完全に軍の撤退が決まった。例の奇襲部隊についても、アウラネルたちによるものだという事になった。どうやら、アウラネルたちと旧政府の一部幹部たちが繋がっていたらしい」

「なのに例の欠片で操られていたと……皮肉なものね」

「そうだな。しかしこれでバルベルデの件は終わりだ。引き続きアウラネルたちについても、その動向を調査する必要があるのは確かだ。ちかじかそれについての任務が言い渡されるだろう」

「紛争で苦しむ人が減っただけでも、私たちが戦った意味はありましたね!」

「ああ!響くんの言うとおり、少なくとも紛争が終わったのは、君たちの協力のおかげでもある!だから、今回の任務についてはみんなにご褒美を用意してあるぞ!」

 

弦十郎の言葉に、装者たちは目に見えてワクワクし始める。

しかしご褒美か……そろそろあの時期だし、ご褒美ってもしかして……。

 

「今は6月の最終日。明日には7月だ。そして7月の後半からと言えば―――」

 

 

 

 

 

 

 

「―――夏休みだッ!!」

 

 

 

 




ソードブレイカ―の設定については、自身の考察が入っています。
いろいろ調べても、能力発動の詳細な条件がよく分からないんですよね。ファラさんと翼さんの決戦の時に、自身を翼と定義したことで打ち破ったという事は、相手が剣と定義しなければいいのかと思ったんですが、それでも振るっているのは剣という認識は少なからずあると思うんです。
ということは……などと考察の沼にハマっていくので、条件に付いては本編のように、少々曖昧な条件にしました。なので、矛盾があっても見逃してください。
これについては皆さんの意見とかも聞いてみたいですね。

気に入ったら感想、お気に入り登録お願いします!

キャラクター紹介

宵姫黒夜/仮面ライダービルド
七海の前世での義姉。血のつながりはない。
所謂天才と言われる部類の人間であり、親からあらゆることで一番を求められる。
努力に関してはピカイチの才能を持つ七海と出会ってから、灰色だった人生に変化が訪れる。
唯一自身を越えられる人物として七海を可愛がっていたが、親が七海にも黒夜と同じことを求め始めたので、その努力の才能を腐らせないように、七海を遠ざける。
しかしストレスに耐えきれなかった七海が自殺、更にその遺体を親が自身の利益の為に遺棄したことで、黒夜自身にも知らずの内に溜まっていたストレスが爆発。
その狂気に従うままに、親を社会的に破滅させ、自身も自殺をする。
その後、七海を転生させた女神に黒夜を転生させられ、フィーネに自身の才能を見せつけ保護してもらい、以降しばらくをフィーネの屋敷で過ごす。
しばらくして、クリスとも出会いその中を深める。
七海が見ていたことがキッカケで、自身も見ていた仮面ライダービルドから、ビルドドライバー、擬似フルボトル、その他武器を制作。
そのまま仮面ライダービルドとして、様々な戦いを繰り広げる。変身ポーズは特にとらない。
七海との初戦闘でフルボトルを奪い、ハザードトリガーをも作成。
最終的にはオリジナルフルボトルである「シンフォギアフルボトル」、「ソングフルボトル」、「イチイバルフルボトル」を作成した。
自身の狂気には気づいており、後戻りできないことも自覚していた。そのため最後に、自身を超える可能性を持つ七海に倒してもらうことを望み、七海との最終決戦に向かう。
そして七海との最初で最後の、本気を出した決戦で七海に敗北。
その後、アウラネルの奇襲からクリスを庇い致命傷を負う。
さらにその身は、ハザードトリガーの過剰使用によって長くないものであり、制作していたオリジナルフルボトル「イチイバルフルボトル」をクリスに託し、その身は粒子と化した。

好きな戦闘シーンはどれ?(作者が個人的に好きなシーンの中で)

  • オーバーグリスのデビュー戦
  • バイカイザー戦
  • 七海と黒夜の決着
  • フィーネとの決戦
  • 他のシーンが良かった
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。