錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

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アカツキノソラ様、感想ありがとうございました。

やっぱり、感想はモチベに直結しますね。


48 絶望のプロローグ

《三人称side》

 

「この力は、このオレにこそ相応しい!……変身ッ!」

《パーフェクトライズ!》

《When the five horns cross,the golden soldier THOUSER is born.》

《Presented by Alchemist!》

「仮面ライダーサウザー……。憶えておけ、これが奇跡の破壊者だ……!」

 

そう語るキャロルの気迫は、今までの比ではなかった。

装者たちも、S.O.N.G.の人間も、七海でさえも、誰も目の前の光景を受け入れ処理することができなかった。

しかし、その中でセレナが唯一何かを堪えるように震えていた。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…。ウ、ウアアアアアアアアッ!!」

「セレナッ!?」

 

雄叫びを上げながら、スラッシュライザーを片手にキャロルへと斬りかかる。

普段の姿からは想像できない、突然のセレナ豹変にマリアたちは面食らった。

 

「フン…。セレナよ、最後の授業をしてやろう」

《サウザンドジャッカー!》

「ウアアアアッ!」

 

キャロルの右手に、槍と剣を組み合わせたような武器「サウザンドジャッカー」が現れる。

セレナの初撃をサウザンドジャッカーで受け止め、それ以降の攻撃を体を軽く動かすだけで躱していく。

 

「このッ!……ぐッ!?」

「……最後の教えだ。お前では私に勝てない」

《ジャックライズ!》

「ウアッ!?ウグアアアアアッ!?」

 

キャロルが、セレナの左肩に打ち付けたサウザンドジャッカーの柄にあるレバーを引く。

セレナの身体をスパークが這いずり回り、その動きが鈍くなる。

レバーを引いたキャロルは、セレナを蹴り飛ばす。

 

「キャッ!」

「バーニングファルコンのデータ、貰っていくぞ」

《JACKING BREAK!》

 

トリガーを押しレバーを戻すと、セレナに向けてサウザンドジャッカーを振るう。

 

「ハアッ!」

 

JACKING

 

 BREAK

 

「アアアアアッ!?」

 

振るわれたサウザンドジャッカーから、不死鳥を模した斬撃が飛び、セレナを爆炎に包んで吹っ飛ばした。

 

「セレナァ!」

「クソがぁあああ!」

「翼!クリス!奏!ダメだッ!」

 

セレナが吹き飛ばされるのを見て、マリアが悲痛な叫び声を上げる。

クリスは激昂し、七海の静止に構わず、翼と奏と共にキャロルに向かって駆け出す。

 

「キャロル!どういう理由があろうと、今の貴方を放っておくわけにはいかない!」

「貴様ら程度で、オレを止められるとッ!」

「止めるんだよッ!」

 

クリスがガトリングを撃つが、キャロルは一向に気にすることなく、銃弾は黄金の装甲に弾かれる。

続いて翼と奏が斬りかかるが、キャロルはサウザンドジャッカーで防ぐでもなく、ましてや躱すこともなくその身で受ける。しかしキャロルにダメージはない。

 

「なッ!?」

「これが貴様らと、オレの差だ。よく憶えておけ。そして……絶望に震えろ」

「グァ!」

「おわっ!」

《サンダー!》

 

2人を殴り飛ばし、ライトニングホーネットプログライズキーをサウザンドジャッカーに装填する。

 

《Progrise key confirmed. Ready to break》

《HACKING BREAK!》

「ヌンッ!」

「「「うわああああッ!」」」

 

HACKING

 

 BREAK

 

キャロルが高く掲げたサウザンドジャッカーから、天の裁きのごとく雷撃が放たる。

クリスの展開したリフレクターを突き抜け、3人を雷撃が襲う。

 

「翼さん!クリスちゃん!」

「あ、ああ……」

「…こんな、どうしたら……」

「(まずい……。あの3人でさえ、簡単にあしらわれる。これ以上の戦闘は危険すぎる!)」

 

戦闘経験が少ない切歌と調は、キャロルの強さに恐怖し、身体を振るわせるばかりで動くことができない。

それを察したマリアは、すぐに司令室に通信を入れる。

 

「司令室?これより撤退するわよ?」

『ああ!マリアくんを中心に、撤退をしてくれ!』

「……私が殿を務める。彼女たちを回収して、速やかに撤退して」

「えッ!?ちょっと!」

 

先ほどの不意打ちのダメージがある程度回復した七海が、キャロルに向かって駆け出す。

 

《ロボットイングリスゥ!》

「キャロルゥウウウッ!!」

「来たか……」

「ウアアアアッ!!」

 

七海の拳がキャロルを捉える。しかしキャロルは何もしない。

次々と七海の拳打が、キャロルに叩き込まれていく。

そして強力な一撃で後退したキャロルに、七海は拳を振り上げ――――

 

「………ナナ姉えッ!」

「ッ!」

 

キャロルの呼びかけに、七海の拳はスレスレで止まった。

 

「キャロ、ル……」

「ナナ姉え………甘いな」

「ガッ!?」

 

キャロルの声に希望を感じた七海を現実に引き戻したのは、残酷にもスクラッシュドライバーに突きつけられたサウザンドジャッカーだった。

 

《ジャックライズ!》

「う、グア、アア…」

 

七海の身体にスパークが走り、七海は膝をついてしまう。

 

「ふん……そうやって貴様は、何も守れはしない」

「キャロル……」

《JACKING BREAK!》

「終わりだ。グリスのデータ、貰っていくぞ。フンッ!」

 

JACKING

 

 BREAK

 

「ぐ、アアアアアッ!!」

 

サウザンドジャッカーを振るうと同時に、ロボットアーム型のエネルギー体が七海の身体を薙ぎ払う。

七海は何度も地面を転がり、やっとのことで止まると変身が解除され、ボロボロの七海の姿が現れる。傷だらけの身体は、見る人に痛々しさを憶えさせる。

だが、何よりも傷を負ったのは、キャロルを利用された(・・・・・・・・・・)ことにショックを受けた七海の心だった。

なんとか力を振り絞り、キャロルを見上げるが七海の意識は途切れ、すぐに倒れ伏してしまう。

 

「フン……ッ!?」

 

キャロルが七海に向かって一歩踏み出すと、燃え盛る物体が遮るようにキャロルの周囲を飛び回る。

 

「セレナか……ハァ!……逃げた、か」

 

サウザンドジャッカーで吹き飛ばすも、すでに七海の姿はなく、装者たちの姿も見えないことから、撤退したのだろう。

変身を解除したキャロルに、アウラネルたちが集まる。

 

「お久しぶりです。我らがマスター」

「ああ……行くぞ」

「はっ」

 

キャロルはテレポートジェムを割り、転移する。

行き先は、帰るべき家ではない。彼女はもう、キャロルでありキャロルではない(・・・・・・・・・・・・・・・・)のだから。

 

 

場所は変わり、S.O.N.G.保有の潜水艦。

 

「急げ!重傷者の七海くんとクリスくんを優先!翼と奏にも人を回せ!」

「お姉ちゃん!しっかりしてください!お姉ちゃん!」

「セレナ落ち着きなさい!セレナ!」

「カヒュ、ヒュー…キャロルが…そんな、キャロルがぁ……カハッ…カヒュ―、カヒュ―」

「エルフナインちゃん、大丈夫!?落ち着いて、ゆっくり深呼吸して…」

「き、切ちゃん……」

「調…調ぇ……」

「切歌ちゃん、調ちゃん…」

 

たくさんのスタッフが、慌ただしく周囲を駆けずり回る。

キャロルの必殺技をまともに食らった七海と、翼と奏を庇うために前に出たクリスがひどい怪我を負っており、すぐに集中治療室に運ばれる。

セレナは、今までにないほどにボロボロな七海を見て取り乱し、マリアが何とか落ち着けようとセレナに声をかける。

エルフナインはキャロルが裏切ったという事実に、過呼吸になりオペレーターのあおいが酸素スプレーを持って落ち着かせようとする。

切歌と調は戦いが終わって気が緩んだからか、先ほどの恐怖を再び思いだし、抱き合って必死に恐怖を抑え込もうとする。

響もそんな2人を心配して声をかけるが、自身も動けなかったことに無力感を憶えていた。

 

まさしく、完全敗北。これ以上ないほどの敗北に、周囲の空気は暗く沈んでいた。




裏切りキャロルの無双回。やっぱキャロルって、凛々しいというより圧倒的な力でねじ伏せる戦い方が合ってる気がする。

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キャラクター紹介

風鳴翼/天羽々斬
天羽々斬の装者。現役のアイドル。
原作と違い、奏を失っていないため、響が戦場に立つことに罪悪感を持つが、それでも響の意思を尊重。せめてと訓練をつける。
始めは七海たちを信じていなかったが、フィーネとの決戦後に和解。
以降は仲間として共に戦う。
父である風鳴八紘との仲は良好。彼の背中を憧れとしている。
祖父である風鳴訃堂とは険悪な仲ではないが、彼の態度から良好というわけではない。(なお、訃堂の方は孫娘である翼と家族として接したいが、方法が分からないために仲が拗れた模様)
マリア、切歌、調とは奏ともども以前から知り合っており、米国から亡命したという事で、彼女たちの数少ない知り合いである。

好きな戦闘シーンはどれ?(作者が個人的に好きなシーンの中で)

  • オーバーグリスのデビュー戦
  • バイカイザー戦
  • 七海と黒夜の決着
  • フィーネとの決戦
  • 他のシーンが良かった
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