書かれていた考察が結構あたりに近くて驚きました……。
《七海side》
キャロルを取り戻すことができた発電所の戦いから一日。
私たちは、休む暇もなく司令室に集まっていた。
今回は非常に重大な話という事で、いつものメンバーにドクターウェルや了子さんもいる。
「キャロルの状態は、極度の疲労があり衰弱しているものの、外傷や脳や精神へのダメージも医療技術、錬金術ともに見当たりません。今は安静の為医務室で寝てもらっていますが、時期に回復するでしょう」
「うむ。ありがとうエルフナインくん。七海くんたちもすまないな。今はキャロルくんの元に居たいだろうが……」
「いえ、大丈夫です。それより、私たちは私たちで、やるべきことをやりましょう。例えば」
司令室の隅に備え付けられたソファに目を向ける。
そこでは宵姫黒夜――姉さんが呑気にくつろいでいた。
その横にはクリスが座っており、それはもうべったりと姉さんにくっ付いていた。
「姉さん」
「んー?なーに?」
「教えて。どうして姉さんが蘇ったのか。それと敵についての情報も」
「ほうほう。私に仲間を売れと言うのか!」
何をいまさら言ってるんだ。
貴女は誰かの下に就くような人間じゃないでしょ。
ただまあ、こんないかにもな嘘に騙される人もいるようで……。
「えー!?黒夜さん、戻ってきたんじゃないんですか!?」
「ふっふっふ……その通り!S.O.N.G.の天才美人研究者とは仮の姿。裏の顔はこちらの情報をリークするための天才美人スパイなのだー!」
「な、なんデスとー!?」
「立花……」
「切ちゃん……」
「おい黒夜……」
あっさりと信じてしまった響と切歌に、他のメンバーが呆れる。
というか天才とか美人って自分で言うの……?
「そういうのいらないから。まったく、どうしてこんなのになったのか……」
「一度死んだからじゃない?」
実際に死んだ人は説得力が違うな。
「まあそれは冗談として、どうして私がここにいるのかだっけ?それを話すのは結構長くなるよ。まずはねぇ……」
「ならば、オレが話そう。ヤツと一緒にいたオレの方が、事態をより詳しく理解しているからな」
「キャロル!?」
姉さんが事の経緯を話そうとした瞬間、司令室のドアが開き、医務室で寝ているはずのキャロルが入ってきた。
しかし、その足取りはフラフラで今にも倒れそうである。
「な、何でキャロルがいるんですか!?今は安静にしないと!」
「これくらい…大丈夫だ。それより、離さなければならない……あいつのもく、てき……」
「キャロルちゃん!?」
「先生!」
なんて考えてたら、キャロルが崩れ落ちた。
何とか倒れる前に支え、姉さんをソファからどかしてキャロルを寝かせる。
なし崩し的に私が膝枕する格好になったけど、心なしかキャロルが嬉しそうなのでみんな何も言わなかった。
「はぁ…はぁ…はぁ」
「…キャロル、辛そう」
「無理しちゃだめデスよ…?」
「ああ。それより、あいつの目的だ」
「……分かった。私たちには時間がない。ゆっくりで大丈夫だから、話してほしい。でも、無理しちゃだめだよ?」
ここまで無理してくるという事は、キャロルが伝えようとしている情報はそれだけ重要なのだろう。
私たちは常に後手に回り続けている。ここら辺で私たちからも攻めないと、これから先、先手に回るのが難しくなってしまう。
「何から話すか……そうだな。まずはヤツをサウザーと仮称しよう。サウザーの正体と目的、そしてオレに何があったかを話そう」
そう前置きしたキャロルはポツリポツリと語りだした。
「まずはサウザーの正体だ。やつは、オレと同質であって異なる存在だ」
「キャロルと似て非なる者?」
「……お前たちは、平行世界という物を信じるか?」
「平行世界、だと?」
「なんデスか?ソレ」
「確か、1つの世界から分岐したもう別の世界、だったかしら?分かりやすく言うなら、あったかもしれない可能性の世界」
「可能性……?」
「マリア姉さんの説明を補足するなら、たとえば、みなさんはこうして装者として活動してますが、もし何かが違えばみなさんが装者にならなかったかもしれません。そういった”もしもの世界”を、平行世界と呼ぶんです……って、ちょっと待ってください。それじゃあ、先生が言っていたのは……」
どうやら説明している最中に、セレナもその考えにたどり着いたようだ。
周りを見渡してみると、理解してるっぽいのは私やエルフナインといった錬金術に触れている者と、聖遺物という異常に触れていた了子さんやドクターウェル、そして桁外れな天才である姉さんだけだった。
「そうだ。サウザーの正体。それは
「平行世界の、キャロルちゃん」
「でも!だったらあのキャロルはどうやってこの世界に来たデスか?」
「完全聖遺物ギャラルホルン。それが今回の事件の元凶だ」
「なるほど。サウザーの正体から考えるに、その聖遺物の能力は平行世界へと行き来できる能力か?」
「正確には、”繋げる”と言った方が正しいがな。おおむねその認識で会っている」
つまり、サウザーの正体は平行世界のキャロルで、そこにはギャラルホルンの存在があると。
キャロルが一度話を切ると、珍しく大人しかった姉さんが口を開いた。
「1つ良いかな?」
「なんだ」
「サウザーの正体については分かったけどさ。どうしてあなたの意識を奪ったりしたの?そんな非効率的なやり方より、自分の体を使った方が楽だと思うのだけど」
「簡単な話だ。サウザーはこの世界に来た時、
なるほど。だからわざわざキャロルの意識を奪って……でもそれって。
「つまり、平行世界のキャロルは、すでに死んでいる?」
「あ……」
「確かに……」
「まあ、実際は知らんがな」
まずった。さすがに今言うべきではなかったか。
目に見えて年長組以外は気持ちが沈んでいる。
「気にしても仕方がない。続きを話すぞ。この世界に来たサウザーは、依り代を求めてさまよった結果、オレを見つけて潜り込んだ。そして寝静まった頃や、オレの気が緩んだ瞬間に意識を奪い、アウラネルやネリ、モネを作った」
「そして、今回の事件に至る、か」
弦十郎は腕を組み目を閉じる。
おそらく、今のキャロルの説明を受け入れようとしているのだろう。
さすがに普通の人間だと、この突拍子もない話を簡単には受け入れられないのだろう。他の皆も口を閉じて、一言も話さない。
そして、了子さんがその沈黙を破った。
「……私がデュランダルを使い、世界を破滅させようとしたのは、サウザーの仕業か?」
おそらく、それは櫻井了子ではなく、フィーネとしての質問だろう。
キャロルはその問いに、弱弱しく首肯した。
「ああ…あの時、お前があんな暴挙に出たのは、サウザーによる実験がキッカケだ。やつはギャラルホルンを使い、他の世界とこの世界を繋げようとした。その結果、別の世界のフィーネの魂が到来し、お前の意識を奪ったのだろう」
「じゃあ、私もその実験の結果ってことかな?」
「いや、お前の場合は事情が異なる。お前の時は、ハザードトリガーに染みついた記憶を使ったのさ」
「記憶……ああ、なるほど」
「え、今のでわかるのかよ」
………ああそうか。私も分かった。
見れば、やはり装者の皆はてんでさっぱりの様子。まあ、これに関しては理解できるのは私と姉さんくらいだろうなぁ。
「どういうことなのだ?説明してほしいんだが……」
「つまりは日本で言うところの付喪神的なものさ。大切に扱われた物には魂が宿るみたいな。私の場合は、魂じゃなくて記憶だったわけだけど」
「アイツは、七海から奪ったハザードトリガーに染みついていた宵姫黒夜の記憶を使い、ギャラルホルンを通じて平行世界の宵姫黒夜を連れてきた。そして、元々の記憶をデリートした宵姫黒夜に、ハザードトリガーの記憶をインプットした」
「それは……」
今度は年長組も含めた全員が顔を俯かせる。
まあその気持ちも仕方ない。なんて言ったって、その行為は命を、平行世界の宵姫黒夜の人生を冒涜しているのだから。
だけど、肝心の本人はいたって変わらず、納得と言う感じで腕を組む。
「ふ~ん。それがタネか。分かってみると、そうなんだって感じだね」
「おい、お前それでいいのかよ……!」
「やめときなよ、クリス。姉さんに人並みの感情を求めるだけ無駄だよ」
「さっすがなーちゃん。分かってる~」
ほらね。こういう人だ、姉さんは。
「話を戻すぞ。次はやつの目的だ」
「……そうだ。やつらの目的が分からなければ、有効打は何も打てない」
「そう、よね。それで、あいつらは何をしようとしているのかしら?」
「サウザーらの目的はただ一つ。世界の破壊だ」
「それは何とも……」
「だが事実だ。そのためにやつらは、完全聖遺物ネフィリムに聖遺物を食わせ、成長させることで世界を滅ぼそうとしている」
「そして、あの発電所襲撃も、そのための布石」
「発電所…聖遺物……そうか!藤尭!今回襲われた発電所が電力を送っている場所の中で、いち早く復旧させて電力を送らせているのはどこだ!」
「ちょっと待ってください……これは!?今の条件だと、海中深くにある『
「やはりか」
ネフィリムの成長には聖遺物が必要。そしてS.O.N.G.が聖遺物を保管しているのは、海中深くにある
今回の発電所襲撃は、この
「不幸中の幸いは、向こうにも被害が出ていることですぐには動けないことか……だが、気は抜けないな」
「師匠!」
「とりあえず、今日はここまでとする。装者や仮面ライダーの諸君は休息を取ってくれ。また忙しくなるぞ!」
「「「「「「「「了解ッ!!」」」」」」」」
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