錬金術師と心火を燃やしてみよっか?   作:神咲胡桃

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54話で「セイントペガサスプログライズキー」と書いてたんですが、よくよく考えると、プロブライズキーの名前って○○○イング+動物なので、「セインティングプログライズキー」に変更しました

それから、思ってたよりも長くなったので、前編後編に分けました。


57 煌めきのキング 前編

《三人称(セレナ)side》

 

燃え盛る発電所で、銃声と金属がかち合う音が絶えず響く。

 

「調!」

「…うん、切ちゃん!」

 

調の放った大量の鋸が、トリロバイトマギアたちの動きを阻害する。

その隙を見逃すことなく、切歌が魂を刈り取るイガリマの鎌を振るい、マギアたちを一気に殲滅していく。

 

「やったデス!調!司令さんとの訓練の成果が出てるデスよ!」

「…そうだね。でも、まだ油断できない」

 

キャロルが裏切ったあの日、強大な力を突きつけられ力不足を痛感した2人は、時間を作っては、可能な限り弦十郎に訓練をお願いしていたのだ。

もちろん、他の装者たちとの訓練も行っていたが、シンフォギアを使った訓練をしていなかったマリアを、短期間で成長させたことを見込んでだった。

だが、その時2人はまだ甘く見ていたのだ。弦十郎と言う男の異常な戦闘能力を……。

 

「あの時の訓練の厳しさは今でも思い出せるデスよ……」

「切ちゃん!おかわりきた!」

「合点承知デス!」

 

苦い思い出を思い出した切歌は、空虚な笑い声を上げる。

しかし、それも訓練の賜物(?)のおかげか、調の声に気持ちを切り替え再び鎌を振るった。

 

 

そしてマリアとセレナの姉妹コンビは、ネリとモネのくしくも同じ姉妹コンビと相対していた。

 

「「ハアアア!」」

《バーニングレイン!》

《アイススチーム》

 

セレナの炎の斬撃と、ネリの絶対零度の斬撃がぶつかり合い、辺りを水蒸気が包みこむ。

その直後、主翼「バーニングスクランブラ―」を広げたセレナが、勢い良く飛び上がる。

さらに、その後を追うように、2つの歯車型のエネルギー体が飛び出す。

 

「く、くぅう……キャア!?」

 

必死に躱すセレナを、上下から挟み込んで捉える。

地面に投げ出されたセレナは地面を転がる。

 

「アハハハッ!ほら……早く立ってよ」

「グッ……」

「もっともっと遊ぼうよぉ!」

「アアッ!」

 

セレナを強制的に立たせ、ネリは癇癪を起こした子供の様に何度もスチームブレードを叩きつける。

何度も叩きつけられるスチームブレードに、セレナは堪えきれず膝をつく。

 

「セレナッ!」

「ウフフフ…。貴女の相手は私ですよ?」

「ッ!この、そこをどきなさい!」

 

セレナのピンチを見たマリアは、すぐに救援に入ろうとするが、ライフルモードのネビュラスチームガンでのモネの射撃に足止めされてしまう。

マリアはさっきからモネを相手に、苦戦を強いられていた。

 

「このッ!」

「ウフフフ…」

 

モネはネリと比べ、近接能力は劣るものの射撃のセンスが高い。

その能力を持って、マリアの主武装である操舵剣の関節を狙っているのだ。

操舵剣は鞭のようにしなることが強みだが、鞭の動きを再現するためには多くの関節が付いている。

間接を狙い打たれ、操舵剣はすぐに破壊されてしまうのだ。

 

「ッ……だったら!」

 

マリアは破壊された操舵剣を投げ捨てて、右手に短剣を取り出し、モネに向かって斬りかかる。

しかし、モネもそれは予想済み。

ライフルモードである銃身の長さを利用して、次々と振るわれる短剣を逸らしていく。

 

「フッ!」

「なんですって!?」

 

ネビュラスチームガンを振り上げると同時に、バク宙しながら跳躍。

眼下にいるマリアに、ネビュラスチームガンを乱射する。

 

「アアアッ!」

 

激しい銃弾の嵐に晒されたマリアの周囲で爆発が起こり、マリアは大きく吹き飛ばされてしまう。

 

「アハハハッ!どうしたのよ!このままだと、死んじゃうよ!?あの奏者も、殺されちゃうよ!?」

「ねえ、さ……アアッ!」

 

地面に倒れるマリアにセレナは手を伸ばすも、再びネリが立ち上がらせ蹴り飛ばす。

ゴロゴロと地面を転がり、セレナの変身が解除された。

 

「マリアァ!」

「…セレナッ!」

 

無惨にもやられてしまったマリアとセレナに、切歌と調の注意が逸れる。

その一瞬が隙となり、数体のトリロバイトマギアが撃ったロケットランチャーを食らってしまう。

 

「「キャアァッ!」」

「暁さん…月読さん……」

 

シンフォギアこそ解除されていないが、ダメージを負った2人は立ち上がることができず、その2人にトリロバイトマギアが近づいていく。

その様子を見たセレナは、倒れながらも2人に手を伸ばすが、しかしネリが伸ばした手を踏みつける。

 

「うぁ……!」

「アハハハッ!かわいそぅね……アハハハッ!」

 

セレナの手を踏みつけながら、ネリは狂ったように笑う。

モネはその様子を見ながら、マリアに聞かせるように言う。

 

「ウフフフ…。私たちは先日の一件の後、貴女たちのデータをラーニングされると同時に、バイカイザーとヘルブロスにはスペックの改良がおこなわれました。まあ、その結果ネリはいつにもまして好戦的になりましたがね」

「くッ……セレナ」

「アハハハッ!まずはあそこの2人から……」

「やめ、て……」

「ん?」

「おねが、い…し、ます……やめて」

「んー、どーしよっかなー……アハハハッ!なーんてやめるわけないじゃーん!」

「うぁあ……」

 

ネリはセレナの懇願を容易く切り捨て、一際強く手を踏みつける。

 

「(いやだ……せっかくまた会えたのに、もう離れたくない。みんなで暮らせるようにって、今まで頑張ってきたのに、こんなところで……終わりたくない!)」

 

セレナが心で強く願った瞬間、セレナの傍に転がっていたスラッシュライザーに装填されっぱなしの、バーニングファルコンプロブライズキーが強く光り、セレナを炎の渦が巻き起こった。

 

 

 

 

「……ここは……私は確か、炎に呑み込まれて……」

 

セレナが目を開けると、そこは炎に包まれた大地だった。

周囲を見渡していると、後ろからセレナに声をかける人物がいた。

 

「君が、この世界の仮面ライダー迅か」

「え……?」

 

セレナが背後を向くと、そこにはスーツ姿の青年がいた。

青年はセレナに向けて微笑むと、彼の傍に不死鳥のような炎の鳥が舞い降りる。

炎の鳥の頭(?)を撫でながら、青年はセレナに問いかける。

 

「君も、守りたいものがあるのか?」

「守りたいもの……」

「そうだ。守りたいものがあるから強くなる。それが、人なんだろ?」

 

突然質問されたこともそうだが、続く言葉にセレナは困惑する。

そんなセレナに青年は再び微笑むと、空を見上げる。

 

「今は気付かなくても、大丈夫さ。きっと気づける。気付かせてくれる人が、君にはいるんだろう?」

「あ……」

 

セレナが青年の視線を追いかけると、曇っていた空から光が差し、そこから翼が生えた白馬が降りてくるのが見えた。

 

「ペガ、サス……?」

 

七海に救われる前、F.I.S.にいた頃にはあまりそういう事を知らなかったが、七海たちの元で暮らしてから身に着けた知識で、その姿を知っていた。

そして、天から舞い降りたペガサスは、青年とセレナの間に着陸する。

 

「さ、お迎えだ。君が守りたいものを守れることを、生きてその人たちを帰れることを、願ってるよ」

「ま、待って……ッ!?」

 

思わず青年に手を伸ばしたセレナの視界を、目映い光が覆い尽くした。

 

 

 

場所は変わり、セレナを中心に発生した炎の渦に、ネリは困惑していた。

 

「くッ……一体なんだってのよ」

 

やがて炎の渦は消え、中から出てきたのは、立ち上がっているセレナだった。

その顔に浮かぶのは恐怖や悲しみなどではない。何者にも恐れない、勇気と決意の表情を浮かべていた。

驚くネリやモネ、マリアたちを尻目に、スラッシュライザーのバックルを腰に巻く。

 

「クウクウ、クーウ!」

「ッ!?ちょっ、何!?」

 

そこに、ライトペガサスがネリに攻撃しながらやってくる。

セレナの隣に滞空するライトペガサスは、自身の身体から「セインティングペガサスムゲンライズキー」を排出。

そのムゲンライズキーを掴んだセレナは、起動スイッチ「ホープスターター」を押して起動する。

 

「私の家族は……」

《ブレイブ!》

「……誰にもやらせない」

 

スラッシュライザーにセインティングペガサスムゲンライズキーを装填し展開する。

 

《ムゲンライズ!》

《Kamen Rider......Kamen Rider......》

 

ここでいつもならトリガーを引くのだが、今回は違った。

待機状態になったスラッシュライザーをバックルから外す。それと同時に、セレナの周囲に王を守護する光の剣「ソードクリスタ」が12本出現する。

12本のソードクリスタはセレナの周囲を円状に周回し、セレナは手に持ったスラッシュライザーを天高く掲げた。

 

「………変身ッ!ハッ!」

《スラッシュライズ!》

 

12本のソードクリスタとスラッシュライザーから光の柱が上り、13本の光はペガサス型の「ファントムモデル」を生成する。

ファントムモデルは嘶きを上げながら、ネリやモネ、トリロバイトマギアたちをなぎ倒し、自身の主(セレナ)の背後へと降り立つ。

ファントムモデルの身体が、分解と同時に装甲を生成。王を守る純白の鎧となりセレナの身を包んでいく。

 

《Hope of legend! セイントペガサス!》

 

仕上げに12本のソードクリスタがマントとなり、セレナの背部に装着された。

さらにライトペガサスが変形し、スラッシュライザーの先端に合体される。

 

The sword that pays the darkness is the proof of the king(闇を払う剣は王の証)

「仮面ライダー迅……私の光は、尽きることのない無限の光です」

 

 

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